亡くなった人の書類はいつまで保管すべき?郵便物の止め方も解説

遺品整理、うっかり捨ててはいけない書類や郵便物とは

人が亡くなると、多くの遺品が残されます。
多くの場合、残された家族が整理することになりますが、遺品整理は一生のうち、そう何度も行う機会はありません。
それだけに、「遺品整理なんて、いらないものを片付ければいいんだろう」と思ってしまいがちです。
そのため、大切なものをうっかり処分してしまって後悔したり、困ったことになったりする例はあとを絶ちません。
中でも、書類関係は、遺産相続や、さまざまな契約の解除などに必要になります。
遺品整理をする際は、どんなものを残すように心がけたらよいのでしょうか。

死亡後に行うことは、こんなにある!

死亡後に行うことは、こんなにある!

人が亡くなると、各種の手続きが必要になります。
お葬式の前には死亡届を提出し、埋葬許可証を受けなくてはなりませんが、死亡後の手続きはこれだけではありません。
保険証などの返納、年金を受けていた人は年金受給停止手続き、公共料金などの変更などなど・・・。
これらの手続きには期限があるため、お葬式を終えてホッとするのも束の間、細かい事務作業が待っています
手続きには、どんなものがあるのでしょうか。
主なものを見ていきましょう。

死亡から7日以内

死後1週間以内に提出する死亡届

死亡届

死亡届は、死亡または死亡を知った日から7日以内に提出しなければならない書類。

死亡地、本籍地、住所地のいずれかの市区町村の戸籍・住民登録窓口へ、医師による死亡診断書(警察による死体検案書)とともに届出人の印鑑を持参して提出。

死亡診断書または死体検案書

なお死亡診断書は病気などによる死亡がわかっており、医師によって死亡が確認された際に作成される書類。

死因が病気ではなく事故・自死などによるものだった場合は、警察で検視が行われてから「死体検案書」が作成されるので、これを死亡診断書の代わりに死亡届と遺書に提出。

死体火葬(埋葬)許可申請書

死亡届と同時に、7日以内に戸籍・住民登録窓口に提出。

この申請書と引き換えに受け取る死体火葬許可証がなければ火葬(埋葬)できないので、忘れず死亡届と一緒に提出。

死亡から14日以内

国民健康保険証の返納

故人の居住地の市町村役場へ、故人の健康保険証を提出。後期高齢者医療被保険者証や福祉医療費医療証、介護保険被保険者証、身体障害者手帳なども返還

国民年金受給停止

社会保険事務所、または、市区町村の国民年金課などの窓口へ、年金受給権者死亡届、年金証書または、除籍謄本などを提出

介護保険資格喪失届

市区町村の福祉課などの窓口へ、介護保険証などを提出

死亡から1ヶ月以内

雇用保険受給資格者証の返還

故人が死亡時に雇用保険を受給していた場合、受給していたハローワークへ受給資格者証、死亡診断書(死体検案書)、住民票などを提出

死亡から4ヶ月以内

所得税準確定申告・納税

故人の居住地の税務署または勤務先へ、亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得の申告書、生命保険料の領収書、医療控除証明書類などを提出(人が自営業または、年収2千万円以上の給与所得者の場合)

死亡から2年以内

生命保険金の請求

契約していた保険会社へ、死亡保険金請求書、保険証券、最後の保険料領収書、保険金受取人と被保険者(故人)の戸籍謄本、死亡診断書、受取人の印鑑証明書を提出

このほかにも、明確な期限はないものの、公共料金の名義変更、運転免許証やパスポートの返納など、死後速やかに行うべき手続きがたくさんあります。

遺品整理で残しておくべきリスト一覧

遺品整理で残しておくべきリスト一覧

遺品整理の際に残しておくべきものは以下の通りです。

残しておくべきもの主な理由
遺言書相続・財産分けをする際に必要
現金
通帳
マイナンバーカード
キャッシュカード 
クレジットカード
土地の権利書
有価証券
遺品整理や相続・財産分けで必要
印鑑(印鑑登録証含む)・遺品整理や相続などの際に必要
・印鑑登録証は自治体へ返還の必要あり
運転免許証・返納は不要
・更新通知停止の手続きの際に必要(有効期限が残っている場合)
ICカード・残額確認が必要
・返金手続きが必要な場合あり
エンディングノート・個人の意思を確認
・葬式や埋葬方法などが明記されていることあり ・財産の把握が可能な場合あり
故人の直筆文書や写真・思い出の品として重要
・葬儀の際の遺影
年金手帳・返却不要
・基礎年金番号の確認書類として必要な場合あり

