危険!粗大ゴミの無料回収を謳う業者によるトラブル

危険!粗大ゴミの無料回収を謳う業者によるトラブル

早いもので、もう2019年も終わろうとしています。
年末といえば大掃除。この機会に断捨離しよう! 遺品整理を終わらせてしまおう! と張り切っている人もいるのではないでしょうか。
ものを捨てるのはいいけれど、一気に出た粗大ごみはどうすればいいのでしょうか。
自治体の回収に間に合わず、ごみと一緒に年越しなんてイヤですよね。
そこで利用してみたくなるのが粗大ごみの回収業者です。
「無料で引き取ります」とうたっていますが、本当に無料なのでしょうか。
回収業者の中には悪徳業者もいるといわれる中、きちんとした業者を見分ける方法をご紹介します。

無料回収を謳う業者によるトラブル

違法な回収業者とは?

違法な回収業者とは、どんな業者なのでしょうか。

「一般廃棄物」と「産業廃棄物」

廃棄物には「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2種類があることをご存じでしょうか。
工場や店舗など、事業を行うところから出る廃棄物を「産業廃棄物」、それ以外の廃棄物を「一般廃棄物」といいます。
家庭から出るごみは「一般廃棄物」です。
廃棄物の回収を業務として行う場合、一般廃棄物の回収には「一般廃棄物の収集運搬許可」、産業廃棄物の回収には「産業廃棄物の収集運搬許可」が必要です。
しかし、近年、この許可を持たずに営業している業者や、「産業廃棄物の許可」しか持っていないのに家庭ごみを回収している業者が存在しているのです。

古物商許可

無料回収業者に近い古物商

不用品を買い取り、転売するための許可が「古物商許可」です。
リサイクルショップのように、集めて持って行ってくれるというイメージがあるため、この許可を悪用している違法業者がいるようです。
古物商許可は買い取ることを前提としたものであり、家庭のごみや不用品を集めるためのものではありません。

不法投棄

ほとんどの業者は、不用品の回収だけでなく、処分まで業務に加えています。
ところが、正規の処分は「一般廃棄物の収集運搬許可」を持っていないとできないため、集めた不用品を山林や河原などに不法投棄する業者がいます。
また、特に粗大ごみの場合、それぞれを適切な方法で処理するには手間と費用がかかります。
このため、不法投棄をする業者もいるようです。

環境破壊

一般廃棄物処理業の許可を持たない業者が冷蔵庫や洗濯機などの家電リサイクル品を引き取ると「家電リサイクル法違反」という罪になります。
引き取られた家電が、適正な処理がなされず廃棄されると、フロンガスや鉛などの有害物質が放出され、環境破壊につながります。
また、廃家電はプラスチックや電池などを含むため、発火の危険性があります。
不適正な管理により、火災が発生した事例も報告されています。

悪徳業者のトラブル例

無料回収業者とのトラブルにあう人

近年、廃品回収をめぐるトラブルが増えています。
国民生活センターの調べによると、2002年に141件だった相談件数が、2004年には259件に。
その後、件数はさらに増え続け、2018年には1395件と激増しています。
一体、どんなトラブルが起きているのでしょうか。

無料とうたっていたのに・・・

「不用品をなんでも無料で回収します」とアナウンスしながら軽トラックで町を流している業者。
Aさんが回収を依頼すると、無料のはずなのに、5000円かかると言われてしまいました。
理由は「複数の素材でできているから処理費用が高くつく」。
Aさんは断ろうと思いましたが、業者の威圧的な態度が恐ろしくなり、料金を支払ってしまいました。
領収書ももらえなかったそうです。

見積もりと違う

引っ越しを控えていたBさんは、郵便受けに入っていたチラシを見て不用品の回収を依頼することにしました。
自宅に業者を呼んで見積もりをしてもらうと、5万円とのこと。
この時点で、見積もりの明細をもらえませんでしたが、それくらいならいいかと依頼することに。
ところが、いざ全部を運び出すと「思ったより多かったから20万円になります」と言われたのです。
Bさんは支払いを拒否しましたが、高圧的な態度で払えと迫られ、結局10万円を払うことになってしまいました。

依頼以外のものも・・・

断捨離をし、粗大ごみを捨てたいと思っていたCさん。
ちょうど廃品回収車がやってきたので、ごみを置いてある物置へ案内しました。
すると、業者はそれ以外の不用品も引き取りますよ、と勝手に回収を始めたのです。
業者はあっというまに荷物を積み込み、3万円を請求。
Cさんは断りきれず、頼んでもいない回収に代金を支払ってしまいました。

