遺品と呼ばれるものの中には、様々なものがあります。衣類や家具、家電など日常生活で使用する物はもちろん、故人が趣味で集めていた骨董品も遺品として出てきます。
骨董品は専門家でなければその価値が判断できないことも多いのですが、同じ種類の本としては古本や古書が挙げられます。
本のなかには、廃刊・絶版になっているため価値が高いものもあるなど、他のごみと一緒に処分しないほうがよいものもあるでしょう。
そんな古本や古書はどのように処分すればよいのでしょうか。また、処分時に注意すべきポイントもご紹介します。
目次
古本や古書の処分方法とは?
遺品として古本や古書が出てきた場合、遺族としてはどのような処分方法を選択すればよいのでしょうか。
- 一般ごみとして処分する
- 古本屋に買い取ってもらう
一般ごみとして処分する
古本や古書は紙なので、一般ごみとして処分することができます。
家電のように特殊な処分方法(家電リサイクル法に基づいた処分)を求められるものでもなく、本来は遺族にとっても処分方法に頭を悩ませる品々ではありません。
また、古本や古書は廃品回収によっても処分できるでしょう。
廃品回収は地域ごとなどで定期的に行われているもので、本や新聞などを無料で回収してもらうことができます。ゴミとして処分すると費用が掛かる可能性もあるので、量が多い場合は廃品回収が良いでしょう。
古本屋に買い取ってもらう
一方、前述したように古本や古書には価値のあるものが含まれているかもしれません。もうその本がどこにも売られておらず、興味を持っている人が探し求めているものだということもあるでしょう。
そういった古本や古書を、価値があるものと知らないままゴミとして処分するのは、非常にもったいないことです。
古本や古書は故人が生前に集めた大切なものです。遺族がそのまま持っていてもよいのですが、買い取ってもらい、その価値を知り大切に扱ってくれる新たな収集家の手に渡ったほうが、故人も喜ぶのではないでしょうか。
遺品として古本や古書が出てきた場合には一度、古本屋など買い取ってくれる店で査定をしてもらうことをお勧めします。
どんな古本・古書が高額買取してもらえるの?
古本や古書で高額買取されるものには次のようなものがあります。
- 廃刊・絶版になっているもの
- 人気作品の漫画や小説
- 歴史書・美術品の図録
古本の場合は廃刊・絶版になったことで市場に出回らなくなり、めったに手に入れられないものは高額買取されます。また漫画や小説など話題になっているものや人気作品であれば高額で買取されます。
古書の場合は歴史の中で書かれてきた歴史書や歌集などは高額買取の対象となります。これらは美術的な価値を持っていることもあるほどです。
また、それほど古いものでなくても、美術品の図録なども高額買取されることがあります。
書かれた時代やどの程度希少なものなのかによって、買取り額が変動します。
古本を買い取ってもらう場合、多くの人が思い浮かべるのは大手古本チェーン店でしょう。
全国展開しているため店舗をよく目にしますし、誰でも気軽に利用できます。
しかし、他にも個人で経営しているような古本屋もありますし、専門書を高額で買い取ってくれる専門店もあります。
買取りを依頼する側からすれば、どこにお願いしても一緒だと考えがえるかもしれません。
しかし、古本屋・古書店によってメリットとデメリットが存在します。
そのため、古本や古書をうまく買い取ってもらうためには、うまく方法を使い分けなければならないのです。
買い取り方法のメリットとデメリット
古本や古書を買い取ってもらう場合、主に次の3つの店が挙げられます。
- 大手古本チェーン店
- 個人経営の古本屋
- 専門書を扱う専門店
買取りの際、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかをご紹介します。
大手古本チェーン店
まず多くの人が利用している、大手古本チェーン店の場合。全国展開している大きなチェーン店であれば、様々ものを買い取ってくれます。
メリット
- ジャンルを問わずに買取してもらえる
- 出張査定や出張買取をしてもらえる
デメリット
- 作品の価値が査定額に反映されないことがある
大手古本チェーン店では、まず査定後に金額を提示してもらい、依頼側はその査定額に納得したうえで売却します。
中身や価値がよくわからない古本が出てきたとしても、とりあえず査定の依頼をすることができるので、非常に利用しやすいといえます。
一方、漫画や小説であれば人気によって価格が上がるものの、そのほかの物は状態によって価格が決められることがあります。傷や破損などが少なければ少ないほど、高額で買い取ってもらえるという査定基準もあるのかもしれません。
すると、売りたい古本がどこを探しても手に入れられない貴重なものであったとしても、その価値が査定額に反映されない場合もあるのです。
個人経営の古本屋
メリット
