最近増加中の「汚部屋」って何? その片付け方とは?

最近増加中の「汚部屋」って何? その片付け方とは?

ここ最近、広く知られるようになった「汚部屋」という言葉。一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
片付けられない、というと、なんとなく体力の衰えた年配者や認知症の高齢者が思い浮かびますが、実はそういった人ばかりではありません。「汚部屋女子」という言葉ができるくらい、女性にも片付けられない人が増えているようです。
一体、汚部屋の住人とはどんな人なのでしょうか。いつか片付ける時はくるのでしょうか。今回は、汚部屋の実態とその片付けについてご紹介します。

「汚部屋」とは、どんな部屋?

芸能人の汚部屋がテレビで放送されることがありますよね。足の踏み場もなく、浴槽までもがモノでいっぱい。一体どこで寝るのだろうと思うような部屋です。
でも、これ、実はまだマシなほうだったんです。
なぜなら、テレビで放送できるのですから。
気合いの入った(?)汚部屋は、そんなレベルではありません。もしも今、食事をしながらご覧になっている方は、この先はお食事が済んでからご覧になることをお勧めします。

汚部屋 その1

汚部屋01

「本物の汚部屋」は、まず家の中に入る段階から一苦労です。
うず高く積み上げられたゴミの山。玄関を開けるとドドッとなだれ落ちてきます。
ここから中に入るためには、ゴミの山をよじ登り、上の方に見えるわずかな隙間に体をねじ込まなければなりません。
室内はゴミに圧迫され、押された壁に穴が開いてしまうほど。空のペットボトル、コンビニの弁当がら、カップめんの空き容器……。ダンボールから生活用品まで、ゴミもそうでないものも全てごちゃ混ぜになっています。 この中に、大切なものや趣味のものもあるといいますが、一体どこにあるのか、保存状態はどうなのか、見当もつきません。 キッチンは常に使用後の食器でいっぱい。クローゼットにも不要なものがこれでもかと押し込んであります。はみ出した洋服は、ベランダに干したまま。雨で濡れる~乾くを繰り返し、それを着ているそうです。
当然、寝る場所などありません。この人は、あまりにゴミが溜まりすぎて部屋で生活できず、車中で寝泊まりしていました。

汚部屋 その2

また別の汚部屋も相当なものでした。
この部屋の主は、ぐちゃぐちゃになったゴミの上にマットレスを敷いて寝ていました。さらに、そんな中でもペットを飼い、部屋じゅうペットの糞まみれ……。
腐った食べ物で異臭が充満し、ご両親からの仕送りダンボールも開けられることなく、得体の知れないシミだらけ。ゴミが地層にように重なり、ゴミを退けた床は腐っていました。
生活スペースらしきものは、部屋の真ん中のわずかな部分だけ。小さな机とパソコンが置いてありました。

ゴミ屋敷01

つまり、その周りにどんどんゴミを放っていき、いつしかこんなゴミ部屋になってしまったというわけです。気がつけば、視界をコバエや小さな羽虫が横切って行きます。
もちろん、ゴミだらけでトイレも使えません。
ここまでくると、もう「捨てる」という選択肢がなくなるのか、大量のペットボトルの中に尿まで溜め込んでいました。

これが、テレビではとても放送することのできない、本物の汚部屋なのです……。

「汚部屋」に住むのは、どんな人?

さて、普通の感覚からはかけ離れた「汚部屋」。そこには一体どんな人が住んでいるのでしょうか。

  • 汚部屋女子の人物像とは?
  • 汚部屋女子チェックポイント

汚部屋女子の人物像とは?

汚部屋女子

確かに、体力、気力の衰えた高齢者や、おひとり様の男性にも汚部屋の住人は存在します。しかし、意外なことに、汚部屋に住むのは女性の方が多いのです。先ほど挙げた例も、30代、40代の働き盛りの女性たちの部屋でした。

汚部屋の住人は、外見からはなかなかわかりません。メイクも身なりもごく普通にして、きちんと仕事もやっている。さらに、ある程度の地位にいる女性も多いといいます。
そんな人が、家に帰ればゴミに囲まれて生活しているのです。
職業では、夜勤のある仕事や、普通の会社でもある程度の役職を持つ、忙しい人が多いようです。
多忙なので家が汚くなり、高給取りだからこそ、どうにもならなくなったら業者に依頼することができる、そんな人たちです。

