田舎の土地を相続する際の必要書類や手続き、期限について解説!

田舎の土地を相続する際の必要書類や手続き、期限について解説!

親が亡くなって相続が発生し、遠方に住む子供が実家の土地を相続するのはよくある話です。
とはいえ、実際に土地を相続されるのは、人生でそう何回もあることではありません。
土地を相続する場合、どのような手続きや流れを踏めばよいのでしょうか。
今回は、土地の相続の仕方について見ていきましょう。

不動産の相続にはトラブルが起こりやすい!その理由は?

相続が発生した際、相続財産の中に土地や建物などの不動産があると、トラブルに繋がる傾向があります。
なぜなら、不動産は現金や預貯金と違い、分けるのが難しいからです。
現金や預貯金は、そのまま分けることができます。
しかし、土地や建物はそういうわけにはいきません。

たとえば、相続人が3人いたとしましょう。
分割すべき遺産として、時価1億円相当の土地が3ヶ所あるなら、相続人3人がそれぞれの土地を相続すればよいので簡単です。
しかし、時価3億円の土地が1ヶ所だけの場合はどうなるでしょうか。
この土地を、3人で公平に分けることはとても困難です。
土地を3つに区切ってそれぞれ相続することはできます。
全てが同等の価値であれば、それも可能でしょう。
しかし区画ごとに条件が違う場合は地価も異なってきます。
ですから、公平に分けられないというケースが出てくるのです。

不動産と現金の両方を公平に相続するのは難しい

相続財産には現金・預貯金と不動産の両方がある場合がほとんどです。
不動産の価値と残っている現金・預貯金の金額に差があって、平等に分けられないというケースも多く発生しています。
それで、土地の相続は以下のような手間のかかる相続手続きを行わなければならないケースが多いのです。

  • 不動産を相続した人が、相続額を同等にするために他の相続人に差額の現金を払う
  • 平等に相続するために思い出のある不動産を売らなくてはならない
  • 土地を売りたくないので土地を分割して相続したが、時間がたってから売りたいという相続人が出てきた

不動産の相続は、相続発生当時のみならず、時間がたってからもトラブルを生む可能性が高いのです。

土地相続を放置すると共有財産に

そして、分割が難しいからと何も手続きをせずに放置していると、その土地は相続人全員の共有財産ということになります。
共有財産になると、先々土地を売却する際に手続きが難しくなります。
なぜなら、土地を売却するために共有者全員の合意が必要だからです。
つまり、土地を売却するためには、共有者全員の意思が一致しなければなりません。
しかし、これが様々な思惑があってなかなか進まないことが多いのです。
関連記事:親が残した土地や建物の相続を放棄したい!方法や制度について解説

時間が経つと共有者は何倍にも増える

時間が経って、共有財産の所有権が子や孫の世代に引き継がれると、土地の共有者の数が何倍にも増えてしまいかねません。
そうなると共有者全員の合意がさらに困難になります。
ですから、相続した土地は共有にはせず、早い段階で何らかの形で分割しておくのが得策です。

土地評価額は水物

不動産を相続する場合、金額として平等に分けるため、評価額を出すことが必要になります。
しかし土地の評価額は一定ではなく、その時によって変動します。
土地の評価額は計算が難しいこと、そして、時期によっては相続人の間に不満が出ることもあります。
これらの理由から、土地を含む相続はトラブルが起きやすく、難しいと言われているのです。

土地を相続するとき、最初にやるべきことは?

土地を相続するとき、最初にやるべきこと

人が亡くなると、財産の相続が発生します。
相続財産は、現金・預貯金などに加え、土地・建物などの不動産も含まれます。
故人が遺言書を残し、誰に何を相続させるかを決めている場合は問題ありません。
遺言書がない場合、民法に定められた法定相続人が、決まった割合で財産を分割し、引き継ぐことになります。
この時、現金や預貯金など分けやすいものはいいのですが、土地はそのまま分けるというわけにはいきません。
では、どうすればよいのでしょうか。

