「貸しているアパートの一室がゴミ屋敷になってしまった…」
「強制退去させたいけどどうすればいい?」
このように悩んでいるアパートのオーナー様は非常に多いです。
アパートのオーナー様にとってゴミ屋敷問題の解決は特に重要で、放置しているとアパートの価値が下がる可能性が出るだけでなく、別の入居者がゴミ屋敷から逃げるように退去してしまう可能性もあります。
本記事では、賃貸アパートの一室がゴミ屋敷になってしまったときの対処法、強制退去の方法を解説します。ぜひ参考にしていただき、理想のアパート経営を取り戻しましょう。
目次
隠れゴミ屋敷も…アパートのゴミ屋敷化はよくある悩み

アパートは扉の内側がプライベート空間であるため、周囲に気づかれないままゴミ屋敷化することがよくあります。
「悪臭がするようになった」「害虫が出るようになった」などの現象・苦情が見られるようになったら、アパートの部屋のどこかがゴミ屋敷化しているかも知れません。
なぜそのような状況になるまで誰も気づかないのでしょう。まずは、アパートがゴミ屋敷しやすい理由を解説します。
近所との関係の希薄化
近所との関係の希薄化は、アパートがゴミ屋敷化してしまう原因のひとつです。
近隣住民との関係が親密な場合、仲の良いご近所の人を自宅に招いてお茶をしながら会話を楽しむといったこともあるかもしれません。互いの部屋に仲の良い人を招き入れてもてなす行為は、ご近所付き合いが親密な場合に多く見られることです。
自宅に近所の人を招く場合、部屋の中を整理整頓して清潔に保っておこうとする人は多いでしょう。「だらしないと思われたくない」「変な噂を立てられたくない」などと考えるからです。
しかしアパートは近所との関係が希薄化しやすく、自宅に誰かを招くということはほぼありません。アパートは一人暮らしの割合が多く、防犯という観点から住民同士あいさつをしないこともあります。
誰かを招き入れることの少ないアパートの部屋ならゴミが散乱した状態であっても気にする必要はなく、仮にゴミ屋敷状態であったとしても口出しや干渉をされないのでゴミ屋敷化してしまうのです。
ゴミ屋敷化しても注意してくれる人がいない
アパートがゴミ屋敷化する原因や理由として、そのような状態になっても注意してくれる人がいないこともあげられます。
例えば中身が空になったペットボトルをテーブルに置いたままにしたとしましょう。黙って捨てておいてくれる人もいるかもしれませんが、放置される回数が多くなると我慢できなくなって注意する人は一定数存在します。
このような「ゴミを放置すると同居人に注意される」という一連のループが繰り返されるとゴミがたまることはなく、アパートがゴミ屋敷化することもありません。
しかし注意する人がいない場合、食べ終わったお菓子の袋や紙くずなどが部屋のいたるところに放置されたままの状態になるので、ゴミ屋敷化が進行してしまうのです。
片付けが苦手な入居者の増加
近年、片付けが苦手な人が増加傾向にあり、これもアパートがゴミ屋敷化してしまう理由のひとつといえます。
その主な原因は「ゴミ出しルールに対応できない」ことにあり、「忙しくてゴミ回収日に出すことが難しい」「まとめて出そうと思ってつい忘れてしまう」といった人が増加しているのが現状です。
仕事やプライベートに多くの時間を取られ、ゴミ回収日を忘れたり片付けそのものを面倒に感じたりする人が多く、その結果部屋にゴミがたまり続けてゴミ屋敷化してしまいます。
外国人入居者のゴミ出しルールの理解困難
近年日本の在留外国人の数は増えてきており、同時に外国人入居者の数も増えています。
そこで問題になるのが、外国人にとって日本のゴミ出しルールを理解するのが困難な点です。
日本では、可燃ゴミ・不燃ごみ・プラゴミ・ビン・缶・ペットボトルなど、非常に細かくゴミ出しのルールが決まっています。さらにゴミ出しの曜日も分かれているため、日本に馴染んでいない外国人にとっては、これらのルールを理解するのが難しいです。
結果として「よく分からない物は家の中で放置する」という考えが生まれて、ゴミ屋敷化してしまいます。
ゴミ屋敷はなぜ生まれる?ゴミをため込んでしまう心理とゴミ屋敷からの脱却法について解説
ゴミ屋敷になったアパートの放置は危険

