終活カウンセラーは、初めての終活に取り組む人を物理的心理的にサポートする職業です。
高齢化社会と核家族化の進行に伴い、今後ますます需要が増えることが予測される終活カウンセラーについて、以下の視点から詳しく解説していきます。
- 終活カウンセラーの仕事とは?
- 終活カウンセラーに向いているのはこんな人
- 終活カウンセラーのなりかた
- 終活カウンセラーの難しさとやりがい
終活カウンセラーに興味のある方は必見です。
目次
終活カウンセラーはシニア世代の心理的サポーター
終活カウンセラーは、一般社団法人終活カウンセラー協会が設けた民間資格です。一般社団法人終活カウンセラー協会による資格試験に合格した人が名乗れます。
(参考URL:https://www.shukatsu-csl.jp/)
なお終活カウンセラーと似た名称で、就活アドバイザーという資格もあります。こちらは就活アドバイザー協会が儲けた民間資格です。
終活では生前整理を行います。
自分らしい最期を迎えるため、また逝去した後に親族にかかる負担を軽減する目的で、生前から身辺整理するのが終活です。
加速する高齢化社会と核家族化を受けて、人生の集大成としての就活に取り組む人も増えています。
しかし終活は、誰もが人生で一度きり体験するものです。そのため具体的にどのように進めていけばよいか迷うことも多いもの。さらに終活することは、自らの死を意識することでもあります。終活をする過程で、気持ちが塞ぎ込む人も少なくありません。
こういった終活に伴う物理的、心理的負担を軽減するべくサポートするのが、終活カウンセラーの重要な役割です。終活カウンセラーには、1人で抱えるには荷が重い終活をサポートする職業として、大いに期待が寄せられています。
終活カウンセラーの仕事内容
終活カウンセラーには、主に以下の5つの業務があります。
- エンディングノートの作成補助
- 終活したい人の相談に乗る
- 相談者の悩みに応じた専門家を紹介する
- 役所における手続きのサポート
- 就活に関するセミナーや相談会
エンディングノートの作成補助
エンディングノートとは、終活ノートとも呼ばれます。元気なうちに自分に関する情報を記録して親族に意志を伝えるためのものです。
エンディングノートを作成することは、自分が何を大切にしているのか、価値観を見直すきっかけになります。残りの人生の生き方を見直し、悔いのない時間を過ごせすたに有効な手段として、エンディングノートは有用です。
しかし自分1人で自分の内面に向き合うのは、苦しく感じてしまうこともあるでしょう。そういった時にサポートするのが終活カウンセラーの役割です。
終活相談を受ける
終活カウンセラーにとって最も大きなウェイトを占めるのが、終活にまつわる相談を受ける業務です。
今すでに終活している人の相談にのるほか、これから終活を行う人の相談を受けたり。今は終活していない人に向けたセミナーや相談会で質疑応答に対応したりすることもあります。
相談に基づいて必要な専門家を紹介する
終活には、金銭に関わるものなど、専門家によるアドバイスやサポートが必要な分野も多くあります。
そういった悩みを解消するために適切なアドバイスができる専門家を紹介したり、打ち合わせの席に同席して相談者をサポートしたりするのも、終活カウンセラーの重要な業務の一つです。
役所の手続きをサポートする
終活を進める過程で、役所の手続きが必要なケースも出てきます。その際には終活カウンセラーが相談者に同行し、煩雑な役所の手続きをサポートすることも可能です。
終活に関する知識啓蒙
終活という概念は徐々に浸透しつつありますが、まだ自分には関係ないと思っている人も少なくありません。またどうやって終活を始めれば良いかわからず何もしていない人や、漠然と終活にネガティブな思いを持っている人もいるでしょう。
こうした人たちに正しい終活の知識を伝え、終活は安心して人生を歩むために大切なものであること、さらに終活カウンセラーなどのサポートを受けられるので、決して孤独な作業はないことを知らしめることを知らしめること。1人でも多くの人が、安心して終活を始めるよう促すことも、終活カウンセラーの大切な仕事です。
終活カウンセラーに必要なスキル
終活カウンセラーに必要なスキルは、3つです。
- 終活に関する知識
- 傾聴力
- 行動力
エンディングノートの書き方など終活に関する知識については、座学で基本的事項を学び、それ以降は経験を重ねながら身につけられます。
知識よりももっと大切なのは、相談者の方の言葉にしっかり耳を傾けて話を聞く力である傾聴力。そして、相談者の方に必要なサポートを実行に移す行動力です。
終活カウンセラーは、相談者の方の相談役です。
自分の人生が残り短いことを自覚し、クロージング作業するのは、決して心躍る作業ではありません。人によっては暗い気持ちになり、塞ぎ込んでしまうケースもあります。
そんな相談者の不安に寄り添い、声に耳を傾けながら、残りの時間をよりよく過ごすためにどうしたら良いかを一緒に考える終活カウンセラーは、ある人の人生を大きく左右するほど大きな存在であり、やりがいのある仕事と言えるでしょう。
終活カウンセラーになる方法
