「オタク」と呼ばれる人々。
さまざまなジャンルの「オタク」がありますが、膨大なコレクションを持つ人は少なくありません。
「好きなものをそばに置きたい」という気持ちは時計やライターなど一般的なコレクションをする人と変わりませんが、オタクの場合、集めるものが一般には理解されにくいものであることがほとんどです。
そのため、もし突然の死に見舞われて、家族などに自分のコレクションを見られたら?
非常に貴重なコレクションなのに、価値を理解してもらえず、捨てられてしまったら?
そんなことを考え、悩むコレクターが増えているそうです。
「もしも」に備え、どんなことができるのか見ていきましょう。
目次
コレクションの行方は・・・
ある遺品整理業者が、社宅で亡くなった人の遺族からの依頼を受け、遺品整理作業をしていたとき、その部屋に故人の同僚たちが押しかけて来たことがあるそうです。
同僚たちは、故人の残したフィギュアのコレクションを無遠慮に触り「これは売れるな」「こっちも売ろう」と話していたというのです。
家族を突然亡くした遺族の前で・・・。
故人のフィギュアコレクションはかなりの量でしたが、遺族にはその価値はわかっていないようでした。
このように、売却目的で遺品を勝手に持っていく人がいるといいます。
酷い場合は、故人の友人を名乗り、フィギュアやグッズを持って行かれてしまうこともあるそうです。
自分にもしものことがあったら、そのコレクションはどうなってしまうのでしょうか。
信頼していた人であっても、コレクターの死後、その価値がわからず、遺品を処分してしまうことがあります。
また、先ほどの例のように、そのコレクションに愛着もない他人に持って行かれるようなことも起こります。
さらに、近年、若い人に突然死が増えています。
しかし、20代、30代の人にとって、自分が他界するなんて遠い未来のこと。
そのため、遺書やエンディングノートなどを残している人も少なく、コレクションが散逸してしまうことが多々あります。
生前に一所懸命集めたコレクション。
そのコレクションが無碍に扱われることのないよう、若いうちから対策を立てておきましょう。
「オタクの生前整理」とは?
フィギュアやアニメグッズなど、趣味のグッズや同人誌のコレクション。
大事に集めたコレクションが自分の死後どうなるか、非常に気になるところではないでしょうか。
残された家族は、葬儀や死後の手続きなどを行わなくてはなりません。
さらにこのあと、故人の遺品を整理する作業が待っています。
故人がフィギュアやゲーム、アニメグッズ、同人誌などを大量に残したまま亡くなると、その処分にはかなりの労力が必要です。
また、コレクションの価値などがわからず全て処分されてしまったり、不当な価格で売却されてしまう可能性もあります。
そこでおすすめしたいのが、生前整理です。
生前整理とは、自分の他界したあとに、残された家族が困ったり争ったりすることのないよう、財産や住空間を元気なうちに整理しておくことです。
それには、どんな方法があるでしょうか。
捨てる
価値のわからない人に持って行かれたり、他人の手で処分されてしまうくらいなら、いっそ自分の手で処分するという方法があります。
かなり思い切った方法ですが、自分以外の誰にもコレクションを渡したくない人は、考えてみる余地があるかもしれません。
存命中に捨てることなんてできない、という人はリストを作り、何をどのように処分してほしいか書き残しておきましょう。
譲る
次に、人に譲るという方法もあります。
お金も時間もかけて集めた大切な宝物だけに、他人の手に渡すのなら、そのコレクションの価値が十分理解でき、大切にしてくれる人に譲りたいですね。
この人だったら譲ってもいい、と思える人に「あなたにあげます」と事前に話しておいたり、コレクションの譲り先をリストにしておいたりするとよいでしょう。
売る
フィギュアやゲーム、アニメグッズなどのコレクションは、専門の買い取り業者がたくさんあります。
売る場合は、専門店で査定してもらいましょう。
そのほか、フリマアプリやネットオークションで売る方法もあります。
ただし、この方法は、自分で出品したり、荷造りをしたりする手間がかかります。
