遺品整理に廃品回収車を利用?ちょっと待って!

遺品整理に廃品回収車を利用?ちょっと待って!

のんびりした週末の昼下がり、「こちらは廃品回収車です。ご家庭でご不要になりました、テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機など、なんでも無料で回収します・・・」というアナウンスを耳にしたことはありませんか?

断捨離や生前整理のブームから、不用品回収業者の需要が高まっています。
でも、ちょっと待ってください。その業者は本当に信頼できますか?

実は近年、こうした廃品回収業車によるトラブルが多数報告されています。
不用品回収・処分業者とのトラブルや、その回避方法について、みていきましょう。

廃品回収車

廃品回収車とは?

廃品回収車

部屋の片付けや遺品整理で出た、たくさんの不用品。処分に困っている人は少なくないでしょう。
そんなときに「無料」をうたい、町内を回ってくる廃品回収車。

無料ならぜひ引き取ってほしいところですが、よく考えると、どうして無料なのか不思議ですよね。
同じものでも、自治体で回収してもらうとお金がかかります。さらに電化製品は、別途リサイクル料金が必要になります。

また、リサイクルショップでも、市場価値のあるものなら買い取ってくれますが、すべての不用品を無料で回収してくれるなんていうことはありません。

それなのに、無料で引き取ってくれるなんて、廃品回収車はいったいどうやって利益を上げているのでしょうか。

無料の廃品回収車が成り立つ仕組みは?

無料回収業車が利益を出すためには、回収した不用品をお金に替えなくてはなりません。いったい、どこでお金にしているのでしょうか?

廃品回収車は、集めた不用品を、買い取り専門のリサイクル業者に売っています。
電化製品の中でも、冷蔵庫や洗濯機といった大型家電は、型が古くても動きさえすれば取引されている場合があります。

また、10年以上経った中古でも、見た目がきれいで稼動すれば500円程度で買い取るリサイクルショップなどもあるのです。

さらに、不用になった家電などを海外に輸出する業者に売っている業者もいるようです。

どこが違法なの?

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廃棄物処理法違反

一般家庭から廃品を回収するには、自治体から出される「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。
この許可を取るには、営業所や事務所がなければなりません。そのため、この許可を持ち、適正な営業を行なっている不用品回収業者は、軽トラックで営業に回ることはほとんどなく、事務所や営業所で依頼を受けています。

つまり、軽トラックで回っている廃品回収車は、ほとんどが許可を持っていない違法営業である可能性が非常に高いのです。

一般廃棄物処理業の許可なく営業をすると「廃棄物処理法違反」という罪にあたります。
「うちは産業廃棄物処理業許可や、古物商許可を持っているから大丈夫ですよ」などと説明する業者もあるようですが、これらの許可で一般家庭から出る廃棄物を回収することはできません。騙されないよう注意しましょう。

家電リサイクル法違反

一般廃棄物処理業の許可を持たない業者が、冷蔵庫や洗濯機などの家電リサイクル品を引き取ると「家電リサイクル法違反」という罪にあたります。

家電リサイクル品は、許可を得た業者が適正な手段で分解やリサイクルを行うよう、法律で定められているからです。

家電リサイクル法違反も、先ほど挙げた廃棄物処理法違反も、業者だけでなく、依頼した側も罰せられてしまいます。今のところ、依頼者が罪を問われた例はないようですが、罰則が規定されている以上、違法営業の可能性がある業者とは取り引きしないほうが安全でしょう。

拡声器使用違反

スピーカーでの大音量の宣伝が「拡声器使用違反」に問われる可能性があります。拡声器を使う場合は、55デシベル、もしくは65デシベル以下に抑えなければならないという規定があるのです。

迷惑な場合は、自治体または警察に通報することができます。

不法投棄

「一般廃棄物収集運搬業許可」を持っていない業者は、自治体の処分場へ廃棄物を運び込むことができません。
そのため、違法な業者は、不法投棄をすることがあります。

この場合も、不法投棄をした業者だけでなく、依頼者まで罪に問われるケースがあります。不法投棄の罰は重く、5年以下の懲役もしくは1000万円の罰金が課せられてしまうのです。

罰則が課せられないまでも、元の持ち主が引き取らざるを得なかったという事例もあるようです。
また、不法投棄されたことによって、環境汚染など二次被害の発生も考えられるので大変危険です。

