樹木葬や散骨など供養が多様化しつつある中で、昔ながらの「お墓」はまだまだ根強い人気があります。
やはり、ご先祖さまに手を合わせに会いにいく場所や、実際に手を合わせて故人を偲ぶ場所として、必要とする人が多いのでしょう。
お墓は墓地や霊園に区画を買って建てます。
今回は、この霊園や墓地について見ていきましょう。
目次
墓地・霊園とは?
墓地とは?
墓地とは、寺院が管理母体となっているところを指します。
寺院は、檀家がお布施や寄付をしたり、修繕費の負担などをすることによって支えられています。
そのため、墓地の大きな特徴は、檀家制度にあると言えるでしょう。
全てではありませんが、宗旨・宗派に関して厳しいところが多く、その墓地を管理する寺院の檀家であるか、檀家にならなければ購入できない場合があります。
しかし、寺院の墓地は、法要を1ヵ所で行えるなど法事の際に便利であったり、手厚い供養をしてもらえるのが特徴です。
霊園とは?
霊園は、寺院に属さない墓地で、誰でも購入することができます。
霊園には大きく分けて、公営の霊園と民営の霊園があります。
公営霊園は都道府県や市町村などの自治体が運営する霊園です。
民営霊園は公益法人・宗教法人などが運営する霊園のことです。
霊園は、宗派や宗旨不問のところが多いのが特徴です。
また、郊外にあることが多いため、送迎バスなどのサービスが充実しているところが多いようです。
墓地や霊園・4つのタイプ:その①〜寺院墓地
墓地や霊園は、4つのタイプに分けられます。
それぞれについて見ていきましょう。
寺院墓地は、お寺の境内にあり、そのお寺が主体となって管理・運営する墓地です。
寺院の敷地内である境内や、寺院に隣接する敷地に設けられており、お墓の管理や運営は寺院が直接行っています。
寺院墓地のメリット
僧侶がすぐ近くにいて、手厚く供養してもらえるのが最大のメリットです。
法要などで困ったことがあれば、すぐに僧侶に相談できます。
また、寺院によっては会館なども併設しており、法要から会食まで、敷地内で全て行えるところもあります。
また、お墓は寺院の敷地内にあることがほとんどなので、管理面での安全性も高いと言えるでしょう。
寺院の中にあるため、交通の便がよいところが多いようです。
寺院墓地のデメリット
最大のデメリットは檀家になる必要がある場合が多いことです。
檀家になると、お寺の行事への参加や、寺院の維持のための寄付など、檀家としての務めが必要になります。
また、寺院墓地では宗派や宗旨が限定されることが多いようです。
すでに特定の宗派や、別の寺院の檀家であっても、墓地を管理・運営する寺院の宗派に改宗しなければならない可能性があります。
宗派・宗旨不問の寺院もありますが、その場合も、在来仏教徒が条件である場合が多く、仏教徒以外はお墓が建てられないこともあります。
墓地や霊園・4つのタイプ:その②〜共同墓地
「共同墓地」は、お墓に関する法律ができる前からあった墓地群のことです。
地域で自然発生的に生まれた墓地や、自治会などで管理する墓地、個人・地域の人の共有名義の墓地のことです。
今でも、街なかで見かけることがあるのではないでしょうか。
共同墓地のメリット
住んでいるところの近所にあるので、いつでもお参りに行くことができます。
そのため、手入れなども比較的、頻繁にすることができます。
共同墓地のデメリット
一般には販売されないことです。
既にお墓がある人以外、そこを使うことはできません。
墓地や霊園・4つのタイプ:その③〜公営霊園
「公営霊園」は、都道府県、市町村などの自治体が管理運営する霊園です。
公営霊園のメリット
最大のメリットは、宗旨・宗派の宗教的制約がなく、誰でも墓地を購入することができることでしょう。
公の霊園であり、運営が自治体であることの安心感も大きなメリットと言えます。
ほかに比べ、永代使用料や管理料が低めに設定されていることが多いようです。
公営霊園のデメリット
公営霊園は、「住所が霊園の管理・運営する自治体の管轄にあること」「遺骨があること」「親族に承継者がいること」など、申し込みに際して条件があることが多いようです。
また、募集が不定期なのもデメリットでしょう。
受付期間も限定されており、競争率が高く、抽選になることがほとんどです。
また、生前に申し込んでおくことができません。
