介護施設や老人福祉施設は看取りをしてくれるのか?安心して最期を迎えるために知っておきたいこと

介護施設や老人福祉施設は看取りをしてくれるのか?安心して最期を迎えるために知っておきたいこと

近年、特別養護老人ホームなど老人福祉施設に入所する人が増えています。

老人福祉施設には、介護を必要とする人が多く入所しており、年々症状も重度化しています。

厚生労働省の調べによれば、特別養護老人ホームなど老人福祉施設の平均在所期間は4年。

退所理由の7割は死亡であることから、老人福祉施設は終の住処としての側面も持つようになっていると言えるでしょう。

そのため、看取りをしてもらえるかどうかは、入所者にとって大きな問題となっています。

老人福祉施設にはさまざまなものがありますが、看取りをしてもらえるのはどのような施設なのでしょうか。

そして、看取りをしてもらえる施設は、どのように探せばよいのでしょうか。

「看取り」とは?

まず、「看取り」「看取り介護」について基本的なところを見ていきましょう。

全国老人福祉施設協議会によると、「看取り」とは「近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最後まで尊厳ある生活を支援すること」と定義されています。

以前は、終末期を迎えた人は、病院に入院し、少しでも延命することが最優先されてきました。

しかし、生命を維持するために身体を機器につながれ、鼻や口にチューブを通し、モニターで心拍数を確認する、いわゆる「スパゲティ症候群」という状態は、果たして人道的なのでしょうか?

そして、人間としての尊厳が守られていると言えるのでしょうか。

このように疑問を持つ声が多く上がり、「看取り介護」という考えが広まってきました。

この流れから、2006年4月、介護報酬が改定され、「看取り介護加算」が規定されたのです。

こうして、現在では、入所者本人が個人として尊重され、静かに死を迎えられるよう支援する「看取り介護」が選択できるようになっています。

どこで最期を迎えるのか?

どこで最期を迎えるのか?

看取り介護は、どのような場所で受けることができるのでしょうか。

病院での看取り

現代日本では、約80%の人が病院で最期を迎えると言われています。

病院での看取りの場合、医師の指示のもと、患者の苦痛を緩和するための処置が取られることが多く、点滴や酸素吸入などを行うターミナルケアが行われることが多いようです。

自宅での看取り

自宅の療養と看取りは、家族のほか、医師・看護師、ホームヘルパーやケアマネージャーと連携しながら行われます。

近年、終末期を自宅で過ごしたいと希望する人は増えています。

最後まで住み慣れた自宅で家族と過ごしたいという気持ちは自然なことですし、ペットを飼っている場合、入院したらもう会えなくなってしまうという理由から自宅を選択する人もいるようです。

在宅での医療や看取りの体制は、現在少しずつ整備されつつありますが、自宅で十分なケアするためには、介護ベッドなど様々な道具が必要なこともあり、簡単ではありません。

老人福祉施設・老人ホームでの看取り

老人福祉施設や老人ホームに入所する人が増えるにつれ、そこで最期を迎えたい、看取りをしてほしいという人が増えています。

また、医療での回復が見込めず、自宅で介護ができないといった場合にも、老人福祉施設や老人ホームでの看取りを希望する人も多いようです。

特に、要介護度の高い人にとって、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は終の住処となることも多いため、施設職員は利用者の看取り介護を行うことが増えてきました。

団塊の世代が平均寿命を迎える2040年ごろを見据え、高齢者向け施設の数は増えています。

このようなことから、老人福祉施設や老人ホームで看取り介護を受ける人は、今後ますます増えていくと考えられます。

老人福祉施設・老人ホームでの看取りまでの流れとは?

