コロナ渦で在宅時間が増えたことにより、「家庭菜園」を始める人が増えています。
自宅の庭のほか、植木鉢やプランターを使えば、ベランダでも栽培が可能です。
しかし、ガーデニングや家庭菜園で不要になった残土は、どのように処分すべきかご存じでしょうか?
入れ替えや植え替えで出た土は、適切な方法で処分しなければなりません。
この記事では、家庭で不要になった土の正しい処分方法について詳しく解説します。
目次
土を処分するタイミング
そもそも、家庭で土の処分が必要になるのは、どんな時なのでしょうか?
土を捨てるタイミングとしては、以下のシチュエーションがあります。
- ガーデニングや家庭菜園をやめた
- ガーデニング、家庭菜園用の土を入れ替えたい
- 庭の土が余っている
- 災害用に備えておいた土壌が敗れた、不要になった
コロナ禍で人気に火が付いた家庭菜園は、小さめのプランターでも意外とたくさんの土を使います。
家庭菜園をやめる際はもちろん、家庭菜園を続けていても定期的に入れ替えが必要になるため、土の処分は必須です。
戸建て住宅の場合は、庭の土が不要になったり、災害用に備えていた土壌が要らなくなったりして、土の処分が必要になるケースもあります。
私たちの暮らしの中で、「土の処分」は思いのほか身近です。
いざ処分が必要になった時に困らないよう、土の処分については事前準備を整えておきましょう。
土の処分方法7選
それでは本題、ここからは土を処分する7つの方法を紹介します。
処分方法によって、捨てやすさや費用が異なりますので、自分に合った方法を選びましょう。
土の処分方法を、「手間と費用がかからない順」にひとつずつ紹介します。
1.自宅の庭や畑に撒く
一番手っ取り早いのが、自宅の庭や畑に埋めたり、撒いたりする方法です。
自分が所有する敷地内であれば、誰にも迷惑はかかりませんし、処分を依頼する手続きもかかりません。
処分費用は無料な上に、土を埋めるだけなので捨てるのも簡単です。
土を運ぶ手間や時間もかからないので、処分に時間をかけたくない方にも向いています。
しかし、土を埋めたり撒いたりした分、庭土が増えて見た目が悪ってしまう場合があるため、要注意です。
園芸や家庭菜園用の土は、色や質にも特徴があり、庭土と上手く馴染まない場合があります。
庭に土をまく場合は、「1箇所にまとめて撒かない」「山にならないよう均等にならす」などの工夫が必要です。
一気に撒かずに少しずつ、庭土の違和感がない程度に留めることをおすすめします。
2.地域の農家に引き取ってもらう
マンションやアパートなどにお住まいの方は、自宅の庭や畑にまいて処分するのは現実的ではありません。
このような場合は、近所の農家さんに相談してみるのもひとつです。
所有している畑に土を捨てさせてもらえないか、相談してみましょう。
もちろん、無理強いはいけません。
入れ替えで不要になった土は栄養が乏しいため、引き取ってもらえないこともあります。
3.土の購入店に引き取りをお願いする
園芸用の土や土嚢に関しては、購入店に引き取ってもらう方法もあります。
引き取りできるかどうかは店舗によって異なりますが、「自社購入品に限り可」としているケースは多いです。
ただし、いくつか注意点もあります。
店舗によっては購入時のレシートや領収証が必要だったり、新しい土の買い替えが必須であったり、引き取り時のルールを設けている場合もあります。
購入店に持ち込む前に、不要になった土の引き取りが可能かどうか確認しておくと安心です。
4.ホームセンターの土回収サービスを利用する
園芸用の土を取り扱っているホームセンターでは、不要になった土の回収サービスを行っている店舗もあります。
ホームセンターに不要になった土を持ち込む必要はあるものの、とくに面倒な手続きは不要です。
購入店に引き取ってもらう場合と同様、比較的手軽に処分できる方法です。
ただし、土の回収を行っている販売店はそれほど多くありません。
調べてみましたが、大手ホームセンターでも、土の回収サービスを行っているのは、「島忠ホームズ」「ユニディ」「ジョイフル本田」の3社だけでした。
また、土の回収にあたって、ホームセンターごとの条件があります。
島忠ホームズ
