家族が亡くなってしまったら、お葬式などで仕事を休む必要が出てきます。
この場合、会社にはどのように連絡すればよいのでしょうか。
また、コロナ禍の続く今、家族のみで行う「家族葬」が増えています。
このような場合には、会社にどのように連絡すべきなのでしょうか。
今回は、会社に家族の訃報を伝える場合のマナーについて見ていきましょう。
目次
家族の葬儀、どうする?
日本で一番多いのは、仏式のお葬式です。
しかし、新型コロナウィルスの流行によって大勢の人が集まることが難しくなり、お葬式にも変化があらわれています。
コロナ禍の現在、どのようなお葬式が行われているのでしょうか。
オンライン(リモート)葬儀
コロナ禍で新しく出てきたお葬式の形です。
通常のお葬式は多くの人が集まるため、コロナ感染の観点から敬遠されるようになりました。
そこで、お葬式をライブ配信するサービスが出てきました。
多くの人がパソコン、スマートフォン、タブレット端末などを利用して、コロナ感染の心配をすることなく遠隔参列できます。
オンライン葬儀のメリットは以下です。
- 感染症対策ができる
- 遠方に住んでいる人、身体的理由で移動ができない人なども参列できる
- 小さな会場で行えるため会場費が抑えられる
デメリットは以下です。
- デジタル端末がないと参列できない
- 葬儀社によっては扱っていない
- 回線やシステム障害の可能性がある
家族葬(小規模葬)
最近増えているのが、小規模人数で行う家族葬です。
「家族葬」という名称がついていますが、実際には親戚や友人・知人が出席することもあります。
家族だけのお葬式というよりは、ごく少人数の近親者が参列する葬儀と考えればよいでしょう。
家族葬のメリットは以下です。
- 親しい間柄の人が集まるためアットホームな雰囲気になる
- 当面は親しい人への連絡のみで済む
- 準備や手間、当日の参列者への対応など負担が軽くなる
- 故人とゆっくりお別れができる
- 飲食などの費用がかからないため、出費を抑えることができる
などがあります。
デメリットとしては以下が考えられます。
- 誰に声をかけるか難しい
- 訃報を送ったり、参列できなかった人の弔問を受けたりするなど、葬儀後の対応が多くなる
家族が亡くなったら会社への連絡はどうする?
もし、家族が亡くなってしまったら、会社にはどのように報告すべきなのでしょうか。
会社への連絡は必須
家族が亡くなってしまったら、遺族は、働いている会社に必ず連絡しましょう。
家族が亡くなると、お葬式やさまざまな手続きを行うために、休みを取ることになります。
休む間は、同僚や上司に仕事をフォローしてもらう必要があるため、速やかに連絡しましょう。
気が動転していても、必ず一報は入れるべきでしょう。
どこへ連絡するの?
会社への連絡は、まず総務部へしましょう。
その際に、誰が亡くなり、葬儀をどのような形で行うかも伝えます。
また、自分の直属の上司にも連絡します。
忌引休暇をとる間の仕事の分担などを組み立てる必要があるからです。
同様に、チームを組んでいるような同僚があれば、知らせておくのがマナーでしょう。
また、忌引休暇中の緊急連絡先があれば、必ず知らせます。
会社に伝えるべき内容とは?〜忌引休暇について
故人と自分がどのような間柄であるのかを明確に伝えます。
ほとんどの会社の場合、身内が亡くなった時に休暇を取得できる「忌引休暇制度」を設けています。
ただ、忌引休暇は法律上で規定のある休暇制度ではないため、何日休めるかは会社によって異なります。
忌引休暇は故人との関係によって日数が異なり、以下が一般的です。
- 配偶者・・・10日
- 父母・・・7日
- 子・・・5日
- 祖父母・・・3日
- おじ・おば・孫・・・1日
会社に伝えるべき内容とは?〜葬儀について
会社が弔電や供花を行う際、必要な情報を伝えます。
- 故人の名前
- 故人との関係
会社が香典を送る場合、故人と社員である遺族との関係性によって金額が異なることがあるため、報告しておきましょう。
- 葬儀の日時・場所
- 葬儀の形式
一般葬か、家族葬かなどを知らせます。
それにより、会社の人が参列するかどうかが決まります。
- 休暇中の連絡先
一般的に携帯電話ですが、遠方の実家などに滞在する場合は、携帯電話以外の連絡先も伝えておくとよいでしょう。- 参列やお香典などの辞退について
会社の人の参列を辞退する場合は、その旨を伝えましょう。
また、会社としては、香典や供花、弔電を手配するのが一般的ですが、これらを辞退する場合も伝えておきます。
連絡の方法は?