警察から電話が・・・

業者にもう使わない自転車の廃棄を依頼したDさん。
登録を抹消していませんでしたが、業者が「手続きはやっておきます」と言うので、大丈夫なのかなと思いながら、そのまま依頼しました。
ところが、後日、突然、警察からの連絡を受けました。
聞いてみると、業者に依頼した自転車が不法投棄されており、登録番号からDさんに連絡が来たのでした。

返金詐欺

Eさんは80代。古いテレビが重いので、車で巡回している業者に回収してもらおうと思いました。
自宅に来た業者は、「回収費用が3万円、運搬費用が1万円で4万円になります。
でも、いまキャンペーン中なので1万円値引きしますよ。
さらに、領収書を役所に持っていけば80歳以上なら70%返金されるのでお得です」。
Eさんは、3万円は高いなと思いましたが、返金があるならと思い、3万円を支払いました。
後日、役所に問い合わせると、そのような制度はないと言われてしまいました。
だまされた! と、Eさんは領収書にあった番号に電話しましたが、使われていないというアナウンスが流れるだけでした。

優良業者の見分け方は?

トラブルを回避するには、優良業者を見分けることが大切です。
業者を見極めるために確認しておくべきポイントをご紹介します。

必要な許可の有無を確認

繰り返しになりますが、一般家庭から出た廃棄物を回収するには、市町村ごとに発行される「一般廃棄物の収集運搬許可」が必要です。
取得するためのハードルが非常に高く、ごみ処理業界では“国家資格取得並みの難しさ”とたとえられています。
この認可は、違法なことをすると剥奪されてしまい、再び取得することはかなり難しくなります。
そのため、この資格を持つ業者が依頼者をだまして不用品を回収することは、まず考えられません。
不用品の回収を業者に依頼する場合は、この許可を持っているかどうか、必ず確認しましょう。
なお、「産業廃棄物の収集運搬許可」や「古物商許可」では、一般家庭のごみを処理することはできません。
気をつけましょう。

業者の社歴・信頼度を確認

無料回収業者の信頼性を確認をする人

依頼の前に、その業者の社歴や信用度を確認しましょう。
違法業者は、長い間、経営を維持することはできません。
なぜなら、違法なやり口で稼いで、潮時とみると逃げてしまうからです。
信頼される会社は、事業を継続することを目的とし、従業員を雇用しています。
従業員を守るためには、顧客から信頼を得て事業を継続していかなはなりません。
つまり、会社の歴史は信用度をはかる物差しの一つとなります。

ホームページやチラシなどから、会社の情報を見てみましょう。
ホームページには、企業情報として会社の概要や代表者名、従業員数、会社の所在地や資本金などが書かれているページがあります。
住所が大切なのは、「一般廃棄物の収集運搬許可」を取得するには、事業所や営業所などが必要だからです。
この点から、チラシやホームページに住所を記載していない業者は一般廃棄物の収集運搬許可を持っていない可能性があります。

もちろん、軽トラックなどで巡回している業者が全て怪しいわけではありません。
車体に屋号や連絡先が書いてあるか、見てみましょう。
何も書いていない業者の場合は、注意した方がよいでしょう。

また、領収書を発行できるか確認しましょう。
悪徳業者は、領収書により領収書により料金を受けたことや身元を明かすことを嫌がるため、領収書の発行を拒むケースが多いようです。
所在を明らかにしていない業者は、トラブルが発生しても、あとから見つけることは非常に困難です。

見積もりを確認

トラブル回避の見積書確認

悪徳業者は、見積もりを見れば分かるといわれています。
こういったトラブルで最も多いのは料金に関するものです。
とにかく安い金額の見積もりを見せて契約させ、不用品をトラックにどんどん積んで、あとから「運搬料金」「積み込み費用」などの名目で高額の追加料金を請求する、というやり口が増えています。

見積もりの内容もしっかり確認しましょう。
優良業者は、一つ一つの品の単価を明らかにし、その一覧をもとに見積もりを作成します。
曖昧な見積もりや料金設定には注意しましょう。

また、見積もりの際のチェックポイントとして、業者が現場だけでなく、周辺の道路状況や、運搬する経路、階段やエレベーターの有無などをきちんと確認しているかどうかも確認しましょう。
現場も見ず、簡単に安い金額を提示する業者は、高確率で作業後に追加料金を請求して来ます。
正確な見積もりを作り、後から追加料金を請求しないのが優良業者です。

まとめ

違法な不用品回収業者によるトラブルは増え続けていますが、完全に取り締まれているとは言えません。
トラブルから身を守るには、細心の注意を払い、業者をしっかり見極めることが大切です。
後味の悪い結果にならないよう、業者選びには注意したいですね。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。