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贈与税の改正で生前贈与にも影響が【2021年4月】

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昨年、世界中を苦しめた新型コロナウイルス。
日本にも大きな影響を及ぼし、生活はすっかり変わってしまい、経済的ダメージをこうむった人も少なくないでしょう。
そんな中、2020年12月10日、2021年度の税制改正大綱が発表されました。
「税制改正大綱」とは、消費税や固定資産税、贈与税、相続税など私たち国民の生活に影響がある税金について書かれたものです。
2021年度の税制改正大綱は、新型コロナの感染拡大による景気悪化を踏まえ、固定資産税の据え置きなどコロナ禍に配慮した改正が多く盛り込まれています。
しかし、喜んでばかりもいられません。
新税制では、これまで相続時の節税対策の要となっていた「生前贈与」が大きく変わることになるようです。
この税制改正は、今年3月の国会を通過すると正式に施行されることになります。
今回は、ひと足早く、2021年の税制改正について見ていきましょう。

2021年の税制改正、良くなる点は?

土地の固定資産税

コロナ対策の一環として、2021年度の土地の固定資産税は据え置かれます。
土地の固定資産税は、3年ごとに見直しされます。これを「評価替え」といいます。
2021年は、この評価替えが行われる年にあたります。
地域にもよりますが、多くの土地の固定資産税は上がり続けています。
しかし、今回の税制改正大綱では、コロナ対策の一環として2021年の評価替えで土地の評価額が上がったとしても、2021年度に限り、税額は上げず、据え置くとされています。

住宅ローン控除

住宅ローンを組んで居住用の不動産を購入した場合、一定要件を満たすことで10年または13年間、購入額の1%を上限として、所得税から毎年税金還付を受けることができます。
これまでは、床面積が床面積50㎡以上の不動産に関してのみ適用されていましたが、この改正により、40㎡以上50㎡未満の不動産も住宅ローン減税の対象となります。
ただし、床面積40㎡以上50㎡未満の場合は、購入者の年間所得の合計が1000万円以下、2021年1月1日から2022年12月31日までの2年間のうちに入居することが条件となっています。

2021年の税制改正、生前贈与に注意!

生前贈与

今回の改正では、相続税や贈与税に関して、根本的な改変は行われませんでした。
しかし、贈与税の非課税制度の一部が改正されています。

これまで国は、贈与税制度を緩和させることで、日本経済の活性化につなげようとしていました。
その一環として背応接されたのが、教育資金や結婚・子育て資金の非課税贈与制度です。
これによって、高齢者が持っている資産を若い世代に移させ、消費を刺激しようとしたのです。

その結果、相続税の節税対策として、生前贈与が利用されてきました。
生前、子供や孫に現金預金などを贈与しておけば、全体の資産額が減るため、遺産相続の際の相続税額も少なくなるからです。
また、相手を指定して贈与することができるので、額を調整するなど、相続時のトラブルを防ぐことができます。
さらに、教育費や住宅ローンなどを抱えている子供世代に喜ばれるという点でもメリットの大きい方法です。

しかし、今回の改正で、さまざまな点が変更されています。
どんな点が変わったのか見ていきましょう。

教育資金に係る贈与税の非課税制度

今回の相続税・贈与税の改正項目の一つは「教育資金に係る一括贈与の非課税制度」です。
「教育資金に係る一括贈与の非課税制度」とは、孫や子など直系卑属に対し、1500万円までの教育資金の贈与が非課税になるというものです。
用途は教育に関することに限定されますが、一括で多くの贈与を行うことができます。
信託銀行などに専用の口座を作り、そこにお金を預けることで孫や子が教育資金として利用します。
この制度は適用期限が2021年3月31日まででしたが、今回の改正で2年延長され、2023年3月31日までとなりました。

しかし、厳しくなった点もあります。
現行の制度では、贈与者である親や祖父母が亡くなった時点で、贈与された教育資金に使い切れなかった残額ある場合、この残額に相続税がかかることになっています。
ただし、対象となるのは、死亡日(相続が開始される日)以前3年以内に贈与されたものに限られていました。
しかし、今回の税制改正では、この「死亡日以前3年以内」という枠がなくなり、贈与者が亡くなった時点で残っている教育資金贈与は、すべて相続税の課税対象になります。

