「敷金のない物件は退去費用が高いって本当!?」
「敷金なしの物件の退去費用の相場はどれくらい?」
敷金なしの物件に住んでいる人にとって、退去費用は悩みの種と言えるでしょう。
敷金がない物件は入居時の初期費用を節約できる一方で、退去費用が高くなりやすいのが特徴です。そのため、転居を検討する際には資金計画などを組んでおかないと、思いがけない高額請求に驚くことにもなりかねません。
今回は敷金なし物件の退去費用の相場を条件別に解説し、退去費用を無理なく抑えるコツもあわせてご紹介します。
<この記事で分かること>
- 敷金なし物件の退去費用の相場
- 敷金なし物件がある理由と借りるときの注意点
- 敷金なし物件の退去費用を節約するコツ
目次
敷金なし物件にかかる退去費用相場
敷金なし物件の退去費用の相場は「部屋の間取り」、「居住年数」、「部屋の状態」の3要素で変動します。それぞれの条件別に相場を表にまとめました。
<間取りから見た退去費用の相場>
間取り | 退去費用の相場 |
1R~1LDK | 5万円前後 |
2DK~2LDK | 8万円前後 |
3DK以上 | 9万円~ |
部屋数が多くなると修繕が必要な箇所も増える傾向があるため、退去費用も高額化しやすいです。また、長く住むほど部屋に傷や汚れが多くなり、退去費用の相場も上がっていきます。
<居住年数から見た退去費用の相場>
居住年数 | 退去費用の相場 |
3年以下 | 4~5万円 |
4年以上6年以下 | 6~7万円 |
7年以上 | 8万円~ |
なお、どれほど部屋が広くて長く住んでいる場合でも、故意や過失による傷・汚れなどが物件に付いていなければ退去費用はほとんど発生しません。経年劣化に関するクリーニングや修繕は、借主負担にはならないからです。
一方で、借主の住み方が原因で部屋が汚損した場合には、修繕箇所が増えるほど退去費用も高くなります。修繕箇所別の退去費用相場は以下の通りです。
<部屋の状態から見た退去費用の相場>
修繕箇所 | 退去費用の相場 |
水回りの水あか・カビ除去 | 5000円~2万円 |
キッチン汚れの清掃 | 15000円~25000円 |
ペットが付けた傷や臭い | 10万円~20万円 |
タバコのヤニ汚れ・臭い | 15000円~5万円 |
壁紙の張り替え | 750円~2000円/m2 |
フローリングの床材補修 | 15000円~5万円 |
物件のあちこちで修繕が必要な場合は、退去費用が100万円を越えるケースもあります。
敷金なし物件は退去費用が高額になりやすい
敷金なし物件は、敷金ありの物件に比べて退去費用が高額になる傾向が見られます。なぜなら、敷金は本来、退去費用などの支払いに使われるためのお金だからです。入居時に敷金を払っていない場合、居住者の故意や過失による傷・汚れへの修繕費用を退去時に負担しなければなりません。
たとえば、退去費用として5万円の修繕費用が必要な場合でも、敷金を払っていればその敷金から差し引かれるため、退去時の負担が少なくなります。一方で、敷金がないケースでは全額を退去時に支払うことになります。
敷金なし物件に住んでいる人は、退去費用が高くなることを前提に資金計画を組んでおきましょう。
退去時に発生する費用
賃貸物件の退去時に支払う退去費用には、「原状回復費用」と「ハウスクリーニング代」の2つが含まれています。それぞれの具体的な内容や費用について解説します。
原状回復費用
原状回復費用とは、物件を入居時の状態まで回復させるための費用です。居住中の不注意やメンテナンス不足によって汚れたり傷が付いたりした箇所は、原状回復のための費用を借主が支払わなければなりません。
<借主が原状回復費用を払う例>
- 家具の移動時に壁や床を凹ませた
- タバコのヤニで壁紙やカーペットを変色させた
- ペットが部屋の柱や壁に引っかき傷を付けた
- 窓の結露やエアコンの水漏れを放置して壁や床にカビが生えた
- カギを勝手に付け替えた
- 壁に棚を取り付けるためにクギを打った
これらの修繕費用は損傷の程度や範囲によって大きく異なり、場合によっては数十万円に達することもあります。部屋全体にペットやタバコの臭いが染み付いて壁紙の全面張り替えが必要になった場合などは、100万円を超えるケースも見られます。
退去費用で100万円の請求!安くするコツと払えない時の対処法
ハウスクリーニング代
ハウスクリーニング代は、退去後に清掃業者が部屋を清掃するための費用です。床の拭き掃除やワックスがけ、壁や天井の汚れ落とし、キッチンや浴室など水回りの清掃、窓拭きやエアコンの掃除などが主な作業内容です。
