お役立ちコラム

ゴミ屋敷片付け

ゴミ屋敷は精神疾患や心の病気が原因?片付けられない心の病気について解説します

ゴミ屋敷は精神疾患が原因?対応や抜け出すためには

なぜ部屋が片付けられないのだろう、なぜ汚部屋やゴミ屋敷みたいな状態になってしまうのだろう…と、疑問に思ったことはありませんか。

ゴミ屋敷になる原因は、一般的には性格や生活習慣にあると考えられる場合が多いと思いますが、実は精神疾患が原因であることもあるのです。

そこでここでは、ゴミ屋敷の原因となる心の病気や精神疾患について、詳しく解説していくことにしましょう。

ゴミ屋敷化は精神疾患が原因となっていることがある

ゴミ屋敷との関連性が高いとされている精神疾患

精神疾患が原因でゴミ屋敷になっている場合、ゴミ屋敷を克服するためには原因となる精神疾患を知るところから始めなければいけません。

精神疾患を治療しなければ一度片付けたとしてもすぐに元のゴミ屋敷へと戻ってしまいますから、片付けと並行して病気の治療をすることが不可欠となります。

まずは該当する精神疾患を見てみましょう。

ゴミ屋敷を誘発している可能性がある病気

精神疾患のADHDにありがちなゴミ屋敷パターン

精神疾患と一言で言っても、ゴミ屋敷化と関連する疾患はいくつも存在します。

その中でもし自身に当てはまる疾患の症状があれば、疾患と関連付けながら医師の指導の下、自身の心とゴミ屋敷と対峙しましょう。

1.ADHD(注意欠陥・多動性障害)

ADHDとは、集中力や注意力が散漫で、多動で落ち着きがなく、じっとしていられないなどして、日常生活に支障が出ている状態を言います。

発達障害の一種とされ、子供の頃から始まると考えられていますが、大人でも一定数の人がADHDに該当すると言われています。

むしろ大人になるまで自身がADHDであったと気が付かれないケースが多いです。

大人になった場合のADHDの主な症状としては、集中力がなかったり、落ち着きや忍耐力がなかったりして、業務などを最後まで遂行できなかったり、人間関係をうまく続けられなかったりするといった症状が挙げられます。

ADHDの場合、片付けをしようと思っても最後まで集中できないため、最後まで掃除をやりきることができず、ゴミ屋敷となってしまう場合があります。

  • 仕事や勉強などに集中できず、成果が出ない。
  • いつも落ち着かず、体を動かしてしまう。そわそわしてじっとしていられない。
  • 衝動的な感情や行動が自分でもコントロールできず、周囲との人間関係がうまくいかず、トラブルになってしまう。

そういったことで日常生活でも支障が出てしまっているような場合にはADHDの可能性があります。

完治は難しいとされていますが、薬物療法によって集中力が増したり、心理社会的療法によって行動や感情をコントロールできるようになったりすることで、日常生活でのトラブルを減らすことができます。

症状に心当たりがある場合には、専門医に相談してみると良いでしょう。

2.買い物依存症

買い物依存症とはストレスの解消などを目的として、買い物による高揚感や快楽を求めて、買い物を繰り返してしまう依存症の一種です。

もちろん頑張った自分へのご褒美として何かを買うことは悪いことではありませんし、ストレス発散のために買い物をすることが全て買い物依存症というわけではありません。

問題なのは欲しいものを買うのではなく、買い物をすることによるストレスや不安の軽減を目的として新しい商品を購入するということを繰り返してしまうことです。

このストレスや不安の軽減のための買い物によって、実際には必要のない物や使わない物を買ってしまい、ゴミ屋敷化が進行してしまうのです。

買い物が趣味のようになっていたとしても、自らの意志で買い物をやめられる内はただの浪費癖で済みますが、買うのをやめようと思っていてもやめられず、気が付くと買ってしまうという状態になってくると買い物依存症の可能性が高いでしょう。

若い女性に多いとされていますが、男性でも珍しくはない病気ですので、買い物がストレス発散になっていて借金を作ったり、日常生活に支障があってもやめられないような方は、専門医に相談した方が良いかもしれません。

3.ため込み症

精神疾患の統合失調症の人が作り出すゴミ屋敷への対応

ため込み症は、実際にそのモノに価値があるかどうかにかかわらず、自分の持っているものを捨てたり、手放したりすることが持続的に困難になるタイプの精神疾患です。

自分の意志とは関係なく、同じことを繰り返してしまう強迫性障害の一種とされています。

その特徴としては、大きく4つの特徴が挙げられます。

  • ゴミなどを含めた所有物を継続的に収集し、捨てたり、手放したりすることが困難である。
  • 捨てられない原因が、モノを取っておくことが必要であるという思い込みや、捨てることによる苦痛にある。
  • 溜め込んだモノが生活空間にあふれており、部屋がまともに使えない状況になっている。
  • モノを溜め込んでいることが日常生活や社会生活、職業などの様々な面で障害となっている。

ためこみ症は若い頃に軽症で発症して次第に悪化していき、30代半ば頃には一定の社会生活における障害を引き起こす事が多いとされています。

自然に治ることはほとんどないとされており、医師の指導における治療が必要です。

周囲の人にとってはゴミと判断するものであっても、本人は集めているものに愛着を感じており、捨てることに苦痛を感じるため、家族など同居している人や近隣住民とのトラブルになることも多いでしょう。

