近年、終活が社会に広く認知され、活動の一環としてエンディングノートの存在も知られるようになっています。
エンディングノートはノートや冊子といった紙のものがほとんどでしたが、近年、スマホやパソコンを使うシニアが増え、エンディングノートにもアプリを活用したものが続々と登場しています。
今回は、デジタルエンディングノートについて見ていきましょう。
目次
デジタルエンディングノートとは?
エンディングノートとは?
終活の大きなキーワードとなっているエンディングノートは、万が一のことがあった場合に備えて、自分に関する情報を書き留めておくノートです。
ノートには、自分のプロフィール、財産の目録、病歴、将来起こりうる問題に関する希望などを書きます。
エンディングノートを書く大きな目的は、自分がいなくなったあと、家族が困らないよう指針を作ることです。
たとえば、どんな施設に入りたいか、終末期の医療をどうするかなど、仮に認知症になって自分で判断ができなくなってしまっても、家族は本人の希望を叶えることができます。
また、現時点の財産や持ち物を整理し、過去を振り返り、未来を考えることで、自分と向き合い残りの人生をより良いものにするためのツールとしても活用されています。
デジタルエンディングノートとは?
スマホやパソコンの普及により、SNSなどを使うシニアも増えています。
そこで、最近では紙のエンディングノートだけでなく、パソコン上で管理するデジタル技術を使ったエンディングノートも続々と登場しています。
アプリをダウンロードして、その内容に従って書き込んでいくものもあれば、Excelなどのソフトを使い、自分に必要な項目を作成することもできます。
デジタルエンディングノートに書く内容は、紙のエンディングノートと同じですが、デジタルの場合、スマホやタブレットなどの利点を活かし、写真や動画などのデジタルデータを残すことができるのがアナログとの大きな違いです。
デジタルエンディングノートのメリットとは?
では、デジタルでエンディングノートを書くメリットを見ていきましょう。
手軽に始められる
手持ちのスマホやパソコン、タブレットなどがあれば、すぐにでも始めることができます。
ノートを購入しペンを持って紙に向かうのは、ちょっと面倒。
敷居が高いと感じる人もいるかもしれません。
でも、デジタルならそのような手間がありません。
また、無料で使えるアプリを使えば初期費用もかかりません。
管理がしやすい
紙と違い、編集や削除が簡単です。
エンディングノートは、一度書けばそれで終わりではなく、定期的に見直したり、気持ちの変化があれば書き直すことが必要です。
デジタルなら上書きするだけ。
記入した日付や更新日が自動的に記載されるため、どれが最新の情報かもすぐに分かります。
また、手書きのエンディングノートはどこに保管しているのかを忘れてしまったり、なくしてしまったりという心配があります。
しかし、デジタルならスマホやパソコンに保存されているため、保管場所を忘れたりなくしたりするリスクが低くなります。
思い立ったら、その場ですぐに開いて書き直すことができるので、時間も場所も選びません。
クラウド上にデータを保存できるアプリでは、IDやパスワードで情報を管理し、クラウド上に保存できるので、スマホを失くしてしまったり、機種変更をしたりしても保存データを引き継ぐことができて便利です。
画像や音声を残せる
デジタルエンディングノートは、画像や音声を残せるのも大きなメリットです。
スマホなどで写真や動画を撮ることが日常になっている現代では、こういったデータが大きな思い出となっている人も多いのではないでしょうか。
アナログの場合、データはノート本体とは別に紙焼きにしたり、別メディアに残したりする必要がありますが、デジタルならすべてまとめて残しておくことが可能です。
大切な人へのメッセージを音声や動画で残すこともできますよ。
経年劣化が少ない
紙媒体のノートと違い、紙の日焼けや劣化などで傷むことがありません。
エンディングノートは、書かれてから実際に家族が見るまで長い時間を経る場合も少なくありません。
時間とともにインクが薄くなって、文字が読めなくなってしまえば、せっかくのノートが読めなくなってしまいます。
しかし、デジタルならそのような心配はありません。
デジタルエンディングノートのデメリットは?
