孤独死が発見された時、現場の状況を正確に伝えるため、「ご遺体が溶けている」という表現を使うことがあります。初めて耳にすると戸惑う人もいますが、孤独死の現場において、ご遺体が溶けたように腐敗するケースは珍しくありません。実際、特殊清掃では「ドロドロの体液がある状態」「浴槽でスープ化している」などと現場の情報を共有することもあります。
孤独死の発見の遅れや、亡くなった季節や室内の環境によっては、溶けたご遺体が深刻な二次被害を引き起こす可能性もあるため、正しい知識と対処法を身につけましょう。なぜご遺体が溶けたように見えるのか、その理由や腐敗の進み方、孤独死が起こった場合にやるべきことを詳しく解説します。
目次
孤独死で遺体が溶ける理由

孤独死が発生したあと、ご遺体が時間を追うごとにまるで溶けたようになってしまうのは、死体現象と呼ばれる変化を起こしているからです。死体現象とは、ご遺体の変化を法医学の観点から表現したもので、早期死体現象・晩期死体現象・異常死体現象の三種類に分類されます。
ご遺体が溶け始めるのは晩期死体現象で、ご遺体内に残った細菌や酵素が活性化し、胃や腸といったご遺体の内臓から腐敗が進んでしまうのが主な原因です。ご遺体の皮膚が凹んだり垂れ下がったりして、まるでご遺体が溶けたように見えてしまうのです。
さらに時間が経つと、体外からも腐敗菌が侵入しご遺体の融解が加速して、体液も流れ出てしまい人間の形すら保てません。
季節による腐敗スピードの違い

ご遺体の腐敗は、室温や湿度によって進み方が変わります。
夏場(5月〜9月)は気温と湿度が高く、腐敗が進みやすい時期です。死後1〜2日でも腐敗が進行する場合があり、ハエやウジ虫などの害虫が発生しやすくなります。死後数日間発見されないだけでも、体液が床や壁などに染み込み、通常の清掃では取り除きにくい汚れや臭いが残ることもあります。
一方、冬場は気温が低いため、一般的には夏場より腐敗が緩やかです。寒い地域で暖房もつけていない場合は、数週間発見されていなくても大きな腐敗がない場合もあります。
ただし、暖房を使用している部屋では室温が上がるため、冬でも夏場と同様に遺体が溶ける状態になることも珍しくありません。
孤独死の現場では、季節だけでなく現場の状況によって腐敗スピードは大きく異なります。夏は腐敗しやすく、冬は腐敗しにくいのは事実ですが、あくまで状況によって異なるということは理解しておきましょう。
【日数・季節別】孤独死した遺体の状態と腐敗の進み方

孤独死したご遺体は、時間経過とともに腐敗の状態が変化していきます。前述したように、季節や状況によって異なりますが、一般的な腐敗の進み方について詳しく見ていきましょう。
死後6時間〜2日(腐敗の始まり)
死亡すると心臓が停止し、血液による酸素や栄養の供給が止まります。これにより細胞はエネルギーを作れなくなり、細胞の構造や機能を維持する力が徐々に失われていきます。
死後数時間が経過すると、細胞の構造が崩れ始め、細胞内にある酵素が自分自身の細胞や周囲の組織を分解する「自己融解」が進みます。さらに、血液循環がなくなったことで体内の細菌が増殖しやすくなり、細菌による組織の分解も加わることで腐敗が進行します。
この頃から外見上も徐々に変化が現れ始めますが、初期段階では大きな変化が見られないこともあります。
死後3日〜5日(体液漏出・原型崩壊の始まり)
腐敗が進むにつれて、細菌が組織を分解する過程でガスが発生し、腹部などが膨張していきます。さらに組織の分解が進むと、皮膚や内臓などの組織が徐々に損傷し、鼻や口、皮膚の傷んだ部分などからまるで溶けるように体液が漏れ出ることがあります。
夏場は気温が高いため腐敗が早く進み、こうした変化が死後2〜3日程度で見られる場合も少なくありません。一方、気温の低い冬場は腐敗が緩やかになり、変化が現れるまでにさらに時間がかかることがあります。
死後1週間〜2週間(害虫の発生とさらなる液状化)
腐敗がさらに進むと、組織の分解が進行して体の形が崩れ、軟らかくなった組織から体液が周囲へ広がりやすくなります。腐敗によって発生する臭いも強くなり、特殊清掃をしなければ室内に悪臭が残り続けることが多いです。
また、ハエなどの害虫が遺体を発生源として集まり、産卵することでウジ虫が発生する場合があります。特に気温が高い環境ではハエの活動や発育が活発になるため、害虫被害が深刻化しやすいです。
夏場はとくに腐敗の進行が激しいため、これだけの期間が経過すると、すでに人間の形を保っていないケースもあります。
死後3週間〜1ヶ月以上(高度腐敗・白骨化への移行)
さらに時間が経過すると、細菌や酵素による組織の分解が進み、皮膚や筋肉などの軟部組織が大きく損なわれていきます。遺体の状態によっては、軟部組織が徐々に失われて骨が露出し、一部が白骨化します。
また、腐敗によって生じた体液が長期間にわたって床材や敷布団などに染み込んでいる場合、床材の内部まで汚染し、集合住宅では床下や階下にまで影響が及ぶケースもあります。
これだけの期間が経過すると、一般的な掃除だけでは汚れや臭いの除去が難しいため、床材などの撤去、消毒、消臭といった作業を含む特殊清掃をするケースがほとんどです。
お風呂やこたつでの孤独死はさらに溶けやすい?

