「ゴミ屋敷」と聞くと高齢者や一人暮らしの若者を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は子育て世帯にも深刻な問題です。
特に子育て世帯がゴミ屋敷化すると、親だけでなく、子供にも健康や心に大きな影響を与えます。
この記事では、ゴミ屋敷化の原因や子供への悪影響、実際の体験談をご紹介します。
目次
ゴミ屋敷で育った子供が受けた6つの悪影響
ゴミ屋敷は、健康、友人関係、学業などあらゆる面で子供に悪い影響を及ぼします。
ここでは、ゴミ屋敷が子供に及ぼす6つの悪影響について紹介します。
1.喘息などの病気になるリスクが上がる
子供がゴミ屋敷で長い間生活をしていると、喘息などの病気になるリスクが上がります。これは、アレルギーやハウスダスト、ダニなどが原因です。
喘息になると、中長距離を走ったり友達とワイワイはしゃいだりするだけで息が苦しくなります。また、吸入器を使って、毎日薬を吸入しなければなりません。
友達とワイワイはしゃいでいる中で急に体調が悪くなり、一人抜け出して吸入をする、子供にこんな辛い思いはしてほしくありませんよね。
子供が喘息になってしまうリスクを減らすには、自宅はできるだけ清潔に保っておきましょう。ゴミ屋敷は一般的な家庭と比べてもハウスダストなどが多く発生します。
※アレルギーについて 国立成育医療研究センターWEBサイト
2.学校でいじめの対象になる
学校でのいじめは些細なことから発展していきます。
ゴミ屋敷で育つ子供達は衣服や身体についた匂い、しわくちゃでボロボロの衣類、虫刺されなどが原因で学校でのいじめの対象に可能性が増していきます。
また、幼い頃からゴミ屋敷で生活していると、自宅をゴミ屋敷だと認識してません。無意識に友達を家に招いたことがきっかけで翌日から学校でのいじめにつながる場合もあります。
家の広さや新しさは簡単に変えられませんが、ゴミ屋敷は行動次第で片付けられます。
親の努力によって子供がいじめや辛い思いをする可能性を減らせるのです。
快適な環境を整え、子供達の健やかな成長を支えるためにも、早めの対策が重要です。
3.子供の自己肯定感が低くなる
ゴミ屋敷で育った子供は、自己肯定感が低くなりやすい傾向にあります。
なぜなら、周囲からの否定的な目線やいじめ、親の精神的な問題、不衛生で居心地の悪い環境などが影響し、子供が自分自身を否定的に捉えやすくなるからです。
また、家庭環境を比較して「自分は普通ではない」と感じたり、健康問題や友人関係のトラブルが失敗体験として蓄積したりすることで、さらに自己否定感が深まります。
こうした状況を改善するには、環境整備や専門的な支援、子供自身の価値に気づける経験を通じた心のケアが重要です。
4.勉強に集中できず、成績が下がる
自宅がゴミ屋敷だと、子供が勉強に集中できません。まず部屋や机の上がゴミで散らかっているので、使いたい教科書が簡単には見つかりません。
また床全面がゴミで埋まっている状態だと、そもそも机を使うことすら難しくなっているかもしれません。
その場合子供は、ゴミをかき分けて勉強をしたり、ゴミに埋もれながら勉強をすることとなります。
当然勉強に集中することができず、成績の低下につながります。また学校への提出物を紛失してしまったり、教科書がなかなか見つからなかったりするかもしれません。
「学校で勉強をしていれば自宅では何もしなくていい」は間違いです。ゴミ屋敷を片付けて、自宅でも快適に学習できる環境を整えてあげましょう。
5.散らかった家に違和感を感じない大人に育つ
子供時代をゴミ屋敷で過ごしていると、ゴミ屋敷に一切違和感を覚えない大人に育ちます。
一般的には「散らかっている」「ゴミ屋敷でしょ」と思われるレベルでも、ゴミ屋敷と思わないのです。よって大人になって自立してからも、再び自宅がゴミ屋敷化してしまう可能性が高いです。
一方で、実家がゴミ屋敷であったことを反面教師にして、綺麗好きになるケースもあります。しかし、そういったケースは稀です。
子供が自立してから再びゴミ屋敷に住んでしまうと、親と同じ苦労を味あわせてしまいます。「子供には私と同じ思いはして欲しくない」と思うのであれば、いますぐゴミ屋敷を片付けるべきです。
6.ゴミ屋敷で育つと子供が栄養失調になりやすい
ゴミ屋敷で育つ子供は栄養失調になりやすいです。
ゴミ屋敷のシンクやコンロは食品トレーや食べ残し、洗っていない食器たちであふれかえってしまっているため調理ができる環境ではないからです。毎日の食事は簡単に食べられるレトルト食品やコンビニ食が中心となり、自然と栄養は偏ってしまいます。
平日の昼食は給食で補うことができたとしても、夏休みや冬休みになれば3食バランスが取れない食事が1か月以上続くことになります。結果、栄養失調になりやすい子供になってしまうのです。