また、汚部屋の住人に女性が多いのには、体力的な問題もあるかもしれません。
大きくて重いものを扱うのが大変なので、どんどん溜まっていくうちに、どうしようもなくなってしまいます。
実際、壁に穴が開いてしまうほどのゴミの量は、男性でも片付けるのが大変ですが、女性だと「もう無理」と諦めてしまうわけです。

汚部屋女子チェックポイント

そんな、汚部屋女子の特徴を挙げてみます。あなたも当てはまるものがないか、チェックしてみてください。

 バッグ・化粧ポーチの中がグチャグチャ
 財布が整理されておらずパンパン
 やたら荷物が多い
 車の中が汚い
 ハンカチを持っていない、持っていても取り出すのに苦労する
 職場のデスクが片付いていない
 スマホのガラスが割れたまま使っている
 こだわりが強いが、それ以外のことに関しては雑
 「無料」「お得」という言葉に弱く、タダであれば不要なものでももらってしまう
 近寄ると、かすかに甘いようなカビっぽい香りがする

いかがでしょうか。
特に、上の2項目は高確率で汚部屋女子であるポイントのようです。
部屋を片付けられないという状態は、持ち物にも表れてしまうものなのですね。

なぜ汚部屋になるのか?

発達障害

引っ越した時は、綺麗だったはずの部屋。それが、いつの間にか「汚部屋」になっているのはなぜなのでしょうか。それには、いろいろな理由があります。

  • 面倒くさがりで分類が苦手
  • 分類作業が苦手
  • 病気を抱えている場合

面倒くさがりで分類が苦手

出したものを元に戻すことや、ゴミを部屋のゴミ箱に入れるのさえ面倒だという人がいます。
開けたものは閉める。ものを所定の位置に置く。ちょっとしたことですが、確かに面倒くさいですよね。
でも、普通の感覚の人は、面倒さよりも、ものが所定の位置にないと気分がよくないという感覚や、衛生観念の方が先に立ちます。
しかし、汚部屋候補者は、この小さなハードルが越えられない。こうして、部屋は次第にカオス状態となっていくのです。

分類作業が苦手

分別

部屋を片付ける時には、仕分けが必要です。また、ゴミを捨てる時は、自治体のルールに従い、可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミなどに分類しなくてはなりません。
この「分類する」という作業が苦手だと、ついゴミを捨てるのが億劫になり、ゴミが溜まっていってしまうわけです。

病気を抱えている場合

だらしない性格なのではなく、病気のために汚部屋の住人となってしまう人もいます。

発達障害を抱えている人

発達障害

「発達障害」も最近よく耳にする言葉ですね。片付けのできない人の中には、大人の発達障害を抱えているケースがあります。
「ADHD(注意欠陥多動性障害)」の人は、物事に集中することが著しく苦手です。そのため、部屋を綺麗に保つことができず、汚部屋化させてしまうことがあります。
また、「アスペルガー症候群」を抱えている人は、予想や想像をすることが苦手です。そのため、どこに何を置けばうまく物が収まるか想像することができず、汚部屋化させてしまうことがあります。

精神疾患を抱えている人

「セルフネグレクト」は、「自己放任」という意味です。文字通り、自分自身に関心がなくなり、全てを放り出したくなるために、部屋がどんどん散らかり続けてしまうのです。
これは、汚部屋化の主な原因となる精神疾患とされています。
また、「統合失調症」は、現実と妄想の区別がつかなくなる精神疾患です。部屋を片付けることはおろか、社会生活を送ること自体が困難となる重い病気です。
高齢者に多いのが、脳の疾患である「認知症」。統合失調症と同様の症状と理由で汚部屋化してしまいます。

汚部屋からの脱出~「部屋活」のススメ

最近では、部屋を綺麗にする活動、「部屋活」という言葉も生まれています。そこで、「部屋活」で気をつけるべきポイントをお教えします。

  • 背の低い家具を使っていませんか?
  • 部屋全部を使っていますか?
  • 収納家具をどのくらい使っていますか?

背の低い家具を使っていませんか?

