現代日本は、世界でもトップレベルの高齢化社会です。
厚生労働省が発表した平成28年の平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳。これは過去最高の数字で、世界2位という結果でした。
さらに、厚生労働省の調査で、2018年9月現在、全国の100歳以上の高齢者の数が6万9785人に登ったことがわかりました。
これは、2017年に比べて2014人増えており、なんと48年連続で過去最多を更新しています。
高齢化が進むにつれ、遺品整理の必要性も浮き彫りになってきています。長く生きれば、それだけものもたくさん残ります。
これを整理するのは大変なこと。まして、親が長寿であればあるほど、後片付けをする子供も高齢になります。今後、遺品整理はどのように変化していくのでしょうか。
目次
フリマアプリとは?
近年、ほとんどの人がスマートフォンを使っていると言っても過言ではありません。電話をしたり、メールをしたりするだけでなく、ほとんどの人がアプリを使っているのではないでしょうか。
中でもよく使われているのがフリマアプリです。
フリマアプリとは、オンライン上で、主に個人間で、フリーマーケットのように物品の売買を行うことができるアプリです。
オンライン上で売買ができるものには、ネットオークションがありますね。オークションは、出品者が初期価格を設定し、入札者が希望価格を入札していき競り上がる形式ですが、フリマアプリでは出品者が価格を設定し、納得した購入者が購入するという仕組みになっています。
代金の授受はフリマアプリサービスの提供事業者を介して行われます。
フリマアプリは終活に使える?
シニア世代の利用
手軽に出品できるフリマアプリ。最近では、終活に利用するシニアが増えています。
あるフリマアプリ運営会社の調べによると、「終活」や「生前整理」というキーワードで出品を行うシニア世代のユーザーが増え続けているそうです。2018年1~6月は、前年の2.5倍もの数となっています。
スマホを使いこなすシニアが増えるに従い、フリマアプリを使う人も増えるのは当然かもしれませんね。
ある女性は、お母様を見送ったあとの遺品整理が大変だったことから、自分の子供には同じ思いをさせたくないと、フリマアプリを始め、ブランド物の服やアクセサリーなどを出品しています。
不用品を中古ブランド品買い取り会社やリサイクルショップに持ち込んだこともありましたが、そこで買い取ってもらえても、その後、自分が大切にしていたその商品を誰が買ってくれたのか、もっと言えば売れたのかどうかもわかりません。
しかし、フリマアプリであれば、その商品が欲しいと思う人と、お互いが納得した上で直接取り引きできます。
いわゆる「生前整理」では、愛用の品物に気持ちを残しながら心を鬼にして捨てなくてなりませんでした。でも、フリマアプリなら、大切にしていたものが誰かの役に立ち、使ってもらえることを自分の目で確かめられます。
思い出が新しい形で生きていくことになるというのが、フリマアプリによる生前整理の魅力のようです。フリマアプリは、新しい形の「断捨離」なんですね。
子供世代の利用
フリマアプリで「遺品整理」と検索すると、たくさんの商品が出てきます。「祖母が持っていたものです」「遺品整理の際に出てきました」などという商品説明が書かれており、宝飾品や骨董品、プラモデル、カメラのコレクション、時計、古書など様々なものが出品されています。
また、「親の代わりに、出品しています」という子供世代のメッセージが添えられている商品もあります。
まだまだ捨てることに抵抗がある人も多い親世代。以前は、親に生前整理として片付けを勧めるのはとてもデリケートなことでした。
でも、フリマアプリは捨てることとは全く違います。ものを捨てるにはお金がかかることもありますが、フリマアプリで売ればお金も入ってくる上、その品物が誰かのもとで生きるのです。
フリマアプリを通して誰かに譲るという行為は、前向きな生前整理の後押しになるのではないでしょうか。
フリマアプリのメリットとデメリットは?