ハウスクリーニング代は部屋の広さや汚れ具合によって変動し、単身者向けの物件なら数万円程度、ファミリー向けの物件ではそれ以上の費用がかかることもあります。敷金を払っていた場合には敷金からハウスクリーニング代が差し引かれますが、敷金なし物件では退去時に請求されることになります。
【注意】原則として経年劣化は貸主負担
とくに注意が必要なのが、経年劣化や通常の使用による損耗は原則的に貸主負担だという点です。時間経過とともに物件が劣化するのは当然であり、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」でも経年劣化や通常損耗への修繕や清掃は貸主負担と示されています。
<貸主に負担義務がある経年劣化・通常損耗の例>
- 壁紙や床、畳の日焼け
- 家具の設置による床のへこみ
- 壁にポスターなどを貼る際にできた画びょうの跡
- 正常に使っていたのに故障した備え付けエアコンの修理
ハウスクリーニングについても、「経年劣化や通常損耗による部分は貸主負担」、「借主の不注意や清掃不足による部分は借主負担」と、責任分担が異なる点に注意しましょう。
なお、賃貸借契約書に「ハウスクリーニング代は貸主負担とする」などの特約があった場合には、本来は借主に負担義務のない箇所についても借主が費用を負担しなければなりません。
敷金なし物件を借りるときの注意点
敷金なし物件を借りるときには、退去費用のトラブルを避けるために次の2点をチェックしましょう。
- 契約書の内容をすみずみまで確認する
- 入居直後の部屋を写真で記録する
これらを怠ると予期せぬ高額請求に慌てたり、本来払う必要のない修繕費用まで請求されたりするリスクがあります。具体的に見ていきましょう。
契約内容を細かく確認する
敷金なし物件を借りる前に、賃貸借契約書の内容を十分に確認しましょう。特約などに記載された退去費用関連の項目を見落とすと、高額な退去費用につながるおそれがあります。
<契約書でチェックすべき特約の例>
- 退去時には〇〇円のハウスクリーニング費用を支払う
- 退去時にカギの交換費用を支払う
- 和室の畳の表替え、ふすまの張り替えを入居者負担で行う
本来、通常損耗によるハウスクリーニング費用や次の入居者のために行うカギの付け替えなどは、借主には負担義務はありません。しかし、賃貸借契約書による同意があった場合には、借主が支払うとガイドラインにも記載されています。
一方で、賃貸借契約書に支払い義務が明記されていないのに退去費用で請求されたら、不当な請求として減額交渉をするのがおすすめです。敷金なし物件の契約時には、契約内容を細かく内容を確認して不明点を不動産業者に質問しましょう。
入居してすぐに部屋の写真を撮る
敷金なし物件に入居したら、すぐに部屋全体や細かい箇所の状態を写真や動画で記録しましょう。記録があると借主の責任範囲が明確になり、原状回復義務に関するトラブルを防ぐことができるからです。
たとえば、入居前から存在していた傷や汚れの証拠画像を残しておけば、退去時に修繕費用を請求されても反論することができます。壁や床、天井、設備やドアノブなど、部屋の隅々まで詳細にチェックして日付が分かるように保存しておくことが重要です。
入居時に部屋の汚れや不具合を申告する「現況確認書」や「入居時チェックリスト」などの書類を貸主から渡されていた場合には、必ず作成して貸主に提出し、コピーを手元に残しておきましょう。
そもそも敷金とは基本的には戻ってくるお金
敷金は家賃の1~3か月分に相当する金額なので、入居時には「こんなに払うのは嫌だな……」と考えがちです。しかし実際は、敷金は大家さんに「払う」ではなく「預けている」だけなので基本的には戻ってくるお金です。ここでは、敷金の役割や礼金との違いについて解説します。
基本的には退去時に戻ってくる
家賃の滞納や故意や過失による損耗などがなければ、基本的に敷金は退去時に大家さんから返してもらえます。民法622条の2により敷金は「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定められており、契約終了時に担保としての役割が終わるため返金されるのです。
退去費用が発生した場合には、敷金から退去費用を差し引いた残額が借主に戻ります。余った敷金は、退去後1か月以内を目安に振り込まれるのが一般的です。退去費用が敷金を上回った際にも不足分だけを追加で支払えば済むので、借主にとっては退去時の支出を抑えられるのが敷金ありの物件のメリットです。