対応策としては、新しく物を入手しないようにする、ということも対応方法の一つとなります。

参照:MSDマニュアル ためこみ症の症状と徴候

4.うつ病

精神疾患の人がゴミ屋敷に至る精神的な要因

うつ病とは、気力がなくなり、憂うつな状態になってしまって、何もする気がなくなってしまうという精神疾患です。

うつ病になり無気力状態になってしまうと、部屋が汚れていると分かっていても掃除をしたり片付けたりするという行動をとれないため、ゴミ屋敷化が進んでしまいます。

うつ病は脳内の神経伝達物質が減少するなどして、脳内における感情やストレスをコントロールする働きがうまく機能しなくなることによって発症する病気だと考えられていますが、その原因はまだはっきりとは分かっていません。

親しい人の死や過度のストレスなどがきっかけとなって発病することが多いと言われますが、様々な要因が重なっている場合もあり、身体的な病気や薬の副作用が原因となっていることもありますので、注意が必要です。

参照:厚生労働省 こころもメンテしよう うつ病

【併せて読みたい記事】

物を捨てたくなるのは「うつ」?心理状態やスピリチュアルの意味も解説!

5.セルフネグレクト

セルフネグレクトとは、自分で自分自身の世話を放棄して、心身の安全や健康が脅かされることを言います。

その一例として、身の回りの衛生環境に無頓着になってしまい、掃除をしてゴミを捨てるといった行為を行わなくなる場合があり、それがゴミ屋敷の原因となることがあるのです。

セルフネグレクトになる要因としては、一人暮らしで社会的に孤立していることや、認知症やうつ病などの精神疾患、親しい人の死や病気といった精神的にショックな出来事などが挙げられます。

一般的には高齢者に多い症状ですが、若年層でも引きこもりや、景気低迷による経済的困窮などにより増えているのです。

特に実家暮らしで親が亡くなった後、生活能力が乏しい人はセルフネグレクトになってしまう恐れがありますので注意しましょう。

セルフネグレクトの問題点

セルフネグレクトは自分の安全や衛生環境を損なう病です。

心身の健康を損なう重大な結果を引き起こす恐れがあるにも関わらず、本人が悩んでいない、自覚していないために周囲のサポートを拒否してしまうというケースがあります。

もし自身がセルフネグレクトに該当するかが気になった場合には、セルフ・ネグレクトサインシートなどを参考にチェックして、該当する場合には早めに専門医に相談するなどの対応をした方が良いでしょう。

参照:東邦大学 セルフ・ネグレクトサインシート

6.統合失調症

精神疾患によるゴミ屋敷から抜け出すためには

統合失調症は、心や考えなどがまとまらなくなってしまう精神疾患です。

主な症状としては、陽性症状と陰性症状の2種類あります。

統合失調症の種類主な症状
陽性症状幻覚を見たり、妄想をしてしまったり、考えが混乱してまとめることができなくなり、支離滅裂なことを言ったり、脈絡のないことを言ってしまったりする特徴がある
陰性症状意欲や感情の動きなどが減ってしまい、無気力になったり、身の回りのことが気にならなくなって、ただゴロゴロしていて引きこもったりする特徴がある

統合失調症になると、そもそも身の回りのことに関心がないのでなかなか掃除をしようとしません。

例え掃除を始めてもすぐに別のことを考えてしまい、他のことを始めてしまったりするので片付けが続けられません。

自分には見えていることや聞こえていることを、周りの人が否定するような場合には、統合失調症による幻覚や妄想の可能性を疑って、専門医などに相談してみると良いでしょう。

参照:こころの情報サイト 統合失調症

7.認知症

認知症というのは、脳の神経細胞の働きが低下していくことで、記憶力や判断力といった認知機能が低下していく病気です。

記憶力の低下によりゴミを出したかどうかがわからなくなりますし、症状によっては自分の意志で行動することが困難になることもあります。

そのためゴミを捨てられなくなったり、片付けることができなくなることで、不用品やゴミが溜まってしまうのです。

認知症ともの忘れの違い

一般的な加齢による「もの忘れ」との大きな違いは、体験の一部を忘れているか、体験の全体を忘れているかにあるとされます。

例えば、「食事をしたことは覚えているがメニューを忘れている」というのがもの忘れで、食事をした事自体を忘れてしまうのが認知症です。

一般的には高齢者に多い病気ですが、65歳未満でも若年性認知症を発症するケースがありますので、まだ若いと思っていても注意が必要でしょう。

参照:政府広報オンライン 知っておきたい認知症の基本

精神疾患もゴミ屋敷の片付けも早めに専門家へ相談しよう

ゴミ屋敷と精神疾患の関係まとめ

部屋を片付けられない原因となる心の病気や精神疾患について解説してきました。

どの病気も自分が病気であることに気が付くことが難しかったり、病気だと分かっても自分では対処できなかったりする場合が多いことが理解できたはずです。

病気を放置すると、日常生活で起こるトラブルもより深刻化していきますし、ゴミ屋敷も簡単には片付けられないレベルとなってしまいます。

また、ゴミ屋敷で生活し続けることがきっかけで、心身ともに健康を害してしまうこともあるでしょう。

病気で片付けられないためゴミ屋敷になってしまった場合、まずは病気について早めに専門家に相談することが重要ですし、これ以上病気を悪化させないためにも早めにゴミ屋敷を片付けることも重要です。

病気について専門家に相談するのと同様に、片付けられない部屋の片付けも早めに専門家に相談した方が良いでしょう。

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この記事の監修者

ゴミ屋敷片付けの専門業者「ゴミ屋敷バスター七福神」代表

監修者 竹本 泰志

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。

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