プリンターの処分方法と料金相場は? 小型家電リサイクル法って何?

プリンターの処分方法と料金相場は? 小型家電リサイクル法って何?

今や一家に一台、プリンターを置く時代になりました。

レポートなどのプリントや、仕事の書類に企画書のプリント、またカラーで写真などを印刷することができ、とても便利ですよね。

現在はWi-Fiでデータを飛ばしてスキャナやコピーもできる複合機が多くなり、家庭でも活躍しているのではないでしょうか。

しかし、いざ処分するとなると、捨て方に困るご家庭も少なくないはず。

古くなったり壊れたりして不要になったプリンターは、どのように処分すれば良いのでしょうか。

この記事では、プリンターの適切な処分方法と処分費用、捨てる際の注意点について解説します。

「小型家電リサイクル法」の対象

「小型家電リサイクル法」の対象

現在、日本で1年間に使用済みとなる小型家電は、なんと65万トンにものぼります。

そのうち、リサイクル可能な金属は28万トン。

金額にすると約844億円にもなると言われています。

この小型家電に含まれる有用金属の量は、世界の年間消費量の複数年分をまかなえるとも言われるほど。

こういった貴重な資源をもっと有効活用するために制定された法律が、「小型家電リサイクル法」です。

小型家電リサイクル法の概要

小型家電リサイクル法は、デジタルカメラやゲーム機等の使用済み小型電子機器等の再資源化を促進するため、主務大臣による基本方針の策定および再資源化事業計画の認定、当該認定を受けた再資源化事業計画に従って行う事業についての廃棄物処理業の許可等に関する特例等について定めた法律です。

きっと一度は耳にしたことがあるであろう「家電リサイクル法」も、同様に廃家電の減量とリサイクルを促進するために2001年4月に制定されたもの。

一般家庭や事業所から出される特定の家電製品にリサイクル料金を払うことを義務付けて、リサイクルを目的とする法律ですが、2013年4月に制定された「小型家電リサイクル法」とはまったく別物です。

家電リサイクルの対象品目(テレビ・エアコン・洗濯機・冷蔵庫)は、処分する際に「リサイクル料金+収集運搬料金」などの費用がかかりますが、小型家電リサイクルの場合は処分費用の支払いを義務化していません。

回収対象品目は?

小型家電リサイクル法の回収対象となる品目は、パソコン、携帯電話、ゲーム機、デジタルカメラ、電子レンジなど約400品目にも及びます。

参考までに、主な回収品目をまとめました。

カテゴリー主な品目
パソコン本体ノート、デスクトップ、タブレット
パソコン周辺機器プリンター、スキャナ、モニタなど
携帯電話携帯電話、スマホ、PHS
通信機器電話機、ファクスなど
カメラデジタルカメラ、フィルムカメラ、ビデオカメラなど
ゲーム機ゲーム機本体、コントローラーなど周辺機器
音響楽器オーディオプレーヤー・レコーダー、ステレオ スピーカー、アンプ、ラジオ、ICレコーダーなど
映像機器HDD、DVD、BD、ビデオなどのプレーヤー・レコーダー 衛星放送用アンテナ、チューナーなど
キッチン用家電電子レンジ、炊飯器、コーヒーメーカー、トースター ホットプレートなど
生活家電掃除機、加湿器・除湿機、扇風機、電気ストーブ、アイロン ヘアドライヤー、電動歯ブラシ、電気カミソリ、電気カーペット、家庭用ミシンなど
カー用品カーナビ、カーステレオおよび周辺機器
その他時計、電卓、電動工具、換気扇、電子辞書など

プリンターを処分する方法

プリンターを処分する方法

プリンターはごみとして捨てる以外に、リユース・リサイクルして処分する手段もいくつかあります。

リサイクルは費用がかからず無料で処分できるため、経済的です。

ここからは、具体的なプリンターの処分方法を見ていきましょう。

小型家電リサイクルの回収ボックスに入れる

小型家電リサイクル法の対象品目に該当する家庭用のプリンターは、廃家電のリサイクル回収を行っている自治体もあります。

地域の公民館や施設に置いてある回収ボックスに入れるだけなので、簡単で処分費用もかかりません。

小型家電の回収方法

  • ボックス回収:公共施設・スーパー・家電小売店に回収ボックスを設置
  • ピックアップ回収:粗大ごみや不燃ごみと一緒に回収
  • ステーション回収:ゴミ回収の区分に「小型家電」を設けて回収