老人福祉施設・老人ホームでの看取りまでの流れ

入所・適応期

入所した老人福祉施設・老人ホームと本人・家族の信頼関係を構築していく時期です。

施設の医療体制や対応できることなどの説明を行ったあと、利用者本人や家族にヒアリングを行い、希望する内容を確認します。

ヒアリングの結果と利用者の心身の状態に応じ、看取り介護プランが立てられます。

患者の状態の変化などにより、必ずしも計画通りに介護が進むとは限りません。

状態を見ながら、患者本人や家族の意向に合わせて計画を変更しながら介護を続けていきます。

安定期

体調が悪化しても、回復する時期です。

人生の最期に向けて自分らしい生活を送るための準備を行います。

入所時とは意識や希望内容が変化することもあるため、再びヒアリングを行い、その内容に応じてプランを変更します。

不安定・低下期

治療による回復が見込めなくなり、身体機能の低下が明らかになる時期です。

食事があまりとれなくなる、歩けなくなるなど、これまでできていたことができなくなったり、体重が減ったりすることがあります。

本人と家族に病状や今後の経過の予測が伝えられ、本人や家族へのヒアリング、心身の状態をもとにプランの変更が行われます。

看取り期

今後の回復が望めなくなる時期です。

明らかな衰弱が見られ、最期を迎える準備が行われます。

本人・家族に、現在の病状や施設でできることについて説明し、終末期の対応について確認します。

また、看取り介護計画書や看取り介護同意書の説明が行われ、本人または家族からの同意を得ます。

看取り介護をしてもらえる施設とは?

看取り介護をしてもらえる施設

老人福祉施設や老人ホームで看取ってもらいたい・・・そんな場合、どのような施設を選べばよいのでしょうか。

看取り介護が可能な施設とは?

一般的に、看取り介護を希望するなら、老人福祉施設や有料老人ホームを選ぶのがよいでしょう。

老人福祉施設と言っても、デイサービスなどの通所介護施設、短期入所施設ででは、看取り介護はほぼ行なわれていません。

公的機関では特別養護老人施設、介護医療院を選ぶとよいでしょう。

民間施設では、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向き住宅などがあります。

これらの施設であっても、看取りを行なっていない場合があるので、事前によく確認しましょう。

看取り介護が可能な条件とは?

多くの介護施設・老人福祉施設で看取り介護を受けることができますが、全ての施設で受けられるわけではありません。

介護保険法の定めにより、以下の条件を満たしていないと看取りを行うことができないからです。

  • 常勤看護師を1名以上配置し、施設または病院等の看護職員との連携による24時間の連絡体制を確保していること
  • 看取りに関する指針について入所者・家族に説明し同意を得るとともに、看取りの実績を踏まえ適宜見直しを実施していること
  • 看取りに関する職員実習を実施していること
  • 医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断していること
  • 他職種が共同で作成した介護に関する計画について、入所者又は家族の同意を得ていること
  • 看取りに関する指針に基づき、他職種の相互の連携の下、介護記録等を活用し、入所者・家族に説明していること

施設探しをする際、看取りが可能な施設であるかどうかは、上記の条件についてチェックしましょう。

看取りが可能な施設を選ぶコツとは?

時間帯ごとの人員配置

繰り返しになりますが、看取り介護をするためには、介護保健法によって、常勤看護師1名以上を配置し、24時間対応できる状態でなくてはなりません。

そのため、この条件を満たしているかどうかを確認しましょう。

施設内での連携について

手厚い看取り介護を行うには、施設内での連携がきちんと取れていることが必要です。

担当者によって対応が変わることがなく、日々の体調変化などの情報もしっかり引き継がれているかなど、施設内の連携について確認しましょう。

利用者本人・家族に寄り添ってくれるか

看取り介護は、老人福祉施設・老人ホームの利用者本人だけでなく、家族に対するケアも含まれています。

入所生活を送るにつれ、気持ちが変わることもあります。

本人や家族の気持ちの変化を受け止め、寄り添ってくれるスタッフがいるかをチェックしましょう。

希望通りの対応ができない場合でも、その中でベストな方法を提案してくれる施設であれば、安心して任せることができるでしょう。

看取りの経験・実績が豊富かどうか

看取りの実績が豊富であればあるほど、看取り介護を安心して任せることができます。

しかし、実績に関してはホームページやパンフレットなどには記載されていないので、施設に直接確認する必要があります。

特に、同じ病気・症状での実績があれば、さらに安心できるでしょう。

まとめ

介護施設・老人福祉施設では看取り介護を行っています

介護施設・老人福祉施設では看取り介護を行っていますが、全ての施設で行っている訳ではありません。

施設選びの際には、看取り介護を行っているか必ず確認しましょう。

その際、介護保健法に定められている基準を満たしているかを確認し、人員配置、施設内で連携が取れているか、気持ちを汲み取ってくれるか、看取りの経験・実績について確認するとよいでしょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。