遺品整理とリサイクル~「3R」とは? 国はどんな取り組みをしている?

遺品整理とリサイクル

「リサイクル」という言葉が浸透して久しくなりました。
ものによっては、それをリサイクルするための法律も作られ、「リサイクル」という言葉を目や耳にしない日はないほど、私たちにとって身近なものとなっています。

私たちも、生活の中でごみを分別したり、フリーマーケットやリサイクルショップで不用品を売ったり買ったりなど、リサイクル活動をしています。
そんな「リサイクル」について見ていきましょう。

「リサイクル」とは?

「リサイクル」(recycle)という言葉には、2つの意味があるのをご存知ですか?

  • 廃物を再生利用する
  • 廃物を循環処理し、使用する

という意味です。
現在、広く使われている容器の多くは、ガラスや金属、プラスチックやナイロンなどの素材で作られています。丈夫で安価に手に入り、便利ですよね。

でも、その反面、これらの容器は、そのまま捨てると自然に還ることはなく、半永久的に残ってしまうのです。
こういったごみは、どのように処理されているのでしょうか。

  • 埋め立て地とは?
  • 埋め立て地はあとどのくらいもつの?

埋め立て地とは?

ガラスや金属など燃やせないごみや粗大ごみ、ごみ焼却場で出た灰や燃えかすは、埋め立て地に集められます。
ごみ収集車が次々にやってきてごみを捨てていくと、それをコンパクターというキャタピラー車でならし、押しつぶしていきます。
押しつぶされたごみの厚さが3mぐらいになると、その上に50cmほどの土をかぶせます。

埋め立て地では、このようにごみと土をサンドイッチしながら埋め立て、ごみが風に飛んだり悪臭が広がったりしないようにしています。

埋め立て地は、海に造られるものと山あいの谷に造られるものがあります。
山の埋め立て地では、ごみに含まれる化学物質が雨で溶け出して地下水を汚すおそれがあるため、水を通さないゴムシートなどを底にしいて、汚水が地下にしみ出さないようにしています。

埋め立て地はあとどのくらいもつの?

環境省が昨年発表した「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成28年度)について」によると、全国のごみ総排出量は4,317万トン(東京ドーム約116杯分)にも上ります。
国民1人1日当たりのごみ排出量は925グラムで、ごみ総排出量、1人1日当たりのごみ排出量ともに減少しています。

遺品整理 リサイクル ごみ 埋め立て地

ですが、リサイクル率は横ばいで、ごみ焼却施設数は1,141施設から1,120施設に減っています。
この結果、最終処分場の残余容量は18年続けて減少し、最終処分場の確保は引き続き厳しい状況であるとしています。

埋め立て地に捨てるごみは、全体の20%ほどなので、日本全体で1年に埋め立てているごみは863.4トン、東京ドーム23.2杯分となります。
特に、人口が集中している東京23区で埋め立て作業が行われているのは中央防波堤新海面処分場で、ここが最後の埋め立て処分場です。

当初はあと30年と言われていた処分場寿命ですが、様々な処理法が開発され、50年ほどに伸びています。
少しでも長く埋め立て地として利用するには、さらにリサイクルに努める必要があります。

「3R」とは?

「3R」という言葉を聞いたことがありますか?

ちょっとした手直しでまた使えるようになるものや、姿形を変え資源として新しく利用できるものを不用品として捨ててしまわずに、大切に使うという「循環型社会」を目指すための考え方です。日本では2000年から導入されました。

  • 3つのRとは?
  • 国の取り組み

3つのRとは?

リデュース(Reduce):ごみの発生を抑制する

使用済みになったものが、なるべくごみとして廃棄されることが少なくなるように、ものを製造・加工・販売すること

リユース(Reuse):再び使用する

使用済みになっても、その中でもう一度使えるものは、ごみとして廃棄しないで再使用すること

リサイクル(Recycle):再資源化・燃料や原料として使用する

再使用ができずにまたは再使用された後に廃棄されたものでも、再生資源として再生利用すること

ごみをなるべく捨てず資源に戻すため、様々な工夫が行われています。
たとえば新聞紙は、ドロドロに溶かしてインクを取りのぞくことで、パルプに戻すことができます。
おしゃれなデザインの再生紙ノートなどが売られていますが、このパルプを使ったものです。
コピー用紙や段ボールなど、別の紙製品を作ることもできます。

このほか、アルミ缶やプラスチック容器、ガラス、鉄などの金属、コンクリートなど、さまざまなごみがリサイクルされています。
リサイクルをうまく進めるには、きちんとゴミを分別し、種類ごとに集める必要があります。