さらに、これまでは、この制度において受贈者が孫やひ孫であった場合、相続税の2割加算は適用されませんでしたが、改正後は2割加算されるようになります。
そのため、教育資金の一括贈与を考えるなら、今年3月までに行うのがおすすめです。
贈与者が祖父母など高齢で、受贈者である孫が大学に進学する頃に存命していない可能性が高い場合などは、早めの贈与が賢明でしょう。
また、教育資金贈与のお金は、幼稚園から使うことができます。教育資金を使い切れそうな年齢の孫を選んで贈与すれば、使い切れずに課税されることがありません。

ただし、受贈者が23歳未満である場合や、23歳以上でも学生だった場合には相続税は課されず、この点は改正後も変更はありません。

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

教育資金に係る贈与税の非課税制度

「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」とは、若い世代の結婚・出産・子育ての支援をするために親や祖父母の資産を渡す場合に、課税されないという制度です。
親や祖父母は、20歳以上50歳未満の子どもや孫に、結婚・子育て用のお金として1000万円までは非課税で贈与ができる制度です。
こちらも、適用期間は2021年3月31日まででしたが、2年延長され、2023年3月31日までとなります。

こちらの制度では、現行でも贈与者の死亡時に使い残しがあった場合、その全額に対して相続税がかかります。
また、孫の取得分については、2割加算が適用されることになりました。

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度

「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」は、耐震・省エネ・バリアフリーの家を買うための資金を贈与した際の非課税枠で、それ以外の家の場合は、非課税枠が500万円小さく設定されています。
改正前は、2021年4月1日以降の住宅の契約締結分から、それぞれの設定金額は減少するはずでした。
しかし、改正により、2021年中は非課税金額が据え置かれることとなりました。

また、贈与の対象となる家・受贈者に新たな条件が加わっています。
これまでの条件は

  • 床面積の下限が50㎡以上
  • 受贈者の合計所得が2000万円以下

とされていました。
しかし、2021年1月1日以降、

  • 床面積の下限は40㎡以上
  • 受贈者の合計所得が1000万円以下

と、厳しくなっています。

暦年課税はどうなる?

暦年贈与

「暦年贈与」は、110万円の基礎控除を使った相続税対策の王道ともいえる相続税対策です。
生前贈与といえば、「110万円」と頭に浮かんでくる人も多いのではないでしょうか。
暦年贈与は、長期間にわたって計画的に行うことで、大きな節税効果が期待できる方法です。

この制度、今回の税制改正で変更はあるのでしょうか。
与党の税制調査会は、今回、税制改正の基本的な考え方として「相続税と贈与税の一体化」に触れています。
税調会長は「資産移転を公平にすべきだ」という観点から、暦年課税制度の見直しに意欲を示していたようです。

結論から言えば、現在のところ、暦年贈与についての変更はないようです。
努力して築いてきた資産。節税をしたいのは人情ですよね。
また、暦年課税制度は少ない負担で子や孫に資産を移す工夫でもあります。
しかし一方、国民が節税をすればするほど国に入るお金が少なくなり、国力が弱まることになってしまいます。

改正後に、さまざまな制度の適用要件が厳しくなったのは、節税目的の利用を防ぐためです。
今回は変更はなくても、今後、贈与税の精度がさらに変わっていく可能性は十分に考えられます。
そのため、1500万円の教育資金の贈与を使える今のうちにやっておく必要性も高いでしょう。
どの方法を選ぶにしても、生前贈与を考えている人は、早めに始めることを検討した方がよいのではないでしょうか。

まとめ

贈与税に詳しい税理士

税制改正によって生活や資産にどのような影響があるのか、情報を集めることは大切です。
しかし、税制はとても複雑です。
不動産や税金に詳しい専門家に相談して、賢い生前贈与を行いましょう。

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