遺品整理とごみ処分~これだけ違う! 各自治体のごみ処分ルール

遺品整理とごみ処分~これだけ違う! 各自治体のごみ処分ルール

生活していれば、毎日出る「ごみ」。
ごみを出す時は、燃えるもの、燃えないもの、資源ごみなどに分別しなくてはなりませんよね。
この分別・処分ルール、実は各自治体によってかなり違うんです。地域によってはかなり細かく、正直言うと、とても面倒。
ある地域では、お菓子の包み紙ひとつ捨てるにも、「菓子折りの化粧箱と包装紙は資源ごみ」、「その中のお菓子の個別包装紙は燃えるごみ」、「箱の中のプラスチック製仕切りは燃えないごみ」といった具合に、たった1箱のお菓子をいくつにも分けて出さなくてはなりません。
こういったごみ分別ルールの細かさが、1人暮らしの高齢者宅のゴミ屋敷化の原因になっているという見方もあるほどです。

また、分別の仕方だけでなく、出し方も煩雑です。
燃えるごみは何曜日と何曜日、燃えないごみはいつ、ペットボトルの回収は……と、何度にも分けて出さなくてはなりません。「その日を逃したら、次は半月後になってしまう!」と、忘れないようカレンダーに印をつけている方もいらっしゃることでしょう。
今回は、そんな、ごみの分別と処分について見ていきます。

ゴミの種類と分別の基本ライン(各自治体で回収できるもの)

最初に、ゴミの種類にはどんなものがあるのか、おさらいしておきましょう。

  • 可燃ごみ
  • 不燃ごみ
  • 資源ごみ
  • 粗大ごみ

可燃ごみ

いわゆる「燃えるごみ」のことです。

  • リサイクル資源にならない
  • 燃やしても害がない
  • 燃やすことで衛生的に処理できる

ものを指します。
自治体によって異なりますが、主な可燃ゴミは、紙や木でできている不用物や、台所で出る生ごみなどです。

[主な可燃ごみ]

  • 台所の生ごみ
  • 木くず
  • 衣類
  • 再利用できない紙製品(ティッシュペーパーや紙おむつ、紙くず、紙コップや紙皿、写真など)
  • 「容器」や「包装」以外のプラスチック製品(歯ブラシ、ポリバケツなど)
  • プラスチックマーク付きで、汚れの落ちないもの(歯磨き粉などのチューブ、マヨネーズなどの容器など)
  • CD、DVD、ビデオテープ
  • ゴム製品(ゴム手袋、ゴム長靴など)
  • 皮革製品(革靴や革製バッグなど)
  • 落ち葉、剪定した枝、草

不燃ごみ

「不燃ごみ」とは、燃えないものと、燃やすことで有害なガスを発生させる可能性のあるものです。不燃ごみには、金属や小型電化製品など、資源として再利用されるものもあります。

[主な不燃ごみ]

  • ガラス・びん類(割れた食器や花瓶、電球など)
  • 陶器・せともの類
  • 金属製品、大半が金属でできているもの(鍋、はさみ、傘など)
  • スプレー缶

資源ごみ

資源ごみとは、資源として再利用のできるごみのことで、リサイクルごみとも言います。ほとんどが、汚れを落としてから出す必要があります。

[主な資源ごみ]

  • 缶(飲料・食品用のアルミ缶、スチール缶)
  • ガラスびん(飲料・食品用)
  • ペットボトル
  • プラスチック製容器包装(卵などのパック、カップラーメンのカップ、ビニール袋、発泡スチロール、シャンプーなどの空きボトル、肉・魚など食品販売のトレイ、ネット、ペットボトルのラベルやふたなど)
  • 新聞紙、雑誌
  • 段ボール

地域によって種類や出し方が異なります。新聞紙や段ボールなどは「古紙回収」として別に行っている地域もあります。

ゴミ収集

粗大ごみ

粗大ごみとは、日常生活から出るごみで、可燃ごみや不燃ごみ、資源ごみとして出せないごみのうち、自治体で処理できるものをいいます。ほとんどの自治体で、一辺がおおむね30cm以上あるものを粗大ごみとしています。
また、引っ越しや大掃除などで一時的に多量に出たごみも、粗大ごみとして収集を依頼したり、持ち込んだりすることができます。

[主な粗大ごみ]