区画が限定されているケースや、お墓の形状や大きさも指定されていることがあります。
また、法要施設がない場合がほとんどで、僧侶の手配などは自分で行う必要があります。
墓地や霊園・4つのタイプ:その④〜民営霊園
財団法人や社団法人、または宗教法人から運営し、委託を受けた民間業者が、実際の管理を行なっているものです。
民営霊園のメリット
まれに宗教の制限があるところもあるようですが、基本的に宗旨・宗派の宗教的制約がなく、誰でも購入できるのが最大のメリットです。
もちろん、どこかの檀家になるなどの条件もありません。
申し込みに際しても、先着順の受付がほとんどで、抽選がありません。
お墓のデザインや大きさなどが自由に選択できるほか、個性的な特色や雰囲気、サービスなど、利便性向上のための工夫をしているところが多いようです。
また、立地や価格など、希望に沿った霊園を選ぶことができます。
民営霊園のデメリット
民営の霊園は、都心から遠い立地にあることが多く、交通アクセスがよくないのが大きなデメリットです。
送迎バスなどを出しているところもありますが、お墓まいりで一日が潰れてしまうような場合も多いようです。
園内の景観を維持するため、墓石の形状が指定される霊園もあるようです。
また、宗派に制限のある霊園も一部あるため、注意が必要です。
霊園・墓地探しのポイントは?
霊園や墓地を探す際、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
宗教・宗派
霊園・墓地によって、受け入れることのできる宗旨や宗派が決まっている場合があります。
今、属している宗旨・宗派がある場合、特定の宗派のところを選ぶか、宗派を問わないところを選ぶかを検討します。
価格・費用
新しくお墓を建てる場合に必要な費用を比較します。
- 墓石費用・・・墓石の本体、外柵・納骨棺、施工費などの合計
- 永代使用料・・・お墓の土地の使用権料
- 管理費・・・お墓の維持経費
これらを考え合わせ、予算に沿った霊園・墓地を選択しましょう。
立地・交通アクセス
お墓参りがしやすいかどうかは、とても大事なポイントです。
若くて健康な間は気にならなくても、高齢になって足腰が弱ってきたり、車の運転ができなくなったりすると大きな負担となり、お墓のお世話もできなくなってしまいます。
霊園・墓地を選ぶ際は、先々のことも考慮し、立地や交通アクセスをしっかり確認しましょう。
環境
基本的に、お墓は屋外にあるものです。
夏の日照りや冬の雪、雨風など、季節によって自然環境は変わります。
立地や施設内のつくりによって、休憩しやすいか、無理なくおまいりができるかを検討しましょう。
日当たりや風通しはどうでしょうか。
日陰なのか日向なのかによって、経年後の環境が変わります。
また、風通しが良いところは湿気がこもらないため、お墓の手入れがしやすくなります。
水はけにも注目しましょう。
水はけが悪いと、地下部の納骨棺に影響を及ぼすことがあります。
また、樹木があると、根が墓域まで及んで地盤が隆起することもあるようです。
落葉樹の下にお墓があると、落ち葉の清掃が負担になります。
草などもチェックして、蚊などの害虫が多そうかも検討しましょう。
霊園・墓地の周辺環境もチェックしておきましょう。
気持ちよくおまいりができそうな環境でしょうか。
また、帰りに立ち寄れるスポットがあれば、お墓まいりも楽しくなりそうです。
施設・設備
霊園・墓地によって、付帯設備はさまざまです。
管理事務所はもちろん、売店、駐車場、法要施設、水道施設の有無を確認します。
また、遠隔地にある場合は、送迎バスの有無も確認しておくとよいでしょう。
さらに、バリアフリーなど、お年寄りや車椅子の人でも無理なくおまいりのできる配慮がされているかもチェックするといいですね。
管理状況
お墓の購入後は、その霊園・墓地と長いお付き合いをすることになります。
管理体制がよくないと、お墓も荒れてしまいます。
清掃状況や、手桶・ひしゃくなど墓参用具がきちんと管理されているか、植え込みや芝、樹木が手入れされているか、また、霊園・墓地の対応もチェックしましょう。
まとめ
それぞれのタイプの墓地・霊園には、さまざまなメリット・デメリットがあります。
今後長くお付き合いして行くことを念頭において、希望に沿ったお墓が建てられるといいですね。