有名人・芸能人が語る終活~「終の住処」「終末医療」「財産」

有名人・芸能人が語る終活~「終の住処」「終末医療」「財産」

テレビや雑誌など、メディアで多く取り上げられるようになった芸能人の終活。
メディアで取り上げられるということは、それだけ終活が一般の関心を集めているということでもあります。

でも、芸能人だからといって、単に流行りのものを追いかけているわけではなく、かなり本気で終活を行っている人が多いようです。
なかには、不慮の事態に備え、飛行機に乗る際は、荷物の中に必ず遺書を入れている人もいるほど。

いつ訪れるか分からない「死」。
「死」を深く考え、身辺を整理しようという気持ちは、一般人と変わりません。

終活をする芸能人は、今後も増えるでしょう。
それによって、「終活」はさらに広がり、多くの人が興味を持つことになると思われます。

そんな、芸能人が行っている終活をまとめました。

芸能人の語る終活~終の住処編

年齢を重ねて心配になることの一つが、家のこと。
若い頃には家族で暮らした家も、夫婦だけになったり、一人だけになると管理しきれないことがあります。
これが、全国で深刻になっている「空き家問題」に繋がります。

また、賃貸では、孤独死に伴う問題が多々発生しています。
さらに、もし身体が不自由になったり、痴呆の症状が出て一人での生活が難しくなったら・・・そんな時に備えて、終の住処について考えておくのも大切です。

錦野旦さん(1948年12月14日生まれ)

歌手の錦野さんの目標は、夫婦で宝くじを当てて、元気なうちに有料老人ホームに入ること。
今、夫妻が目を付けているのは、2人で2億9800万円の施設だそうです。

錦野さんが終活を始めたのは、義理の母を義理の母を見送ったこと。
くも膜下出血で、いわゆる突然死だったのですが、義理のお母様は、家族が困らないよう、書類や通帳、葬儀代の指示などについてまとめたファイルを作っていたそうです。

これがきっかけになり、錦野さんも終活を始めたとのこと。
現在、通帳や保険などの方法をすべて書き出した書類を作り、コピーを取って夫婦で1部ずつ持っているそうです。

北大路欣也さん(1943年2月23日生まれ)

俳優の北大路さんは、2014年、奥さまともに、介護付き有料老人ホームに入居しました。
その施設は都内の一等地で、ホームドクターと専属看護師、ケアスタッフが24時間常駐しており、医療・介護態勢も万全だそうです。

北大路さんが老人ホームに入居したのは、奥さまのため。
撮影で多忙な毎日を送る北大路さんは、どうしても家を空けがちになってしまいます。
現在は健康な奥さまですが、自分が不在の間に妻に何かあったらと心配でならないそうです。
お子さんがいないだけに、万が一のリスクを考え、若いうちから安心できる施設に入ることを決めたとのこと。

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実は、北大路さんは、自身のご両親も施設に入居させています。
きっかけは、お母さまの足が悪くなったで、ご両親2人の生活に不安を抱き、安心できる施設に入居させたのです。
この経験が、自身の将来について考えるきっかけになったんですね。

芸能人の語る終活~終末医療編

秋野暢子さん(1957年1月18日生まれ)

女優の秋野さんは、60歳を超えて日本尊厳死協会へ入会したそうです。

日本尊厳死協会では、人生の最終段階(終末期)を迎えたときの医療の選択について事前に意思表示しておく文書「リビング・ウィル」を発行しています。
回復の見込みがない場合、延命措置をして少しでも生きたい人もいれば、安らかにその時を迎えたいと考える人々もいます。

延命措置を控えてほしいと思う人が、「自分の命が不治かつ末期であれば、延命措置を施さないでほしい」旨を表明する文書が「リビングウィル」です。
もし、意識がなくなったり、自分で判断がつかない状態になった時も、この文書があれば、延命措置を控えてもらい、苦痛を取り除く緩和に重点を置いた医療に最善を尽くしてもらうことができるのです。

秋野さんのお母様は、いつも「元気なうちから絶対に延命しないで」と言っていたそうです。
そして、60歳になったときに同協会に入会しました。

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お母様が78歳で危篤状態になった時、秋野さんは希望どおり延命治療を断りました。
のちに、それでよかったのか思い悩むこともありましたが、自身が還暦を迎えた時、あれは娘に迷惑をかけないための愛情だったのだと気づいたそうです。

何を幸せと思うかは、人それぞれです。
大切な家族は、どんな状態になっても生きていてほしいと思う人がいても当たり前です。
それでも、もし、家族に負担をかけないことを選ぶのであれば、「リビングウィル」を持つのも一つの方法でしょう。

故・愛川欽也さん(1934年6月25日〜2015年4月15日)