  • タンス、食器棚
  • テレビ台
  • ベッド、マットレス
  • ソファーや椅子
  • 自転車、三輪車など
  • たたみ、じゅうたんなどの敷物

地域により、粗大ごみに分別される不用品の種類は異なります。

自治体で回収できないごみ

  • リサイクルが義務づけられた家電
  • 有害性・危険性のあるもの、特殊なもの

リサイクルが義務づけられた家電

「家電リサイクル法」という法律により、リサイクルが義務づけられた家電は、自治体で回収することができません。
「家電リサイクル法」は、特定家庭用機器廃棄物から有用な部品や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用を推進するための法律です。
この法律で指定された家電は、法律にのっとって処分しなくてはなりません。

a.家電リサイクル法に基づいた4品目

  • エアコン
  • テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)
  • 冷蔵庫・冷凍庫
  • 洗濯機・衣類乾燥機

これらの家電を処分したいときは、購入したお店、または買い替えをするお店で引き取ってもらうことができます。
購入したお店が不明の場合や、買い替えでなく捨てたい場合は、家電リサイクル受付センターへ申し込みます。この場合、リサイクル料金、運搬費用が必要となります。

b.パソコン(パソコンリサイクル法対象の品目)

家庭で不用になったパソコンは、各メーカーが回収し、再資源化します。
メーカーに依頼する際、リサイクル料金がかかりますが、平成15年10月1日以降に販売され、PCリサイクルマークがついているものは、販売価格にリサイクル料金が含まれているため、無料で回収されます。

自作のパソコンや、事業撤退・倒産したメーカーのパソコンなど回収するメーカーがないパソコンは、パソコン3R推進協会へ問い合わせましょう。

リサイクル

c.金メダルが作れる? 小型家電リサイクル法に基づいた家電

平成25年4月からは、「小型家電リサイクル法」に基づく小型家電の回収・リサイクルが開始され、一部の家電量販店や市区町村ではパソコンの回収も行われるようになりました。
小型家電には、鉄、アルミ、金、銀、銅、レアメタルといった有用な金属が含まれています。この貴重な資源を集めると、資源国に匹敵する鉱物資源が得られるともいわれています。
また、鉛などの有害な物質を含むものもあるため、適正な処理が必要です。しかし、これまで、鉄など一部の金属を除き、もったいないことに、その大半が廃棄物の埋め立て地に処分されてきました。
東京などの大都市には、こうした貴金属が廃棄物として大量に存在することから、鉱山に見立て「都市鉱山」などと呼ばれています。この貴重な資源を大切に使うと同時に、環境を守るために、この法律が定められました。
日本の都市鉱山には6800トンの金や6万トンの銀、3800万トンの胴が眠っているといわれています。そこで、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、メダル製造に都市鉱山を活用することについて検討しているそうです。
もしかしたら、2020年の東京オリンピックでは、あなたが出した使用済みスマホからメダルが作られるかもしれませんね。

[小型家電リサイクル法によって回収される主な品目]

  • 携帯電話・PHS端末
  • パソコン(ディスプレイを含む)、タブレット端末
  • 電話機
  • デジタルカメラ、ビデオカメラ、フィルムカメラ
  • 映像用機器(DVDビデオ、HDDレコーダー、チューナーなど)
  • 音響機器(携帯音楽プレーヤー、ヘッドホン、ICレコーダー、補聴器など)
  • 補助記憶装置(ハードディスク、各種メディア)
  • 電子辞書、電卓
  • 理美容機器(ヘアドライヤー、ヘアーアイロン、電気かみそり、電動歯ブラシなど)

このほか、現在96品目が確認されています。

有害性・危険性のあるもの、特殊なもの

有害性があるもの、引火性のあるもの、危険なもの、著しく悪臭を発するものなどは、自治体では回収できないことがあります。
これらの処分方法は、購入店やメーカー、または清掃事務所に問い合わせてください。

  • ガスボンベ
  • 石油
  • 塗料
  • バッテリー
  • 花火
  • マッチ
  • 消化器
  • ピアノ
  • 耐火金庫
  • タイヤ
  • 土、砂

など

なぜ地域によってごみの分別方法が違うの?

