新年の風物詩、年賀状。
元日に、親しい人や懐かしい人からの便りを見るのは楽しいものです。
でも、書くのはなかなか大変ですよね。
お世話になった人や仕事関係の人にはそれなりの気遣いが必要ですし、枚数が多いと、ソフトを使って印刷してもけっこう時間がかかってしまいます。
特に、年を重ねると、目が悪くなったり、体力が落ちて書くことがつらかったり、長時間、同じ姿勢をとりづらくなってきます。
そこで、近年、増えているのが「年賀状じまい」です。
今回は、終活の1つとして行う人が増えている年賀状じまいについて見ていきましょう。
目次
年賀状じまいとは?
長い人生の中で、お付き合いしている人の数が多くなると、年賀状の準備をするのは大変です。
儀礼的な年賀状はもうやめたいな、でも、先方もくださるだろうし、やめにくいな・・・と思う人も多いのではないでしょうか。
このようなことから、終活の一環として「年賀状じまい」が注目されるようになりました。
「年賀状じまい」とは、これまで交わしていた年賀状のやりとりをやめることです。
交流を絶つという場合や、お付き合いは続けたいけれど、年賀状を出すのはやめたいという場合など、事情は人それぞれですが、最後の年賀状の発送を通じて「来年からは年賀状を出しません」と宣言します。
終活の1つであるということから、終了宣言をする年賀状は「終活年賀状」とも呼ばれています。
もちろん、終活年賀状を発送しなくても年賀状じまいは行えます。
単に、来年から年賀状を出さなくなるだけです。
でも、終活年賀状を出さなかった場合、相手には、どうして年賀状が来なくなったのか理由がわかりません。
郵送事故なのか、健康状態が良くないのか、自分が何か悪いことをしてしまったのか、など相手に余計な心配をかけてしまいます。
そのようなことがないように「来年から年賀状は出しません」ときちんと宣言し、儀礼的なお付き合いを終了させるため、終活年賀状を出すのがベターでしょう。
最近では、40代~50代の人の間にも年賀状じまいが広がりつつあるようです。
こちらの場合は、スマホの普及により、いつでも連絡が取れるようになったことや、ペーパーレスの風潮が理由といわれています。
年賀状じまいのメリット
年賀状じまいをすることによって得られるメリットとは、どんなものでしょうか。
人間関係の整理ができる
たくさん届く年賀状。
しかし、よく考えてみれば、普段交流することもなく、年賀状だけのお付き合いになっている相手も多いのではないでしょうか。
このお付き合いは、今後も必要だろうか?
年賀状じまいは、その人が自分にとってどんな存在なのか見極め、本当に大切にしたい人なのかを考える大きなきっかけです。
年賀状じまいを通して、これまで惰性や義理で年賀状のやりとりをしてきた相手に関して、自分自身の気持ちを確かめることができます。
こうして、今後お付き合いすべき相手を整理整頓していくことで、より望ましい交友関係だけに絞ることができるのです。
交友関係が復活することも
年賀状じまいは「紙の年賀状を出しません」という宣言であって、必ずしも相手との交流を断つとは限りません。
たとえば、ハガキを出すのをやめて、手軽なメールやSNSなどでの交流を提案することによって、年賀状だけの関係が再び密になることもあります。
手間や費用の節約になる
年末の忙しい時期に年賀状を書くのは、なかなか大変ですよね。
特に、高齢者にとっては、年賀状を書いて送る手間は精神的・肉体的に負担になります。
また、今後を考えると、いただいた年賀状の整理をするのもひと仕事です。
年賀状じまいをすれば、このような手間がかからなくなります。
当然ながら、送り先が多いほど費用も多くかかります。
年賀状じまいをすることで費用の節約にもなります。
年賀状じまいのデメリット
年賀状じまいのデメリットも見ておきましょう。
年賀状じまいのデメリットは「年賀状の辞退=絶縁宣言」と思われてしまう可能性が高いことです。
ハガキを出すのが面倒なだけであって、交友関係をやめたいわけではないのに、それがきちんと伝わらないと、友好関係にヒビが入ってしまうかもしれません。
「年賀状じまい」や「終活年賀状」とう言葉は、まだそれほど広く世の中に浸透しているとは言えません。
終活年賀状を送る場合は、誤解を招かないよう、十分に注意を払う必要があります。
特に大切な友人・知人に出す場合は、丁寧で気持ちの伝わる文章を工夫しましょう。
心配な場合は、文例やテンプレートなどを参考にするとよいでしょう。
年賀状じまいをする適切なタイミングはいつ?
