エアコンの処分方法~遺品整理で備え付けのエアコンを取り外すには?

エアコンの処分方法~遺品整理で備え付けのエアコンを取り外すには?

暑かった夏がようやく過ぎ、ホッと一息ついたのもつかの間、もうすぐ寒い冬がやってきます。

暑い時も寒い時も、過ごしづらい季節に活躍してくれるエアコン。
かつての日本家屋が減り、マンションなどが増えた今、一家に一台どころか、一部屋に一台ついている家庭も珍しくありません。

とはいえ、エアコンも、古くなれば捨てたり交換したりしなくてはなりませんね。
遺品整理の場合も、賃貸などで備え付けてあるものは別ですが、持ち家でエアコンが古くなったり、何らかの理由で使えなくなったりしていたら、処分しなくてはならないケースがあります。

そんな時のために、エアコンの処分方法についてみておきましょう。

エアコンの寿命ってどのくらい?

内閣府経済社会総合研究所公表の消費動向調査「主要耐久消費財の買替え状況の推移(二人以上の世帯)」によると、エアコンを買い替えるまでの平均使用年数は2017年で13.6年。
そのうち65.2パーセントが故障によって買い替えています。

これは、20年前の1997年の8.3年より大幅に伸びており、エアコンの性能がグンと上がったことがうかがえます。

とはいえ、エアコンにも寿命はあります。
最近の家庭用エアコンは、設計上の標準使用期間を10年としています。
どのメーカーも保証期間より多少余裕を持って部品を保持してはいますが、購入から10年以上経過しているような場合は、部品がなく修理できない可能性が非常に高くなります。

購入後10年以上経過したエアコンは、新型に比べて故障の発生率が2倍以上と言われています。
そのため、エアコンの買い替えや処分を考えるなら、標準使用期間の10年を目安にするとよいでしょう。

エアコンの買い換えを考えるべき症状は?

エアコンは、使い方によっては標準使用期間より早く故障してしまう場合もあります。
どのような症状が買い換えや処分のサインなのでしょうか?

  • 冷暖房が効かない
  • 異音がする
  • 操作ができない
  • エアコンから水滴が垂れる
  • ブレーカーが落ちる

冷暖房が効かない

冷房や暖房の効きが悪くなったり、全く効かなくなったりしたら、まずはエアコンの洗浄をしてみてください。
これで改善される場合もありますが、改善されない場合は寿命が近い可能性が高いと思ってよいでしょう。

エアコン 処分 冷暖房 効き

異音がする

室内機や室外機から、普段聞かないような異音がする場合は故障の可能性があります。
特に室外機は、エアコンを稼働させるのに一番負荷がかかるため、室内機よりも故障しやすいようです。
「ガラガラガラ」というような妙な音がし始めたら、故障が近づいているサインです。

操作ができない

リモコンのボタンを押しても反応しなかったり、風向きが変えられない、冷房にしたのに暖房や送風になってしまうなど、操作に不具合が出たら、寿命かもしれません。

エアコン 処分 リモコン操作

エアコンから水滴が垂れる

エアコン内部が汚れていると、結露した水分が外へ排出できずに水滴が垂れる症状が起こることがあります。
掃除して止まればいいのですが、それでも水滴が落ちてくる場合は故障の可能性が高いと考えてよいでしょう。

ブレーカーが落ちる

家電を長く使い続けていると、内部でショートや漏電を起こしていることがあります。
エアコンを稼働するとブレーカーが落ちるような場合、ショートや漏電している可能性があります。

エアコンを正しく処分するには?

  • 家電リサイクル法
  • 家電リサイクル法にもとづいた処分方法は?

家電リサイクル法

2001年、家電リサイクル法が施行され、家庭用のエアコン、テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4つが特定品目に指定されました。
これを「家電4品目」と呼んでいます。

これら特定家電には、有用な資源を多く含まれています。

これを再利用するため、一般廃棄物運搬業の許可を受けた業者や家電量販店、小売店などは製品をメーカーに引き渡し、また、製造業者は引き取った製品の一部を再商品化するためにリサイクルをすることが定められました。

家電リサイクル法にもとづいた処分方法は?

