遺品整理で困る「乗り物」の処分費用

遺品整理で困る「乗り物」の処分費用
乗り物の処分

遺品整理で困るモノといえば、ベッドやタンス、ダイニングセットなどの大型家具、冷蔵庫、エアコン、洗濯機などの大きな家電があります。
これら家の中にある粗大ゴミを処分しても、まだまだ安心してはいられません。
家の外を見てみると、乗らなくなった自動車やバイク、自転車などが残っていませんか?
こういった「乗り物」は、まだまだ使えるような状態であれば、相続人同士で話し合い、遺産として相続することができます。
しかし、もう乗れる状態ではなく遺産として価値がない、平たくいえばボロボロの状態であった場合には処分するしかありません。
……でも、自動車やバイク、自転車って、どうやって捨てればいいの?
困ってしまう乗り物の処分についてご説明します。

自転車を処分するための5つのポイント

日常生活の足として使う人から、健康に重きを置く人まで、自転車の利用はますます増えています。それと同時に、ルールも厳しくなってきました。
特に、盗難車輛については、処分する時にもチェックが厳しくなっています。
そんな自転車の処分するためには、主に次のような5つのポイントがあります

  • 自治体に引き取ってもらう
  • リサイクルショップや不用品回収業者に引き取ってもらう
  • 自転車店に引き取ってもらう
  • 電動アシスト自転車の処分方法
  • 高級ロードバイクの処分方法

自治体に引き取ってもらう

自転車はほぼ100%粗大ゴミですので、各自治体で引き取ってくれます。
回収に来てもらう場合も、自分でゴミ処理センターに運ぶ場合も、所定の粗大ゴミ処理料金が必要となりますので、居住地区の自治体に問い合わせましょう。
また、自治体によっては、不法投棄防止のため、無料で持ち込みできるところもあります。ただし、自転車の持ち主や、その家族以外の方が持ち込む場合は、持ち主からの譲渡証明書や防犯登録番号変更の手続きが必要となる場合がありますので、事前に確認しておくようにしましょう。

リサイクルショップや不用品回収業者に引き取ってもらう

同じ粗大ゴミのなかでも、自転車と家具などの違いは何でしょうか。それは、車体番号や防犯登録から所有者がすぐに割り出せることです。
つまり、自転車は、盗難品なのか、そうでないのかということがハッキリわかるモノだということです。
廃棄した場合は、ゴミとして完全に処分されてしまいますが、リサイクルショップや不用品回収業者は、引き取った自転車を転売するケースがほとんどです。
次に誰かが、その自転車を再利用するには、元の持ち主の防犯登録を解除する必要がありますが、防犯登録の解除は、自転車協会に加入していなければできません。
リサイクルショプなどを利用する場合は、防犯登録の解除ができるかどうかを必ず確認しましょう。そうしないと、ある日、警察から確認の電話がかかってくるようなことになりかねません。

自転車店に引き取ってもらう

不用となった自転車は、自転車店で引き取ってくれる場合もあります。
自宅近くに自転車店があれば、料金など確認してみましょう。自転車店であれば、防犯登録の解除ができるので安心です。

電動アシスト自転車の処分方法

最近、電動アシスト自転車が急激に増えています。
電動アシスト自転車は、車体そのものは、普通の自転車と同様に粗大ゴミとして処分できます。しかし、電池(ほとんどがリチウムイオン電池)にはリサイクル可能な物質が含まれていますので、適正な処理が必要です。
そのため、自治体でも、電池を外した状態でないと引き取ってもらえない場合があります。
電池は自転車店やメーカーで引き取っていますので、問い合わせてみましょう。