どんなトラブルが起きている? 廃品回収車のトラブル事例

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独立行政法人 国民生活センターの発表によると、全国の消費生活センターなどに寄せられる相談には、廃品回収サービスに関するものが増えています。

2002年には141件だったのが、2005年には約2倍の277件に増えており、さらに2006年には318件と急増しています。
どんなトラブルが起きているのかを見てみましょう。

 無料とうたっておいて、実は無料ではない

回収する前は「無料です」と言っていたのに、回収後にお金を請求されるケースが多く見られます。中には「全て無料とは言っていない」などと威圧的に言われ、断れなくなる依頼者もいるようです。

このような場合、「基本料は無料だが、運搬料金がかかる」というような説明をされることもあります。
物を引き渡す前に、必ず確認しておきましょう。

 廃品回収後に追加料金を請求

不用品を回収した後に「思ったよりも回収する商品が大きかった」などと言い、追加料金を請求されることがあります。
さらに、まあ仕方ないかと納得できそうな金額を言っておいて、品物を積んだあとに何倍もの金額を要求したり、断ろうとすると、荷下ろし料金がかかると言われるなどのケースも出ています。

 必要なものまで強引に引き取る

依頼した品をトラックに積んだ後、「他にも回収しますよ」と言われ、処分するつもりのないものまで回収されてしまうケースも出ています。

さらに、貴金属なども引き取っていると言い、処分する気のなかったアクセサリーを強引に買い取られたというケースも出ています。

 実は空き巣の下見だった

廃品回収車と言いながら、空き巣の下見をしているケースもあります。町内を回りながら、どの家の人がどの時間帯に出かけているかなどを調べ、留守の間に空き巣に入るのです。

窃盗団が廃品回収車を装っていたり、お金に困っている廃品回収業者が、窃盗団に情報を売っていたりすることもあるようです。

また、実際に回収業者としての仕事をしておいて、後日、泥棒に入ったというケースもあります。家の間取りを調査する為に廃品回収業者を装っていたのですね。

もちろん、全ての廃品回収車がこのようなことをしているわけではありません。しかし、頻繁に廃品回収車が回ってきているなと思ったら、空き巣被害に注意したほうがいいかもしれません。

違法な廃品回収車を見分けるポイントは?

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繰り返しになりますが、軽トラックで回っている業者のほとんどは、違法業者の可能性大です。そこで、違法営業かどうかを見分けるポイントを知っておきましょう。

 屋号の記載の有無

業者のトラックの側面や後ろに、屋号(業者の名前)が書いてあるかどうかを確認してみましょう。
一般企業の営業車のように、適正な営業をしている業者はちゃんと名前が書いてあります。

通常は、名前を入れて走った方が宣伝効果があるため、違法営業でなければ屋号を入れています。

 住所の記載の有無

ポストなどに、廃品回収業者のチラシが入っていることがありますね。このチラシにも、違法かどうかを判断するヒントがあります。

一般廃棄物収集運搬業の許可を取るには、営業所や事務所が必要です。つまり、住所があるわけです。

しかし、違法営業をしている廃品回収車は事務所や営業所を持たず、トラックのみで動いています。そのため、チラシには住所が書いてありません。チラシに住所が記載されていない業者は、違法である可能性が非常に高いと言えます。

 固定電話の記載の有無

チラシでチェックできるポイントのひとつとして、固定電話の番号が記載されているかどうかを見てみましょう。

正規の業者は、会社の固定電話の番号を載せていますが、違法業者は携帯番号しか載せていません。トラックのみで活動しているため、固定電話がないからです。

チラシに固定電話の記載がない業者は、やめておいた方が無難です。

 一般廃棄物収集運搬業の許可番号の有無

チラシや回収車の車体に、一般廃棄物収集運搬業の許可番号が記載されているかを確認しましょう。

許可を得て営業している業者は、当然、許可番号を持っています。この番号は、車両などへの掲示が義務付けられているため、違法業者でなければ許可番号がどこかに掲示されています。

軽トラックで流している廃品回収車は、気軽に呼び止められるため、無料だし、タイミングが合えば頼んでみようかな・・・と思う人も多いでしょう。しかし、不法投棄など、依頼者の知らないところで法を犯してしまう可能性があります。

犯罪やトラブルに巻き込まれないためにも、安心して任せられる業者を選びましょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。