さて、フリマアプリを使った売買には、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット
好きな値段で早く売れる
ネットオークションでは、安い価格からスタートし、買いたい人たちが入札して値段が競り上がって行きます。入札者が多い場合は値段が跳ね上がりますが、そうでない場合は安い値段で売るしかなくなってしまいます。
最低でもこの値段で売りたいという「最低落札価格」を設定することもできますが、入札がその金額まで到達しなければ、売れ残ることになってしまいます。
ですが、フリマアプリでは、自分が売りたい値段をつけることができるので、競争する時間を待つことなく、その値段で買いたいと思った人がストレートに買うことができるため、売れるまでの時間が短くて済みます。
出品方法が簡単
フリマアプリは、出品方法が簡単なのも魅力です。
スマホで売りたい商品の写真を撮影します。その写真を、アプリ上にそのまま送信するだけ。
あとは、商品名、商品説明、商品のカテゴリ、商品の価格などをアプリの指示に従って入力するだけ。全てがスマホだけで行え、5分ほどで出品できるので、とても簡単です。
デメリット
手軽で便利なフリマアプリですが、もちろんデメリットもあります。
商品発送の手間がかかる
商品が売れたら、梱包や発送は自分で行わなくてはなりません。
手数料がかかる
登録料や出品料は無料ですが、取り引き成立時に、代金の何%かをアプリ主催会社に支払うなど、手数料が発生します。安価なものしか売れなかった場合、少ししか売れなかった場合は、利益がそれほど出ないこともあります。
トラブル処理
フリマアプリでクレームやトラブルが起こった場合、自分で処理しなければなりません。
フリマアプリが活況となるに伴い、送ったはずの商品が届かない、送る相手を間違えた、相手と連絡が取れないなどトラブルも増えています。
しかし、フリマアプリ上の売買はあくまでも個人間の売買であり、アプリ主催会社は売買の場を提供しているだけなので、トラブルは当事者間で解決することが原則です。解決が難しい場合は、最寄りの消費者生活センターなどに相談することとなります。
代表的なフリマアプリ5選
では、よく使われているフリマアプリをご紹介しましょう。
メルカリ
4000万人にダウンロードされている、日本最大のフリマアプリです。
有名ブランドの服から人気ゲーム、スマホの空箱までさまざまなものが出品されており、ジャンルも多いため、出品しやすく買いやすいのが特徴です。
また、匿名配送が可能なので、出品者に住所を知られずに取り引きができるというメリットもあります。
出品者の手数料:販売価格の10%
購入者の支払い方法:コンビニ、クレジットカード、銀行(ATM)、キャリア
ラクマ
楽天が運営するフリマアプリです。さまざまなジャンルの商品が掲載されており、メルカリよりも高額商品が売買される傾向にあります。楽天ユーザー情報でログインでき、楽天ポイントが使えるなど、楽天ユーザーが使いやすいアプリです。
出品者の手数料:無料
購入者の支払い方法:コンビニ、クレジットカード、銀行(ATM)
フリル
もともと女性専用としてスタートしたフリマアプリ。最近は男性向け商品も扱うようになっていますが、女性向けブランドや、コスメなど女性向けの商品が多いアプリです。
出品者の手数料:無料
購入者の支払い方法:コンビニ、クレジットカード、銀行(ATM)、キャリア、LINE Pay
ブクマ
大量に残ると困る遺品の代表が書籍ではないでしょうか。「ブクマ」は書籍専門のフリマアプリで、出品数は25万冊を超えています。
出品時に本の写真を撮る必要がないのも大きなメリットです。本の裏表紙にあるISBNバーコードを読み込むだけでOK。簡単に出品ができます。
出品者の手数料:無料
購入者の支払い方法:クレジットカードのみ
オタマート
アニメ・漫画・ゲーム・コスプレ・同人誌などの、いわゆる「オタクグッズ」を専門に扱うアプリです。
アニメだけではなく、アイドルなどのグッズにも幅広く対応しています。大切なコレクションを、価値のわかる人に引き取ってもらいたい人は利用するとよいでしょう。
出品者の手数料:販売価格の10%
購入者の支払い方法:コンビニ、クレジットカード、銀行(ATM)、WebMoney、キャリア
まとめ
ものが片付きお金も入る、フリマアプリによる生前整理は、メリットが多いように思えますね。
しかし、出品すれば何でもすぐに売れるわけではない、という点を頭の隅に置いておきましょう。
商品は、いつ売れるかわかりません。「まだ売れない」「いつか売れるかもしれない」と待っているだけでは、生前整理は進みません。
一番売れやすいのは出品してすぐです。「○月○日までに売れなかったら処分する」など、期限を決めておきましょう。
また、各アプリによって特徴があります。よく見極めて賢く利用しましょう。