終活カウンセラーには1級と2級があり、さらに終活式コーディネーターや認定協会の終活講師になれるといった上級資格もあります。
終活カウンセラー2級
終活カウンセラー2級は、終活の基本的知識を習得する講座と検定試験がセットになっています。
6時間に及ぶ講座の中で、相続・遺言・保険・介護・年金・葬儀・供養の6科目を学び、エンディングノードが自分で書けるようになることがゴールです。
講義を受けたあと検定試験を受験します。合格率98%というデータもあり、参入ハードルは低い資格と言えます。
受験料はテキストや講義代込みで15,000円(税込)であり、年会費5,000円が必要です。
終活カウンセラー1級
終活カウンセラー2級を取得している人であり、さらに終活カウンセラー1級の勉強会に1回以上参加すると受験資格を得られます。
終活カウンセラー1級にはレポートの提出が義務付けられており、難易度は終活カウンセラー2級と比べると格段に高いのが特徴です。
レポート提出費用が3,000円(税込)。会場で受験する場合の受験料は45,000円(税込)、オンライン受験の場合は50,000円(税込)ですから、費用の面でも2級に比べると高くなっています。
その分、終活カウンセラーに対する強い信念や熱意、使命感を持った人が集まる傾向があるでしょう。終活カウンセラーを生業にしたい人の登竜門とも言える資格です。
終活カウンセラーを仕事にする方法
終活カウンセラーの資格取得がすぐに仕事に繋がるか。
資格取得を目指すなら、ぜひ知っておきたい答えでしょう。
結論から言うと、資格取得が即就業や開業に繋がる可能性はかなり低いと考えてよいでしょう。
検定試験を主催する一般社団法人終活カウンセラー協会は、民間団体です。就職の斡旋も行っていません。そのため終活カウンセラー資格を活かせる就業先は、自分自身で見つける必要があります。
また終活カウンセラーとして開業する場合は、セミナーを開催したり、コンサルティング業務を中心に活動するようになるでしょう。そのため、集客する方法を見出す必要があります。
終活カウンセラー専業よりは、例えば、終活カウンセラー×ファイナンシャルプランナーや終活カウンセラー×介護福祉士などのように、他の職種や業務を掛け合わせた働き方をすると、終活カウンセラーで得た知識や経験を存分に活用できるでしょう。
終活カウンセラーに向いている人8選
終活カウンセラーに向いているのはこんな人です。
- 高齢のご家族がいる
- 自分自身の終活を考えている
- 人の役に立つ仕事をしたい
- 将来的に可能性の広がる仕事をしたい
- シニア世代に関わる仕事をしている
- セミナーや講師などで活躍したい
- 話を聞くのが得意もしくは好き
- 会話の中から話の本質を見極めるのが上手
誰にも終活カウンセラーの知識が必要
誰にも必ず訪れる人生の終わりの時。終活カウンセラーの知識は職業として活用しなくても、自分自身や身の回りの家族のために活用できます。
そのため、誰もが学んで損のない資格の一つが、終活カウンセラーの仕事です。
人生いつ何が起こるとも知れません。若いうちから自分の終わりの時について考えておけば、悔いのない生き方のヒントを得られます。
また年を重ねていく親や親族の終活に対する悩みや不安に、最も身近なアドバイザーとして関われるようになりますから、家族との絆を深めることも可能です。
高齢世代に関わる仕事をしている
今すでに保険やファイナンシャルプランナーのような財産管理に関わる仕事をしている人や、葬儀業などに携わっている人にとって、終活カウンセラーは本業に役立つ資格の一つです。
本業と終活カウンセラーの仕事を掛け合わせることで、相乗効果でより一層相談者の力になるアドバイスができるでしょう。
自分自身の引き出しを増やし、本業をより一層パワーアップさせる意味でも、終活カウンセラー資格取得は有益です。
セミナー講師やコンサルタントで自営したい
終活カウンセラーとして集客する方法を見いだせれば、終活のセミナー講師やカウンセラーとして自営業を営むこともできます。
人に物を教えることが好き。
人助けがしたい。
自分の特性を活かしながら、自由な働き方も実現できます。
聞き上手・話させ上手
終活カウンセラーにとっては、相手の話を聞くことが仕事の肝です。
相談者の話を親身になって聞くこと。そして相談者の話の中から、悩みの本質を見極め、それに対する適切な回答を導き出す必要があります。
そのためには、どれだけ相談者に話をさせて、情報を引き出すかが大切です。
相談者の中には、自分が何に悩んでいるのか把握できていない人もいるでしょう。混沌の中にいる相談者に対して進むべき方向を照らし、残りの人生を充実したものにする一助となるのが終活カウンセラーです。
まずは相談者の話を聞く。ひたすらに話を聞き、相談者にできるだけたくさん話してもらい、情報を収集。精査して整える力が必要です。
まとめ
終活カウンセラーはまだ比較的新しい資格ですが、高齢化社会の進行に伴い、より一層需要が高まることが予測されています。
終活カウンセラーの勉強は人の役に立てられるのみならず、自分自身の生き方を見つめるヒントにもなる、有益なものです。
資格取得にあたって特に用件がなく、誰もが学び取得できる終活カウンセラー。習得して損のない資格の一つと言えるでしょう。