高級ロードバイクの処分方法

高級ロードバイクの処分方法

少年漫画のテーマにもなり、注目を集めているロードバイク。最近では、通勤に利用している人も見かけるようにもなりました。
ロードバイクは、いわゆるママチャリとは違い、安いもので15~20万円、高いものでは40万円以上もする車種があります。
もし、故人の遺した自転車がママチャリではなくロードバイクなら、これは価値の高いものですから、遺産の一部となる場合もあります。専門店で査定してもらうことが必要です。
もし、傷が多かったり故障したりしていて価値が低いと思われても、すぐに捨てるのは得策ではありません。なぜなら、ロードバイクは、パーツ単位で買い取ってもらえる可能性が高いからです。
普通に処分すると「粗大ゴミ」扱いとなり費用がかかってしまいます。買い取りに出すほうがベターな選択といえるでしょう。
ロードバイクを売るには、次のような方法があります。

a.オークションに出す

パーツごとに価格を自由に決められるので、無駄のない取り引きが可能です。 ただし、ロードバイクに関する知識がないと難しいかもしれません。
また、ロードバイクは小さなものではないので、配送に注意が必要です。

b.自転車店で下取りに出す

もし遺族の方が新しい自転車を買うタイミングであれば、下取りに出すことが可能です。
買い取り専門店と比べると査定額が低いケースもありますが、手間がかからず、新しいものが安く買えるのがメリットです。

c.リサイクルショップ、自転車の買い取り専門店に出す

自転車の処分

金額はお店によって違うため、どちらが得かは断定できません。しかし、専門的な知識がある専門店の方が、そのバイクの価値を理解してくれるでしょう。
故人の愛車であった自転車でもあります。正当な価格をつけてくれる専門店に出すことが、故人への供養のひとつになるかもしれませんね。

バイクを処分する際に注意すべき2つのポイント

以前は、不用となったバイクは自治体でも回収・処分していました。
しかし、平成23年10月1日より「二輪車リサイクルシステムにおける無料回収」の対象範囲が拡大したため、自治体での回収は取りやめる流れとなってきています。

  • 二輪車リサイクルシステムとは?
  • 廃棄二輪車取扱店で引き取ってもらう

「二輪車リサイクルシステム」とは?

「二輪車リサイクルシステム」とは、国内で販売した二輪車が使用済みになったとき、引き取りから処理・再資源化まで適正に処理する取り組みのことです。
国内製造事業者・輸入事業者16社が自主的に行っているもので、指定引き取り場所に持ち込めば、無料で処分できます。
このシステムがスタートしてから、対象車両には「リサイクルマーク」が付くようになりました。

以前は、このマークが付いていない車両を処分する場合は費用が必要でした。しかし、平成23年10月1日から、マークの有無に関係なく、全ての車両を無料で処分することができるようになったのです。
現在、対象となるバイクは原動機付自転車・軽二輪・小型二輪で、フレーム(ボディ骨格)、エンジン、ガソリンタンク、ハンドルがあり、前後輪(ホイール)が、一体となっていることが条件です。
一部の部品欠損やキズの有無、動く・動かないは問われません。
ただし、出張回収は行っていません。引き取り場所まで自分でバイクを運ぶ必要があります。

廃棄二輪車取扱店で引き取ってもらう

二輪車リサイクルシステムでは、自転車、ATV・バギー車、サイドカー、ポケバイ、また、バッテリーや部品のみは引き取ってもらえません。また、並行輸入車両など、参加事業者以外が販売した車両も対象外となります。
このような、二輪車リサイクルシステム対象外のバイクを処分したいときは、廃棄二輪車取扱店(中古バイクを扱っている専門店)に依頼するとよいでしょう。
バイクは、点検・整備することでバイクとして再利用できる場合があります。また、部品も再利用できるので、たとえもう乗れなくても、部品として売れるケースがあります。
リサイクルの観点からも、廃棄二輪車取扱店に相談してみましょう。
こういったお店では、引き取りに来てくれるだけでなく、ナンバー廃車手続きなども代行してくれるところがほとんどです。最近はインターネットでの査定もできますので、ネットを活用するのもよいでしょう。

バイク査定

自動車を処分する場合の3つのポイント

所有者が亡くなり、残された車を処分したいとき、どうすればよいのでしょうか。
その車がどのような車種か、また、どのくらいの年数がたっているか、どれくらいの距離を走っているかで、売るか、廃車にするかが変わってきます。

  • 自動車を相続する場合に必要な手続きとは?
  • 廃車にする場合の費用は?
  • 相続した車を売りたい場合は?

自動車を相続する場合に必要な手続きとは?

