遺品整理で、着物や帯が出てきたら、どうしますか?
昔の着物は当時の人の体格に合わせて作られているため、実際に着てみると袖が短かったり、丈が短くておはしょりが少なくなってしまったりなど、現代の人の体格に合わないものがあります。羽織など、袖が短いために、下に着た着物の袖が出てしまうことも。
また、色や柄が趣味ではない、そもそも着物を着ない、という場合も多いでしょう。
高価なものだけに、ただ処分するのももったいないような気がします。かと言って、手入れにもお金や手間がかかるので、置いてもおけない・・・そんな古い着物や帯は、どうすればよいのでしょうか。
目次
捨てる
ひどく汚れていたり、虫食いや破れがあったりする着物は、思い切って捨てる方法があります。
着物(衣類)は、多くの自治体で可燃ごみとなります。指定の袋に入れて収集日に集積所に出すだけで、費用もかかりません。
ただし、大量にある場合は、有料になる地域もあります。たとえば、東京都目黒区では、45リットルの袋で5個以上のごみを出す場合は有料となります。
また、自治体で古布の回収をしているので、その時に出すのもよいでしょう。ただし、可燃ごみに比べて回収日が少ない自治体が多いので、捨てたいときにすぐに捨てられない場合もあります。
町内会での回収や、庁舎、役場などで古着の回収をしている地域もありますが、着物や帯などは回収できないこともあるので注意が必要です。居住地域の回収方法を確認し、適切な方法で処分しましょう。
寄付する
着物を捨てずに処分するには、不用品を海外などに送る活動をしている団体に寄付する方法があります。
寄付の方法は簡単で、段ボールに不要な着物を詰めて送るだけです。団体に品物が届くと、仕分け・選別され、国内外へ出荷されます。
状態の良くないものは、原料としてリサイクルに回されます。団体によっては供養やお焚き上げをしてくれるところもあります。
故人が大切にしていた着物や帯。自分では着なくても、どこかで誰かが大切に着てくれれば、きっと故人にも喜んでもらえるのではないでしょうか。
売る
リサイクルショップ
気軽に利用できて便利なリサイクルショップ。ですが、着物に関する詳しい知識を持った鑑定士がいるとは限りません。そのため、着物の価値がわからず、買い取り価格が低くなってしまうことがあります。
値段に関係なく今すぐに処分したい場合には便利ですが、手間や交通費を考えると、あまり有効な手段とは言えません。ただ、古着に強いショップもありますので、まず相談してみましょう。
フリマアプリ、ネットオークション
近年、人気となっているのが、誰でも気軽に品物を売買できるフリマアプリやネットオークションです。スマホで写真を撮り、サイトにアップするだけで、不用品を売りに出すことができます。
良いものであれば、フリマアプリで高めの希望価格をつけられますし、オークションで高値がつく可能性も十分です。
クレームを避けるため、着物の状態がよくわかるような写真を撮ることが大切です。目立つ汚れや傷などがある場合は、必ずその箇所をアップで撮って掲載しましょう。
サイズをきちんとはかることも大切です。古い着物は丈や袖が短かったり、身幅が狭かったりすることがあります。そのため、手持ちの襦袢や羽織などと合わないというようなケースも出てくるため、できる限り、きっちりはかりましょう。
その上で「納得した人だけ入札をお願いします」という一文を載せておきましょう。また、質問などがあれば、丁寧に答えることも大切です。
落札者とのやり取りや荷造り、発送などに手間や時間がかかるので、遺品整理を急がない人に向いています。
専門買取業者
着物を正しく査定してもらいたい人は、着物専門の買取業者に依頼しましょう。
鑑定士が在籍しているので、着物の品質や状態をきちんと理解し、適切な査定をしてもらえます。また、クーリングオフ制度を設けているところもあるので安心です。
専門業者に依頼する大きなメリットは、手間が少ないことです。最近では、通常の店頭での買い取りのほか、出張査定や宅配での買い取りなどを行うところが増えています。さらに、LINEでの無料査定を行なっているところもあるので、複数のお店で買い取り価格を比較することもできます。
近くにお店がない場合や、大量に運ぶのが難しい場合、また、時間がない人にはとても便利です。
高価で買い取ってほしい人、手間なく着物を売りたい人にお勧めの方法です。