必死に集めた大事なコレクションを、今すぐ手放すなんて考えられない、という人もいることでしょう。
そんな人には、アニメや漫画などの関連グッズ専門店「まんだらけ」が行っている「生前見積もり」というサービスがあります。
これは、生前に、漫画・アニメ関連グッズ、玩具、キャラクターグッズ、鉄道関連グッズ、ミニカー・同人誌・原画や漫画原稿・イラスト色紙などの鑑定をし、どのくらいで売れるかを見積もってくれるコレクター向けのサービスです。
専門知識を持つ各ジャンルのプロが見積もりをし、見積もり書が発行されます。
持ち主に“もしも”が起きた場合、この見積もり書をもとに、遺品となったコレクションを買い取ってもらえるので、大切なコレクションが処分されたり、不当な価格で売られたりするのを避けることができます。
また、遺族がコレクションを処分する労力を軽減できるのも大きなメリットです。
鑑定は1回につき100点まで、鑑定料は無料です。
コレクション以外の生前整理
パソコンに入っている秘蔵データや、人には知られたくないSNSのアカウント。
そんなパソコンの中身、自分の死後、他人に見られても平気ですか?
自分はもうこの世にいないのだから気にしない、という割り切りができる人はいいですが、“黒歴史”を家族に見られるのだけは避けたいという人は多いのではないでしょうか。
パソコンには、個人の濃厚なプライベートが詰まっています。
これを家族の目に晒すことなく処分するにはどうすればよいのでしょうか。
終活ツールを利用する
「僕が死んだら・・・」
自分の死後、見られたくないファイルを削除し、遺言メッセージを残すことができるツールです。
消したいデータを設定しておき、遺族が「僕が死んだら」というフォルダをクリックすると、指定されたデータが削除されます。
データの削除中に設定した遺言メッセージが出てくる仕組みになっています。
「Remove Timer」
日時の指定や、指定された日数を経過したときに、あらかじめ設定した消したいデータを削除してくれます。遺言メッセージは設定できません。
「死後の世界」
時限式の、パソコン内の指定したデータを消してくれるツールです。
指定した日数後か、パソコン起動最終日から何日間かパソコンが起動されなかったとき、自動でパソコン内のファイルを削除できます。
遺言メッセージを表示させることも可能です。
司法書士に依頼する
デジタルデータなどの処分を行なっている司法書士事務所があります。
ここでは、家族などに知られたくないハードディスク内のデータ、ツイッターなどSNS投稿データやアカウントの消去を請け負ってくれます。
知人などにこのようなデータの消去を依頼すると、パスワードを教えることになります。
また、本人ではないため、不正アクセス禁止法に抵触する恐れも出てきます。
しかし、事前にこのような事務所などと契約書を交わして依頼すれば、このような心配はなくなります。
また、データを処分することに対して遺族の理解が得られず、建物に入れないといったケースも出てきます。
しかし、親族に対して、本人が亡くなったことの連絡をすることや、部屋の開錠に協力するという同意書をあらかじめ取るため、業務が遂行されない心配はありません。
契約書が調い、料金を支払うと、契約が発効します。
事務所は、この契約について忘れられないよう、少なくとも1年に1回は依頼者や親族へメールや葉書などでコンタクトをとります。
料金総額は14万円、情報管理料として毎年6000円が必要です。
契約の解除はいつでも無料ででき、契約解除した場合は事務処理費用の10万円は返金されます。
また、グッズやコレクションの売却、処分についても相談できます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
なんらかのマニア、オタクと自認している人にとって、死後の、コレクションやデジタル遺品の扱いは切実な問題です。
早いうちからさまざまな方法を検討し、準備しておきましょう。
また、グッズやコレクションは、知らず知らずのうちに膨れ上がっていくものです。
定期的に身辺整理を行うことをおすすめします。