遺骨の処分方法まとめ

遺骨の処分方法まとめ

近年、遺骨の処分に困っている人が増えています。

  • 墓じまいをして、遺骨の扱いに困っている
  • 遺品整理で遺骨が出てきた
  • お墓の中の骨壺がいっぱいになってしまった
  • 分骨して手元供養にし、残りを処分したい

など、その理由はさまざまですが、処分に困った結果、コインロッカーや電車の網棚に置き去りにしたり、高速道路のサービスエリアや公共のゴミ箱に入れるというケースが出ているそうです。
でも、お骨を捨てるなんて、なんだか罰が当たるような気がしますよね。
そのため、仕方なく家に置きっ放しにしている人もいるようです。
遺骨は、どのように処分すればよいのでしょうか。
今回は、不要な遺骨の処分について見ていきましょう。

遺骨を捨てるのは罪になる?

人の遺体を社会通念や法規に沿わない状態で放置していると、死体遺棄という罪になります。
では、人の遺骨を放っておいた場合、罪になるのでしょうか。
結論から言うと、ただ放置しておいただけでは罪にはなりません。
遺骨を自宅で保管することに関しては、法律違反ではないという見解が示されています。
しかし、もしも遺骨を捨てたり、勝手に埋葬したりした場合、罪に問われることになります。
遺骨の取り扱いは刑法第190条に「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する」と定められています。
つまり、遺骨を捨てることは犯罪であるということです。
実際に、コインロッカーに遺骨を置き去りにしたり、お寺に遺骨を放置したりして、逮捕されたり書類送検されたりしたという例があります。
実際には、情状があれば酌量してもらえ、執行猶予が付くことがほとんどのようです。
しかし、遺骨を遺棄するという行為が罪であることには変わりありません。
露見すれば逮捕され、前科がついてしまうのです。

捨てると罪になるのなら、どこか庭にでも埋めてしまえばよいのでしょうか?
いいえ、いけません。
こちらも罪になります。
遺骨の埋葬に関しては「墓地、埋葬に関する法律」の第4条に「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」と定められています。
つまり、墓地ではない場所に遺骨を埋めると罪になってしまうということです。
たとえ自宅の庭や所有地であっても、墓地でない土地に勝手に遺骨を埋葬することはできません。
これに違反すると、罰金や拘留、科料など処罰の対象となってしまいます。

もし、無縁仏になってしまったら?

遺骨を拾う男女

墓埋法の規定により、遺骨は最終的に必ずどこかに埋葬しなければなりません。
誰も引き取り手のない無縁仏の遺骨はどうなるのでしょうか。

お墓の期限切れ

世話をする人が途絶えたり、身元が分からなくなったりしたお墓は、一定期間が過ぎると無縁墓と判断されます。
そして、所定の手続きをした上で、お墓の管理者によって処分することが可能になります。
無縁墓の下には故人の遺骨が納められていますが、これらは無縁仏となってしまいます。

不慮の事故

不慮の事故などによって身元が判明しないまま亡くなり、無縁仏になってしまうケースもあります。
このような場合、警察で検視が行われ、事件性がないようなら「行旅病人及行旅死亡人取扱法」に基づいて、埋葬・火葬許可を行政の長が出すことになります。
許可が出ると、指定の火葬場で焼却され、行政が管轄する合祀墓に埋葬されます。

孤独死

孤独死

近年増えている孤独死の場合、身元がわかっていても親族が遺体の引き取りを拒否することも多く、やはり遺体は無縁仏になります。
こういった場合は、各自治体が代理として遺体を火葬し、その遺骨もその自治体が管理する合祀墓に埋葬されます。

このような無縁仏が収められる合祀墓は、さまざまな人の遺骨がまとめて一緒におさめられたもので、慰霊碑が建てられています。
これ無縁仏となってしまった方のご遺骨を最終的に処理するためのもので、他の方のご遺骨と共にまとめて埋葬されます。
これらの無縁仏がどのように供養されるかは、自治体の方針によって異なります。

遺骨の処分はどうする?

