突然ですが、あなたの親御さんは、借金をしていらっしゃいませんか?
親子でも、借金のことや金額まで話すことは多くないでしょう。
親が健在の場合は本人に聞くことができますが、もし借金があったとしても、正直に話してくれるでしょうか?
子供に心配をかけまいと話してくれないかもしれません。
しかし、親が多額の借金を抱えていて、子供が気付いた時には手のつけられない状況になっている、などというケースは珍しくありません。
また、相続手続きが終わった後に借金が発覚してしまうと、非常に面倒なことになります。
まず大切なのは、「親の借金がいくらあるのか、どこから借りているのか」を、把握することです。
今回は、親の借金について調べる方法を見ていきましょう。
目次
親の借金を調べる方法
相続放棄も限定承認も、相続人が、相続があることを知った日から3ヶ月以内に手続きをしなくてはなりません。
もしその期間を過ぎてしまうと、自動的に相続を承認したことになってしまいます。
つまり、3ヶ月以内にプラスの財産と、マイナスの財産を明確にしなければならないわけです。
被相続人から借金の話など聞いたことがなくても、子供に隠れて借金をしているケースも多々あります。
親としては、子供に借金を知られたくないものです。
また、多重債務者だったりすると、自分の借金状況を正確に把握できていないというケースもあります。
被相続人の持っていた財産の全体を把握するのは、なかなか難しいことです。
生前から相続人が管理していたのであれば別ですが、ほとんどの場合、被相続人が管理しており、相続人が相続財産の内容を把握しているケースは少ないでしょう。
不動産や預貯金などプラスの財産を調べることも大切ですが、それと同様に、マイナスの遺産の状況もしっかり調べることが重要です。
プラスの財産がどんなにたくさんあっても、それを上回るような莫大な借金があれば相続する意味がないからです。
円満な相続のために、借金の調査は迅速に行った方がよいでしょう。
親に直接教えてもらう
最も直接的で誠実な方法は、親に率直に借金について尋ねることです。話し合いの場を設け、なぜ知りたいのかという理由を正直に伝えましょう。例えば「将来のために家計について理解したい」「何かサポートできることがあれば力になりたい」など、あなたの善意と心配の気持ちを示すことが大切です。
この方法は信頼関係を基盤としているため、普段から親子の会話が多く、オープンな関係が築けている家庭に適しています。ただし、お金の話はデリケートな問題だけに、親の反応によっては関係が悪化する可能性もあります。
質問する際は、責めるような口調や批判的な態度は避け、理解したいという純粋な気持ちを伝えましょう。
家の中から借金の手がかりを探す
親が直接教えてくれない場合、家の中から借金の痕跡を探す方法があります。多くの家庭では、ローン契約書や返済予定表などの重要書類を特定の場所にまとめて保管しています。家族が共有する書類棚や、重要書類専用のファイルボックスなどを確認してみましょう。
借金の手がかりとなる書類には、住宅ローンの契約書、カードローンの利用明細書、消費者金融からの借入通知書などがあります。また、返済予定表や残高証明書があれば、借入金額や返済状況も把握できるでしょう。
ただし、無断で親の私物を探ることはプライバシーの侵害になりかねません。家族間の信頼関係を損なう恐れもあるため、この方法を取る場合は十分に配慮する必要があります。
通帳の履歴を見る
借金がある場合、通常は定期的な返済が行われています。親の許可を得られるなら、通帳の履歴をチェックすることで手がかりが得られるかもしれません。毎月同じ日に同じ金額が引き落とされている場合、それはローンの返済である可能性が高いです。
特に注目すべきは、銀行や消費者金融、クレジットカード会社への定期的な支払いです。通帳に記載されている引き落とし先の名称から、どの金融機関への返済かを把握できる場合もあります。例えば「アコム」「プロミス」などの消費者金融の名前や、「住宅ローン返済」という記載があれば、その種類も明確になります。
郵便物・書類などのチェック
金融機関からの郵便物は借金の存在を知る重要な手がかりになります。「金銭消費貸借契約書」は借金の詳細が記載された最も明確な証拠です。契約金額、返済期間、金利など、借金に関する重要な情報がすべて含まれています。
また、返済が滞っている場合には催告状や督促状が送られてくることもあります。これらの文書には通常、借入金額や延滞金額、返済期限などが記載されています。さらに、年末には「残高証明書」が送られてくることも多く、これによって現在の借入残高を確認できます。
家に届く郵便物に目を配り、金融機関からの封書があれば注意しましょう。ただし、他人の郵便物を無断で開封することは法律違反となる可能性があります。親の了解を得るか、表面から差出人を確認するにとどめるべきでしょう。
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留守電をチェック
借金の返済が滞っている場合、貸主から電話による督促が入ることがあります。家の留守電に残されたメッセージをチェックすることで、借金の存在や返済状況について手がかりが得られる可能性があります。
特に「〇〇銀行(または消費者金融)です」「お支払いについてご連絡いたしました」などのメッセージがあれば、何らかの債務があることを示唆しています。また、頻繁に同じ番号から着信があるケースも注意が必要です。