お風呂やこたつなど、温度が高くなりやすい場所で亡くなった場合は、一般的な室内より腐敗が早く進むことがあります。腐敗は温度の影響を受けるため、季節が冬でも、暖かい環境では注意が必要です。
特に浴槽内は水分が多く、夏場や追いだき機能などで湯が温かい状態に保たれていると、より溶けやすく、いわゆる「スープ化」という状況になりやすいです。場合によっては浴槽だけでなく、配管や浴槽の隙間まで清掃が必要になるケースもあります。
こたつの場合も、冬場だから腐敗が遅いとは限りません。こたつの熱によって周辺の床材が温められ、体液の染み込みや腐敗臭の拡散につながるケースがあります。
孤独死した遺体を発見したときにやるべき3つの手順

孤独死した方のご遺体は、発見しても慌てて触れたり闇雲に連絡したりしてはいけません。ご自宅や病院以外で亡くなった方は、死後の適切なケアもされておらず死因も確定していないため、間違った対応をすると思わぬトラブルを引き起こします。
孤独死した方のご遺体は、適切な場所への連絡と最適な対処法を選ぶことが大切です。孤独死した方のご遺体を発見した時、やるべき3つの方法を順を追って詳しく解説します。
1.警察に連絡を入れる
孤独死した方のご遺体を発見したら、まずは警察へ連絡を入れてください。孤独死の現場は、故人が亡くなった場所であり、死因の手がかりが残っている場所でもあります。発見された直後は、まだ故人の死因がわかっていない状態なので、警察は「死因・身元調査法第4条第1項」に従い、死因と身元調査を行わなければなりません。
警察に連絡せず火葬や片付けを進めてしまうと、通報を怠り調査の邪魔をしたと判断され、深刻なトラブルを招く恐れがあります。孤独死したご遺体を発見したら、すぐに警察へ連絡して状況を話し、ご遺体に触らず室外へ出て現場保存に努めてください。
身寄りなしで孤独死するとどうなる?葬儀や財産の行方と生前対策
2.特殊清掃ができる専門業者に連絡する
警察へ連絡を入れたら、次に行うのが特殊清掃ができる専門業者探しです。特殊清掃とは、通常のハウスクリーニングでは落ちない汚れや臭いを落とす清掃作業のことで、その名の通り特殊な洗剤や機材を使って室内の清掃を行います。
状況にもよりますが、孤独死の現場はご遺体の腐敗物が広がっていたり、悪臭や害虫の被害が深刻だったりするため、特殊清掃が可能な専門業者でないと対応しきれません。特殊清掃だけではなく、片付けも行ってくれる専門業者に依頼すると、孤独死の現場の清掃から片付けまでの作業を、安心してお任せできます。
3.葬儀と火葬の準備をする
特殊清掃の専門業者探しと並行して行うのが、孤独死した方のご遺体の葬儀と火葬の準備です。警察の検視が終わったご遺体は、最終的に親や兄弟といった血縁者が引き取り、葬儀と火葬を行って弔わなければなりません。
孤独死した方に身寄りがなく、親族や身元保証人・連帯保証人などと連絡が取れない場合は、賃貸物件の家主や生前お付き合いがあった人が葬儀と火葬を行うこともあります。最終的に誰も引き取り手がいない場合は、故人が住んでいた地域の市区町村が対応しますが、その場合行うのは火葬と埋葬のみで葬儀はありません。
孤独死で溶けた遺体現場の特殊清掃の手順