販売店に依頼する

廃棄したいエアコンを購入したお店がわかれば、引き取ってもらえるか確認してみましょう。

購入店が遠方などの場合は、居住地域の自治体へ相談するとよいでしょう。
地域にあるリサイクル協力店を紹介してもらえます。

リサイクル料金は、引き渡し時に販売店へ支払います。

エアコン 処分 販売店

指定引取場所へ持ち込む

郵便局振り込みで料金を支払い、指定引取場所に持ち込む方法があります。

郵便局で、備え付けられている「家電リサイクル券」に必要事項を記入し、窓口で所定の料金を支払います。
支払ったリサイクル料金は一般財団法人家電製品協会に振り込まれ、協会がメーカーなどにその料金を支払うシステムとなっています。
料金を支払ったら、地域ごとの指定引取場所へ持ち込みます。

東京23区では、家電リサイクル受付センターで申し込むことができ、エアコンの処分費用は972円です。
このセンターの場合、所定の料金を支払えば、指定引取場所まで運んでもらうことも可能です。

業者に依頼する

業者に依頼する場合は、居住自治体に「一般廃棄物処理業」を許可されている業者、または自治体の指定回収業者を選びましょう。
無許可の業者に引き渡すと、法を守った適正な処理がされたかどうか、確認できないからです。

エアコンの取り外し方は?

エアコンを処分することになったら、取り外さなくてはなりませんよね。
エアコンは、道具さえあれば自分で取り外すことができます。取り外しの料金を節約したいなら、自分でチャレンジしてみてもいいかもしれません。

  • 取り外しに必要な道具は?
  • 取り外してみましょう!

取り外しに必要な道具は?

エアコンの取り外しには、何種類かの工具や材料が必要です。部品の取り外しに使う工具は以下です。

  • モンキーレンチ
  • ニッパー
  • プラスドライバー
  • マイナスドライバー
  • 六角棒レンチ
  • カッター
  • ペンチ
  • 電動ドリル

また、後始末などのために使うものは以下です。

  • ビニールテープ
  • パテ
  • ごみ袋
  • 古い毛布や古新聞など
  • 軍手
  • エアコンキャップ
  • 脚立

取り外してみましょう!

事前準備をする

エアコンの取り外しは、いったん始めたら途中で中断することはできません。
必ず道具を揃え、確認しておきましょう。

また、エアコンの室内機の下に養生用のマット(古い毛布や古新聞など)を敷いておきます。
マットを敷いていないと、脚立の脚や落下した工具で部屋の床を傷つける可能性があります。

さらに、取り外したエアコンを撤去するための経路を確保しておきましょう。
障害物が多いと、取り外したはいいが、置くところがない! ということになりかねません。

エアコン 処分 取り外し

ポンプダウン

「ポンプダウン」とは、エアコンの内部に通る冷媒ガスを室外機に閉じ込める作業です。
この作業を正しく行わないと、室外機のコンプレッサが爆発し、事故を引き起こす危険性があります。
正しい手順で慎重に行いましょう。

室外機のカバーを外すと、2本の配管と室外機の接続部が見えます。送り側(配管が細い方)のバルブキャップをモンキースパナで外します。
バルブキャップを外したら、キャップの穴に六角レンチを挿し込み、送り側のバルブを締めます。
ここで、室内機の「強制冷房」というモードを2~3分ほど運転させます。

これが終わったら、受け側(太い方の配管)のバルブキャップもモンキーレンチで外します。
送り側のときと同じように、六角レンチで受け側のバルブを締めます。
これでポンプダウンは完了です。強制冷房も止めましょう。

室外機を取り外す

感電を防ぐため、まず室内機の電源プラグをコンセントから抜いておきます。

室外機側に戻り、送り側(細い方)の配管の接続部分にあるナットを回し、配管パイプを取り外します。
続いて、受け側(太い方)も取り外しましょう。

室外機の3本の電源コードを切断します。カットする時は、1本ずつ行います。
電源がショートする恐れがあるため、3本まとめての切断はNGです。

エアコン 処分 室外機

室内機を取り外す

部屋の外から、配管テープに切れ目を入れます。
配管にダクトカバーが付いている場合は、電動ドリルでダクトカバーのネジを外します。

壁の穴を塞いでいるパテを取り外したら、穴を通っている配管・電線・ドレンホースをすべてパイプカッターで切断します。
続いて、室内機本体を下から上に持ち上げるようにして、壁に固定された据付板から取り外します。

室内機が壁から取り外せたら、電動ドリルを使い、据付板のネジを取り外します。

エアコン 処分 室内機

壁の穴を埋める

残った配管やドレンホースなどを穴から取り外したら、壁にあいた穴を埋めましょう。
壁の穴埋めには、粘土状のパテや穴埋め用キャップを使います。
穴がきれいに埋まったら、取り外し完了です!

このように、エアコンはDIYで取り外すことができますが、室外機が屋根の上や狭い場所など危険な場所にある場合は、絶対に無理をせず、業者に依頼しましょう。

また、ポンプダウンの際は必ず強制冷房が必要です。
そのため、壊れていて冷房が使えないエアコンはポンプダウンができません。
大事故を引き起こさないため、このような場合は、必ず業者に依頼してください。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。