2014年12月に末期の肺がんが発見された愛川欽也さんは、翌2015年の年明けより在宅医療を受けました。
同年3月に、自宅に介護ベッドや点滴器具が入るのが目撃され、愛川さんのがん闘病が世間に知られるところとなりました。

芸能人で在宅医療を受ける人はあまり多くありませんが、実はプライバシーを守りやすい治療です。

病院に入院する場合と違い、家に出入りする人は介護者、主治医と訪問看護師1~2名と限られてきます。
そのため、終末期を静かに過ごすことができるのです。

介護をした奥さまのうつみ宮土理さんは、愛川さんが亡くなった後の記者会見で
「病院へ行く、入院させるという考えは、頭にちらとも浮かびませんでした。自宅で、私の横で、私も頑張ってなんとか元気にさせたいと思いました。病院に、なんていう2文字は浮かんだことがありません。病院へ行ったら治るものですか? それよりも、愛川が家が好きだということを知っているし、私の横にいるのが好きなことを知っているので、うちに来てくれるお医者様と一緒に頑張りました」
と語っています。

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現代では、自宅でも病院やホスピスと同等の緩和ケアが受けられるようになりました。
元キャスターの小林麻央さんも、終末期には自宅に戻って緩和ケアを受けていたのは記憶に新しいところです。

愛川さんのような肺がんの末期というと、酸素吸入や痰の吸引器など、たくさんの器具やチューブに繋がれた最期を想像するかもしれませんね。
でも、在宅医療の場合、それらの管とはほぼ無縁。
自然の経過にまかせて徐々に枯れていくような最期、つまり「平穏死」を迎えることができるそうです。

日本人の死因の第1位は、がんです。
今は元気でも、いざという時のことを考えておいたほうがいいかもしれません。

それには、家族とよく話し合っておくことが大切です。
また、医療の手段に限らず、献体などについても、家族と話し合っておくとよいでしょう。

芸能人が語る終活~財産編

人が亡くなった後に一番問題になりやすいのが遺産相続です。
仲の良かった家族が、遺産相続を巡ってドロドロした争いを・・・などという、ひと昔前のドラマのようなことが本当に起きることも珍しくありません。

大切な家族を無駄に争わせないために、相続について生前に決めておくのは大切です。

ビートたけしさん(1947年1月18日生まれ)

テレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル」で、「遺産の相続争い」をテーマにした回で、タレント・映画監督のビートたけしさんは、すでに自身の財産を生前贈与したと語っています。

番組の中では、遺言書を書いているかどうかを聞かれたのですが、たけしさんは、「全部あげるって言って、あげちゃったよ」と遺産をすべて生前贈与したと明かしています。
生前贈与した理由は「自由に生きて迷惑をかけているから」、「死後に遺産の取り合いになるのが嫌だから」とのことです。

坂上忍さん(1967年6月1日生まれ)

タレントの坂上忍さんは、まだ50 代に入ったばかり。
でも、50代に入る前、なんと49歳という若さで相続や葬儀などについての整理を終了しています。

フジテレビ系『バイキング』やTBS系『櫻井・有吉THE夜会』で終活について話した坂上さんは、もともと50歳までにすべてを終わらせると決めていました。
税理士や弁護士に相談をしながら、遺言書の作成から勤続25年のマネージャーさんへの退職金について、愛犬の譲渡先など、お金の流れから逝去後のことまで全て整理済みなのだそうです。

50歳を目前に終活をし終えた理由について尋ねられると、「だって思うでしょ? 僕そんな長生きしそうにないって」と語っていました。

故・有賀さつきさん(1968年9月9日〜2018年1月30日)

元フジテレビの人気アナウンサーで、アイドル女子アナの元祖として活躍した有賀さつきさん。

周囲に病気のことを明かすことなく、亡くなる1ヶ月前まで仕事を続けていたことは、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。

ご本人の希望により病名は今も明かされていません。
最後も誰にも看取られることなく、病院のベッドで旅立ちました。
「自分ができることを精一杯行い、静かに去っていく」というのが有賀さんの信条だったのでしょうね。

そんな有賀さんは、自分の死期が近づいていることを感じたとき、銀行口座など自分しかわからないものをきちんと整理していたそうです。
衰弱し、点滴を受けながらも亡くなる朝まで1人でトイレに行っていたという有賀さん。
徹底して人に迷惑をかけたくないと、矜持を保った有賀さんの生き方は、立派というほかありません。

芸能人 終活 財産

明るい終活から壮絶な終活まで、芸能人のさまざまな終活をご紹介しました。
ここでご紹介した人々に共通しているのは、「人に迷惑をかけたくない」という気持ちではないでしょうか。

人は一人で生きることはできません。でも、死んでいく時は一人です。
最後の時、潔くあとを濁さず旅立ちたい。
元気なうちに死について考え、終活をしておくことは、他人のためだけでなく、これからまだ生きていく自分のためになるはずです。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。