遺品整理が大変なので、業者に依頼したいという人が増えています。
近年、広く知られるようになり、業者の数も増えている遺品整理業者ですが、残念なことに、良心的な業者ばかりとは限らないようです。
遺品整理業者に関するトラブルで多いのは、見積もりより高額な料金を請求されたなど、料金に関するものですが、実は、窃盗に関する被害も報告されています。
窃盗、つまりネコババです。
遺族の目を盗んで、遺品の中から目ぼしいものをネコババし、売りさばくという悪質業者も、中には存在するようです。
また、身内で遺品整理をする際、窃盗に遭うのではないかと心配する人も多いようです。
今回は、遺品整理にまつわる盗難や窃盗について見ていきましょう。
目次
ネコババってどんな罪?
他人のものをこっそり盗んで自分のものにしてしまうのが「窃盗」、いわゆるネコババです。
これは、どんな罪になるのでしょうか。
遺品整理で人のものを黙って自分のものにするという行為は、刑法235条に規定された「窃盗罪」などに当たると考えられます。
窃盗罪は、裁判で断罪されれば、10年以下の懲役または50万円以下の罰金を科せられる罪です。
これは、万引きや空き巣、ひったくりなどにも適用される罪であり、悪質であると判断されれば罰金刑では済まされないケースも。
懲役刑が科せられ、場合によっては執行猶予もつかず、実刑判決が下される可能性もある重い罪です。
もし、起訴されて裁判となった場合、99%が有罪となるといわれています。
遺品整理でネコババがあった場合も、窃盗罪にあたります。
近年は、遺品整理を手伝った親族が、遺品整理で見つけたものを勝手にもらってしまったという事案も起きているようです。
「親戚なんだから」と軽い気持ちで持っていってしまうケースが多いようですが、中には遺産相続の対象となるものもあるかもしれません。
スムーズな相続のためにも、窃盗は防ぎたいもの。
親族であっても、遺品整理には慎重になりましょう。
感謝の気持ちを伝えた上で、ある程度、遺品整理を進めてからお願いするか、法定相続人のみで行うのが無難です。
ネコババされない対策〜①ネコババされやすいものを知る
遺品の中には、現金や高価な貴金属など、市場価値のあるものが含まれている場合が多くあります。
遺品は簡単にネコババできてしまうため、残念ながら窃盗が行われてしまうことがあるのです。
まず、どのようなものが窃盗に遭いやすいのか見ていきましょう。
現金
遺品整理で意外なところから出てくることが多いものに「現金」があります。
故人のへそくりや、非常時のために置いているお金などが多いようです。
現金はサイズが小さく軽いために隠しやすく、ポケットなどにサッと隠して持って行かれてしまいます。
通帳・有価証券
深刻な例では、現金だけでなく預金通帳が窃盗されたケースもあります。
また、有価証券などにも気をつけた方がいいでしょう。
これらは同じ場所にしまわれていることが多いため、狙われやすいです。
貴金属・宝飾品
こちらもサイズが小さいために隠しやすく、金銭的価値があるため、窃盗されやすい品目です。
骨董品・美術品・コレクションなど
骨董品や美術品などは、素人には市場価値が分かりにくいことがネックです。
価値のないものであると偽ったり、不用品の中に紛れ込ませるという手口で窃盗されることがあります。
コンパクトな家電
スマートフォンやタブレットなどのデジタルガジェット、サイズの小さな家電も、窃盗に遭いやすいでしょう。
デジタルデータ
デジタル機器が残っていても、安心はできません。
デジタル機器の中から、ネットバンキングのパスワードや個人情報などのデータが抜かれるケースがあります。
個人情報
アドレス帳や手帳などの遺品が窃盗され、個人情報が盗まれることがあるので要注意です。
ネコババされない対策〜②窃盗に遭いやすい場所を知る
悪質な業者は、常習的に窃盗を行っているケースがほとんどです。
悪い意味で経験を積んでいるため、どんな場所にどんな遺品があるのか分かってしまうようです。
また、親戚や知人などの場合も、遺品整理を手伝っているふりをして、家探ししやすい場所があります。
特に狙われやすい場所は、遺品整理前に確認しておきましょう。
タンスの引き出し
窃盗でまず狙われるのがタンスの引き出しです。
持ち主からすれば、ものを整理しやすいので、入れておくことが多い場所です。
「タンス預金」という言葉があるように、現金が入れられていることも多いようです。
仏壇の物入れ
仏壇は、ご先祖様が守ってくれそうな気がして、大切なものをしまっておこうという気持ちになりやすい場所です。