子供がいる家庭がゴミ屋敷になってしまう3つの原因
子供がいる家庭がゴミ屋敷になってしまう原因は、以下の3つです。
- ひとり親・共働きで片付けをする時間や気力がないから
- 保護者がうつ病やセルフネグレクトといった精神疾患を抱えているから
- 保護者がゴミ屋敷で育ったから
それぞれ詳しく見てみましょう。
ひとり親・共働きで片付けをする時間や気力がないから
最近は、ワーキングプアやシングルマザー(ファザー)の貧困が問題になっています。
こういった状況に陥ると、日々生活するためのお金を稼ぐのに必死で、子供の世話や自宅の片付けにまで手が回りません。よって自宅に少しずつゴミが溜まっていき、自宅がゴミ屋敷化してしまいます。
まずコンビニなどで購入した食べ物の容器などが溜まり始め、忙しさからゴミ出しのタイミングを逃し、徐々に部屋がゴミで埋め尽くされていきます。
毎日きちんと片付けを行っていれば、ひとり親や共働きでも部屋が散らかることはありません。しかし一度溜め込んでしまうと、休日にまとめて片付けをする気力が起きず、どんどん部屋が散らかっていきます。
保護者がうつ病やセルフネグレクトといった精神疾患を抱えているから
保護者がうつ病やセルフネグレクトといった精神疾患を抱えている場合、子供の有無にかかわらず、自宅がゴミ屋敷化してしまいます。
セルフネグレクトとは、自分自身の生活環境や栄養状態が悪化しているのに、それを改善しようとせずに放置してしまう状態のことです。
うつ病になるとものを片付ける気力がなくなり、家がゴミ屋敷化してしまいます。セルフネグレクトの方も同様に、ものが散らかっていると認識していても、ものを片付ける気力が湧きません。
うつ病やセルフネグレクトが疑われる場合は、自力でゴミ屋敷を片付けることは不可能です。ゴミの片付けは業者に依頼をして、症状を改善するために病院の受診をおすすめします。
保護者が子供時代にゴミ屋敷で育ったから
子供時代をゴミ屋敷で過ごすと、部屋が散らかっている状態を「普通」と捉えてしまいます。
一般的な方であれば少し散らかっているだけで「片付けなきゃ」と思うのですが、ゴミ屋敷に慣れているとそうは思いません。
よってゴミ屋敷で育った子供は、大人になって自分が子供を育てる立場になったとしても、再び家がゴミ屋敷化してしまう可能性が高いです。
「夫婦両方が子供時代をゴミ屋敷で過ごした」ということは稀です。よってどちらかが、率先して片付けを行ったり、「部屋が散らかっているから一緒に片付けよう」と声をかけたりすることが大切です。
子供時代をゴミ屋敷で過ごした人の体験談
ゴミ屋敷が健康、友人関係、学業などあらゆる面で子供に悪影響を及ぼすことは間違いありません。
ここでは、子供時代をゴミ屋敷で過ごした2名の方の体験談を見てみましょう。
佐々木勇さん(仮名、36歳)会社員
母子家庭だったのですが、母親が精神的に不安定で、うちは近所では有名なゴミ屋敷でした。母親は自分の食事も取れないいわゆる「セルフネグレクト」で、当然私の食事も用意してもらえませんでした。小さい時に空腹を紛らわすためにタバコの吸い殻を食べて救急車で運ばれたこともあります。学校の弁当など当然用意してもらえず、惣菜屋で買ったものを弁当風に詰めて行ったのですが、結局は友達にバレてしまい泣いてしまったこともあります。
(東洋経済オンライン 「ごみ屋敷」で育児放棄された男性が達した境地より筆者作成)
現在は親元を離れて「普通の生活」を送っているのですが、いまだに悪夢を見ます。いい夢はこれまでに一度も見たことがありません。
彩矢さん(仮名・20代)
裏が雑木林の古い一軒家に住んでいました。なのでゴキブリやムカデ、蛇やネズミが家の中に頻繁に出る環境で育ちました。普通の家であれば害虫が出たら退治すればいいのですが、床がゴミで埋もれているため、害虫がゴミの中に逃げ込んでしまい退治できないんですよね。給油設備が壊れたもののゴミ屋敷が原因で修理業者を呼べず、中学時代は3〜4日に1回近所の銭湯に通っていました。髪がベタついたりフケが出たりするのですが、それを友人にバレないように誤魔化すのが大変でしたね。この環境を抜け出すために必死で勉強をし、大学受験を機にゴミ屋敷からは抜け出せました。
(東洋経済オンライン ムカデが這う「ゴミ屋敷」で育った20代女性の苦悩より筆者作成)
ゴミ屋敷での子育ては児童虐待にあたる場合も
ゴミ屋敷での子育て厚生労働省の基準にも該当し、児童虐待とみなされることもあります。厚生労働省では「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」「心理的虐待」の4つを児童虐待として説明しています。
部屋のあちこちに本来捨てなければならないゴミがあふれかえっているゴミ屋敷での子育てはネグレクトと捉えられても仕方ありません。また、十分に栄養が摂れる食事を提供できない環境もネグレクトと考えられます。
