遺品整理をしていると、ときどき「何これ?」と思うようなものが出て来ます。
雑貨や衣類、故人がコレクションしていたもの、変な掛け軸や陶器など……。
どう見ても古いし、汚れているし、ごみのように見えたりします。
でも、それが実は貴重な美術品だったり、価値の高い銀や金製品だったりすることがあります。
なかには、古い行李に入っていた冊子や写真が、太平洋戦争中の貴重な資料であることがわかり、のちに県に寄贈されたなんていう例もあります。
遺品整理で出て来たもの、古くて汚い、いらない! と思わないで、鑑定してみませんか?
貴金属
金やプラチナなど貴金属の輝きは、昔から人を魅了してきました。
貴金属は安定した人気があり、いつの時代も価値が高いものです。
もし、遺品から金製品が出て来たら、小さなもので捨ててしまわず、鑑定してもらいましょう。
- アクセサリー・時計など
- 金縁メガネ
- 金歯
- 仏具
- プラチナ製品
アクセサリー・時計など
指輪やネックレス、ピアスやブローチなどのアクセサリーや、時計が残されることはよくあります。
ただ、ものによっては、「金」として売った方がお得か、時計や指輪などの「品物」として売った方がお得か変わってきます。
大きなポイントは、ブランド物であるかどうか、どんなデザインであるか。
たとえば、時計を例にとってみると、ノーブランドのものでデザインが特に変わっていないのなら、金として売る方がよいでしょう。
また「ロレックス」や「カルティエ」、「フランクミュラー」など人気のブランド時計なら、状態にもよりますが時計として売る方が断然、高値がつきますし、古くても高値で売れることが多いようです。
アクセサリー類も同様で、金の塊としてみるべきか、アクセサリーとしてのほうが価値が高いのかは、ブランドやデザインによって変わります。
人気のブランドジュエリーには、次のようなものがあります。
- カルティエ
- ティファニー
- ブルガリ
- ハリーウィンストン
- ヴァンクリフ&アーペル
など。
ブランド名、モデル名がはっきりしていて、箱や保証書などの付属品が揃っていると、さらに高く売れるようです。
金縁メガネ
金をふんだんに使った金縁メガネも、価値の高いもののひとつです。
金の含有率と純度によって違いはありますが、20~30gほどの金を使っているものがほとんどなので、高値が期待できますよ。
金の含有率が高いものでは、1本で10万円以上の値がつくものもあるようです。
金歯
「えっ、金歯!?」と驚く人も多いかもしれませんが、金歯は意外と高く売れるのです。
純度の高い金歯だと、1本5万円以上で売れることもあるようです。
「でも、亡くなった人から金歯を抜くなんて……」と気が引けますが、火葬場では納棺師が気を利かせて金歯はどうするかと聞かれたり、スタッフに勧められて金歯を抜いてもらったりする人も多いようです。
もし故人に金歯があることを知っていたら、あらかじめ相談してみるのもアリでしょう。
もしマイナスの多い遺産を引き継ぐのなら、少しは役に立つかもしれません。
ちなみに、抜いた金歯は、指輪などと同じように溶かして、金として取り引きされます。
仏具
仏具もよく貴金属が使われているもののひとつです。
なかでも、金や銀で作られた仏像は意外と多いようです。
「こんなもの、価値なんてないだろう」とは思いながら、念のため鑑定に出したら、何と純金製で100万円以上の値がついた、というケースもあります。
古い仏像や仏具は、ろうそくのすすや線香の煙で色がくすんでいたりして、ぱっと見では貴金属が使われているとは判断しにくいものです。
「これはどうかな?」と思ったら、磨いてみるとよいでしょう。
線香立てや蝋燭立てなどに銀が使われていることもよくあります。
捨てる前によく確認しましょう。
また、金銀が使われていなくても、仏壇自体、数万円で売れることもあります。
仏壇は海外でインテリアとして人気が高い商品です。
仏壇が不要になったら、中古買い取りに出すのもよいでしょう。
ただし、仏像や仏壇を売りに出す前に、必ずお寺などでお精抜きをしておきましょう。
プラチナ製品
金より高値がつくのがプラチナです。
結婚指輪はプラチナの場合が多いので、刻印を見てみましょう。
「PT」「Pt」とあれば、プラチナ製です。
アクセサリー類も、裏側に小さく刻印されているので、確認しましょう。
美術品・骨董品
値段があるようでないのが美術品です。絵画や彫刻など、美術品や骨董品の価値は、素人には判断が難しいですね。
テレビで、家にある美術品や骨董品の価値を鑑定する番組があります。
視聴者が、自慢のコレクションやおじいさんの遺した骨董品や美術品の解説と、実際の市場価値を鑑定する内容です。