物入れに、線香やろうそくと一緒に、土地の権利書や通帳などが入れられていることがあります。
押し入れ
ものがごちゃごちゃ入れられているので、紛れて隠しやすい場所です。
本棚・書籍の中
現金などを本棚の奥に隠したり、書籍の間にはさんで入れてあることがあります。
下駄箱の中
玄関に近いので危なそうにも感じますが、靴の箱の中に貴重品が入れられていたり、ブーツの中にへそくりを入れたりしているケースがあるようです。
衣類のポケット・バッグ
こちらは、故人が入れたまま忘れてしまったケースです。
ズボンやジャケットのポケットの中に、現金や小銭入れなどが入れられていることがあります。
布団の下
病気で伏せていた人が、自分が上に寝ていれば安心と、布団の下に現金を入れていることがあります。
ネコババされない対策〜③事前準備をする
遺品整理を業者に依頼する場合も、親族に手伝ってもらう場合も、事前に窃盗被害に遭わない対策をしておきましょう。
大切なものは先に整理しておく
遺品整理を依頼する前に、信頼できる遺族や相続人のみで、大切なものだけ先に整理しておきましょう。
主に現金や貴金属などの高価なものや、思い入れの強いもの、形見分けにするものなどを先によけておきましょう。
一部のものをピックアップするだけなので、それほど時間もかかりません。
遺品のリストを作成する
遺品の中にどんなものがあるのか、何を残して何を処分したいかをリストアップしましょう。
親族で遺品整理を行う際には効率的に行えますし、業者に対しては遺品を把握しているとアピールすることになり、窃盗対策になります。
リストを作成する時間がない場合は、写真や動画に遺品整理前の様子を収めておくのがおすすめです。
ネコババされない対策〜④遺品整理当日
遺品整理を業者に依頼する場合は、作業に立ち会うのがベストです。
一緒に作業を行ってもいいですし、見守っているだけでも構いません。
忙しいために業者を依頼しているわけではあっても、依頼者の目があるところでは、そうそう窃盗するチャンスはないからです。
立ち会えない場合は、作業の様子を動画や写真で送ってもらうと良いでしょう。
どのように作業を進めているかある程度わかり、窃盗されにくい抑止力となります。
親族で遺品整理を行う場合は、ときどき様子を見に行ったり、お茶を運んだりするなど、他の人の目があることを意識させると、つい出来心で窃盗してしまうことも少なくなります。
ネコババされない!信頼できる遺品整理業者とは?
遺品整理をする時間がない、遠方で遺品整理がなかなかできない・・・遺品整理業者に依頼する理由はさまざまです。
安心して大切な遺品の整理をお願いするためにも、信頼できる業者の選び方について見ていきましょう。
見積書
業者の良し悪しは、見積書である程度わかります。
悪質な業者は、見積もりが分かりづらかったり、必要な作業が含まれていなかったりします。
特に「コミコミプラン」には注意しましょう。
セットになっているため、どんな作業を行うのかが分かりにくく、あとから高額な追加料金を請求されることがあります。
信頼できる業者の見積もりは、どんな作業にどのくらいの費用がかかるのかを明確に記載してくれます。
また、複数の業者から相見積もりをとるのがおすすめです。
複数の業者を比較することによって、どの業者が信頼できるのか検討しましょう。
現場見積もりをしてくれるか
遺品整理の見積もりを出すには、現地を確認する必要があります。
遺品整理の料金は、部屋の広さだけでなく、ものの量や、エレベーターの有無や車が停められるかなど、現地の状況によって変わるからです。
そのため、現地で見積もりを行わない業者は悪質である可能性が高いと言えます。
応対の良し悪し
遺品整理は、遺族に気持ちに寄り添って行うものです。
電話やメールの対応が雑だったり、違和感を持つ業者は避けた方が無難です。
また、見積もりの際に、いろいろ質問をして対応を見てみましょう。
雑な対応をしてくるか、依頼者側の気持ちに寄り添い、誠実に答えてくれるかを見極めましょう。
対応が雑だったからといって窃盗につながるわけではありませんが、スムーズに遺品整理を進めるためにも、仕事への姿勢は大切です。
まとめ
大切な人を亡くした悲しみの中で行う遺品整理。
このような場で、窃盗などがあるのは悔しく、悲しいことです。
遺品整理で窃盗に遭わないためには、事前に窃盗に遭いやすい品目や場所を整理しておくことです。
目ぼしいものがなければ、窃盗に遭うことはありません。
また、窃盗被害に遭わないためには、信頼できる業者の選択も重要です。
対応や見積もり、見積書などから、良い業者を見極めましょう。