- 古本に精通している人が経営していると、きちんと古本の価値を見極めたうえで査定を行ってくれる。
デメリット
- 店によって買取り額にバラつきがある
チェーン店のように、一定の査定基準はありません。査定額はお店によって大きく異なります。当然、相場よりも安く買い取られることもあるでしょう。
また、遺品整理の際に古本や古書が出てきた場合、かなりの量になることが想定されます。そうなると非常に重いので出張買取をお願いしたいところですが、故人の古本屋のなかには出張買取を行っていないところもあるので、必ずチェックしておいてください。
専門書を扱う専門店
メリット
- 専門的な査定のもと、買い取ってくれる
デメリット
- 専門的価値がなければ買い取ってくれないこともある
専門書を扱う専門店は、文字通り専門的な視点で査定を行ってくれるので、価値が高いものは上記の古本屋よりも高額で買い取ってくれる可能性があります。
なかには「査定」よりも「鑑定」という言葉のほうがふさわしい古書もあるかもしれません。
しかし、こういった専門店では古書など専門的価値のあるものしか買い取ってもらえないことも多く、時に利用の幅が狭くなってしまい、他の古本屋に査定してもらったほうが高く買い取ってもらえることもあります。
古本・古書の内容によって買取り先を使い分けよう
遺族にとってはそれほど価値がわからない古本でも、非常に高い価値を持っている可能性があります。
価値がわからないからといって、一緒くたに買取りをしてもらうのは、非常にもったいないことです。
買取りをしてもらう際には、できる限り相場に沿って買い取ってもらわなければ、遺族が損をしてしまうことになります。
そこで、遺品として大量の古本・古書が出てきた場合には、まずその種類によって買取りをお願いする店を選択し、しっかりとした査定のもとに買い取ってもらいましょう。
たとえば、漫画や小説はチェーン店で、専門書や古い書籍などは古本屋で買取りをしてもらう。そして歴史書などの歴史を感じる古書は、美術品を鑑定している店で買取ってもらう。
このように使い分けることもできます。
家族を亡くし、精神的にもつらい時期にある遺族にとっては、複数の店を探して査定をしてもらうことは大変かもしれません。
しかし今は出張査定を行っているお店も多いので、そういったサービスをうまく利用し、自身の負担を減らしながらも正規の価格で買い取ってもらえるようにしてください。
古本・古書の買取りにも悪徳業者が・・・
「買い取り」という特性上、悪徳業者も存在してしまいます。
悪徳業者に依頼をしてしまった場合、相場よりも安い価格で買い取られることがあります。また、無料で査定を行ってくれる店は多いのですが、出張査定の場合でも出張料金を請求していない業者もあります。
しかし悪徳業者の場合、「査定無料」を謳っていても、実際に依頼してみると査定料や出張料などを請求されることがあります。
悪徳業者を見極めるためにも相場を知ることは大切です。
そのため複数の店で査定を依頼して、それぞれの買い取り額を把握しておきましょう。そのなかで、あまりに安い査定額を提示してくる店があれば、その店は怪しいと考えてみてもよいでしょう。
ところが、査定の段階でトラブルに発展する恐れもあるので、「絶対に査定は無料である」ということを確認したうえで、査定・買取りをしてもらう店を選択しましょう。
買取りを行っている店や業者の場合、ホームページで買取り実績や査定スタッフの経験、利用者の声などが掲載されていることもあります。
インターネットには評判などが多く掲載されているので、インターネットからの情報も参考にすると、より安心して買取りを依頼できるのではないでしょうか。
遺品整理業者に古本処分の相談をした場合
現在は遺品整理を行う場合、遺品整理業者に依頼をする人が増えています。古本を買い取っている業者が遺品整理として古本の出張買取を行っているケースもあります。
この場合は書籍のみが対象であり、そのほかの遺品整理を依頼することはできません。
しかし、どれだけ多い書籍でも運び出しをしてもらえますし、同時に買取りも行ってもらえるので、遺族の負担が減るでしょう。
古本・古書のなかには、値が付けられないものも存在しますが、こういった価値が高い古本・書籍も一緒に回収してくれる業者もサービスもあります。
もし古本の買取りを行っていない業者であっても、希望すればしっかりとした古本屋を紹介してくれるはずです。
通常通りに書籍を買い取ってもらうのではなく、遺品整理の一環として回収・買取りを依頼するのであれば、さらに業者の選択の幅が広がります。
その反面、悪徳業者に出会ってしまう可能性も高くなってしまうことも事実です。
利用者の皆さんには、業者を見極める目をしっかりと持っていただきたいと思います。
遺品としての古本や古書は、故人が大切に集めていたものであり、遺族に対して残してくれたものでもあります。
故人の想いを大切にするためにも、買取り方法は慎重に選んでください。