遺品整理 3R リサイクル

しかし、リサイクルをするには、多くのエネルギーが必要であり、環境に良いことばかりではありません。
そのために、そもそもゴミを出さない「リデュース」と、使えるものは繰り返し使う「リユース」、そして「リサイクル」を3本立てで進めていくことが大切なのです。

国の取り組み

国としても、環境を守りごみを減らすため、様々な省庁で3R推進に取り組んでいます。

環境省

環境省では、「3R行動見える化ツール」を提供しています。
このツールは事業者(または消費者)が行う3R行動について、その行動量を入力することで、便宜的に環境負荷の削減効果を数字で表すことができる計算用ツールです。

これまで、なんとなく実践してきた3R行動の効果が数値でわかったり、会社などの環境への貢献を数値でPRすることができます。

また、「循環型社会白書」などの各種調査、パンフレットなどの作成、循環型社会推進「応援ソング」や地方公共団体の関連行事等について紹介しています。

経済産業省

経済産業省では、「容器リサイクル法」によって、容器包装を大量に使う小売業者に対し、レジ袋などの削減対策について定期的に報告を行わせています。
見た目で素材がわかりにくい容器などを分別しやすくするため、「識別表示」遵守の推進。また、毎年10月を「3R推進月間」とし、様々なイベントを行っています。

国土交通省

国土交通省では、建設リサイクルや建設副産物の適正処理を推進するため、「建設リサイクル推進計画」を定期的に策定しています。
この計画は、建設副産物の物流状況を毎年モニタリングし、現場分別・再資源化・再生資材利用が不十分な者に対して、その促進を要請する取り組みです。

また、環境への負荷の少ない循環型社会経済システムを構築するため、公共建設工事における「リサイクル原則化ルール」を定めています。

リサイクル・ビフォーアフター

分別され、リサイクルされたものは、どんなものに生まれ変わるのでしょうか?

  • ペットボトル
  • プラスチック
  • ガラスびん
  • 発泡スチロール
  • 生ごみ

BeforeAfter
資源ごみ資源ごみから作られた製品
ダンボールダンボール、紙筒など
新聞ボール箱、絵本、新聞し、週刊誌の紙、印刷用紙など
雑誌ダンボール、紙筒、ボール箱、絵本、新聞紙、週刊誌、印刷用紙
コピー用紙トイレットペーパー、ティッシュペーパー
牛乳パックトイレットペーパー、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、板紙(厚めの紙)

ペットボトル

BeforeAfter
資源ごみ資源ごみから作られた製品
ペットボトル自動車の天井、床材、吸音材、カーペット、洋服、卵パック、バラン、洗剤のボトル、飲料用ボトル、回収ボックス、ごみ袋など

プラスチック

BeforeAfter
資源ごみ資源ごみから作られた製品
容器包装フォークリフトの荷台、擬木、パーキングの車止め、プランター、再生樹脂、ごみ袋、包装材など
塩ビパイプ 塩ビパイプ

ガラスびん

BeforeAfter
資源ごみ資源ごみから作られた製品
ガラスびん透明・茶色のガラスびん、住宅の断熱材、アスファルト舗装、カラー舗装、タイルなど

BeforeAfter
資源ごみ資源ごみから作られた製品
スチール缶スチール缶、自動車、家電、機械、モーター、建材、レーエルなど
アルミ缶アルミ缶、アルミサッシ、自動車の部品など

発泡スチロール

BeforeAfter
資源ごみ資源ごみから作られた製品
発泡スチロール再生発泡スチロール、文具、合成木材など

生ごみ

BeforeAfter
資源ごみ資源ごみから作られた製品
生ごみ堆肥

遺品整理とリサイクル

遺品整理をすると、不用品がたくさん出ます。
この不用品を少しでも無駄にせず、再利用する方法はあるのでしょうか?

もし、遺品整理を依頼するのであれば、業者に相談してみましょう。

近年、遺品の買い取りを行う遺品整理業者が増えています。
不用品を買い取ってもらった場合、遺品整理作業の金額から買い取り金額を差し引いた金額を請求されることになるので、買い取ってもらった分、遺品整理の費用が安くなります。
ただし、買い取った不用品の運搬代などが買い取り金額上限より引かれることもありますので、見積もり時に確認しておきましょう。

リサイクル 遺品整理業者

さらに、遺品整理業者に依頼すれば、遺品の仕分け、処分、買い取りから掃除、遺品の供養、形見分けの発送まで、ほぼ全て行ってもらえます。
また、自分たちで遺品整理をする場合でも、不用品について買い取ってもらえるか相談するのも良いでしょう。

適正・適切な処理をする業者を選ぶため、引き取りを希望する場合は居住地域の「一般廃棄物収集運搬許可」、買い取りを希望する場合は「古物商許可証」を持っているかを必ず確認してください。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。