ゴミ屋敷は、一軒家だけの問題ではありません。マンションも一軒家と同様に、ゴミ屋敷化する可能性はあります。
むしろマンションの方が、ゴミをエレベーターで指定のゴミ置き場に運ぶのが難しい分、問題は深刻かもしれません。
そこで今回は、マンションがゴミ屋敷化することによって起こる隣人トラブルの内容や、マンションのゴミ屋敷化を防ぐ方法などについてまとめました。
自宅マンションがゴミ屋敷化して悩んでいる方のみならず、マンション内で隣人の家がゴミ屋敷化して悩んでいる方も、ぜひ記事を最後までチェックしてみてください。
目次
隣の部屋がゴミ屋敷!強制退去はできる?
「マンションに入居したら、隣の部屋がゴミ屋敷だった」という事例は珍しいことではありません。ゴミ屋敷というと一軒家を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、マンションでもこのような事例は多数報告されています。
マンションの隣の部屋がゴミ屋敷状態の場合、害虫や火事の発生を懸念して強制退去させたいと思う人も一定数存在しますが、そのようなことは可能なのでしょうか。
結論から申し上げますと、部屋の中がゴミ屋敷状態であったとしても強制退去はできません。部屋の中は専用部分となり、そこに住む人が自由に使用できるスペースです。ゴミだらけにしようが住む人の管理・判断にゆだねられているため、管理会社であっても強制退去はできません。
ただし、マンションに住む他の住民全体に対して害虫・悪臭といった問題が生じた場合には、マンション全体の価値・価格を著しく低下させたとして管理会社から注意・警告などができます。
また区分所有法の57~59条に基づいて競売請求を行えば、強制退去も可能です。
マンションの隣人がゴミ屋敷のときの対処法
マンションの隣人がゴミ屋敷であった場合、親しい間柄であれば直接片付けてもらえるように申し入れる方法もあります。しかし、伝え方や相手の受け取り方によってはトラブルの原因になる可能性があり、あまりおすすめしません。
ご近所トラブルを避ける意味でも、管理会社に相談しましょう。管理会社はそのマンションの住民全員が快適に過ごせるように管理することが仕事であり、何らかのトラブルが生じた場合にはその対応もしなければなりません。
また管理会社に間に入ってもらえば、誰がゴミ屋敷であることの苦情を申し立てたのかわかりにくく、個人攻撃されるリスクも軽減されます。
マンションのゴミ屋敷化は苦情や隣人トラブルの元
マンションでは、隣に他人が暮らしていますので、騒音トラブルを始めとして、様々な隣人トラブルや苦情の問題が起こる可能性を常に孕んでいます。
マンションのゴミ屋敷化も、隣人トラブルや苦情の元です。具体的にどんなことが起き、どんな流れで隣人トラブルに発展するのかを見てみましょう。
隣人から苦情・クレームを言われる
マンションでは、とにかく隣人との生活距離が近いです。隣家との間には、壁一枚しかありません。よって一軒家で暮らす場合と比べて、隣人にも大きな被害を与えてしまいます。
具体的には、ゴミによる異臭が隣のベランダや廊下に伝わったり、ゴミ屋敷を原因に発生した害虫が隣人の家にまで出現したりします。
異臭が強すぎるあまり、窓を開けて換気ができなくなったり、ベランダに洗濯物を干せなくなったりするかもしれません。またベランダの隙間を通じて、ゴミが隣人の敷地にまで進入してしまうことも……。
距離が離れた一軒家では、隣人にここまでの被害を及ぼしません。しかしマンションは隣人との距離が近いため、こういった被害を及ぼしてしまい、苦情やクレームへとつながります。
チャイムを鳴らして直接苦情・クレームを言いに来ることもあれば、階段やエレベーター、廊下のような共用部で偶然会った際に指摘されることもあるでしょう。
間に警察や管理会社等が入っておらず、個人対個人で対話をする場合、大きなトラブルに発展するリスクもあります。
隣の家にゴキブリなど害虫が発生してしまう
一つ前の項目でも触れましたが、ゴキブリを始めとする害虫被害は、マンションのゴミ屋敷問題において特に深刻です。
ゴミ屋敷では、ゴキブリを始めとする害虫が発生しやすくなります。ゴミ屋敷を起点として、マンション内の隣の家にもゴキブリが移動します。
戸締りをしていても、ゴキブリが出入りできる隙間はあるかもしれませんし、換気扇や排水管も隣とつながっていますからね。
またゴミ屋敷を片付ける際は、ゴミの中に隠れていた害虫が一気に移動します。その際に隣人に迷惑をかけてしまうこともあるため、ゴミ屋敷の片付けを始める前に、できる限り害虫は駆除しておくことが重要です。
しかしゴミの下に隠れた害虫を駆除するのは至難の技です。そこでおすすめなのが燻煙剤です。煙で害虫をまとめて駆除できます。
隣人から大家や管理会社に連絡される
マンション内でゴミ屋敷の住人に直接苦情・クレームを入れるとトラブルに発展する可能性が高いことは、隣人も分かっています。