前半では、おおまかなごみの種類を見てきましたが、細かい分別方法は自治体によって異なります。わりと大雑把な地域もあれば、かなり細かく分類しなくてはならない地域もあります。
環境省が発表している「一般廃棄物処理実態調査」の結果によると、ごみの分別は多くの自治体で11~15種類に分類されています。これをさらに細かく分けている自治体もあります。
各自治体の取り組みも様々で、たとえば横浜市は、2005年度からごみの分別を10分別に増やしています。人口変動が多い地域であることから「横浜市ごみ分別アプリ」というアプリを作り、分別を促しているほどです。
その一方で、東京23区では、2008年4月からプラスチックなども「燃やせるごみ」として、分類を減らしています。
なぜこんなに違うのでしょうか?

理由その1:ごみの分別ルールは国が統一していない

ごみの分別に地域差があるのは、分別ルールは、国ではなく、各自治体がそれぞれ決めていることが大きな理由として挙げられます。
この背景には、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」があります。
各市町村は、この法律に基づき、その地域の実情に応じて適切な一般廃棄物処理計画を決める必要があり、循環型社会をつくる取り組みを進めていくように定められています。

理由2:“地域の事情”とは?

a.埋め立て処分場の不足

地域ごとの「事情」のひとつに、埋め立て処分場の問題があります。
人口が多い都市の場合、出るごみは多いのに、それを埋め立てる処分場が不足する傾向にあります。そのため、「燃やせるごみ」の品目が増える=分類が少なくなるわけです。

b.焼却技術の向上

現在では、ごみの焼却技術が向上しています。そのため、プラスチックを燃やすための高温焼却ができるようになり、ダイオキシンの発生が抑えられるようになりました。
また、「サーマルリサイクル」という、焼却時の熱を利用して発電などの熱源に利用できる技術も進んでいます。

ごみの焼却技術

c.人件費の問題

東京のように人口が多い都市では、ごみも多くなります。
それらを細かく分別しようとすると、分別ごみの種類に合わせて、ごみ収集車もたくさん出さなければならなくなります。すると、当然、働く人の数も増え、コストが高くなってしまいますよね。
そこで、できるだけ少ない人数で回収するために、ごみの分別の種類を大まかにしているというわけです。

世界一ごみの分別が厳しい町とは?

地域によって程度の差はあるものの、現在、全国的にごみの分別を減らし、燃やす方向に動いています。
しかしそんななかで、なんと、ごみを何十種類にも分類している町があるそうです。
その町では、極力モノを増やさず、ごみを出さないのが目標です。生ごみは自宅で堆肥として処理し、住民のなかには「ごみを出さないために」紙おむつや紙ナプキンをやめ,布製に切り替えた人もいるそうです。
こうした取り組みによって、ごみは大幅に減りました。しかし、問題も多々あるようです。それは分類の複雑さと、ごみ出しの煩雑さです。
ごみはそのまま出せばいいのではなく、たとえばビンのラベルを外し、ガラスの色ごとに仕分けしたり、牛乳パックを洗ったり切ったりしなくてはなりません。これが、特に高齢者にとっては大変な作業となるようです。
また、ごみ収集車がないので、町民は町が指定する「ごみステーション」へごみを捨てに行かなくてはなりません。しかも、ごみを出せる時間は限られています。家がステーションから遠い町民は、ごみ捨てに行くことさえできないことがあるといいます。
単身で頼れる人がいない人や、寝たきりといった、どうしてもステーションに行けない人には収集車が来るものの、それほど頻繁に来てくれるわけではありません。
ここまで細かく分別すると、回収に膨大なコストがかかってしまうからです。

ごみを減らし、環境を守るための取り組みではありますが、高齢者にとっては、あまりにも大きい負担となっていることも事実のようです。

高齢者とゴミ

1人暮らしが増える日本の遺品整理は……

環境を良くするために、ごみを減らすことは大切です。しかし、毎日のことだけに、あまりにも細か過ぎるのも考えものですね。
特に、遺品整理をする場合には、どのように捨てたらいいのか困ってしまうものも出て来ることでしょう。
近い将来、訪れるであろう超高齢化社会では、1人暮らしも増えると予想されています。それとともに、ごみ屋敷の問題、遺品整理の需要もますます増えていくと考えられます。
ごみの片付けや遺品整理で困った時には、ぜひ知識の豊富な遺品整理業者にご相談ください。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。