ただし、こちらもプライバシーの問題があるため、家族間の信頼関係を考慮した上で行うべきでしょう。また、最近はスマートフォンを使用している方が多いため、固定電話の留守電だけでなく、親のスマホの着信履歴や留守電も手がかりになる可能性があります。
顧問税理士に聞く
自営業や会社経営をしている親の場合、顧問税理士がいる可能性があります。税理士は財務状況を詳細に把握しているため、借金についても正確な情報を持っていることが多いでしょう。事業資金の借入や担保設定の状況、返済計画なども把握していることが一般的です。
ただし、税理士には守秘義務があるため、親の同意なしに情報を開示することはできません。親に同行してもらうか、親から税理士への開示の許可を得る必要があります。「将来の事業継承に備えて財務状況を知りたい」など、前向きな理由を伝えると良いでしょう。
税理士からは専門的な観点からのアドバイスも期待できるため、単に借金の有無を知るだけでなく、借金問題の解決に向けた具体的なプランを立てるのにも役立ちます。もし親の借金が深刻な状況であれば、債務整理や返済計画の見直しなど、専門的なアドバイスを受けることも検討しましょう。
不動産の登記書を確認する
被相続人名義の自宅など、不動産の登記事項証明書を確認してみましょう。
もし抵当権や根抵当権、質権が設定されていたら、被相続人に借金がある可能性があります。
また、自動車をローンで購入している場合は、車検証から借金の存在がわかる場合があります。
信用情報機関に問い合わせる
被相続人の身の回りに郵便物や資料などがなく、また口座や不動産もどれくらい所有しているか把握できない場合は、信用情報機関に問い合わせましょう。
借り入れ先が個人でない限り、多くは銀行や信用金庫などの金融機関か、クレジット会社、消費者金融などからお金を借り入れています。
これら民間組織は「信用情報機関」を作っており、個人の借金や返済履歴、返済事故の有無など、借金に関する情報を管理しています。
信用情報機関は、被相続人本人や法定相続人であれば、情報の開示を請求できます。
もし金融機関で借金をしていた場合は、その開示請求によって被相続人の借金が判明します。
現在、日本には「株式会社日本信用情報機構(JICC)」、「株式会社シーアイシー(CIC)」、「一般社団法人全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター)の3つがあります。
消費者金融に対する借り入れに関してはJICC、クレジット会社に対する借り入れはCIC、銀行に対する借り入れは全国銀行個人信用情報センターで調べることができます。
全国銀行個人信用情報センターは郵送のみの受付、JICCとCICは、インターネット、郵送、窓口にて情報の開示請求手続きを受け付けています。
どの機関についても、1000円程度の手数料がかかります。
ただし、亡くなった親の借金を調べる場合は、自分が相続人であることを証明する書類、被相続人が亡くなっていることを証明する書類(除籍謄本)が必要です。事前に用意しておきましょう。
情報の利用方法は?
信用情報機関から開示報告書が届いたら、どこに着目すればよいのでしょうか。
ポイント1「お支払いの状況」
「属性」(その人自身の情報)、「契約内容」などの項目がありますが、「お支払いの状況」という項目を見てください。
これは、その人がいくら借金したか、そのうちどのくらい返済しているのかという情報です。
その中でも重要なのが「残償額」という項目です。
これは、借金があといくら残っているか、つまり支払い義務のある金額です。
もし遺産を普通に相続するのであれば、相続人がこの金額を返済しなくてはなりません。
この金額によって、遺産を相続するか、相続を放棄するのか、または限定承認するのかを考えるとよいでしょう。
ちなみに、「返済状況」のところに「異動」という文字があった場合、この人の信用情報にはキズがついています。
「キズがつく」とは、支払い履歴についてマイナスの情報が掲載されてしまうこと。
「2ヶ月以上の支払い遅延」や「強制解約」などがあった場合に記載されます。
もし、どちらかに当てはまってしまうと、この情報が消えるまでの5年間、新しくローンを組んだり、クレジットカードを作ることはできなくなってしまいます。
ポイント2「入金状況」
さらに「入金状況」という項目を見てみましょう。
これは、月々の返済の状況を示したもので、「$」がついている月は満額返済しているという意味。
「P」は一部返済、「A」は未入金という意味になります。
この「入金状況」が毎月「$」であれば、ここまでのところ、返済状況に問題はありませんが、もし全て「A」である場合、1円も返していない、つまり借金を踏み倒している状況である、ということになります。
あまりにも返済が遅れると、金融機関から訴訟を起こされるようなケースもありますので、迅速な対応が必要です。
親の借金を返済しない方法
親の借金を相続したくないと考えるのは当然のことです。日本の法律では、原則として借金を含む財産はすべて相続人に引き継がれますが、実は法的に親の借金を返済せずに済む方法があります。
「相続放棄」や「限定承認」などの制度を利用することで、借金の返済義務から逃れることが可能です。ただし、これらの手続きには期限や条件があり、専門的な知識が必要となります。
また、親が生きている間に発生した借金については、基本的に子どもに返済義務はありません。しかし、共同名義になっている場合や保証人になっている場合は別です。このような状況では、適切な法的アドバイスを受けることが重要となります。
相続とは?
