身内の死などで、突然特殊清掃が必要になったものの高額な費用が払えないとお悩みの方は多いものです。あらかじめ想定できることではないため、急な出費に驚くのは仕方のないことです。
この記事では特殊清掃の費用について、以下のような疑問にお答えします。
- 費用を払えないときの対処法
- そもそも費用を払うべきなのは誰か
- 特殊清掃や遺品整理における注意点
特殊清掃の費用を工面する方法を探している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
特殊清掃費用が払えない場合の対処法
特殊清掃には通常のハウスクリーニングと比べても高額な数十万円もの費用がかかることがあります。身内が亡くなり、特殊清掃を依頼すること自体が予想できるものではないうえ、急に高額の費用が必要といわれて悩む方は少なくありません。ここでは特殊清掃費用が払えないときの対処法を5つ紹介しますので、お困りの方は参考にしてください。
相続財産から捻出する
特殊清掃費用が払えないときは、まず故人の銀行口座や証券口座、持ち物などの相続財産から費用を捻出できるか確認しましょう。故人に一定の財産があり、かつ自身に相続権があるときに有効な方法です。
基本的に亡くなった人の銀行口座は凍結され、相続人全員の同意の下で凍結解除の手続きを行うまで預金を引き出せなくなります。相続手続きの終了には時間がかかることが多いため、いったん特殊清掃費用だけを確保したいというときは「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」を活用しましょう。この制度を利用すれば、銀行での手続きだけで一定額以下を引き出せることがあります。なお、引き出し可能な金額は預金額や故人との関係によって異なるため、詳しくは銀行へ問い合わせが必要です。
保険を利用する
火災保険や借地人賠償保険、少額短期保険などの中には特殊清掃の費用が補償対象になる商品があります。賃貸物件を契約する際に加入した火災保険の特約として付帯している場合など、特殊清掃費用を補償する保険に加入していることを本人が認識していないことも考えられます。
保険証書を確認したり、保険会社や不動産会社などに聞いてみたりするとよいでしょう。ただし、補償を受けられる条件を満たさないとして、保険を利用できないこともあります。また、故人が加入していた生命保険があれば、その保険金を特殊清掃の費用にあてるのも方法の1つです。
業者と交渉する
毎月の収入から少しずつ返す、またはボーナスを利用するなど時間をかければ特殊清掃費用を支払えるという場合は、業者と交渉する方法もあります。特殊清掃業者に依頼する前に一括で支払うのが難しいことを伝えて、分割払いができるか相談しましょう。
業者によっては、提携のローン会社を紹介してくれることもあります。ただし、ローン会社などを利用する場合は金利や手数料がかかることに注意しましょう。また、収入や年齢、金額などの条件によってはローンの審査が通らないこともあります。
大家・不動産業者と交渉する
特殊清掃費用を払うのがどうしても難しく、業者との交渉もうまくいかないときは大家や不動産業者に立て替えてもらえないか交渉するのも方法の1つです。事情を説明して理解を得られれば、猶予や支払いの分割などに応じてくれるケースもあります。
大家や不動産業者の立場では、特殊清掃を行わないと新しい入居者を探せないため、汚れた部屋を放置されるのは避けたいものです。また、時間が経つほどきれいにするのが難しくなり、特殊清掃の費用が高くなることもあります。そのため、早く特殊清掃を依頼したいと考える大家や不動産業者であれば、立て替えや分割払いに応じてくれる可能性があります。
ただし、立て替えてもらう場合、費用の内訳を教えてもらえなかったり、不要なリフォームの費用も合わせて請求されたりといったトラブルに注意が必要です。また、大家が依頼した業者によっては、相場よりも高い費用がかかることも考えられます。
金融機関から借り入れる
手元にまとまったお金がなくても、将来返せる見込みがあるときは金融機関から特殊清掃の費用を借り入れることも検討しましょう。少額を借りる際には消費者金融や銀行、クレジットカードのキャッシングなどが利用できます。金利や手数料を比較して選びましょう。ただし、収入や年齢、他のローンの借り入れ状況などによっては希望通りの金額が借りられないこともあります。また、返済期日に遅れると延滞金を請求されたり、信用情報に影響したりするため、無理な借り入れはしないことが大切です。
特殊清掃の必要性
特殊清掃とは、通常のハウスクリーニングでは落ちない汚れを特殊な薬品や機材などを用いてきれいにすることです。事件が起きた部屋や孤独死の発見が遅れて汚れた部屋、いわゆるゴミ屋敷は、掃除だけでは汚れや嫌な臭いを落とせないため、特殊清掃が必要になります。
特殊清掃は放置すると汚れや臭いが落ちにくくなるため、できるだけ早く実施する必要があります。床板や壁紙の交換が必要になれば、さらに高額な請求を受ける可能性が考えられます。また、害虫が発生したり、臭いが部屋から漏れ出して周囲に迷惑をかけたりするおそれもあるため、費用を払うのが難しい場合でも放置しないことが大切です。
特殊清掃の費用は誰が負担する?