よって直接クレームを入れられるよりも、大家や管理会社に連絡を入れられることの方が多いでしょう。
その場合、マンション内の掲示板に張り紙がされたり、マンションの住民全員に、手紙が配布されたりします。
それでもゴミ屋敷が改善されない場合は大家や管理会社から直接連絡がきて、最悪の場合には立ち退き、追い出し、強制退去となります。
関連記事:ゴミ屋敷がバレた!管理会社や大家さんに対する、最善最短の対応策とは
ゴミ屋敷から悪臭が広がる
ゴミ屋敷に散乱するゴミの中には生ゴミなどもあり、腐敗すると悪臭を放つようになります。
一軒家の場合、隣家との間に塀や道のような遮るものがあり、家の中にまで悪臭が侵入してくることは少ないでしょう。また窓を開けていても家と家との隙間を吹き抜ける風が悪臭を遠くへ運び去るなどの影響から、さほど気にならないこともあります。
しかしマンションの場合は、塀や道などの遮るものはありません。部屋中に悪臭が充満すればその臭いは部屋の外へ飛び出し、共有部分や隣の部屋にまで侵入する可能性があります。
悪臭がひどすぎてベランダの窓が開けられないばかりか、窓を閉めていても隙間から臭いが入ってくるなど、日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。
マンション全体への火災に繋がる
ゴミ屋敷はマンション全体を巻き込む火災につながる可能性も秘めています。
放置されるゴミは紙類・プラスチック類が多く、これらは燃えやすい特徴があるので、一度火が付くとあっという間に燃え広がってしまうでしょう。
またゴミ屋敷は掃除が行き届いていない現状から、コンセントとプラグの間にたまったホコリが原因で起こるトラッキング火災も発生しがちです。住人が気付かない間にトラッキング火災が生じ、自室だけではなく両隣や上階にまで燃え広がってしまう可能性も高まります。
隣人/大家/管理会社側から見たマンションがゴミ屋敷化するリスク
ここまで、ゴミ屋敷の住人目線で解説を進めてきましたが、同じマンションに住む隣人や、大家、管理会社視点ではどういったリスクがあるのでしょうか。
隣人、大家、管理会社目線では、一軒家にはない、マンションならではのリスクが見えてきます。
ゴミ屋敷の住人側の方も「こういった迷惑をかけてしまうのか」「相手からこう思われるのか」と考えながら読んでみてください。
マンションの建物全体の価値が落ちる
マンションにゴミ屋敷があると、悪臭や害虫などの被害により、退去者が増えます。またゴミ屋敷の口コミがインターネット上などで出回ってしまうと、入居者も減るでしょう。
よって家賃を下げざるを得なくなり、マンション自体の価値が落ちてしまいます。
一口にマンションと言っても、管理体系は多種多様です。個人が所有しているマンションもあれば、管理会社が借り上げているマンション、管理会社が個人オーナーから依頼を受けて管理を行っているだけで、所有権は個人にあるマンションもあります。
個人が所有しているマンションであれば、ゴミ屋敷に対してどういった対策を取るか、ある程度自分で判断できます。しかしオーナーと管理会社が別の場合、ゴミ屋敷問題解決のためにゴミ屋敷片付け業者を手配しようにも、手続きが面倒でそう簡単にはいきません。
一度マンションをゴミ屋敷にしてしまった場合、復元が難しいです。ゴミを片付けたとしても、床や壁には汚れが残りますし、一度発生した害虫はマンションのどこかに潜んでいるかもしれません。そして一度落ちた評判はなかなか元には戻りません。
しかし当然、マンション自体を建て直すことはできません。
よってマンションの一室がゴミ屋敷化する前、もしくはゴミ屋敷が深刻化する前に、何らかの手を打つ必要があります。
マンションは対応が面倒
マンションでは、クレームを聞いた大家や管理会社がオーナーに連絡をし、オーナーの決断を再び大家や管理会社に伝えて初めて、何らかの行動を起こせます。
つまり「ゴミ屋敷を何とかしたい」と思っても、対応が後手後手になってしまうのです。ゴミ屋敷片付け業者の手配にさえ時間がかかってしまいます。
住人の追い出しは決して簡単ではない
「何度言ってもゴミ屋敷を片付けない住人は、追い出してしまえばいいのでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし実は、住人の追い出しは簡単ではありません。
ゴミ屋敷の住人を退去させるには、「賃貸借契約解除通知書」の通知を出す必要があります。そして「賃貸借契約解除通知書」の通知を出すには、以下2つの条件を満たしている必要があります。
- ・条件①正当事由
- ・条件②信頼関係破壊の法理
つまりマンションのゴミ屋敷が長期間放置されており、今後も自発的に片付けてもらえる兆しがない場合のみ、住人に退去を求めることができます。
関連記事:ゴミ屋敷がバレた!管理会社や大家さんに対する、最善最短の対応策とは
一軒家よりマンションのゴミ屋敷のほうが大変!
