捨てられたプラスチックが紫外線で劣化するなどして、5ミリより小さい粒になったごみ「マイクロプラスチック」が、近年、環境を汚染しているとして世界的に問題になっています。
詳しい実態はまだ分かっていませんが、魚や鳥の体内で確認され、生態系への影響が懸念されています。
食物連鎖による人間や他の生物への悪影響が出る恐れも指摘されているそうです。
そんな、マイクロプラスチックの元になっているのがコンタクトレンズだそうです。
皆さんはコンタクトレンズを正しく処分していますか?
目次
コンタクトレンズとは?
アメリカではコンタクトレンズの使用者が約4500万人おり、そのほとんどがソフトコンタクトを使用しているそうです。
そのうち「15~20%の着用者が流しやトイレに使用済みレンズを流している」ことが調査でわかりました。
その結果から、アメリカだけで年18億~33億6千万枚ものレンズが下水に流されていると推測されているのです。
実は日本でもコンタクトレンズの使用者は増加傾向にあります。
総務省統計局の家計調査「眼鏡、コンタクトレンズへの支出調査」(平成28年)によると、コンタクトレンズへの支出は緩やかな増加傾向が続いています。
平成17年には一世帯で年間3000円を下回っていましたが、26年には3603円になっています。
この増加には、衛生面から使い捨てタイプが普及していることが理由と考えられています。
コンタクトレンズの種類
コンタクトレンズは、大きく分けて「ハードコンタクトレンズ」と「ソフトコンタクトレンズ」の2種類があります。
ハードコンタクトレンズ(ハードレンズ)の特徴
ハードレンズは、まばたきの際にレンズ下の涙が入れ替わって、角膜に酸素を供給するようになっています。
そのため、ハードレンズには、酸素をほとんど透過しない素材と透過する素材が使われています。
酸素透過性の悪い素材のものは、角膜への酸素の供給を妨げて悪影響を及ぼすため、現在ではほとんど作られていません。
ハードレンズは、異物感を感じやすく、外れやすいようです。
しかし、手入れが簡単なことと、障害が起きた場合、初期段階で痛くなり気がつきやすいので、重篤な角膜障害に繋がりにくいというメリットがあります。
目の症状としては、乱視の矯正に向いています。
使用期限は数年ほど。このタイプのレンズは「コンベンショナルコンタクトレンズ」と呼ばれます。
ケアをしながら同じレンズを数年ほど使い続けてから交換します。ハードレンズのほとんどはこのタイプです。
ソフトコンタクトレンズ(ソフトレンズ)の特徴
ソフトレンズは弾力性があり、装着時の違和感が少ないコンタクトレンズです。ソフトレンズをつけている時は涙の交換があまり行われないため、角膜に届く酸素はレンズを透過する分だけとなり、酸素供給量が少なくなります。
ソフトレンズは、レンズが汚れやすく、定期的な洗浄と消毒が必要です。
ハードレンズに比べて装用感は良いのですが、耐久性に劣ること、また角膜に傷ができても痛みを感じにくいので、障害が起きても気がつきにくいというデメリットもあります。
また、乱視の矯正にはあまり向いていません。
ソフトレンズの使用期限は、ハードレンズよりも短いのが特徴です。
交換頻度により使い捨て型、頻回交換型、定期交換型の3つがあり、「ディスポーザブル系コンタクトレンズ」とも呼ばれます。
使い捨て型
目からはずしたら、再使用せずに捨てるレンズです。
1日で捨てるので「ワンデータイプ」と呼ばれます。
しかしワンデーと言っても、1日のうちなら何度も着け直していいわけではなく、一度外したら再使用はできません。
いったん装着したレンズには涙などの分泌物がつくため、開封後の容器の中の保存液に戻すと、その中で雑菌が繁殖してしまいます。
目に悪影響を及ぼさないため、着け直しは厳禁です。
頻回交換型
目から外したら、レンズの洗浄、消毒などのケアを行って再使用します。
最長2週間を限度に使用するので「2ウィークタイプ」と呼ばれます。
開封から2週間後が使用期限なので、14日を超えての使用はやめましょう。
定期交換型
装用後のケアを続けながら、再使用するレンズです。
使用できる期間はレンズによって異なりますが、1カ月または3カ月ごとに新しいレンズに交換します。
コンタクトレンズは何ごみ?
コンタクトが入っていた箱は紙なので可燃ごみ、レンズのケースはプラスチックなので不燃ごみですね(地域によっては可燃ごみ)。
では、レンズはどうでしょう。
「レンズ」だから不燃ごみ? はたまた、小さくて薄いので燃えそう?