発見までの期間や亡くなった時期にもよりますが、孤独死が発生した現場は想像以上に状態がひどく、ちょっと強力な洗剤や掃除器具程度ではとても太刀打ちできません。特に、ご遺体が溶けるほど発見が遅れた孤独死の現場は、腐敗物や体液といった目に見える汚れに加え、悪臭・細菌などの目に見えない被害も除去しなければならず、その工程はかなり専門的です。
特殊清掃業者は、溶けたご遺体が与える被害を熟知した上で、必要な作業を適切に行い不安要素を取り除いてくれます。ご遺体が溶けた状態で発見された孤独死の現場はどのように清掃されるのか、特殊清掃の手順を以下で詳しくご紹介しましょう。
専用薬剤での除菌・殺菌
孤独死が発生した現場では、専用の薬剤を使用した念入りな除菌・殺菌作業が必須です。人間の体は、死亡した直後から徐々に腐敗が進み、周囲がいつ細菌に汚染されてもおかしくありません。
特に、腐敗が進み溶けたご遺体が発見された現場は、すでに室内全体が汚染されているため、専用の薬剤で除菌・殺菌しないと感染症などの被害を受ける可能性が高いです。特殊清掃そのものを安全に行うためにも、まずは専用薬剤による徹底的な除菌・殺菌作業で安全確保します。
汚染箇所の清掃
室内の除菌・殺菌を行ったら、次に行うのがご遺体の腐敗物や体液に汚染された箇所の清掃です。孤独死が発生した場合、家屋全体を清掃するのはもちろんですが、溶けたご遺体が発見された場所は、特に念入りに清掃しなければなりません。
例えば、故人がお風呂場の湯船で亡くなっていた場合、浴室全体だけではなく、排水溝や排水管まで清掃が必要です。特殊清掃の専門業者は、知識と経験からあらゆる可能性を考え、隠れた汚染箇所も見逃さないよう気をつけて作業を進めます。
消臭処理
汚染箇所の清掃後は、室内に染み込んだ死臭を取り除くために消臭処理を行いますが、消臭剤などでは消しきることが難しいため、特殊清掃業者の多くはオゾン脱臭機などの機材を使用するのが一般的です。オゾン脱臭機とは、簡単に言うと化学反応を利用した脱臭機のことで、臭いのする場所にオゾンを発生させ空気を綺麗にします。
また、オゾンには除菌やウィルス除去の効果もあるため、孤独死の現場のさらなる除菌・殺菌にも効果的です。臭いを一度で消しきれない場合は、オゾン脱臭機を数日間作動させることもあります。
死臭はどんな臭い?例えるなら魚?肉?原因と消臭方法をプロが解説
家財処分と遺品整理
室内の清掃と消臭処理が終わり、除菌・殺菌作業で安全が確保できたと判断したら、最終作業として行われるのが家財処分と遺品整理です。故人が残した家財や遺品は相続対象になるため、この作業は基本的に遺族が行わなければなりません。
しかし、孤独死の現場への立ち入りはストレスを感じやすく、やろうと思ってもできなかったり、いざ始めてもなかなか作業が進まないケースも多いです。そのため、最初から片付けもできる特殊清掃業者へ依頼し、特殊清掃から片付け・遺品整理までを一気に頼む人もいます。
孤独死の現場は特殊清掃業者に任せるべき理由

