遺品整理で発生したゴミの回収をお願いするには? ごみ処分との違い

遺品整理で発生したゴミの回収をお願いするには? ごみ処分との違い

「あれ? 今日はごみの日じゃなかったよね?」

自治体のごみ回収とは全く違う日、違う時間に、ごみの回収を行なっているところを見たことがありますか?

時には夕方や、また時には夜遅くにごみ収集車が外に出されたごみを回収していきます。
よく見ると、それは飲食店の前に出してあるごみです。
飲食店のごみは、普通とは違う時間帯に回収しているのでしょうか。
また、こういった収集車は、一般家庭のごみも回収してくれるのでしょうか?

そんな、ごみの回収についてみていきましょう。

ごみの「違い」知っていますか?

廃棄物、つまり「ごみ」には2種類あることを知っていますか?
ごみには、「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の2種類があります。

「産業廃棄物」は、主に工場や会社、店舗など事業を行う場所において発生する廃棄物のこと。自治体とは違う時間に回収していたのは、こういうごみだったんですね。

さて、もう1つの「一般廃棄物」は、産業廃棄物以外のごみのことを言います。これが、私たちが生活する上で出るごみのことです。
一般廃棄物は、さらに「家庭系一般廃棄物」、「事業系一般廃棄物」、「特別管理一般廃棄物」に分けられます。
遺品整理の際に出るごみは、家庭から出るごみですので「家庭廃棄物」になります。

「家庭廃棄物」は、7種類に区別されており、原則として市町村が回収することになっています。

  • 可燃ごみ
  • 不燃ごみ
  • 粗大ごみ
  • 家電4品目
  • パソコン(小型家電)
  • 自動車
  • 有害ごみ

可燃ごみ

私たちの日常生活において発生する廃棄物のことです。
主な可燃ごみは、紙くずや食品で、自治体に定期的に回収してもらっているごみです。

遺品整理 可燃ごみ 燃えるごみ

不燃ごみ

ガラスや陶器など「燃えない」もしくは「燃やしてはいけない」ごみです。
食器や窓ガラスを割ってしまった場合は、不燃ごみとして処分する必要があります。

粗大ごみ

「粗大ごみ」には、大型家具や家電、自転車などがあります。
定期的に回収される可燃ごみ・不燃ごみと同じように回収できません。

粗大ごみを捨てるには、自治体に連絡して回収日を予約し、所定のごみシールを貼って回収日に決まった場所へ持って行きます。

家電4品目

洗濯機、エアコン、テレビ、冷蔵庫の4つは「家電4品目」と呼ばれ、家電リサイクル法に則って処分しなければなりません。

パソコン(小型家電)

パソコン、ゲーム機、炊飯器、電子レンジといった「家電4品目」以外の家電製品は、「小型家電リサイクル法」に基づいて処分します。
この場合の「パソコン」とは、パソコンの周辺機器も含みます。

遺品整理 ごみ 家電 パソコン

自動車

自動車の処分についても、法律でリサイクル品として定められています。

有害ごみ

乾電池や蛍光灯といった有害物質が含まれているものです。
処分の過程で有害物質が漏れ出す危険を防ぐために分類されています。

廃棄物を回収するために必要なものは?

さまざまな種類に分けられるごみですが、これは誰でも回収することができるのでしょうか?
いいえ、違います。
ごみを回収するには、下記のような許可を得なくてはなりません。

  • 家庭系一般廃棄物・事業系一般廃棄物…「一般廃棄物収集運搬業許可」
  • 産業系廃棄物…「産業廃棄物収集運搬業許可」
  • 特別管理産業廃棄物・特別管理一般廃棄物…「特別管理産業廃棄物収集運搬業許可」

なぜ、ごみを集めるのに、このような許可が必要なのでしょうか?
それは、正しい方法で廃棄物の収集・運搬をするためです。

「たかがごみ」。そう思う人もいるかもしれませんが、環境省の調査によれば、平成25年度の日本全体のゴミの総排出量は4,487万4千トンにものぼります。
平成12年度には5,500万トン近くあったため、かなり減ってはいますが、昭和46年度の3,883万1千トンから比べれば604万3千トン増加しています。

遺品整理 ごみ回収 業者 資格

もし、この許可制度がなく、無許可でもごみの収集・運搬ができるようになったら、正しい方法で廃棄物の収集運搬をしない業者までもが営業できるようになってしまいます。
そのために、廃棄物運搬処理業の許可制度は必要不可欠なものなのです。

  • 不法投棄
  • 依頼者が罰せられる!?