親が亡くなると発生するのが相続です。
相続は、親の遺産が自分のものになるだけではありません。
なんと、遺産を相続したために借金を背負ってしまうことがあるのです。
相続とは、被相続人の財産の名義が相続人に移ることです。
親(被相続人)が亡くなると、法定相続人(配偶者、子供など)は、相続放棄をしない限り、財産を相続することになります。
しかし、ここで気をつけなくてはならないのが財産の「中身」です。
「遺産」とは、預貯金や不動産、貴金属、自動車など「プラスの遺産」だけではありません。
借金やローンなど「マイナスの遺産」もあるのです。
つまり「遺産を相続する」ということは、プラスの財産だけではなく、マイナスの遺産もすべて相続することです。
もし、マイナスの遺産がプラスの遺産より多かった場合、借金を抱えることになってしまうわけです。
こういった場合に対処するため、相続には「相続放棄」「限定承認」という手続きがあります。
相続放棄
遺産を相続したくない場合は、その権利を放棄できます。
相続財産に多額の債務がある場合や、相続人のうち誰かに全てをあげたい場合、トラブルを避けたい場合などに、相続の権利そのものを放棄することができます。
プラスの遺産、マイナスの遺産のどちらも引き継ぎません。
限定承認
プラスの遺産からマイナスの遺産を返済し、残った分を相続することです。
弁済はプラスの遺産の範囲内で行いますので、相続人の財産を持ち出してまで返済することはありません。
このような方法を取ることによって、相続人が借金を抱えてしまうのを防ぐことができます。
しかし、プラスの財産とマイナスの財産がはっきりしないような場合に相続放棄をしてしまうと、もしプラスの財産の方が多かった場合、相続放棄によりプラスの財産までも放棄することになってしまいます。
つまり、相続放棄や限定承認をするかしないかを決めるためには、まず親の財産状況を把握する必要があるのです。
親の借金に関する注意点
親の借金問題に直面したとき、適切な対応をするためには知っておくべき重要な注意点があります。親の借金は単純に「親の問題だから関係ない」と片付けられるものではありません。
場合によっては、知らないうちに法的責任を負っていたり、相続によって債務を引き継ぐことになったりする可能性があるのです。また、親の借金の実態を調査しようとしても、法的・倫理的な壁に直面することもあります。
こうした問題に適切に対処するためには、借金に関する法律や制度を正しく理解しておくことが不可欠です。ここでは、親の借金に関して特に注意すべき点をいくつか解説します。
連帯保証債務に要注意
親の借金で最も注意すべきなのが、あなた自身が「連帯保証人」になっているケースです。連帯保証人とは、主債務者(この場合は親)が返済できなくなった場合に、代わりに返済する義務を負う人のことです。親が住宅ローンや事業資金の借入をする際、子どもが連帯保証人として署名してしまうケースは少なくありません。
連帯保証人になると、親が亡くなった後も、その債務はあなたに請求されることになります。これは相続とは別の問題であり、相続放棄をしても免れることはできません。また、連帯保証人は「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権」がないため、親に返済能力があるかどうかに関わらず、債権者から直接請求される可能性があります。
生存している家族や友人の借金を調べるのは不可能
親が生きている間に、その借金を第三者が調べることは法的にも実質的にも非常に困難です。金融機関には厳格な個人情報保護のルールがあり、本人以外への情報開示は原則として行いません。そのため、親本人の協力なしに、金融機関から直接借金情報を入手することはできないと考えるべきです。
また、信用情報機関に登録されている借入情報も、本人以外は閲覧できません。仮に弁護士や司法書士などの専門家に依頼したとしても、委任状がなければ調査はできません。唯一可能なのは、親から直接情報を聞き出すか、家庭内にある契約書や返済予定表などから推測する方法です。
ただし、後者の方法は親のプライバシーを侵害する恐れがあるため、慎重に行う必要があります。親との信頼関係を大切にしながら、オープンなコミュニケーションを心がけましょう。
相続放棄ができない場合もある
親が亡くなった場合、その借金は原則として相続の対象となります。借金だけを相続したくない場合は「相続放棄」という手続きがありますが、いくつかの重要な制限があることを知っておく必要があります。
まず、相続放棄には「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」という期限があります。この期限を過ぎると、原則として相続放棄はできなくなります。また、相続財産を「処分」したり「隠匿」したりした場合も、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
例えば、親の死後に預金を引き出したり、遺品を売却したりした場合は「相続の承認」とみなされることがあります。
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まとめ
いくら良好な親子関係であっても、お金について聞くのは、やはり気が引けるもの。
とはいえ、親の借金は、親が亡くなると子供に相続権(支払義務)が移るため、その時になってから焦っても間に合いません。
できるならば、親が元気なうちに相続について話し合いたいものです。
もし借金が多額で返済が難しい場合は、弁護士、司法書士などの専門家や、市区町村の借金相談、日本クレジットカウンセリング協会、日本貸金業協会などの専門機関に相談するようにしましょう。