デメリットについても見ておきましょう。
データが消える可能性がある
デジタルデータは、端末の故障によってデータが消える可能性があります。
デジタルで書く場合は、データが消えてしまっても慌てないよう、必ずバックアップを取っておきましょう。
サービスが終了する場合がある
手軽に始められるデジタルエンディングノートですが、アプリのサービスが終了してしまったり、運営する会社が潰れてしまったりして、せっかく書いたノートが消えてしまうこともあります。
アプリのバックアップを取っておくほか、最低限の内容だけでも紙媒体にメモしておいたりするとよいでしょう。
また、複数のアプリに登録しておくのも1つの方法です。
費用が発生する場合がある
アプリには、無料のものと有料のものがあります。
また、ダウンロードや基本操作は無料でも、アプリ内課金(一部の機能を利用するには課金が必要なアプリ)もあります
アプリを使う場合は、ダウンロードする前に内容や料金体系について確認しましょう。
人気のデジタルエンディングノートをチェック!〜スマホ版
では、近年人気となっているデジタルエンディングノートをご紹介します。
100年ノート
シニア雑誌の編集部が監修するアプリです。
そのため、シニアにとって使いやすいデザインと操作性を考えた作りとなっています。
音声や画像でも簡単に保管でき、保管された情報はスマホがあればクラウドサービスからいつでもどこでも取り出し可能です。
利用者が亡くなった場合、利用者があらかじめ情報開示先として指定している人からの要求があれば、保管情報を閲覧することができます。
対応OS:iOS、Android
ダウンロード:無料(ただし、情報開示の際は事務手数料3万2400円が必要)
エターナルメッセージ
動画や写真に力を入れているアプリです。
テーマごとに写真をまとめたり、家族に動画でメッセージを残したりすることができ、これらのデータが死後に家族に届けられます。
機能はそれほど多くありませんが、初心者でも簡単に操作ができます。
万が一の時、家族は運営会社にメールをすれば、データが開示されます。
対応OS:iOS、Android
ダウンロード:無料
エンディングノート:デジタル遺品整理-家族へ終活の記録
iPhoneおよびiPadで使用できるアプリです。
書き込んだ内容はアプリのみに保存され、外部と通信することがないため、情報が漏れる心配がありません。
項目数が多く、さまざまな内容を記録することができます。
ただし、無料バージョンではデータの追加ができず、内容を更新すると以前のものは残らないので、誤って消してしまわないよう注意が必要です。
対応OS:iOSのみ
ダウンロード:無料(有料版あり)
生前整理アプリ
Androidのみに対応しているアプリです。
エンディングノートとしての機能はもちろん、遺品整理士や弁護士、お墓相談士など各専門家への相談体制が整っており、終活全般をサポートしてくれます。
対応OS:Androidのみ
ダウンロード:無料(有料版あり)
人気のデジタルエンディングノートをチェック!〜パソコン版
次に、パソコンで使うことのできるソフトも見ていきましょう。
エンディングノート
葬儀に関する新聞社が配布しているもので、Word版とPDF版を選ぶことができます。
記入できる項目が多く、詳細な内容を残すことができるので、残された家族が困らないように詳細なメモを残したい人に向いています。
家族へのメッセージや思い出などの比重は軽めとなっています。
ダウンロード:無料
百人百想・エンディングノート
こちらもWord版とPDF版を選ぶことができます。
特に自分史に関する内容に重点を置いており、思い出や、家族へのメッセージを残すことができます。
更新するごとに上書きされ、新しいファイルで加筆や減筆も自在に可能。
定期的に内容を更新したい人に向いています。
ダウンロード:無料
編みノート
遺品整理の会社が配布しているソフトです。
タブ(見出し)で「預貯金」「連絡先」「デジタル遺品」「医療・介護」「ペット」など全16項目に分けられており、遺品整理業者ならではの視点で、必要なことを分かりやすくメモしていくことができます。
ダウンロード:無料
まとめ
買い物から人との交流まで、デジタルの比重が高まっているなか、エンディングノートにもデジタル化の波がやってきているようです。
エンディングノートや終活に関しては、遺品整理業者でも相談することができます。
自分に合ったアプリやソフトで、楽しくノートづくりができたらいいですね。