素人目には落書きにしか見えないけれど、実は有名画家の素描で、目が飛び出る程の高値がついたり、逆に有名な作家の作とされ、代々大切にされてきた掛け軸が贋作だったりすることもあります。
このような美術品、骨董品が出て来たら、ぜひ専門家に鑑定してもらいましょう。
- 古美術品・骨董品
- 美術品
- 道具類
古美術品・骨董品
骨董品とは、希少価値のある古美術や古道具のことです。
食器や文具といった日用品、玩具、貴金属や宝石を含む装飾品、衣類、家具など、多岐にわたります。
いわゆる「アンティーク」のことです。
近年、日本の繊細で高度な技術が結晶した伝統工芸品は、外国人の間で人気を集め、高値で取り引きされています。
特に人気があるのは、古伊万里(17世紀から作られるようになった伊万里焼の中で、古美術的価値の高い作品)や美術刀剣、日本刀など。
鑑定の結果、もし本物ならかなり高く売れるかもしれません。
美術品
見極めが極端に難しいのが美術品です。
主に素人には、鑑定結果をみるまで分かりません。
掛け軸や絵画などが出て来たら、鑑定に出してみることをお勧めします。
道具類
ただ古いだけに見える道具類も、実は価値の高いものかもしれません。
- 将棋や囲碁の道具
- 茶道具
- 書道の道具
- 屏風
- 印籠
- 時代箪笥(和ダンス)
- 煙管
- 古家具
- 長火鉢
- 機械式時計
などの生活道具が、アンティークとして高値がついたり、コレクターの間で人気となっています。
たとえば、将棋や囲碁の棋盤の中には、1本の木から切り出して作られた高級品があります。
遺品として残された碁盤が、もしそのような高級品だった場合、駒などとセットで数万〜数十万で買い取ってもらえることがあるのです。
古く見えて役に立たないと思っても、捨てる前に査定してもらうとよいでしょう。
着物
タンスの中に残された着物も高く売れるもののひとつです。
しかし、着物の価値判断は、やはり素人には難しいものです。
その理由のひとつに、機械の登場があります。
昔は、着物の生地を織るには、職人が手間暇かけて丁寧に織り上げていました。
しかし、機械が登場したことによって、時間をあまりかけずに生地を織ることができるようになったのです。
染めなどについても同じことが言えます。
たとえば、高価な着物として広く知られているものに加賀友禅がありますね。
加賀友禅の作業工程には、糊をもちいて図柄を描いていく作業があります。
これは「糸目を引く」と呼ばれる作業で、細い口金の先から一定の太さで糊を出しながら丹念に図柄を描いていく、大変な手間がかかるものです。
ですから、加賀友禅が数百万円するのは当然のことなのです。
ところが、近年、加賀友禅でも10万円足らずのものが見られるようになりました。
なぜ、こんなに安価に作れるようになったかというと、糸目を引くのを機械で行う「型糸目」と呼ばれる手法が登場したからです。
型糸目の加賀友禅は、初期のものは糊が太く、職人が手で糸目を引いたものとすぐに区別できました。
ところが、技術が進歩して、機械でも細く糊を出せるようになり、現在ではパッと見ただけでは職人が糸目を引いたものなのか、型糸目なのか区別できないものが出てくるようになったのです。
もちろん、これを区別する方法はあります。職人が丹念に糸目を引いた加賀友禅には、1枚の着物の中に同じ柄は決して登場しません。
それに対して型糸目の場合は、たとえば左袖前と右袖後が全く同じ柄になります。
しかし、こういったことも、知識がなければ判断するのは非常に難しいものです。
遺品で着物がある場合、高価そうなものであるなら専門家に鑑定してもらうとよいでしょう。
また、着物にもブランド品があります。
なかには芸能人がプロデュースしているブランドもあります。
主に若い人向けのこういった着物は、気軽に着られるように、洗濯機で洗えるポリエステル製のものがほとんどですが、ブランド力のあるものはそれなりに売れることがあります。
この場合は、オークションなどに出すとよいでしょう。
着物にも、作家やブランドがあり、それらが揃っていると驚くような高値がつきます。
素人に着物目利きは難しいので、着物の買い取り専門業者に依頼するのがおすすめです。
暗い気分になりがちな遺品整理ですが、これは価値があるかな、ないのかな、と思いながら片付けると、ちょっとした宝探し気分で楽しく進められるかもしれません。
遺品整理業者には、こういった古いものを鑑定する知識があるスタッフや、買い取りのできる古物商の資格を持つスタッフがいるところがあります。
また、専門家と連携している遺品整理業者もありますので、相談してみるとよいでしょう。