家具

私どもの経験から言って、汚部屋には背の低い家具が多いようです。
インテリア本や雑誌などでは、座卓や座椅子、ローテーブル、こたつなど、背の低い家具で部屋を広く見せるオシャレな部屋作りを提案していることが多いのですが、実はこれ、汚部屋の第一歩なんです。

低い座卓に座る生活をしていると、座った半径に手を伸ばしてすぐ取れる場所にものを置くようになっていきます。これが、やがて汚部屋となるわけです。
「割れ窓理論」をご存知でしょうか。人は、窓が割れている建物を見ると、「ここは汚してもいい場所だ」と思う心理作用があるそうです。
それと同じで、床に物が置いてあると、次第に「ここは汚してもいいんだ」と思うようになり、どんどん汚すようになります。実際、汚部屋の住人には、「この状態の方が、どこに何があるか分かるから便利」と思い込んでいる人も多いのです。

逆に、背の高い家具を使っていると、床と距離ができますよね。床を床と意識すると、ゴミは捨てにくいものです。
座卓は足つきテーブルに、敷き布団やマットは足つきベッドに変えて、床から離れた生活にすると、汚部屋への一歩を食い止めることができます。

部屋全部を使っていますか?

汚部屋02

「どこに何があるか分かるから便利」な汚部屋に住んでいる人は、こたつや座卓に座ったまま、テレビを見たり、ゲームをしたりしています。
いちいち立たなくても、パソコンでネットもできますし、電気ケトルでお湯を沸かせばお茶だって飲めます。疲れれば、そこで寝てしまえばいい。
このように、“1つところ”で全てのことが済んでしまう部屋は、四隅が全く使われていません。いつも座っている場所だけが孤島のように独立している状態です。 その周りは、ゴミ捨て場のように散らかり放題になっていきます。

そこで、1つのところにずっといるのをやめて、使っていなかった部屋の四隅にモノや家具を分散してみましょう。
パソコンはデスクに置く、テレビは反対側の隅に置き、ベッドをまた別の隅に置く、というように。場所が余れば、観葉植物を置いたりしてみるのもいいですね。
こうすると、必然的に部屋の中を動き回る生活に変わります。これまでよりは移動距離や時間がかかりますが、独立した空間をなくすことによって、部屋全体が汚れないようになっていくのです。

収納家具をどのくらい使っていますか?

汚部屋の住人には、タンスやドレッサーなど、部屋に置くタイプの収納家具をたくさん使っている人が多いように見受けられます。
収納家具が多ければ、部屋は片付きそうに思えますよね。でも、実はそれ、大きな誤解なんです。

元来、片付けが苦手な汚部屋の住人は、収納家具に物を入れただけで「片付けた」という気持ちになってしまいます。実際は手当たり次第にモノを突っ込んでいるだけなのに……。
たとえ全く分類されていなくても、モノが見えなくなっただけで安心してしまい、その中身を見直すことはしないのです。収納が足りなくなると、また新しい収納家具を買い、それにモノを放り込んでまた安心します。
このような悪循環を繰り返すうち、収納家具が部屋を埋め尽くすことになります。中に何が入っているかも分からなくなったまま……。

掃除

汚部屋から脱出するには、モノを捨てることも大切ですが、同じくらい、収納家具、収納用品を捨てることも大切なのです。
収納家具・用品は、部屋の広さに見合うものだけを置くようにしましょう。
そして、その中に収納できるだけの量のモノを持つよう整理すれば、部屋にモノが溢れることもなくなるのです。

不潔な部屋での生活は、気持ちを暗くし、健康を損ねます。汚部屋女子だって、もちろん好きで汚部屋に住んでいるわけではありません。誰だって、部屋は綺麗な方がいいのです。
綺麗な部屋は、モノを把握できるので無駄遣いをしなくなり、お金が貯まるようになります。ストレスに強くなるホルモンが分泌されて、気持ちも軽くなります。
また、整理整頓がされていると、これまで出かけにモノを探していた無駄な時間が省け、遅刻もなくなるでしょう。時間に余裕ができれば、趣味や自分磨きの時間も増えます。特に女性には大切なことですよね。
部屋活効果によって女性としての余裕や魅力が増し、結婚に結びついた人もいます。

遺品整理業者は、整理・片付けのプロでもあります。どうしても片付けることができない人、自分ではどうにもできない汚部屋になってしまった人は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。