そもそも特殊清掃の費用を負担すべき人は、持ち家か賃貸物件かによって異なります。特に賃貸物件の場合、特殊清掃は借り主の義務です。対応が遅れて汚れや臭いがひどくなり、部屋が使えなくなると損害賠償を請求されることも考えられます。誰が費用を負担するべきかを把握し、できだけ早く対処しましょう。
持ち家の場合
持ち家で家主が亡くなっている場合、特殊清掃の費用を負担するのは法定相続人です。法定相続人とは、亡くなった人の配偶者や子ども・孫、兄弟姉妹などのことです。これらに該当する人も亡くなっている場合は、さらにその子どもが相続権を持ちます。
ただし、身寄りがなく、誰かに譲るとの遺言もない場合は地方自治体や裁判所での調査・決定を経て、家屋は国の財産として国庫に帰属させる手続きが取られます。また、全ての相続人が相続放棄した場合も同様に、国庫に帰属させる制度を利用できる可能性があります。
賃貸物件の場合
賃貸物件は一般的に契約で借り主に原状回復義務が課せられています。原状回復義務とは、経年劣化など通常の使用を超える建物のダメージを復旧する義務のことです。特殊清掃を行うことも原状回復義務の1つと考えられるため、原則として借り主が費用を負担しなければいけません。
賃貸物件の借り主が亡くなっている場合、特殊清掃を依頼して原状回復する義務を負うのは借り主の法定相続人や連帯保証人です。法定相続人や連帯保証人は特殊清掃の費用だけでなく、賃貸契約を解除するまでの家賃を払う義務もあります。費用負担を抑えるためにもできるだけ早く特殊清掃を依頼し、退去手続きを取ることが大切です。
なお、孤独死かつ連帯保証人が家族以外の場合、連帯保証人より法定相続人に特殊清掃の費用を請求するのが一般的です。ただし、法定相続人が費用を払えないときや連絡が取れないときには連帯保証人が負担することもあります。
なお、法定相続人がいない場合や相続放棄した場合は保険会社・保証会社、大家や不動産業者が特殊清掃費用を払うこともあります。特殊清掃をしない限り、新しい入居者を見つけられないうえ、放置したことで汚れや臭いが取れなくなれば不動産の価値が下がってしまうためです。
特殊清掃の費用負担の目安
特殊清掃の費用は、部屋の広さや汚れの程度によって異なります。以下が部屋の間取り別の相場です。
- 1R・1K:80,000~300,000円
- 1DK~3LDK:150,000円~500,000円
- 4DK以上:300,000円~700,000円
同じ間取りでも費用の幅が広いのは、遺体が発見されるまでの期間や汚れが広がっている範囲などによって作業内容が変動するためです。実際の費用を知るには、部屋を見てもらい見積もりを取るとよいでしょう。
特殊清掃費用が払えなくてもやってはいけないこと
特殊清掃費用が払えないときには、先に紹介した方法で対処できる場合があります。
そのほかに「安い特殊清掃業者に依頼する」「自分で特殊清掃を行う」といった対処法を考える方もいらっしゃるかもしれませんが、余分な費用や手間がかかるおそれがあり、十分な清掃が行えない可能性が高いため、避けるべき対処法です。
それぞれ詳しく解説します。
安い特殊清掃業者に依頼する
特殊清掃費用が払えないからといって、相場より大幅に安い業者に依頼するのは避けましょう。安すぎる業者は品質が低い傾向にあるためです。
特殊清掃を依頼する目的は、物件の原状回復をして速やかに退去手続きを行うことや、新しい入居者に貸せる状態に戻すことです。しかし、安い特殊清掃に依頼すると汚れが取り切れなかったり、部屋の見た目はきれいでも嫌な臭いが消えていなかったりすることがあります。このような状態では特殊清掃が完了したとはいえません。最悪の場合はやり直しのために別の業者に依頼することになり、結果的に相場より大きな費用がかかる可能性もあります。