実は、コンタクトレンズの捨て方は、明確には決まっていないのです。
捨て方は、自治体によってさまざまです。
東京都目黒区や神奈川県横浜市では可燃ごみですが、福井県福井市のように不燃ごみに分別される地域や、北海道函館市のようにプラスチック製(ソフトレンズ)は可燃ごみ、ガラス製(ハードレンズ)は不燃ごみに分ける地域もあります。
コンタクトレンズを捨てるときは、居住地域のルールに従って出しましょう。
コンタクトレンズは適切に処分しないと環境に悪影響を与える場合があります。
使用後はきちんと分別して捨てましょう。
眼鏡は何ごみ?
コンタクトレンズを使っている人は、たいてい眼鏡も持っているのではないでしょうか。
帰宅してコンタクトを外した後は、眼鏡で過ごすことも多いのでは?
また、最近は、眼鏡のおしゃれも流行しているので、1人で複数の眼鏡を持つ人も増えています。
眼鏡はフレームやレンズなど、パーツごとに使われている素材が違うので、何ごみとして捨てればいいか迷ってしまいますね。そこで、
眼鏡の処分についても併せてみていきましょう。
- 廃棄する
- 専門店で回収してもらう
- 供養する
- 緊急時用として取っておく
廃棄する
眼鏡の捨て方も、地域によってさまざまです。
東京都新宿区では金属・陶器・ガラスごみ、愛知県名古屋市では、プラスチック製の場合は可燃ごみ、ガラス製のレンズは不燃ごみとして出します。
また、広島県広島市では不燃ゴミとして出しますが、その際は丈夫なビニール袋に入れるなど、細かいルールが決まっている自治体もあります。
そのまま丸ごと出せるところ、パーツごとに分別するところなどさまざまなので、居住地域のルールを確認し、それにしたがって出しましょう。
専門店で回収してもらう
眼鏡の専門店では、不用になった眼鏡を回収するボックスを置いているところがあります。
集まった眼鏡は回収され、資源として再利用されます。
地球のため、エコのために回収ボックスを利用しましょう。
供養する
東京・上野。上野恩賜公園内の不忍池・弁天島の天竜橋の向かい辺りに「めがね之碑」という石碑が建てられています。
この碑は、東京の眼鏡業界の組合が昭和43年に建立したもので、業界の発展に寄与した先覚者や建立者の名が刻まれています。
石碑には、徳川家康が愛用したという丸眼鏡がかたどられています。
めがね之碑は、眼鏡ユーザーや眼鏡の仕事に携わる人たちの『聖地』と言える場所で、毎年桜が咲く春に眼鏡供養祭が行われています。
また、上野のほかにも、一般社団法人福井県眼鏡協会、宮崎県宮崎市の生目神社、島根県出雲市の一畑薬師など、役目を終えた眼鏡を供養してくれる団体や神社があります。
供養の後には、まだ使えるフレームを発展途上国へ送る活動などもされています。
よく働いてくれた眼鏡に、海外でまたひと働きしてもらうのもいいですね。
緊急時用として取っておく
コンタクトや眼鏡がないと日常生活が送れないという人は多いでしょう。
古くなった眼鏡がもし壊れていないのであれば、災害が起きた時のために、捨てずにそのまましまっておくという方法もあります。
また、普段1日使い捨てコンタクトを使っている人は、被災した場合、新しいコンタクトがすぐ手に入らないケースが容易に考えられます。
地震や台風などの災害の時のために、眼鏡を一つ持ち出し袋に入れておくと安心です。
遺品の眼鏡は火葬の際に注意しましょう
故人が眼鏡をかけていた場合、昔は愛用品として故人の棺に入れ、火葬場で荼毘に付すことがよくありました。
しかし今は、環境の観点から眼鏡や腕時計、指輪、アクセサリーなどの金属製品はお棺に入れられないことが多いようです。
金属のフレームは、燃えて亡くならず、真っ黒に焦げて出てきます。
また、フレームがプラスチックの場合は、一応燃えてなくなりはしますが、火葬炉のことを考えるとあまり好ましくありません。
さらに、レンズのガラスが問題です。
高熱で溶け、炉内にべったりとこびりついたり、お骨についてしまったりすることがあるので、やはりお棺に入れるのはやめたほうがよいでしょう。
火葬後に、お骨と一緒に骨壷へ納めてくれるところが多いので、火葬場で相談してみるとよいでしょう。