使用済み小型家電の回収方法や場所・スケジュールについては、自治体によって異なる上に、回収に出せる小型家電の大きさについても細かい決まりがあります。

地域によっては回収そのものを行っていない場合もありますので、必ず出し方・ルールなどの詳細を自治体に事前に確認しておきましょう。

ごみ収集に出す

家庭で不要になったプリンターは、他の家庭ゴミと同じように、自治体が行うごみ収集に出せる場合があります。

自治体詳細
東京都北区大きさがおおむね30cm立方体以上のものは「不燃ごみ」
神奈川県横浜市50cm未満のものは「不燃ごみ」

一般的には「最大辺の長さが30~50cm以内まで」なら不燃ごみ扱いになることがほとんどですが、上記のように自治体によって家庭ごみとして出せるサイズが微妙に異なります。

「可燃ごみ」「不燃ごみ」といった分別方法にも違いがあるため、居住地域の自治体に確認してから、ルールに沿って正しく処分しましょう。

有料の粗大ごみ回収に出す

自治体のごみ収集や小型家電リサイクルボックスに出せない家庭用プリンターは、「粗大ごみ」に出すのが一般的です。

粗大ごみ回収を利用するには、粗大ごみ受付センターへ連絡の上、事前申し込みが必須。

申し込み方法は、自治体によって異なりますが、基本的には以下の流れで手続きします。

〈粗大ごみ受付の流れ〉

  1. 粗大ごみ受付センターに連絡する(電話・Web・line・チャットポットなど)
  2. 回収日・料金などを確認し、販売店で「リサイクル券」を購入する
  3. 氏名など必要事項を記入したゴミ処理券を、プリンターに貼り付ける
  4. 指定の日時に、指定の場所に出しておく

受付から回収までには2週間程度かかるため、すぐに処分はできません。

また、粗大ごみは「リサイクル手数料」という名の処分費用がかかります。

〈リサイクル料金の一例〉

自治体リサイクル料金備考
東京都北区高さ20cm以下 400円 高さ20~30cm以下 900円 高さ30cm超 1,300円インクカートリッジは取り外し不要
東京都板橋区高さ20cm未満 400円 高さ20cm以上 900円インクカートリッジは取り外し不要
神奈川県横浜市200円 (金属製品で30cm以上、それ以外で50m以上のもの)