「ご使用済み園芸用土」の回収を実施しています。
〈回収方法〉
対象商品を購入後、購入した商品袋に土を入れて、袋に入れた不要用土を近くの店舗まで持ち込む。
専門業者が回収した後、不純物を取り除いて殺菌処理を行い、リサイクル用土として再利用されます。
土の回収費用は無料です。
【参考】島忠ホームズ
ユニディ
家庭で不要になった土の回収を実施しています。
〈回収方法〉
購入した土の袋に不要な土を入れ、袋に入れたまま、店舗内にあるコンテナボックス(回収ボックス)に入れる。
店舗で購入した土と同量の土のみ、回収可能です。
購入した量を超える土は、引き取りできません。
土の回収費用は無料ですが、一部回収を行っていない店舗もあります。
【参考】ユニディ
ジョイフル本田
「条件付き」で不要になった土の回収を実施しています。
〈回収方法〉
ジョイフル本田で販売している3種類の園芸用土を購入し、空いた袋に詰めて、直接持ち込む。
対象の園芸用土は、「かる~い培養土25リットル」「このまま使える花と野菜の土14リットル」「ハイポネックス 花と野菜の培養土25リットル」です。
【参考】ジョイフル本田
土の回収サービスは3社とも無料で行っていますが、ホームセンターへ残土を持ち込めるのは純粋な土のみです。
砂利・枝・根などの不純物はできるだけ取り除いてから、袋に詰めて持ち込みましょう。
新しい土を購入した際の袋も、捨ててしまわないよう注意してください。
回収の手続き・申し込みの有無は店舗によって異なりますので、土を持ち込む前に調べておきましょう。
5.土専門の回収業者を利用する
大量の土を処分したい場合は、自宅の庭で処分するのも困難です。
販売店でも引き取り可能な土の量を制限していることが多く、土をたくさん処分する方法としては向きません。
このような場合は、土を専門とする回収業者の利用を検討しましょう。
解体業者の残土を産業廃棄物として回収する「残土処理業者」の中には、家庭から出た土の回収にも対応している場合があります。
リサイクル事業の一環として、ガーデニングや家庭菜園の不要な土を回収しているところもあるので、身近に回収業者がないか調べてみましょう。
気になる回収費用についてですが、基本料金の相場は500~3,000円ほどです。
少量の処分でも利用できるよう、1kg数十円の料金を設定している業者もあります。
自宅まで回収に来てもらえるメリットも
園芸用とは言え、土は少量でも重たく、運び出すのが困難です。
ご年配の方だけでなく、処分する土が大量にある場合も、自力で運ぶのが困難でしょう。
このように運び出すのが大変な場合も、土の回収を行う専門業者が力になります。
土専門の回収業者では、自宅まで直接引き取り可能な業者が多く、労力をかけずに処分することが可能です。
自宅まで引き取りに来てもらえれば、趣味の園芸やガーデニングも気兼ねなく楽しめますね。
ただし、サービス内容や費用は業者によって違いがあります。
自宅まで引き取りにくるところもあれば、郵送で送る、指定場所まで持ち込むなど、土の回収方法もさまざまです。
また、回収の土は、土嚢袋などに入れてまとめておく必要があります。
当然、土の処分にかかる費用も異なりますので、サービス内容や回収方法を確認しながら、2~3社の業者を比較検討しましょう。
6.不用品回収業者に依頼する
身近に土専門の回収業者がない場合や、土以外の不要品も処分したい場合は、不用品回収業者への依頼がおすすめです。
不用品回収業者なら、土と一緒に家具家電や衣類などの要らないものを一緒に引き取ってもらえます。
処分する土も、小枝や砂利を取り除く必要はありません。
不純物が混ざったままの状態で回収してもらえるので、処分にほとんど手間がかからない点はメリットが大きいです。
また、土を含む不用品は、自宅からの搬出まですべてスタッフが対応します。
分別も運び出しも不要、重たい土を持ち込む手間もかからないため、楽に処分したい方には最適な方法と言えるでしょう。
手間がかからない分、処分料金がかかる点は経済的なデメリットではありますが、処分する不用品が多いほど費用は割安になります。
業者によっては、「トラック積み放題」などのお得なパック料金もあります。