不法投棄

違法な不用品回収業者の中には、回収した廃棄物を、人通りの少ない道路の脇や山の中に捨ててしまう悪徳業者がいます。
廃棄物の中にリサイクル資源となるものがあると、資源が適切に処理されないだけなく、環境破壊につながります。

特に「家電リサイクル法」に定められているエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の「家電4品目」は、特にリサイクルの価値がある家電とされています。

これらは、家電リサイクル券によって正しく処分されたかがわかるようになっていますので、違法な業者に不法投棄されると、ある日突然、警察から連絡が来るようなことにもなりかねません。
不法投棄や、それによる環境破壊を助長しないためにも、業者はできるだけ慎重に選ぶ必要があります。

依頼者が罰せられる!?

「廃棄物処理法」という法律によると、もし一般廃棄物を収集運搬もしくは処理をする許可を得ていない業者に一般廃棄物を委託した場合、委託した人(依頼者)も5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその両方を課せられる場合があります。

つまり、廃棄物が家庭系のごみだと知ったうえで、違法な業者に回収を依頼すると、依頼者自身が法的な罰則の対象になる可能性があるというわけです。

遺品整理 ごみ 不法投棄 処罰

遺品整理の際に出る「家庭系一般廃棄物」を収集・運搬するには、「一般廃棄物収集運搬業許可」を持っていることが必要です。
業者に回収を依頼する際には、この許可を得ているかどうかを必ず確認しましょう。

遺品整理で出たごみの回収を依頼するには?

遺品整理では、多くのごみが出ます。
これは、家庭から出るごみなので「家庭系一般廃棄物」です。

普通に処分するならば、居住地区の収集日に、ルールを守って出せば大丈夫です。
でも、遺品整理の際には、驚くほどたくさんのごみが出ます。

内容としては、普通に分別して出せばいいのですが、一般的には一度に出す量が決まっているため、何度にも分けて出さなくてはなりません。
結果的には、全部を捨て終わるまでに、かなりの手間と時間がかかってしまうことになります。

個人でさばききれない量のごみは、業者に回収してもらうのがよいでしょう。

  • 不用品回収業者
  • 遺品整理業者

不用品回収業者

ひとくちに「不用品回収業者」といっても、さまざまな業者があります。
まずは、インターネットで業者を検索してみましょう。
その際に気をつけるべきことは「なんでも回収します」という謳い文句です。

一般家庭から出る廃棄物(=一般廃棄物)を回収するには、「一般廃棄物運搬収集運搬業許可」という許可を持っていなければなりません。
もし、ゴミとしてではなく、リユース品として「買い取る」のであれば、この許可は必要ありません(その代わり、古物商の許可が必要になります)。
しかし、買い取る場合は、もう使えない家電や、生ゴミなどの廃棄物を回収することはできません。

つまり、一般廃棄物運搬収集運搬業許可を持っていなければ、実際に「なんでも回収」することはできないのです。
もし、一般廃棄物運搬収集運搬業許可を持っていないのに、明らかな廃棄物(生ゴミなど)まで回収できると宣伝しているような業者には依頼してはいけません。

最近では、事務所をはじめ、飲食店やホテル、病院、アパート、コンビニなどの事業系一般廃棄物の定期回収をしている業者が、高齢者世帯を中心に、家庭のごみの定期回収を行っているようです。

事業系一般廃棄物の収集・運搬を正規に行っている業者は、一般廃棄物収集運搬業許可を持っています。
そのため、家庭系一般ごみの収集をすることもできるわけです。

地域の集積所が遠くて困っている人、ごみを出す体力がない高齢者などが不用品回収業者利用しています。
生前整理の一環として、少しずつ片付けたものを出したい人にも向いているサービスではないでしょうか。

遺品整理業者

遺品整理 ごみ 業者

遺族が自分たちの手で遺品整理をした場合、出たごみを不用品回収業者に依頼する方法が多いでしょう。

しかし、遺族が遠方に住んでいてなかなか遺品整理ができない、故人宅が賃貸で、早々に退去しなければならないというような場合は、遺品整理業者をお勧めします。

遺品整理業者に依頼する最大のメリットは、遺品整理と不用品収集・運搬、また清掃までしてもらえるので、時間がかからないことです。
その上、まだ使えるものがあれば買い取ってもらえたり、供養までしてもらうこともできます。

ここ最近で遺品整理業を開業する業者が増え、競争も激しくなっているので、遺品整理業者たちは、よりきめ細かいサービスをするようになりました。
しかし、まだまだ玉石混交の時代です。まずは、資格を取得しているかを必ず確認し、複数の業者に相見積もりを取って、納得できる業者を選びましょう。

遺品整理で出る大量のごみを自分で処分するのは至難の業です。
ごみについて知って、賢く業者を選んでくださいね。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。