コンビニなどの取扱店で処分料金分のリサイクル券を購入後、氏名などの必要事項を記入してから、プリンターの目立つ場所に貼り付けます。

回収場所までは自分で運びだす必要がありますが、戸建ての場合は自宅前、集合住宅の場合は敷地内の集積場所で回収してもらえるので、手間と労力はそれほどかかりません。

ただし、すぐには回収してもらえないので、粗大ごみに出す場合は申し込みを早めに済ませ、あらかじめプリンターの大きさを測っておくとスムーズです。

指定場所へ自分で持ち込む

粗大ごみ受付センターなどの指定場所へ直接持ち込む方法もあります。

電話やインターネットで必要な情報を入力し、収集日を確認して申し込みます。

申し込みが完了したら、指定日に指定場所へ運びます。

粗大ごみ回収よりも処分費用が安くなる自治体が多く、早く処分できます。

家電量販店に下取り・回収してもらう

家電量販店に下取り・回収してもらう

プリンターの買い替えに伴う処分の場合は、家電量販店の下取りサービスの利用がおすすめです。

新品を購入する際に古いプリンターを持ち込むことで、店舗で引き取ってもらえます。

ただし、家電量販店ごとに設定した料金の支払いが必要です。

家電量販店料金
ヤマダ電機1,100円
ケーズデンキ1,100円
ノジマ買い替えを伴う場合は無料

このように費用が異なるほか、引き取りできるメーカー・品目が異なります。

基本的には店舗への持ち込みが前提です。

年式や型式などの条件がある場合や、訪問回収の有無もありますので、詳細は店舗へ直接問い合わせてみましょう。

リサイクルショップに売る

まだ問題なく動くプリンターは、ごみとして捨てる他に、売却する選択肢もあります。

リサイクルショップなら、持ち込んだその日のうちに査定~買取まで完了するので、スピーディーに手放せます。

リサイクルショップで売れれば、粗大ごみや家電量販店の回収にかかる費用が浮く上に、臨時収入が入るメリットも。

とくに、型式が新しく美品のプリンターは、査定・買取額が上がりやすいです。

ただし、リサイクルショップは手早く現金化できる分、買取価格は安値です。

元値が数万円の家庭用プリンターでも、買取額は数百円にしかならないケースは珍しくありません。

稼働するプリンターであっても、型式の古さや使用感によっては、無料引き取りさえ難しい場合もあります。

リサイクルショップで売れるプリンターは、「製造から5年以内」がひとつの基準。

付属品や箱がそろっていると、高値がつきやすい傾向があります。

査定は無料で行っている店舗がほとんどですので、プリンターが買取可能かを確認の上、試しに持ち込んでみるのも良いでしょう。

パソコン専門のショップに売る

パソコン周辺機器に該当するプリンターは、専門のショップへ持ち込むのもひとつ。

衣類・CDなど、オールジャンルを取り扱うリサイクルショップと比べて、専門店の方が売れる可能性が高いです。

パソコン専門のリサイクルショップでは、修理・メンテナンス後に中古品として販売するところが多いため、多少状態が悪かったり作動しなかったりするものでも、部品などをとるための「ジャンク品」として引き取ってもらえることがあります。