近年、ゴミ屋敷の問題が叫ばれていますが、その深刻度は一軒家よりもマンションのほうが大きいといえます。その主な理由は以下の通りです。
- ・被害が拡大しやすい
- ・強制退去に時間がかかる
- ・管理会社が口出ししにくい
それぞれの理由についてみていきましょう。
部屋が隣接しているから被害を受けやすい
マンションは部屋が隣接しているため、被害を受けやすいまたは拡大しやすい点があげられます。
一軒家なら隣家との距離が近いといってもそれぞれの家の壁、その間の塀や人が1人通れるくらいの隙間が設けられていることもあり、これらが物理的な防御壁や距離となってくれて被害は最小限に抑えられるでしょう。
しかしマンションにはこのような物理的な防御壁や距離はありません。壁一枚隔てた部屋同士はその距離が大変近く、臭いや害虫の被害がダイレクトに伝わってしまいます。
ゴミ屋敷化したマンションは強制退去に時間がかかる
ゴミ屋敷化が他の住人にまで被害が及んでいる場合は、管理会社から強制退去の手続きが可能です。しかしこのような法的手続きに至るまでには、さまざまな手順を踏まなければなりません。
借主側には借地借家法という住む権利が保障されており、これを打ち崩して強制退去させるためには管理会社と借主側の信頼関係の破綻や周辺住民の生活を著しく脅かしたことの証明が必要です。
特に信頼関係の破綻については、長期にわたって説得やゴミの撤去依頼などを繰り返し行わなければなりません。
これらの理由から強制退去の裁判がスタートしても判決が出るまでに半年から1年はかかるでしょう。
専有部分では管理会社が口出ししにくい
マンションには共有部分と専有部分があり、共有部分のゴミについては管理会社も強く言えますが、専有部分については口出ししにくいのが問題点です。
仮に他の住人から管理会社に苦情があったとしても、専有部分の状態や様子は外からでは確認できず、ゴミ屋敷状態になっているかどうかの実態がつかめません。
隣や上階・下階といった近くに住む所有者らの共同利益に反する状態であることが認められた場合には口出しできますが、反する状態であるかどうかを証明することが難しいため、実際には口出しできない場合が多いでしょう。
マンションのゴミ屋敷化を未然に防ぐために必要な4つのこと
マンションをゴミ屋敷にしてしまうと、様々なリスクがあります。
つまりマンションがゴミ屋敷化してから行動を起こすのではなく、マンションがゴミ屋敷化する前に予め手を打つことが重要です。
マンションに住んでいる方が自宅のゴミ屋敷化を防ぐためには何をすればいいのか、ここでは4つのことを紹介します。
マンションのゴミ出しルールを確認・把握する
マンションによってゴミ出しのルールは異なります。基本的には住んでいる自治体のルールに基づいたものですが、独自のゴミ出しルールが制定されているマンションも多いです。
そこでまずは、マンション独自のルールも含めて、どんなゴミ出しルールが制定されているのかを把握しましょう。
捨て方が分からずに家に放置する物が増えることで、ゴミ屋敷化は加速します。ルールを把握して、どのゴミをいつまでにどこに出すのかを把握すれば、ゴミ屋敷化は未然に防げます。
分からないことは大家や管理会社に聞く
不明なことがある場合は、マンションの大家や管理会社に聞きましょう。マンションの大家や管理会社としても、何も聞かれずにゴミ屋敷になってしまうよりは、多少面倒でも色々と質問された方がよいです。
ゴミの出し方のような些細なことでも構いません。分からないことはそのままにせずに、質問しましょう。