一人暮らしをしていた家族や親類が孤独死したとき、一番やってはいけないのは、自分で孤独死の現場を清掃することです。孤独死の現場は、たとえ発見が早かったとしても様々な危険が隠れており、とても個人で対応できる状態ではありません。
特殊清掃業者に依頼する人が多いのは、安心できるだけの技術やメリットがあるからです。孤独死の現場の清掃を、特殊清掃業者に任せるべき理由を詳しく解説します。
孤独死現場は感染症リスクが高いから
孤独死が発生した現場は、様々な細菌やウィルスが繁殖している危険性があり、感染症のリスクが高いです。人間の体は、死亡した直後から死体現象が始まり、体内から腐敗し様々な細菌が増殖します。
たとえご遺体が溶けていなくても、腐敗した体内から細菌やウィルスが空気中に漏れ出しているため、室内は感染症にかかりやすい状態です。特殊清掃業者にお任せすれば、感染症のリスクを回避できる他、室内を安全な状態まで原状回復してもらえます。
現場はかなり衝撃的だから
孤独死の現場は、ご遺体が運び出された後でも痕跡が残っており、遺族にはかなり衝撃的な状況です。特に、ご遺体が溶けていた場合は異臭もひどく、体内から漏れ出した体液も残っている可能性もあります。
一度でも視覚的・嗅覚的に強いショックを受けると、精神的にも肉体的にも強いストレスがかかってしまうため、なかなか立ち直ることができません。最終的な手続きなどは遺族が行うとしても、せめて清掃や除菌・殺菌・消臭が終わるまでは、特殊清掃業者に作業をお任せした方が安心です。
死臭を確実に除去できるから
ご遺体から漏れ出た死臭を確実に除去できるのも、特殊清掃業者にお任せするメリットに挙げられます。室内に残された死臭は、ご遺体が運び出されても臭いの元が建具にまで浸透しており、自力清掃ではなかなか消しきれません。
清掃直後は消えたと感じても、時間が経つとどこからか臭いがするケースも多く、根絶的な除去は難しいのが現状です。特殊清掃業者は、特殊な洗剤や機材で死臭を確実に除去してくれるため、いつまでも死臭に悩まされる心配がありません。
遺品整理を同時に依頼できる可能性があるから
特殊清掃業者に依頼するとき、片付けも行っている業者を選ぶと、家財道具の処分や遺品整理まで行ってくれます。例えば、特殊清掃のみの業者の場合、特殊清掃の作業が終われば業務は終了するため、大型家具の処分や遺品整理は遺族が行うか、個別に片付け業者へ依頼しなければなりません。
片付けも行ってくれる特殊清掃業者へ依頼すると、室内の除菌・清掃・消臭から遺品整理までお任せできるため、心身にかかるストレスがかなり軽減できます。清掃から遺品整理まで全てお任せしたい場合は、最初から片付けもできる特殊清掃業者を探して相談するのがおすすめです。
孤独死が増え続けている理由

病院で看取ることが多くなった現代社会において、ご遺体が溶けるまで発見されない孤独死は、通常であれば信じられないほどの出来事と言えます。しかし、孤独死の発生は年々増加傾向にあり、警視庁が令和6年5月に発表した資料によると、変死体総数約6万人のうち、孤独死数が約2万人という結果になりました。
孤独死が増える背景にあるのは、一人暮らし世帯の増加です。核家族化や未婚率の上昇に加え、65歳以上の一人暮らしも右肩上がりで、今後も社会的に孤立する人が増えるのではと懸念されています。
単身者は、積極的に関わらなければ一人で過ごす時間が多く、場合によっては数日間誰にも会わないケースもあるため、孤独死してもご遺体が溶けるまで発見されないケースも少なくありません。孤独死しないのが一番ですが、万が一のことがあってもすぐに発見できるよう、事前に体制を整えておくことも重要です。
まとめ

孤独死したご遺体が溶けるのは、亡くなった直後から死体現象と呼ばれる変化が起こり、内臓から腐敗が始まってしまうからです。特に、夏場は湿度と気温が高いため、死後2〜3日で体内から腐敗ガスが噴出し、体液が漏れてご遺体が溶けることもあります。
もし孤独死を発見したら、速やかに室外へ出て警察へ連絡し、現場検証や検視などの対応をお願いしましょう。警察の調査が済んだら部屋の清掃をしても良いですが、ご遺体が溶けるまで発見されなかった孤独死の現場は大変危険で、心身に多大なストレスを受ける可能性もあります。
感染症を防ぎストレスを軽減するためにも、孤独死の現場の清掃は特殊清掃業者へ依頼がおすすめです。片付けも可能な業者を選ぶと、遺品整理までお任せできて、ワンストップで相談可能なので時間を短縮できます。孤独死が起こらないよう、普段から体制を整えておくと安心ですが、いざというときは慌てずに、適切な対処を行いましょう。
孤独死現場の特殊清掃は七福神にお任せください

「居住者が孤独死してしまい対処で困っている」「親族が孤独死したけど個人で処理するのは難しい」とお困りの方は、ゴミ屋敷片付け七福神にお任せください。七福神は、特殊清掃も行なっている片付け業者で、孤独死が発生した家屋の特殊清掃から遺品整理まで、ワンストップでご相談いただけます。
廃品回収や買取も行なっているので、孤独死の現場に残された家財の処分に悩む必要はありません。電話での相談はもちろんのこと、LINEやメールによるお見積もりも行なっておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。