捨てたり勝手に埋めたりすることが禁止されている遺骨。
さまざまな事情から、遺骨の行く先に悩んでいる人はどうすればよいのでしょうか。
遺骨の合法的な処分の方法について見ていきましょう。

合祀墓におさめる

まず、合祀墓に遺骨をおさめて永代供養してもらうという方法が考えられます。
近年、利用が増えている方法で、墓じまいをした人や、体調や高齢からお墓のお世話に行けない人などが利用しています。
無縁仏の場合と違い、永代供養料を支払えば以後は供養を行ってもらえます。
そのため、遺骨が無縁仏とならずに済み、供養の心配もないのが大きなメリットです。
ただし、合祀墓は個人のお墓ではなく、複数の人と一緒に遺骨をおさめるため、一度入れてしまうと特定の人の遺骨を取り出すことができないので注意が必要です。

お寺で永代供養する

お寺で遺骨を引き取ってもらい、お寺の納骨堂などに遺骨をおさめる方法です。
読経、戒名、永代供養墓への収骨、その後の処分をすべて行ってもらえます。
納骨堂での永代供養に似ていますが、格安な合祀墓と違い、遺骨ごとに個別収納され、きちんと戒名もつけてもらうことができます。
そのため、他の方法よりは費用がかかります。
ただし、20年~30年後には遺骨は取り出され、敷地内の合祀墓などにおさめられることが多いようです。

散骨する

散骨

散骨は、火葬した遺骨を粉レベルに細かく粉砕して、海、川、山林などの自然環境に撒く方法です。
散骨は、墓地ではない場所に骨を撒くという意味では遺棄にあたりそうな気がしますね。
これについて、法務省は平成3年に「刑法190条の遺骨遺棄罪の規定は、社会風俗としての宗教的感情を保護するのが目的であり、葬送のための祭祀のひとつとして節度をもって行われる限り、遺骨遺棄罪にはあたらない」との見解を示ししています。
また、厚生省(当時)も「墓埋法はもともと土葬を対象としていて、遺灰を海や山に撒く葬法は想定していない。
したがって、散骨は対象外であり、自然葬を禁じた規定ではない」という見方を表明しています。
これらにより、

  • 散骨は刑法の遺骨遺棄罪や墓地埋葬法に反するものではない
  • 死者を弔う祭祀として国民感情に配慮しつつ、相当の節度をもって行うなら違法ではない

という法解釈が定着しています。
自分で骨を粉砕して散骨することもできますが、散骨場所に個人で行くのは困難な場合もあるため、業者に依頼する方が安心でしょう。

火葬場で処分する

焼き切り

火葬場で遺骨を処分してもらえる場合もあります。
この場合、遺骨に「焼き切り」という処理を施します。
焼き切りは、通常の火葬より高い温度で、遺骨が遺灰になるまで焼く処理方法です。
この遺灰は、火葬場で適切な方法で処分してもらえます。
ただし、焼き切りに対応していない火葬場もあるため、焼き切りをできる火葬場を探さなくてはなりません。
また、役所に問い合わせ、火葬場の予約を取り、火葬を申請して火葬許可書をもらう必要があります。

また、供養塔を併設しているような火葬場の場合、不要となった遺骨を引き取って処分してもらえることがあります。
繰り返しになりますが、遺骨は、墓地以外の場所に埋葬してはいけないと法律で定められています。
しかし、身元不明者や身寄りのない人の遺骨の場合、火葬場で供養するために供養塔を併設していることがあるのです。
これは主に、無縁仏を行政側が処分しなければならない場合に使われています。

ただ、関西では、部分収骨(火葬したあと、遺骨の一部だけを引き取ること)が普通です。
そのため、残った遺骨や遺灰は、火葬場が契約している寺院や境内にある墓地に埋葬されることになります。
こういった慣習から、火葬場に申請すれば、火葬場で遺骨を処分してくれる場合もあります。
これらは、あくまでも火葬場の判断によります。
遺骨を処分してもらえるかどうかは火葬場によって異なりますので、事前に確認や相談をしましょう。

業者に依頼する

近年、遺骨の処分を代行してくれる業者が出てきています。
遺骨を適切に処理した上、海洋散骨や樹木葬など、法的に問題のない方法で遺骨の処分を行ってくれます。
遺骨の処分方法はその業者によってさまざまなので、希望の処分を行ってくれる業者を探しましょう。

まとめ

少子高齢化が進み、一人暮らしの高齢者が増えたり、生涯未婚率が高くなっている現代、遺骨を処分しなければならないケースは、これからも増えていくと考えられます。
それに伴い、散骨や自然葬の代行業者など、遺骨の処分方法も選択肢が増えてきています。
法律に触れることなく、適切な処分方法を選びましょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。