遺品整理業者
遺品整理業者も不用品の買い取りを行っています。
近年は、買い取りに力を入れている業者が増え、専門的な知識をもって、市場価値のあるものを適正な価格で買い取ってくれるようになっています。品物を買い取ってもらえれば、遺品整理費用の節約になります。
遺品整理業者に依頼する最も大きなメリットは、一度の依頼で全てを処分できることです。市場価値のないものは、不用品として回収・処分してもらえるので手間がなく、安心して任せられます。遺品整理を急いでいる人、手間をかけられない人は相談してみましょう。
リメイクする
故人の残したものが知らない人の手に渡るのに抵抗がある、なかなか手放せない、という人には、リメイクがお勧めです。同じものがほとんどない着物を使って作ったものは、まさに世界に一つだけ。故人の大切にしていたものを、形を変えて残して行くことができます。
自分でリメイクする
着物をほどく
着物は、反物を直線裁ちで裁断し、ほぼ直線のみで縫っているので、着物をほどくと、一枚の布に戻ります。そのため、他のものに作り変えやすいのです。
まず最初に、生地のチェックをしましょう。シミや汚れ、虫食い、日焼けなどを除き、どのぐらい使える部分があるかチェックしておきます。
チェックが済んだら、着物をほどきましょう。
ほどき方は、とてもシンプル。糸切りばさみで縫い糸を切り、糸を抜いていくだけです。
えり先や身八つ口、袖つけなどはしっかり留められているので、布地を切らないよう慎重に切りましょう。留袖などデリケートな刺繍が多い着物は、刺繍部分の糸を切ってしまわないよう注意が必要です。
だいたい2〜4時間ぐらいでほどけます。
生地を洗う
次に、ほどき終えた生地を洗います。
中性洗剤を入れたぬるま湯に生地を浸け、手早く優しく押し洗いし、2〜3回すすぎます。水気をとる時は、絞らずに手で押さえるようにしましょう。シワを伸ばし、ハンガーなどにかけて陰干しします。
生地は完全に乾かすのでなく、生乾きの状態でアイロンをかけます。スチームは使わず、ドライにします。必ず裏側からか、あて布をしてかけましょう。
多くの着物、また帯は絹でできています。間違った洗い方をすると、色落ちや縮みなど、生地を傷めてしまうので、注意が必要です。自宅で手洗いする場合は、まず衿の部分など、端の方で少し試し洗いをして、問題ないか確認してから全体を洗いましょう。
絹を自分で洗うのが不安な場合は、ほどく前にクリーニング店、着物の洗い張り専門店に相談しましょう。
生地をチェックする
生地がきれいになったら、もう一度、状態を確認します。
作りたいものによって、どのぐらいの生地が必要か違ってきます。生地の劣化などをもう一度よく見て、どの部分を使い、何を作るか考えましょう。
着物や帯から作れるものは?
着物からは、パーティードレスや、普段着のワンピース、ブラウス、スカートなどが作れます。また、コートの裏に着物地を使い、和洋コラボするのもいいですね。さらに、アオザイやチャイナドレスなどに仕立て直すのも素敵です。
帯は、クラッチバッグ、テーブルセンターやテーブルランナー、タブレットケースなどが向いています。
端切れからも、ピアス、ペンダント、髪留め、ブローチなどのファッション小物、また、小物入れ、スマホケース、ぬいぐるみ、ブックカバーなどの和雑貨を作ることができます。また、書道などをやっている人なら、掛軸の表装などにも使えます。
本屋さんや手芸屋さんでは、型紙の付いたリメイクブックが売られているので、参考にするとよいでしょう。
プロに依頼する
着物の扱いや裁縫に自信がない場合は、プロに依頼するとよいでしょう。インターネットで検索すれば、さまざまなリメイク品を扱っているお店があります。
お店によって料金は違いますが、パーティードレスで10万円前後、普段着で5万円前後から作れるようです。
生地の柄や素材、使える部分によって作れるものが変わってきますので、プロに相談するとよいでしょう。
まとめ
まだ着られるものを処分することに、罪悪感を感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
捨てるのが心苦しい場合は、寄付して他の誰かに大切にしてもらったり、リメイクして生まれ変わらせたりするのがお勧めです。
故人が大切にしていた着物や帯に、新しい命を吹き込ませることができたらいいですね。