一方で、礼金は大家さんへのお礼として支払うものであり、退去時には戻ってきません。敷金は戻ってくるお金、礼金は戻ってこないお金と覚えておきましょう。
保証金の意味を持つ初期費用
敷金には、賃貸契約の保証金としての意味合いがあります。借主が家賃を滞納したり、不注意や管理不足で物件を汚損させたりしたときの損害を補填するための備えとして、貸主側に敷金を預けるのです。
そして、家賃が滞ったときの未払い分や借主の故意や過失による修繕費用を差し引いた後で、残金があったら最終的に貸主から借主へと返還されます。
退去費用の不足がなかったのにいつまでも返金してもらえない場合には、貸主に返還を要求しましょう。正当な理由もなく返還を拒まれた場合には、簡易裁判所での少額訴訟が有効です。
なぜ?敷金なしの物件がある理由
かつては初期費用として敷金が必要な物件が主流でしたが、近年では敷金が少額あるいはゼロという物件が増加しています。敷金なし物件が存在する理由として、初期費用を抑えたい入居者が増えていることが挙げられます。詳しい理由を見ていきましょう。
入居者を増やすため
敷金なし物件の存在理由のひとつは、初期費用を抑えると入居希望者が増えて空室期間を短縮しやすくなることが挙げられます。転居時には引っ越し業者の手配や家財の買い替えなどで高額な初期費用がかかるため、「少しでも安くしたい」と考える入居者が多いのです。
敷金は家賃の1~3か月分相当の金額で設定されることが多く、そのため、敷金なしの物件なら数十万円ほどの初期費用を減らせます。競争の激しい賃貸市場で、敷金なしという条件が物件の魅力アップにつながっているのです。
退去費用を入居時の契約で決めているため
敷金なし物件が存在するもうひとつの理由は、入居時に交わす賃貸借契約によって退去費用を明確に定めているからです。敷金を事前に受け取らない代わりに通常は借主負担にならないハウスクリーニング代や設備の交換費用についても、契約書で退去時の支払い義務を課して確実に回収する仕組みを作っています。
国土交通省のガイドラインには通常損耗や経年劣化によるハウスクリーニング代、設備修繕費用などは借主負担とならないことが示されています。しかし、賃貸借契約書で借主の負担分が明記されている場合には、よほど不平等な条件でもない限りは記載内容に従わなければなりません。
入居する時点では退去費用のことを深く考えない人も多いですが、安易に契約書にサインをする前に退去費用に関する内容を十分確認しましょう。
敷金なし物件の退去費用を抑える方法
敷金なし物件に住んでいる人でも、退去費用を安くすることは可能です。請求された退去費用を全額支払わなければならない可能性が高いので、事前に安くするための対策を進めておきましょう。
退去費用を抑えるためには、次の5つの対策が重要です。
- 火災保険を使って修繕する
- 退去までにできる限り掃除しておく
- 入居中は部屋をきれいに使用する
- 退去の立ち会い時に負担箇所を確認する
- 見積書を通して値引き交渉する
具体的な方法や注意点を解説します。
火災保険を使って修繕する
意外かもしれませんが、加入している火災保険の種類によっては退去費用の一部を抑えられる可能性があります。火災保険は火災だけでなく、水漏れや自然災害など予期せぬ事故による損害もカバーできるケースがあるからです。
たとえば、誤って洗濯機などから漏水して床を水浸しにしてしまった場合は、火災保険の適用範囲内なら保険金で修繕費用を賄えます。火災保険に入っている人は、補償内容を確認しましょう。入居時に借家人賠償責任保険に入っていれば、そちらを利用できる可能性もあるのであわせて確認してください。
火災保険などの補償を受ける際には、損傷が起きた直後に保険会社に報告しなければなりません。一定期間を過ぎると補償が下りなくなるので、退去時まで放置するのではなくトラブルが起きた時点で対処することが不可欠です。
なお、タバコの焦げ跡や壁に付けた傷などは火災保険の対象外となるのが一般的です。
退去までにできる限り掃除しておく
退去前に自分でできる限り部屋をきれいに掃除しておくと、退去費用を抑えることができます。部屋に水垢やカビ、油汚れなどが残っていると原状回復費用を請求されてしまうので、汚れを取り除いておきましょう。
<退去費用を下げるために必要な掃除>
- 床の拭き掃除、掃き掃除