買い取りか廃車か決める前に、まずは、車の名義を変更する必要があります。
持ち主が亡くなったあと、自動車の名義は相続人全員の共有となりますが、相続人のうち誰か1人が代表で相続し、引き続き乗ったり、売ったりするケースが多いようです。
その際、自動車の名義を相続人に変更する手続きが必要になります。

自動車相続手続きに必要な書類(複数の相続人のうち1人が相続する場合)

  • 故人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
  • 相続人全員の記載がある戸籍(除籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 名義を取得する相続人の実印と印鑑証明書
  • 遺産分割協議書
  • 車検証
  • 車庫証明書(故人と同一の車庫を、故人と同居していた相続人が引き続き利用する場合は不要)

以上を用意し、管轄の運輸局で所定の手続きをします。

廃車にする場合の費用は?

車を処分するときは、「廃車手続き」をします。この場合、所有者は亡くなっているため、代理人がこの手続きをすることになります。

運輸局で廃車手続きをする際に必要な料金は、

  • 抹消登録費用(法定登録費用)……350円(+約100円の申請書代)
  • 代書費用……約2,000円(抹消登録の申請書類を行政書士に作成してもらう費用)
  • 手続き代行費用……約6,000円~10,000円(抹消登録の申請手続きを行政書士に依頼する場合の費用)

所有者が亡くなった場合、遺産関係でさまざまな問題が発生する場合があるため、司法書士などの専門家に相談するとよいでしょう。
その他には、

  • 廃車引取り費用……廃車を自宅車庫などから引き上げてもらう費用です。価格は、レッカー車による牽引・積載が必要な場合や、搬送距離に応じて変わります。
  • リサイクル料……リサイクル料金は、原則として、新車購入時に負担することになっています。2005年2月以降に車検を取った車や購入した新車は、リサイクル料の納付が行われています。

一般の車両のリサイクル料金は、6,000円~18,000円と幅広く、これは自動車のメーカー、車種、エアバッグなどの装備によって、1台ごとに異なるためです。
相続した自動車のリサイクル料金は、「自動車リサイクルシステム」のホームページで車台番号や登録番号を入力すると照会することができます。 

  • 解体費用……解体業者が請求する、リサイクルされない車体部分の解体費用です。鉄スクラップの買い取りなどにより相殺されるケースが多くなっています。

また、使用済自動車は、車検の有効期間が残っていれば、その期間に応じて自動車重量税の還付を受けることができます。
各申請は、運輸支局などにおいて、永久抹消登録などの申請と同時に行いましょう。

相続した車を売りたい場合は?

相続した車を売りたい場合は、主に次の方法があります。

  • 友人、知人に売る
  • ディーラーに下取りに出す
  • 中古車買い取り業者に売る
  • オークションに出す

一般的には、ディーラーに下取りに出すか、中古車買い取り業者に出すことが多いでしょう。
業者の場合、インターネットで査定できるところがほとんどです。複数の業者で査定してみて、大まかな買い取り価格を知っておくとよいでしょう。
業者に売る場合は、名義変更などを代行してくれる場合もありますので、併せて問い合わせましょう。
また、自動車を中古車として売ると、リサイクル料金が戻ってきます。売却した際には、リサイクル券を次の所有者に渡すとともに、車両価値金額+リサイクル料金を受け取ってください。
ただし、リサイクル料金のうち資金管理料金だけは、支払った時点から資金(リサイクル料金)の管理が始まるので、リサイクル料金を最初に支払った所有者の負担となります。

車の処分

乗り物の処分方法で安心なのは……

モノを捨てるのって、思っていたより大変ですよね。まして、大きなものや、今回のテーマである自転車やバイク、自動車など、持ち主の登録が必要なものは尚更です。
自分で処分するのが大変な場合、一番安心して任せられるのはどこなのでしょうか?
まず、遺品整理を依頼するときに、廃車手続きもできる業者を探すのが近道のひとつです。
廃棄するのであれば、リサイクルなどの観点から、モノの廃棄に必要な資格を持っているかどうかを確認してください。
また、買い取りを希望しているのなら、中古品の売買ができる「古物商」の資格を持っている業者かどうかを、必ず確かめましょう。
資格を持っていない業者では、不法投棄をしたり、不当な値段でモノを売ったりして、巡り巡って、元の持ち主であるあなたに責任がかかってくるケースもゼロではありません。
遺品整理業者が増えている今だからこそ、信頼できる業者に任せたいものです。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。