自分で特殊清掃を行う
業者を利用せずに自分で特殊清掃しようと考える方もいますが、やめた方がよいでしょう。特殊清掃の現場に入ることで大きな精神的ショックを受けたり、細菌やウイルスが原因で感染症にかかることがあります。
また、インターネットなどで個人が購入できる薬品や機材は安価ですが、効果は低い傾向にあるため十分な清掃・消臭効果を得られない可能性があります。加えて、特殊清掃の方法に関するノウハウもないため、そろえた薬品や機材の費用だけでなく時間も無駄にしてしまうことが少なくありません。もし自分で特殊清掃することに失敗して業者に依頼することになれば、より多くの費用がかかってしまうため、はじめから専門業者に依頼する方がよいでしょう。
特殊清掃だけでなく遺品整理の必要もある
特殊清掃が必要な部屋には、一般的に多くの所持品が残されているため遺品整理も必要になります。部屋の広さにもよるものの、大量の所持品を1つずつ確認して残すもの・捨てるものに分ける遺品整理は個人で行うのは大変な作業です。
遺品整理に時間をかけられない方は、専門の業者に依頼する方法があります。特に家賃を節約するために早く部屋をきれいにしたい方や、遠方に住んでいて遺品整理のために現地へ行くのが難しい方は業者を利用するとよいでしょう。
信頼できる遺品整理業者を選ぶポイントは、実績や口コミなどを確認することです。また、特殊清掃と遺品整理のどちらも請け負ってくれる業者であれば業者との連絡にかかる時間や費用の負担を軽減できる可能性もあります。
遺品整理の注意点
特殊清掃の後、残されたものを片付けることも遺品整理に含まれます。特に賃貸契約の解除や持ち家の売却のため、できるだけ早く遺品を処分しようと考えている方もいるでしょう。
ただし、遺品整理は他の相続人の立会いの元で行うのが原則です。後日、「経済的価値のあるものを勝手に持ち出した」「欲しかったものを捨てられた」などと相続人の間でトラブルになることがあります。自分で遺品整理を行う場合は、少なくとも他の相続人から許可を得たうえで始めましょう。
また、相続放棄を検討している方は特に注意が必要です。遺品整理の際に資産価値のあるものを持ち帰ったり売ったりすると、「被相続人の財産を処分したもの」とみなされて相続放棄ができなくなるおそれがあります。まずは故人の資産状況を調べるなどして、相続放棄を決めてから遺品整理を始めましょう。 なお、相続放棄するか迷っている方は、以下の記事も参考にしてください。
「今、増えている相続放棄とは? その内容と手続き方法について」
まとめ
特殊清掃は通常のハウスクリーニングでは落とせない汚れや臭いを取るために必要です。対処が遅れるほどきれいにするのが難しくなり、費用が高くなる可能性があるだけでなく、害虫や臭いで周囲に迷惑をかけるおそれもあります。最悪の場合は物件自体が使えなくなることも考えられるため、放置しないことが大切です。
特殊清掃の費用を払えないときには相続財産から捻出したり、保険を活用したりする方法があります。また、業者や大家、不動産会社に分割払いできないか交渉することもできます。なお、自分で行うのは、失敗してしまう、十分な清掃ができない、感染症などで健康を害するといったリスクが高いため、費用がかかっても実績のある業者に依頼しましょう。
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