電話やメールで伝えます。
電話で直接伝える方がベターですが、早朝や深夜など、電話をかけにくい時間であれば、メールで知らせましょう。
その後、改めて電話連絡を入れるのが望ましいでしょう。
葬儀後の会社への対応は?
お香典や弔電、供花などを辞退していても、上司や同僚からいただくことがあります。
その場合は、後日きちんとお礼をします。
お香典をいただいた場合はお礼状を送り、香典返しを渡します。
弔電や供花の場合は、後日、お礼状を送ります。
慶弔見舞金
社員の家族が亡くなった場合、会社から福利厚生として「慶弔見舞金」が支給される会社もあります。
故人の霊前にお供えするお香典と違い、見舞金は社員に対して支給されるものです。
家族葬を行なった場合でも、受け取って問題ありません。
家族が亡くなった際やってはいけないこととは?
家族の死去に際し、やらなくてはならないことがたくさんあります。
しかし逆に「やってはいけないこと」もあります。
気が動転していても、以下のことは行わないよう注意が必要です。
銀行への届け出
人が亡くなった場合、取り引きを行なっていた銀行に知らせる必要があります。
しかし、銀行に死去の届け出を行うと、口座は凍結され、引き出すことも振り込むこともできなくなってしまいます。
そのため、もし誰かがお金を振り込む予定がある場合は、振り込みの期日を考えて届け出る方が良いでしょう。
遺言書の開封
遺産相続を行う場合、遺言書は大変重要です。
なぜなら、もし遺言書が存在していて、その中に相続について書かれていた場合、相続人や相続の割合は、基本的に遺言書に従わなくてはならないからです。
遺言書がなかった場合は、民法で規定されている人(法定相続人)が、規定されている割合で相続を行うことになります。
遺言書がもしあったら、中に何が書かれているのか気になります。
でも、すぐに開封してはいけません。
遺言書は、家庭裁判所に提出して「検認」という手続きをする必要があります。
この検認を行わずに遺言書を開封してしまうと、5万円以下の科料を課せられることがあるので注意しましょう。
ただし、公正証書遺言や、法務局で保管されている自筆証書遺言については、検認を行う必要はありません。
故人の遺産を使う
人が亡くなると、お金がかかるものです。
お通夜やお葬式などを行う場合、100万円単位のお金が必要になることもあります。
特に、急死であった場合は、費用をすぐに捻出するのが難しいかもしれません。
しかし、葬儀費用に限らず、故人の遺産を使ってしまうことは控えるべきです。
もし、相続前に遺産を使ってしまうと、故人の遺産の相続を了承したとみなされるからです。
すると、相続放棄ができなくなってしまいます。
もし、故人に借金などマイナスの遺産があったとしても、すべて相続しなくてはならなくなってしまうのです。
遺産を使ってしまったために相続放棄ができなくなり、借金を背負うことになってしまう可能性があるのです。
故人の携帯電話の解約
携帯電話は、持ち主が亡くなれば、もう使う人はいません。
そのため、ほかのいろいろな手続きと一緒に、携帯電話の解約もしておこうと思う人も多いかもしれません。
しかし、故人が連絡先の一覧などを作っていない場合、携帯電話のメモリーが唯一の連絡の手がかりとなることもあります。
携帯電話の解約には期限が設けられているわけではありません。
解約しない限り料金は引き落とされますが、すぐに解約してしまわず、一定の期間置いておく方がよいでしょう。
まとめ
家族が亡くなったら、すみやかに会社に連絡しましょう。
まず総務へ連絡し、忌引休暇の日数を確認します。
また、上司や同僚に連絡し、休暇中の仕事の段取りをしておく必要があります。
連絡には、電話で伝えるのがベターですが、事情によってはメールで伝えてもよいでしょう。
連絡の際は、故人の名前と自分との関係、葬儀の日程や場所、葬儀の形式や緊急連絡先などを知らせておきましょう。