年賀状じまいをすると決めたはいいけれど、終活年賀状はいつ送ればよいのでしょうか。
祝年
一般的に、終活年賀状を送るのにふさわしいのは60代~80代と言われています。
この年代には、満60歳の還暦をはじめとして、いわゆる祝年が多いからです。
「還暦になったのを節目にして」「私も喜寿を迎え・・・」など、祝年は人生の節目です。
そのため、祝年に年賀状じまいをすれば、相手を納得させやすいですし、寂しい感じでなく慶賀として捉えることもできます。
相手に不快な思いをさせないためにも、節目の年で行うとよいでしょう。
退職
祝年のほか、人生の大きな節目として定年退職があります。
特に、仕事関係の年賀状が多かった人は、定年退職を機に年賀状じまいをするとよいでしょう。
また50代以下であっても、日頃からメールやSNSに慣れ親しんでいる人であれば、ハガキでの年始挨拶は終了してネット上のやりとりだけにしてしまうのも一案です。
年末年始以外の時期
年賀状じまいは、年賀状だけでなく、寒中見舞いや人生の節目となる日に連絡する方法もあります。
たとえば、退職、還暦や古希などの節目で知らせたい場合は、その年齢の誕生日に連絡しましょう。
喪中で年賀状が出せなかった人には、寒中見舞いで連絡しましょう。
寒中見舞いの場合は、松の内が明ける1月7日から、2月4日の立春の間に届くように投函します。
目安としては1月末頃が適切です。
年賀状じまいで気をつけたいポイント①〜高齢者編
これからも親しくしたい相手
あくまで年賀状を書くことのみをやめたい旨をしっかり伝えましょう。
「勝手とは存じますが、2021年を以って新年のご挨拶を差し控えさせて頂きます」という文言に加え、
「ですが、今後も変わらず親しくして頂けると幸甚に存じます」
「また、日頃のお付き合いは以後も続けさせて頂ければ幸いです」
など、お付き合いを続けたいという趣旨の文章や、
「これからはLINEやTwitterで連絡を取り合いましょう!」
「昨年よりSNSを始め、日々活用しております。そこで、ぜひ皆様ともインターネットを通じて交流したいと考えました」
など、今後のお付き合いに関する提案すれば、お付き合いをやめたいわけではない意図がさらに伝わりやすくなります。
文末に、LINEのQRコードやTwitter のIDなどを添えておくのもよいでしょう。
事務的に伝える相手
年賀状をやめたい理由と、申し訳ないという気持ちを丁寧に述べましょう。
「高齢の為、歳々のご挨拶を述べる事が厳しくなって参りました。
心残りではありますが、本年をもって皆様への初春のご挨拶を遠慮させて頂きたく存じます」
「時代の変化もあり、どちら様にも今年をもちまして新年の挨拶を控えさせて頂きます。
誠に勝手ながら、ご理解下されば幸いです」
など。“その人1人だけでなく、どの人にもやめます”というニュアンスを含めるのがポイントです。
年賀状じまいで気をつけたいポイント②〜40〜50代編
40代以上の現役の人が、仕事関係や学生時代の旧友などに向けて書く場合のポイントも見ておきましょう。
友人・知人
「さて、2021年を迎え、私も50歳という節目の歳となりました」
「世の中の変化を感じる中」
などの理由に加え、
「皆様への年賀状でのご挨拶を遠慮させて頂くこととしました」
と述べます。
さらに
「来年はオンラインより挨拶させて頂きます。
誠に勝手ながら、今後も公私共に親しくて頂ければ幸いです」
と、代替案の提案と、今後もお付き合いを続けたい旨を書きます。
仕事関係の相手
「令和の新年、デジタル時代における時下の流れを鑑み、本年を以って、皆様への新春のご挨拶を締めくくらせて頂きたく存じます」
「近頃は細々とした仕事で多忙となり、年賀状を認めるのが困難になりました」
など、世の中の流れや、仕事による多忙という理由が無難でしょう。
また、
「今後は、メールにて時季毎のご挨拶をさせて頂くことをご容赦下さい」
「誠に勝手とは存じますが、今後ともご教示のほどお願い申し上げます」
など連絡手段も添えるようにしましょう。
まとめ
年賀状を終わりにしたいということを相手に伝えるのは、心苦しいものです。
ですが、ポイントを押さえ、心を込めて書けば失礼にならず気持ちを伝えることができます。
いきなり切ってしまうのではなく、年賀状辞退後の連絡先や手段について記しておくのも大切です。