遺言書を探す

相続が発生した時、まず行うべきことは遺言書の有無を確認することです。
当然のことですが、相続の際に最優先されるのは遺言書の内容です。
故人が遺言書を遺していて、書式などにミスがなければ、遺産は遺言書通りに分割されます。
遺言書がない場合は、法定相続人が決まった割合で財産を分割し相続します。
または、遺産分割協議を行います。
遺産分割協議とは、法定相続人全員で遺産の分割について協議することです。
この協議を行うことで、法定相続分や遺言の内容と異なる割合で相続分を決めることもできます。

土地を相続するには「相続登記」が必須

親が亡くなって、土地の名義人が変わる(だれかが相続する)場合、その土地の所有権を受け継ぐ人に名義変更をする必要があります。
これを「相続登記」といいます。
今のところ、土地や相続をする際、不動産の名義変更は義務化されていません。
いつまでに登記変更しなければならないという期限もありません。
仮に放置しておいても、行政上は罰則もないため、放置されることも多いようです。
しかし、手続きしないでいると、将来誰の(共有)所有物なのか分からずに、揉める可能性が出てきます。
手続きしないことによるデメリットには、以下のようなものがあります。

  • 不動産を簡単に売却できない
  • 時間が開くと登記費用が高くなる

2024年から相続等の義務化

2024年から相続等の義務化

2021年、相続登記を義務化する法案が可決されました。
この法案は2024年までに施行が予定されています。
しかし、施行前であっても、トラブルを回避するため、その土地を相続する人が決まったら必ず申請して、大きな問題が起きる前に権利を確定しておきましょう。

相続人同士で協議する

故人の持っていた不動産の名義を変更するには、相続人全員で協議を行い、誰の名義にするかを決める必要があります。
この場合、必ずしも相続人全員が集まって「遺産分割協議」をする必要はなく、メールや電話などでの話し合いでOKです。

協議が成立したら、遺産分割協議書を作成しましょう。
決まった書き方やフォーマットはありませんが以下の2ポイントが重要です。

  • 「相続人全員で協議した」という文言を入れること
  • 不動産については「登記事項証明書」に記載されている内容を書き写すこと

上記を書き忘れると、相続人全員の合意ではないとされてしまう可能性が出てきます。
さらには対象不動産が特定されないなど、有効な遺産分割協議書が成立していないとみなされ法務局に登記無効とされてしまうケースがあります。
そうなると、不動産の相続登記ができなくなる可能性もあり、また改めて話し合いを行わなくてはなりません。

このようなことを防ぐため、遺産分割協議書は、ミスがないように慎重に書かなくてはなりません。

相続登記が決まったら、手続きはどうする?

相続登記が決まったら、手続きはどうする?

土地の名義人となる人が決まり、遺産分割協議書ができたら、手続きを始めましょう。

書類を準備する

土地を相続する際に必要な書類は、以下になります。

  • 土地の相続登記の申請書類
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票抄本
  • 相続人全員の住民票謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までのすべて)
  • 被相続人の住民票の除票
  • 不動産の固定資産評価証明書
  • 不動産の全部事項証明書(法務局)

相続登記の申請書類を書く

「相続登記の申請書類」とは、法務局に不動産の名義変更を申請する書類です。
法務局の相続登記申請書のひな型を参考にするとよいでしょう。

書類を提出する

相続登記に必要な書類の準備が整ったら、法務局へ提出します。
書類提出後、約1~2週間くらいすると、相続登記をした不動産の新しい権利証が発行されます。
権利証の発行が行われると、相続登記はすべて完了です。

相続登記にかかる費用は?

相続登記を行う際にかかる費用は以下の通りです。

  • 法務局に納める登録免許税・・・固定資産評価額合計×0.4%
  • 登記事項証明書・・・不動産1件につき600円
  • 戸籍謄本類の発行手数料・・・3000円くらい
  • 郵送料

まとめ

土地の相続は、トラブルがつきもの

土地の相続は、トラブルがつきものと言ってもいいほど難しくなるケースが多いようです。
また、相続登記などに関する書類の準備も素人には難しく、相続人の人数が多い場合には、全員分の書類を集めなくてはなりません。

役所は平日しか開いていないため、会社員などには手続きが難しいのが現状です。
特に不動産に関する相続は「書類に始まり書類に終わる」と言われるほど煩雑な手続きとなります。
無理をせず、弁護士や司法書士などに相談し、依頼することも検討しましょう。
トラブルなく、関係者みんなが納得できる相続ができるといいですね。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。