- トイレ、キッチン、浴槽、洗面台など水回りの清掃
- 排水口のゴミをこまめに取る
- ベランダをきれいに保つ
- 玄関の土ぼこりを取る
これらを丁寧に行うことで、原状回復費用やハウスクリーニング代を減額できる可能性が高まります。退去日が近づいたら計画的に掃除を進め、可能な限りきれいな状態で退去立会いにのぞみましょう。
入居中は部屋をきれいに使用する
日頃から部屋をきれいに保ち、傷や汚れを付けないようにすると退去費用を抑えることにつながります。通常の使用や経年劣化は借主の負担にはならないため、部屋をきれいに使っていれば退去費用はほとんど発生しません。具体的には、次のようなポイントに注意して暮らしましょう。
<退去費用を避ける暮らし方の例>
- こまめに掃除してゴミを溜めない
- 家具などの移動時に壁や床に傷を付けないようにする
- 床に飲み物をこぼしたらすぐに拭く
- 窓枠の結露を拭き取る
- フローリングを傷付けないようにフロアマットを敷く
- エアコンや浴室乾燥機などの設備を丁寧に使い、定期的に清掃する
日頃から丁寧な使用を心がけ、定期的な掃除を怠らないことが退去費用の節約に直結します。
退去の立ち会い時に負担箇所を確認する
退去前には管理会社や大家さんと一緒に部屋の状態を確認する「退去立会い」が行われます。自分もしっかり参加して負担箇所を確認し合うと、退去費用の不正請求を避けることにつながります。
退去立ち会いで確認を怠ると、後日、身に覚えのない修繕費用を請求されるなどのトラブルが起こるおそれがあるので注意しましょう。
<退去立会いで注意する箇所>
- 経年劣化による損耗箇所まで借主負担分に含まれていないか
- ガイドラインで貸主負担とされる箇所が借主負担になっていないか
- 入居前から存在していた傷や汚れへの修繕費用を請求されていないか
退去立ち会いのときは入居時の部屋の写真や賃貸借契約書、国土交通省のガイドラインを持参しましょう。自分の過失とは無関係な請求が含まれていたら、持参した資料を根拠にして担当者に指摘することが大切です。
納得が行かないまま退去費用の見積書にサインをすると、後で請求内容を覆しにくくなるため注意しましょう。
見積書を通して値引き交渉する
提示された退去費用の見積書が高額だった場合には、必要に応じて貸主への値引き交渉を検討しましょう。提示された費用が必ずしも適正とは限らず、交渉で減額できる場合があるからです。
たとえば、見積書に内訳がきちんと書かれていない場合や、相場より高い項目があったら交渉で値引きできる可能性が高いです。フローリングの全面張り替えで数十万円以上の高額請求をされた場合にも、経年劣化の箇所については貸主負担となることがガイドラインで定められています。
値引き交渉は、丁寧な態度で冷静に進めましょう。感情的になると大家さんも反感を覚えて、交渉に応じにくくなるおそれがあります。
退去前の片付けはゴミ屋敷バスター七福神へ!
敷金なしの物件は退去費用が高くなりやすいので、費用を抑える工夫が欠かせません。退去立ち会いの前に部屋をきれいにしたい方は、ゴミ屋敷バスター七福神にご相談ください!年中無休の最短即日対応で、お客様のお宅を片付けます。
「これまであまり掃除していなかったから、部屋が汚い」「ゴミ屋敷状態だから片付けが進まない」そんなお悩みも、ゴミ屋敷バスター七福神なら心配ありません。ゴミや使わない家具・家電を即座に回収し、ゴミ屋敷状態のお部屋も最短即日で片付け可能です。
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まとめ
敷金なし物件は、敷金ありの物件に比べて退去費用が高額になる可能性が高いです。費用の相場は部屋の間取りと居住年数、部屋の状態によって変動しますが数万円~十万円台になることが多く、部屋の状態が悪いと数十万円を越えるケースも見られます。
退去費用には、原状回復費用とハウスクリーニング代が含まれています。経年劣化や通常損耗は原則として貸主負担ですが、賃貸借契約書でこれらの費用にも借主負担が定められているときは記載内容に従わなければなりません。
入居時の初期費用が安いのが敷金なし物件の魅力ですが、借りるときには契約内容を確認し、入居時の部屋の状態を記録することが欠かせません。退去費用を抑えるためには火災保険を活用したり、こまめな清掃をしたりすることが重要です。退去立会いには必ず参加し、見積もりに不当な請求が含まれていたら根拠のある値引き交渉をしましょう。