遺品整理を不用品回収業者ではなく遺品整理業者に依頼するのが望ましい理由

遺品整理を不用品回収業者ではなく遺品整理業者に依頼するのが望ましい理由

遺品整理を行うにあたり、業者に依頼するとしたら、どんな業者を選びますか?
もちろん、遺品整理のプロである遺品整理業者を選ぶという人が多いかもしれません。
ですが、中には、不用品回収業者への依頼を考えている人もいるのではないでしょうか。
遺品整理業者も、不用品回収業者も、「片付け」という視点で見ると非常に似ていますが、どんな違いがあるのでしょうか。
また、遺品整理を依頼するには、どちらの業者が適切なのでしょうか。
今回は、遺品整理業者と不用品回収業者の違いについて見ていきましょう。

遺品整理とは?

遺品整理業者の仕事

遺品整理とは、故人の遺した持ち物を整理し、部屋を片付けて清掃することです。
たくさんのものを片付ける・部屋の掃除をする、という点から、大掃除のようなもの? と思いがちですが、遺品整理はただの掃除とは異なります。

故人の所有品の中には、遺言書や預金通帳、証券・証書類、カード類といった貴重品が含まれている可能性があります。
このような貴重品には、相続に関連するものや必要なものが多いので、間違って捨ててしまっては大変です。
1つも見逃さないよう、引き出しや金庫、タンスの裏、ポケットや封筒の中など細かいところまで注意深く確認しなくてはなりません。
こういった品が揃っていないと、正しい相続ができません。
また、もし相続手続きが済んだあとにこのような貴重品が見つかると、とても面倒なことになってしまいます。
そのため、相続手続きが始まる前に、相続に関した必要書類などを揃えておく必要があるのです。

また、遺品は、故人の思い出が詰まった品物ばかりです。
このような大切な品物は、きちんと仕分けし、大切に保管しておかなければなりません。
このように、遺品整理の作業対象は遺品全体であり、「必要なもの」と「いらないもの」が混在しています。
これを仕分けし、不要なものを処分する作業が遺品整理です。

遺品整理業者と不用品回収業者の違いとは?

不用品回収業者は、文字通りいらないものを回収し、処分する作業を請け負う業者です。
つまり、不用品回収業者の作業対象は不用品・処分品であり、廃棄が前提となります。
そのため、不用品業者は基本的に「回収」と「処分」を行うだけです。
遺品の仕分けや整理は行いません。
必要ないと決まったものだけを運び出します。

遺品整理と不用品回収の流れの違いを見てみましょう。

遺品整理不用品回収
①見積もり①見積もり
②仕分け②不用品の梱包
③不用品の梱包③不用品の搬出
④不用品の搬出④不用品の処分
⑤部屋の清掃 
⑥不用品の処分 
⑦その他オプションサービス 

繰り返しになりますが、遺品整理業者の大きな特徴は「仕分け」を行うことです。
必要なものと不用品の仕分けこそが、遺品整理のキモと言っていいでしょう。
さらに、部屋のどこかに貴重品があるはずなので、探してほしいというような遺品の捜索にも対応します。
しかし、不用品回収業者は、部屋にあるものの仕分けや貴重品の捜索などは行いません。

そこで生まれてくるのが、ものの扱い方の違いです。
遺品整理業者の場合、必要品と不用品とを一つ一つ仕分けるため、ものの扱いは必然的に丁寧になります。
その点、不用品回収業者は廃棄が前提となるため、そこまでの丁寧さは望めません。

遺品整理業者に依頼するメリットは?

遺品整理業者で信頼できる作業員

遺品整理業者に遺品整理を依頼するメリットは、基本的な心構え、またサービスの幅広さにあると言えるでしょう。

丁寧な仕分け作業

遺品整理業者では、遺品を単なる「モノ」として見るのではなく、部屋にあるすべてのものを「遺品」として扱います。
どんな小さなものでも、紙切れ1枚であっても、それは故人が遺した大切な遺品です。
また、不用品として処分が決まったものであっても、それはあくまで遺品です。
ゴミと同じような扱いはしません。
遺品整理業者では、基本的にこのような考えに立って作業を行います。