どんなに子供への愛情があったとしても、客観的に見ればゴミ屋敷での子育ては児童虐待と捉えられてしまうリスクがあります。
ゴミ屋敷を片付け・改善する4つの方法
ゴミ屋敷を片付け・改善する方法は、自力で片付ける、周りを頼る、業者に依頼する,カウンセリングを受ける、の4つです。ゴミの状態や家庭環境などによって、どの手段を取るべきかは異なります。
ゴミ屋敷を片付け・改善する4つの方法について、詳しく見てみましょう。
自力で片付ける
ゴミ屋敷を片付け・改善する1つ目の方法は「自力で片付ける」です。
この方法は、以下全てに該当する方におすすめです。
- 部屋は散らかっているものの、床は半分以上見えている方
- ゴミを自力で片付ける気力がある方
- 粗大ゴミが少ない方
ゴミを自力で片付けられるのであれば、そうするに越したことはありません。ただしゴミは他のゴミや人間の重さで圧縮されるため、量も重さも思った以上であるという点は、覚悟しておいてください。
またゴミを片付け終えた後は、床にこびりついた液体や、害虫の死骸などを自力で掃除する必要があります。
それでも「自力でゴミを片付けられそうだ」と感じる方は、以下の記事をご覧ください。ゴミ屋敷を自力で片付ける手順を詳しく解説しています。
ゴミ屋敷片付けは、自分でできる?失敗しない片付けの手順を解説
周りを頼る
ゴミ屋敷を片付け・改善する2つ目の方法は「周りを頼る」です。
この方法は、以下全てに該当する方におすすめです。
- 自宅がゴミ屋敷であることを打ち明けられる親や友人がいる方
- 親や友人に自宅を見られても恥ずかしくない方
- 数名で片付けられるレベルのゴミしかない方
ゴミ屋敷を片付ける際は、人手が多いに越したことはありません。ゴミ屋敷の片付けは基本、「ゴミを袋に詰めて運び出す」の繰り返しです。よって人が多ければ多いほど片付けが早く進みます。
しかし家族や友人にゴミ屋敷を見られたくない方も多いのではないでしょうか。できれば誰にも知られずにゴミ屋敷を片付けたいですよね。
そういった方には「周りを頼る」はおすすめできません。
業者に依頼する
ゴミ屋敷を片付け・改善する3つ目の方法は「業者に依頼する」です。
この方法は、以下全てに該当する方におすすめです。
- できるだけ早くゴミ屋敷を片付けたい
- 親や友人にゴミ屋敷に住んでいるとバレたくない
- 自力だとゴミ屋敷を片付けられそうにない
業者に依頼をすれば、最短即日で簡単にゴミ屋敷を片付けられます。スタッフ数名で手分けして作業を行うため、作業は1日で終わることが大半です。
ゴミ置き場には置けない量のゴミがある方でも、トラックを手配してゴミを運ぶため問題ありません。
「業者に依頼したい」と思いつつもなかなか重い腰を上げられない方は多いです。しかし一度依頼をしてしまえば、「ゴミ屋敷」に関する悩みとは簡単におさらばできます。
ただしゴミ屋敷清掃業者は玉石混合なので、実績のある業者を選ぶことが大切です。
カウンセリングを受ける
ゴミ屋敷を片付け・改善する4つ目の方法は「カウンセリングを受ける」です。
この方法は、以下全てに該当する方におすすめです。
- 心理的要因がきっかけで片付けられない方
- 片付けを何度試みても挫折してしまう方
- 物への執着心が以上に強い方
多くの場合、ゴミ屋敷の背景にはストレスや精神的な問題が潜んでおり、カウンセリングを受けることでその原因を特定し、根本的にゴミ屋敷から脱出できるようになります。片付け業者や周囲の人の助けを借りて、一時的に片付けることはできても継続的に片付いた部屋を維持するには根本的な原因を取り除くことが必要です。
また、カウンセリングと片付け作業を並行して行うと、再びゴミ屋敷に戻るリスクも防げます。
まとめ
ゴミ屋敷は単なる片付け不足ではなく、家庭環境や心理的問題が複雑に絡んだ結果として生じる深刻な課題です。
特に子育て世帯では、子供に健康や学業、人間関係など多岐にわたる悪影響を与え、不衛生な環境は子供の成長を妨げ、場合によっては児童虐待と見なされることもあります。
改善には、自力で片付けるだけでなく、カウンセリングを受け心理的要因を取り除くことが重要です。
問題を放置すると、子供や家族の未来に深刻な影響を与えます。環境と心の両面から解決策を講じましょう。
子育て世代のゴミ屋敷片付けもご相談ください
「ゴミ屋敷が子供に与える影響が心配」「不衛生な環境を改善して、子供が安心して暮らせる家にしたい」そのようなお悩みをお持ちなら、ゴミ屋敷バスター七福神にご相談ください。
清潔で安全な環境は、子供の健康や成長を支える大切な基盤です。
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