サービス内容や作業料に関しては業者によって異なりますので、複数社から見積もりを取り、しっかりと比較検討した上で依頼先を決めましょう。
ただし不用品回収業者によっては、土の回収を行っていない場合もありますので、引き取り回収できるかどうかの確認もお忘れなく。
7.リサイクルする
不要になった土は、リサイクルすることも可能です。
しかし、古い土は養分が乏しくゴミやウイルスが潜む場合もあるため、そのまま使うと植物を枯らす可能性があります。
リサイクルする前に、適切な方法で不純物を取り除き、殺菌処理が必要です。
〈再利用する手順〉
- 土に紛れ込んだゴミや雑草、虫などを取り除く(ふるいにかけるとスムーズ)
- 晴れた日に土を日の光にあてて殺菌
- 腐葉土や土壌改良剤を混ぜて不足した養分を補う
この3つを行うだけで、古い土が再び使えるようになります。
使い終わった土を再び植え替えに利用すれば、土を処分必要がない上に、新たな土を購入するよりも割安です。
限りある資源を有効活用できる面でも、エコな今の時代に向いている処分方法と言えます。
こんな捨て方はNG!「不法投棄」になるケースも
ここまで、家庭で不要になった土の処分方法を紹介しましたが、実は「NGな捨て方」もあります。
知らずに処分すると、不法投棄となり罰せられる可能性があるため、注意が必要です。
自治体のゴミ回収に出す
家庭から出たゴミは、自治体が行うゴミ回収に出すのが一般的です。
しかし、不要になった土を可燃ごみや不燃ごみに出すことはできません。
家庭ゴミのみならず、粗大ごみの収集でも行っていないのです。
ゴミ収集に出せないその理由は、土を「自然物」として取り扱う自治体が多いからです。
土は植物と同じく、『自然の中にあるモノ』として判断しています。
そのため、ガーデニングや園芸用の土はもちろん、庭土も、基本的には自治体が回収を行っていません。
土を家庭ゴミとして出せない地域では、自治体の条件に従い、適切な処分方法で処理する必要があるのです。
しかし、制限付きで回収OKとしている自治体も一部あります。
全国的に見ても少数ではあるものの、対応している自治体であれば、ルールに沿って家庭ごみに出すことは可能です。
自治体ゴミとして捨てることができない場合、他の処分方法を探す必要があります。
公園・街路樹・山・川に捨てる
土は「自然物」だからと言って、公園や街路樹、山や川などに捨てるのはNGです。
家庭で使った土は自然物ではなくなるため、公共施設や他人の所有地へ勝手に戻すのは間違っています。
許可なく勝手に土を捨てることはもちろん、持ち帰ることも禁止です。
山や畑も自分が所有しているものでない限り、土を勝手に捨ててはいけません。
勝手に捨てた場合、不法投棄とみなされ罰則を受ける可能性もあります。
自分が所有している土地でない限り、公園や山川へ持ち込むのは避け、適切な方法で処分しましょう。
「捨てられる土」に買い替えるのもひとつ
園芸用の土は、一般ごみとして処分できない以上、ずっとついて回る悩みです。
ガーデニングや家庭菜園は楽しみたいけれど、土を処分するのは面倒という方は、「捨てられる土」への買い替えをおすすめします。
捨てられる土は、その名の通り、自治体が回収する「可燃ごみ」で処分できる土のことです。
植物を原料として作られているので、環境にやさしく、不要になった時の処分方法にも悩みません。
水を吸わせると膨らむ培養土もあり、これならストックの置き場所にも困りません。
店舗から購入し持ち帰る時も、軽くて便利。
使う分だけ水を加えれば、余計な土も出ません。
不要になったら、自治体が回収する可燃ごみの日に出すだけなので、片付けや処分もお手軽です。
処分方法だけでなく、置き場所や余った土の使い道にも困ることがない、まさに一石三鳥の土と言えます。
水を含ませても見込む手間がかかるため、大量の土を必要とする人には不向きですが、プランターで家庭菜園をする程度なら十分です。
まとめ
家庭から出る土は、基本的に自治体ゴミに出せないため、処分方法が限られています。
ですが、一部の地域では条件付きで可燃ゴミに出せる場合もあります。
まずは自治体のゴミ出しルールを確認し、土の適切な処分方法について比較、検討し
てみましょう。