2019年4月3日に放送された「羽鳥慎一モーニングショー」で、東京都世田谷区にあるゴミ屋敷が取り上げられました。
この住宅は30年も前からゴミ屋敷として存在し続けており、長きにわたって周辺住民たちを苦しめてきました。
そして現在では、悪臭だけでなく、倒壊の危険もあるとして問題になっています。
この家の住人は、なぜ自宅をゴミ屋敷にしてしまったのでしょうか?
また、このゴミ屋敷問題を解消するためには、どうすればいいのでしょうか?
今回は、東京都世田谷区の住宅がゴミ屋敷化した原因と、対策について考察していきます。
目次
ニュースで紹介された倒壊寸前のゴミ屋敷の現状
ニュースで紹介された世田谷区のゴミ屋敷は、ゴミの重さで建物が傾いている状態でした。
ゴミ屋敷は2階建てで、正面から見て1階部分は右側に、2階部分は左側に傾いており、建物全体が逆「く」の字に曲がっている状態です。
ゴミは宅内だけに留まらず、建物と敷地の柵の間にぎっしり詰まり、歩道にもはみ出しています。
敷地の外側にはカラーコーンとバーが設置され、そのなかにもゴミが置かれています。
ゴミは屋根の上にも積まれており、ゴミの重みでひしゃげている庇もあるほどです。
住宅の窓は全て外されており、外から中が見えるようになっています。
住宅内を見ると、ゴミが天井近くまで積まれていました。
世田谷区のゴミ屋敷に対し、近隣住民は?
冒頭で説明したとおり、この世田谷区の住宅は30年もの間、ゴミ屋敷として存在し続けているようです。
近隣住民は、ゴミ屋敷が放つ悪臭に迷惑しているようで、ゴミ屋敷の前を通るときは息を止めているという人もいるほどです。
悪臭だけでなく、虫の大量発生や火災を心配している人もいました。
さらに最近では、近隣住民から、別の不安の声も挙がっています。
それは、このゴミ屋敷が今にも倒壊しそうだということです。
世田谷区のゴミ屋敷は倒壊する危険が高い
世田谷区のゴミ屋敷は、むき出しになった柱が曲がり、折れかかっている状態です。
外側の壁には亀裂が入り、壁と柱とが剥離してしまっています。
一級建築士が世田谷区のゴミ屋敷を診断したところ、以下の結果が出たことがニュースで報じられています。
- 壁…ヒビが入っており、強度がない状態
- 柱…腐食して曲がっている
- 基礎部分…ボロボロに劣化している
一級建築士によれば、建物は片足で立っているような状態で、震度3程度の地震や強風で完全に崩れるおそれがあるようです。
さらにこのまま放置しておけば、地震や強風がなくても、宅内に積もったゴミの重みで崩れる危険も十分あるとのことでした。
世田谷区のゴミ屋敷に面した道は、子どもたちの通学路で、交通量も多いようです。
人通りや交通量の多い時間帯にゴミ屋敷が崩れれば、大惨事にもなりかねません。
世田谷区の住宅がゴミ屋敷になった原因は?
世田谷区のゴミ屋敷は、なぜここまでひどい状態になってしまったのでしょうか。
ニュースに登場したゴミ屋敷の家主は、一人暮らしの高齢男性でした。
高齢者が自宅をゴミ屋敷にしてしまう原因は、主に以下2つのどちらかが考えられます。
- セルフネグレクト
- 溜め込み症
「セルフネグレクト」とは、ふつうに生活する意欲をなくし、日常生活に必要なことを一切しなくなってしまう精神病です。
セルフネグレクトの患者は食事もとらなければ、体調が悪くても、病院にも行きません。
一方で「溜め込み症」とはその名のとおり、自宅に物を溜め込んでしまう精神障害です。
溜め込み症の患者は、外にあるゴミなどを自宅に持ち帰っては、溜め込んでしまう性質があります。
また、ゴミを捨てることに強い苦痛を感じるのも、溜め込み症の特徴です。
ニュースに登場したゴミ屋敷の家主は、外を歩いていたことから、セルフネグレクトではなく、溜め込み症であると推察できます。
溜め込み症の場合のほうが、ゴミ屋敷解消のハードルは高い
セルフネグレクトと溜め込み症では、セルフネグレクトのほうが大きな問題として捉えられています。
なぜなら、セルフネグレクトの患者は食事をとらず、外にも出ないため、誰からも気づかれなければ、孤独死してしまうかもしれないからです。
しかし、ゴミ屋敷の解消のハードルは、家主が溜め込み症の場合のほうが高いと言えます。
セルフネグレクトの患者は好きでゴミを溜めているわけではないため、ゴミ屋敷の片付けの了承を得られやすくなっています。
一方で、溜め込み症の患者はゴミを処分することを極端に嫌うため、ゴミ屋敷を片付けるように言っても、容易には首を縦に振らないかもしれません。
世田谷区のゴミ屋敷を解消するための対策は?
ここまで説明してきたように、家主が溜め込み症の患者である場合、ゴミ屋敷を解消するには簡単のことではありません。
しかし世田谷区には、ゴミ屋敷解消のための条例もあります。
この条例は、近隣住民から苦情や相談を受けた区の人間がゴミ屋敷を調査し、住人に対して片付けをするよう注意したり、場合によっては住人に代わって片付けをするというものです。
区が行う住人への注意は、「指導」と「勧告」の2段階あります。
住人がこれらを無視し、なおかつ地域住民に与える影響が見過ごせない状態だと判断された場合は、区の人間が住人に代わってゴミ屋敷を片付けます。
ニュースで取り上げられた世田谷区のゴミ屋敷は、今にも倒壊しそうな状態で、近隣住民に与える影響も甚大です。
そのため、近隣住民から苦情があれば、何らかの処置がとられる可能性は高いと言えるでしょう。
まとめ
2019年4月3日に羽鳥慎一のモーニングショーで取り上げられた世田谷区のゴミ屋敷は、大きな話題を呼びました。
建物は傾いている状態で、今にも崩れそうだということが、ニュースでは大きく報じられています。
このゴミ屋敷の住人は溜め込み症であると推察され、この場合、ゴミ屋敷の解消は困難を極めます。
ただし世田谷区にはゴミ屋敷解消のための条例もあるため、区が何らかの処置をとってくれることも期待できるでしょう。
しかし気がかりなのが、世田谷区のゴミ屋敷解消のための条例が、平成28年4月1日に施行されたものだという点です。
それから3年経っているのにも関わらず、近隣住民から区に苦情や相談が一切ないとは考えにくいでしょう。
この件に関しては、区がまだ解決に向けて、動いていないという可能性もあります。
とはいえ、ニュースでも報じられている以上、区がゴミ屋敷の存在を把握していないとも考えられません。
このままでは大惨事になりかねないので、区には早めの対処を期待したいところです。