もちろん、年式や状態などで買取不可の場合もありますが、リサイクルショップよりも買取率が高いのは確かです。

近くにパソコン専門の買取ショップがあるのであれば、一度問い合わせてみましょう。

フリマアプリ・オークションに出品する

多少手間をかけても、高値で売れる可能性にかけたい方は、フリマアプリやネットオークションの利用をおすすめします。

フリマアプリの価格やオークションの最低落札額は自由に決められるため、「いくらで売りたい」という希望が叶えられるのは大きなメリットです。

ショップ買取りでよくある、「発売後5年未満」「国内の有名メーカー」「高機能」などの縛りもありません。

古く使用感のあるプリンターでも、出品してすぐに売れる場合もあります。

しかし反面、売れる保証もありません。

長期戦になることも少なくないため、すぐに売りたい・処分したい方には不向き。

また、家庭用のプリンターもそれなりの重量と大きさがあり、送料もかさみます。

送料込みで販売するとなれば、品物代に上乗せが必要となり、購入者の負担額が増えてしまうため、余計に買い手がつきにくくなります。

アプリひとつで利用できるものの、写真撮影・商品説明の記入・メッセージのやり取り・梱包・発送などはすべて自分で行うため、それなりに手間がかかります。

後々トラブルが起こらないよう、商品の状態はしっかりと確認し、傷や汚れがあればその旨を商品説明欄に記載するなどの配慮も必要です。

欲しい人に譲る

売れないけれど捨てるにはもったいないプリンターは、引き取り手を探してみるのも良いでしょう。

「無料なら欲しい」という人が見つかれば、現金化できなくても処分費用は浮きます。

友人・知人などの身内で引き取り先が見つからない時は、「ジモティ」などの掲示板を利用するのもおすすめです。

フリマアプリのように梱包の手間がなく、直接引き渡せば送料もかかりません。

ただし、連絡がとれない、取引場所に来ないなどのトラブルもつきもの。

こういったトラブルを避けるために、相手の評価を確認しましょう。

自分のプロフィールを非公開にすると、個人情報の開示も避けられますよ。

寄付する

まだ使えるプリンターなら、国内外に寄付する方法もあります。

こういった支援団体では、パソコンと同様にプリンターも受け付けているようです。

ただ処分してしまうのなら、支援団体に寄付して困っている人に役立ててもらうのもよいのではないでしょうか。

不用品回収業者に依頼する

処分の手間を省きたい方は、業者の不用品回収サービスを利用する方法もあります。

回収業者に依頼するメリットは、引き取り日時の指定ができ、自宅まで引き取りに来てもらえるので、運び出しなどの手間もかかりません。

トナーカートリッジなどもそのまま、プリンター本体と一緒に引き取ってもらえます。

また、プリンターに限らず、家具・家電・衣類といった家中の不用品をまとめて回収できるのも、不用品回収業者の強みです。

早ければ即日対応可能な業者もあり、引っ越しなどで急ぎの時にも役立ちます。

しかし、粗大ゴミなどに比べると処分費用は高くなります。

中には悪質な業者も潜んでいるため、複数の業者に問い合わせて見積もりをとり、安心して依頼できる業者を見極めましょう。

遺品整理業者に依頼する

遺品の中にプリンターもあるのであれば、遺品整理業者にプリンターも回収してもらうのも良いでしょう。

近年、遺品整理業者はただ遺品を整理するだけでなく、遺品の査定や買取、遺品の供養まで、遺族のためのさまざまなサポートを行うようになってきています。

たとえ小さなものでも、故人が愛用していた遺品を捨ててしまうのは忍びないという人のために、お寺などと提携するところも増えています。

遺品を回収して供養し、供養証明書を出してくれる業者もあるほどです。

プリンターを始めとするリユース・リサイクルが可能な家電は、引き取りや処分も依頼でき、業者によっては買取サービスがある場合もあります。

サービスの有無は業者によって異なりますので、遺品整理も検討している方は、依頼する際に併せて確認してみるとよいでしょう。

プリンター処分時の注意点

プリンター処分時の注意点

プリンターを処分する際は、いくつか気をつけておくべきポイントがあります。

売る・処分するどちらの場合でも、プリンターを手放す前に必ずチェックしましょう。

データを消去する

一般的な家庭用プリンターにおいては、本体にデータが残ることはほぼありません。

しかし、HDDがついているプリンターの場合は、スキャンした書類や画像データが本体に残る可能性があります。

プリンターにデータが残ったまま処分することのないよう、チェックしておきましょう。

まず、処分したいプリンターにメモリーが搭載されているか確認します。

また、インクリボンにも過去に印刷した内容が残っている場合があります。

そこから個人情報が洩れてしまう危険性がありますので、忘れずに確認しましょう。

原稿やカードの取り忘れがないか再確認する

プリンター本体の読み取り部分に、印刷した原本が残ったままになっていることも少なくありません。

いわゆる“うっかりミス”ですが、印刷後に取り忘れることは案外ありがちです。

そのほか、SDカードやUSBの抜き忘れも注意し、個人情報の漏洩を防ぎましょう。

インクカートリッジはリサイクル回収へ

プリンターを処分する際は、インクカートリッジは別に処分しましょう。

メーカーの純正品なら、キヤノンやエプソンなどのメーカーが「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」として、共同でリサイクル用の回収ボックスを設けています。

郵便局や自治体に設置されているので、入れるだけです。

そのほかのボックスの設置場所は、「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」のサイトに記載されています。

集まったカートリッジは各メーカーが責任をもって処分します。

ボックスに入れることで、環境問題に貢献することができます。

メーカーの純正品でないものは、自治体のルールに従って処分しましょう。

まとめ

不要になった家庭用プリンターを、手間と費用をかけずに処分するのなら、「小型家電リサイクル」がおすすめです。

ただし、地域によっては回収を行っていなかったり、サイズの関係で回収に出せなかったりすることもあります。

このような場合は、まず「売る」ことを検討した後に、不用品回収業者や遺品整理業者、粗大ごみ回収など、自分に合う処分方法を選択すると良いでしょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。