上記以外にもリース品や勤務先からの貸与品がある場合は、返還などを行うケースがあるので保管しておいたほうが良いでしょう。

亡くなった人の書類はいつまで保管すべきか

故人の郵便物を確認する女性

死後に行う手続きには、当然ながら書類が必要になってきます。
しかし、書類というのは、意外と探しにくいもの。
最初は、封筒の中なども丁寧に見ながら仕分けしていても、だんだん面倒になり、確認が適当になってしまいがちです。
でも、もし間違って必要な書類を処分してしまうと、スムーズに手続きができなくなってしまいます。
そこで、遺品整理で残すべき書類を、あらかじめチェックしておきましょう

遺言書

まず最初に、遺言書の有無を確認しましょう。
遺言書には、相続に関してだけでなく、遺品の整理について書かれている可能性があります。
書式に不備がなければ、その遺言書は法的効力を持つことになるため、とても重要な書類です。
故人から遺言書の存在を聞いている場合はもちろん、聞いていない場合も、まず真っ先に探しましょう。

なお保存期間については、有効期限が原則として無期限とされているので明確な決まりはありません。

ただし公正証書遺言の場合は「公証人法施行規則27条」にて20年と定められています。

通帳・証券類・現金

各種の公的保険証、年金手帳や年金証書、銀行の通帳、不動産の権利書、保険証券、有価証券、などは、とても重要な書類です。

現金は、相続財産の課税対象となりますので、よけておきましょう。
故人がへそくりなどをしていた場合、隠し場所気がつかずに処分してしまうケースも多いようです。
しかし、スムーズに相続を行うためには、資産を明確に把握する必要があります。
お金は、意外なところに隠されていたり、袋やものに紛れて気づかず、誤って捨ててしまったりする可能性があります。
仕分けをするときは、面倒でも、袋や封筒などの中を丁寧に確認しましょう。

なお通帳の保存期間は青色申告個人事業主の場合、原則7年です。青色申告個人事業主以外の場合は特に決まりはありません。

また有価証券や保険証券などは、特に保存期間が決まっていません。

不動産の権利証は売却・相続後なら破棄して問題ありませんが、不動産が共有名義になっている場合や分筆された土地の一部を売却した場合には残しておく必要があります。

不動産の権利証は、すべて手放すまでは保管が必要と覚えておくと良いでしょう。

身分証明書・印鑑・カード類

身分証明書や印鑑、クレジットカードなどのカード類、保険や不動産の契約書、公共料金の領収書などは、故人がした契約の確認や解約のために必要です。
必ず保管しておきましょう。

なお、これらの書類等の保存期間は特に定められていません。

書類

故人の仕事関係の書類があった場合、会社から問い合わせがくる可能性があるため、捨てずにとっておきましょう。

また、電気やガス、水道など公共料金の領収書は、解約の際、必要となることがあります。

書類は、意外なところで役立つことがあるので、すぐに捨てず、不要であることが確認できるまで保管しておきます。

返却すべき書類

運転免許証、パスポート、保険証、クレジットカードなどは、返却する必要がある書類です。
これらには有効期限があり、期限が過ぎれば自動的に失効します。
そのため、それほど急ぐ必要はありませんが、万が一を考え、できるだけ速やかに返却するとよいでしょう。

亡くなった人の郵便物や通知書の保管

故人宛ての郵便物を確認する女性

ハガキや封書など、故人あてに届いた郵便物。証券類などに比べると、必要ない書類に見えて、捨てられがちです。
しかし、これらは、実は保管しておくべき書類なのです。

各種サービスの支払い通知

公共料金などが、故人のどの口座から引き落とされているのか分からない場合、支払通知書から確認できます。
支払通知書などを手掛かりに、お客様番号がわかれば、契約状況や引き落とし情報なども確認しやすくなります。