心遣い

作業の上だけでなく、すべてに細やかな心遣いをしてくれるのも、遺品整理業者の良いところです。
たとえば、作業を始める前にお仏壇や遺影に向かって手を合わせるなど、故人を尊重し、依頼者の気持ちに配慮した行動をとります。
また、希望があれば、作業前に依頼者の代わりに近隣への挨拶を行います。
さらに、依頼者の中には、遺品整理をしていることを近所に知られたくないという人がいます。
そういった場合には、目立たない場所に車を停めるなどの配慮もしてもらえます。

遺品整理は「遺品を仕分けする」という作業の性格上、依頼者が作業に立ち会うことが基本です。
依頼者は、作業の様子を見ながら必要なものを探してもらったり、業者が発見したものを確認したりすることができます。
立ち会いができない場合は、動画で作業の様子を見られるサービスや、完了を写真や動画で報告するサービスを行っている業者もあります。

幅広いオプション

近年、遺品整理業者は「必要なものと不要品を仕分けし、片付けて処分する」という基本の遺品整理に業務を限定せず、サービスの幅を広げています。
たとえば、

  • まだ使える不用品の査定と買い取り
  • 形見分けの品の配送代行
  • 遺品の供養
  • 生前整理のアドバイス
  • 遺品整理の生前予約
  • 家のリフォーム相談
  • 遺産相続のアドバイス

など、その内容はさまざまです。
そのため、遺品整理周辺に関することを、一度の依頼でスムーズに解決することができます。
ただし、対応しているサービスの内容は業者によって異なります。
また、業者自身でなく、提携の専門家や専門の会社を紹介するケースもありますので、事前に確認しましょう。

遺品整理業者と不用品回収業者、結局、どちらに依頼すべき?

結局、どちらの業者を選ぶのが良いのでしょうか。

不用品回収業者を選ぶ場合

すでに遺品の仕分けが済んでおり、不要な遺品が全て決まっている状態であれば、不用品回収業者に回収を依頼しても問題ないでしょう。
不用品回収業者は、きちんと不用品を運搬・処分してくれるので、大量の不用品もスピーディーに片付きます。
また、仕分けなどの複雑な作業を行わないので、費用は比較的安く済みます。
ただし、業者によっては床などの清掃を行わないところもあるため、事前に確認しておきましょう。

遺品整理業者を選ぶべき場合

遺品整理業者に質問する男性

不要な遺品の引き取りだけでなく、遺品整理も依頼したい場合は、遺品整理業者に依頼しましょう。

不用品回収業者は遺品整理を請け負ってくれません。
不用品回収は、あくまで「回収依頼があったものを引き取る業者」です。
そのため、要・不要の仕分けは自分で行わなくてはなりません。
自分では仕分けが進まない人、時間がない人には適していないと言えるでしょう。

一方、遺品整理業者は、遺品の仕分けから不用品回収・処分、部屋の清掃までトータルで行うサービスです。
オプションサービスも多く、まだ使える不用品の買い取りや、形見分けの梱包・配送、遺品の供養まで、遺品整理に関して幅広いサービスを行っています。

何より、遺品整理に関する知識や資格を持ったプロが作業をするため、丁寧でスムーズな遺品整理が期待できます。
それだけに、不用品回収業者よりも費用がかかってしまうという点には注意が必要です。
遺品整理を最初から最後まで徹底的にサポートしてくれるので、どうしてもそれなりの費用はかかってしまいます。
しかし、遺品整理を完璧に行うためには、遺品整理専門の業者に依頼するのが安心と言えるでしょう。

まとめ

遺品整理業者の優秀な作業員

遺品整理業者と不用品回収業者の違いは、お分かりいただけたでしょうか。
トラブルを避けるためには、依頼する前に、それぞれの違いについて理解しておくことが大切です。
不用品回収業者は、大量の不用品を回収してくれるので頼りになりますが、その点では遺品整理業者も同様です。
したがって、遺品整理をするなら、遺品整理専門の業者に頼むのが適切と言えるでしょう。
作業を依頼する際は、信頼できる業者を選びましょう。
ホームページなどで必要な資格の有無を確認し、複数の業者に相見積もりを取って比較します。
デリケートな遺品整理作業。納得のいく片付けができたらいいですね。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。