「共同生活」であることを自覚する
マンションは、一つの建物内で多くの人間が生活を送っている居住空間です。部屋がそれぞれ独立しているとはいえ、基本的には共同生活です。
他の家庭と一切関わり合いがないとしても、隣人の生活音が聞こえたり、共用部ですれ違ったりすることはあります。自宅マンションをゴミ屋敷にしてしまった場合は、悪臭や害虫といった形で、隣人にも迷惑がかかります。
「他の家のことは関係ない」では通用しません。むしろ隣家だけではなく、同じマンションの住人に思いもよらない形で迷惑をかけてしまうこともあるのです。
このようなマンションの特性を理解することで、ゴミ屋敷化の抑止力となるはずです。
いざという時はゴミ屋敷片付け業者に依頼する
マンションをゴミ屋敷化させないためには、日常的な掃除片付けが欠かせません。しかしそれが難しく、すでに自力ではどうしようもないくらいに自宅マンションが散らかってしまった方もいるでしょう。
そんな方は、ゴミ屋敷片付け業者への依頼がおすすめです。
ゴミは、必ず自力で掃除しなければならない訳ではありません。いざという時には周りの手を借りるのも1つの選択肢です。
ゴミ屋敷という特性上、友人や家族に片付けをお願いするのは難しいでしょう。ゴミ屋敷片付け業者に依頼をすれば、最短即日で、周りにバレることもなくゴミ屋敷を片付けられますよ。
ゴミ屋敷化したマンションを業者に片付けてもらう際に気をつけるべきこと
ゴミ屋敷片付け業者への依頼は、ゴミ屋敷の悩みを払拭するベストな手段です。しかしゴミ屋敷片付け業者への依頼時にも、気をつけておいてほしいことがあります。
ここでは、ゴミ屋敷片付け業者への依頼時に気をつけてほしい2つのことを紹介します。
業者にマンションの状況を正しく伝える
ゴミ屋敷の片付けを業者に依頼した場合、まずは見積もりを行ってもらいます。
見積もり時には、自宅マンションの状況を正しく伝えましょう。「恥ずかしいから」とゴミの量を少なめに申告したりしてはいけません。
ゴミ屋敷片付け業者は毎日のようにゴミ屋敷を片付けています。よってゴミ屋敷を見ても、特別汚いとは思いません。
依頼をするのでしたら、ゴミ屋敷片付け業者を信頼して、全て正直に伝えることが大切です。
業者に片付けてもらうことをマンションの管理会社・管理人にも伝える
マンションのゴミ屋敷の片付けを業者に依頼する場合、管理会社や管理人にも伝えておきましょう。
なぜなら作業当日の駐車場の確保、オートロックであれば作業時間中のオートロックの解除、周辺住人への事前のお知らせ等が必要だからです。
管理会社への連絡は、ゴミ屋敷片付け業者ではなく住人が行う必要があります。当日の円滑な作業のためにも、必ず事前に伝えておきましょう。
ゴミ屋敷の片付けなら七福神にご相談を
ゴミ屋敷片付け業者への依頼は、七福神にお任せください。
七福神では、一軒家、マンションを問わず、最短即日でゴミ屋敷を片付けます。見積もりは無料ですし、友人や家族など周りの方にバレる心配もありません。
以下は七福神がゴミ屋敷の片付けを行っている様子です。
七福神のこれまでのゴミ屋敷/汚部屋の清掃実績については、以下のリンクにてまとめています。
まとめ
マンションをゴミ屋敷にしてしまうと、近隣住人に迷惑をかけるだけではなく、トラブルに発展する可能性があります。
またマンションの特性上、管理会社や管理人を経由しなければならないので迅速な対応が難しいです。
マンションのゴミ屋敷化は未然に防ぐに越したことはありません。すでにマンションがゴミ屋敷化してしまっている場合は、ゴミ屋敷片付け業者への依頼を検討しましょう。