借入金、ローンやクレジットの未払い分などを知るうえでも、支払い通知や督促通知は役に立ちます。
いらないと捨ててしまわず、保管して内容をチェックしましょう。
相続の際、故人に負債があるかどうかは非常に重要な情報となります。

弁護士などに相談して負債の有無が確認できた後は破棄して問題ありませんが、その確認ができるまでは保管しておきましょう。

年賀状や手紙などの郵便物

ハガキや封書などの個人あて郵便物は、重要な情報源となります。
特に年賀状は、故人様や、これから終活を行われる方にとって、周辺の方との関係性を知る上で、とても重要なツールです。
子だからといって、親の交友関係をすべて知っているわけではありません。
そのため、何か連絡が必要になったとき、参照できるので、ある程度、保管しておくとよいでしょう。

郵便物の停止手続き

亡くなった人宛てに届く郵便物を停止するためには、遺族が郵便局に故人の死亡を届け出なければなりません。

届け出の方法や対応は各郵便局で異なるので、近くの郵便局に問い合わせをしてください。

なお故人宛ての郵便物はその権利が受け取りを完了するまで差出人にあるため、たとえ家族・親族であっても転送してもらえません。

また受取人以外が開封すると、信書開封罪に問われる可能性もあるので家族であってもやめたほうが良いでしょう。

困ったらプロの手を借りよう!

遺品整理業者に相談する女性

重要な書類を間違って処分してしまうと、大変なことになります。
しかし、書類を探すのは意外に大変で、どうしても見落としてしまったり、重要なものであるということが分からなかったりしがちです。
不安がある場合は、遺品整理業者に依頼するのも一つの方法です。
経験豊富な遺品整理業者は、「なんとなく、この辺にありそうだな」と長年のカンが働くそうです。
「タンス預金」という言葉の通り、タンスの中にへそくりがあったり、布団やカーペットの下にお金が隠してあったり、デスクトップパソコンの中にお金が隠されていたという例もあるそうです。

事前に探してほしいものや書類などを伝えておき、それを探してもらうこともできます。また、捨てて欲しくないもののリストをあらかじめ渡しておけば、後悔するリスクを減らすことができます。
もし、遺品整理に不安があるなら、業者に相談してみるのもよいでしょう

生前に親と話し合っておこう

できれば、親御さんが元気なうちに、このような重要書類をはじめとする情報を親子で共有しておきましょう
その手段の一つとして、エンディングノートがあります。
住所、本籍地、遺言書の有無、保険や年金の情報と証書類の保管場所、銀行口座情報やインターネットなどの情報を記録しておきましょう。
また、死後、事務に必要な情報や証書類は、できる限り一緒にまとめておくとよいでしょう。
その上で、保管場所を親子で共有しておくと、いざという時に困りません。

亡くなった人の書類探しや処分も七福神にお任せください

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ゴミ屋敷バスター七福神では遺品整理の仕分けや分別に自信があります。これまでにもカバンの中のファイルや書類ケースに挟まった重要書類を探し出してきました。遺品整理士の資格を持つスタッフが過去の経験から目星をつけて貴重品の探索も行います。

両親がお宅では個人本人しか知らない重要書類もたくさん隠されているものですが、1つ1つ確認しながら作業を進めていきますので、誤って捨ててしまう心配はございません。遺品や家財整理はもちろん、大量の書類や写真の整理もご用命ください。見積りや問合せは無料で承ります。

まとめ

もし、処分するかどうか迷うものがあれば、いったん取っておきましょう。
故人の死後間もない時期の遺品整理であれば、まだ悲しみや動揺が続いているために、正常な判断をしにくいこともあります。
また、後から意外なものが必要になるようなこともあります。
処分してしまってから後悔しても、取り返しがつきません。焦って捨ててしまわずに、しっかり目を通しましょう


この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。