アパートがゴミ屋敷になってしまった場合には様々なリスクが待っています。
まずはどのようなリスクがあるのかを把握しておきましょう。
入居者から異臭や害虫の苦情が増える
アパートは一般的にマンション程、高額な材質は用いられません。
そのため、マンションと比較すると壁や床が薄いことから、ゴミ屋敷になってしまうと周辺への悪影響がマンションよりも強いです。
例えば異臭をより強く感じたり、堆積されている生ゴミに群がるハエ等が隣家まで及んだりなど、周辺により直接的な悪影響を及ぼすことが懸念されます。
特にゴミ屋敷の影響でゴキブリのような害虫が増えると、ほかの入居者の退去に繋がりやすいので、アパートのオーナー様には早急な対応が求められます。
アパートの構造を脅かす
アパートの中には木造のものもあります。
木造アパートの場合、ゴミ屋敷に堆積されている生ゴミや水分によって木材が腐食されることで、部屋だけではなくアパートそのものの強度に支障をきたす可能性があります。
特に1階がゴミ屋敷になってしまった場合、アパート全体の強度に影響が出てしまい、アパートが傾いたり、2階部分が陥没してしまうことも十分にあり得る話です。
アパートの火災リスクの上昇
オーナー様にとって特に注意すべきなのが、火災リスクです。ゴミ屋敷は、引火しやすい可燃物が大量に堆積しているため、火災の危険性が非常に高いです。
たとえば、綺麗な部屋であれば、たばこの吸い殻がティッシュに引火しても、周囲に燃え広がるものが少なく、火災に発展する可能性は低いといえます。
しかし、ゴミ屋敷の場合は、室内の至るところにゴミが散乱しており、一度火がつけば一気に延焼し、最悪の場合アパート全体が焼失する恐れもあります。
そのため、ゴミ屋敷が疑われる部屋に関しては、他の入居者からの苦情がなくても、オーナーとして早めに対応することが重要です。
ゴミ屋敷が火事になりやすい3つの原因!責任の所在や実際のケース、対処法まとめ
入居者が減り、家賃収入が減る
アパートの一室がゴミ屋敷化してしまうと、その悪影響は他の入居者にも広がります。
悪臭や害虫の影響はもちろん、オーナー様だけでなく入居者も「ゴミ屋敷からの火災が怖い」と不安に感じることもあります。
その結果「もう住んでいられない」と退去につながることは珍しくありません。
また、ゴミ屋敷の存在が知られてしまうと、アパート全体のイメージが悪化し、新たな入居希望者から敬遠される恐れも高まります。また、現在空き部屋があるなら、内見時に悪臭がしたことで、契約を取りやめるケースも起こります。
場合によっては一室のゴミ屋敷の影響で、全入居者が退去してしまう可能性もあるので、苦情が少しでも来ているなら、すぐに対処しましょう。
ゴミ屋敷の隣室の隣人からし引越し費用を請求される
ゴミ屋敷が原因で近隣住民が退去する場合、その退去費用や引越し費用をオーナーに請求されるリスクがあります。
たとえば「悪臭がひどく健康被害が出た」「害虫が自室にまで侵入してきた」など、生活環境の悪化による精神的・物理的被害があったと主張されれば、損害賠償請求に繋がりかねません。
実際に、ゴミ屋敷によるトラブルが原因で引っ越しを余儀なくされたとして、「敷金・礼金・引越し費用・新居の初期費用などを一部負担してほしい」とオーナー側に求められた事例もあります。
もちろんすべての請求が認められるわけではありませんが、適切な管理義務を果たしていないと判断されれば、一定の責任を問われる可能性が否定できないことは確かです。
放置されたゴミ屋敷が原因で、本来不要だった費用を負担する羽目にならないよう、オーナーとしての責任は果たしておきましょう。
アパートをゴミ屋敷にした住人を強制退去させる

アパートがゴミ屋敷になっているとオーナーが知ったとしても、すぐに強制退去を命ずることはできません。
賃貸ではあっても居住権(借家権)と呼ばれる、入居者保護の権利がありますので、オーナーではあっても、強制的に住人を退去させることはできません。
ただし、あくまでも「即時退去」が命令できないのであって、通知後、退去に足る正当な理由がある場合にはアパートから退去させることができます。
そこで、オーナーがゴミ屋敷住人をアパートから強制退去できる理由をご紹介しましょう。
アパートをゴミ屋敷にした住人をすぐに退去させることはできない
アパートの大家さんはゴミ屋敷にした住民をすぐに退去させることは禁止されています。
地借家法28条にて借主の居住権が保護されているためです。
借地借家法28条では、貸主が退去や更新拒否をする場合は正当と認められる事由が必要とされています。ここに定める主な正当な理由は以下の通りです。
- 貸主と借主の信頼関係破綻
- 建物の建て替えが必要
- 立ち退き料の支払い申し出
ゴミ屋敷化による立ち退きの場合は「貸主と借主の信頼関係破綻」に該当し、破綻したことを証明しなければなりません。証明するには長期間にわたってゴミ屋敷の状態のまま放置したなどの現状を証明する必要があるため、すぐに立ち退きを命じることはできないのです。
強制退去の基本的なルールは契約内容に準ずる
アパートがゴミ屋敷になってしまった場合でも、オーナーがその場で住人に強制退去を命ずることはできません。
一般的に家主側から契約解除する場合には半年前までに通知しなければならないとの認識が広まっていますが、この点に関しては賃貸借契約書に記載されている内容次第です。
賃貸借契約の多くが半年前通知となっていますが、異なる期間の賃貸借契約もあり得ますので、退去が気になる方は賃貸借契約書を確認してみましょう。
禁止事項、契約の解除、特約の項目をチェック
ゴミ屋敷となったアパートからの強制退去に関しての該当項目は家賃、禁止事項、契約の解除、特約等の項目です。
家賃の滞納に関してはゴミ屋敷だけの問題ではありませんが、禁止事項の内容がゴミ屋敷の状態に合致するのか、さらには契約解除や特約がゴミ屋敷で有効性を獲得できるのかなど、強制退去の可否はこの部分に集約されています。
ゴミ屋敷となったアパートへの強制退去が認められる理由

アパートの住人には居住権があるため、管理人やオーナーは原則として強制退去ができません。しかしこれは「原則として」であり、強制退去に至るまでの経緯や理由が認められれば居住権に関係なく可能です。その主な理由として以下のようなものがあげられます。
- 家賃の滞納
- 近隣への迷惑行為
上記2つの理由について詳しくみていきましょう。
家賃の滞納
アパートの家賃を3ヶ月以上滞納している場合で、かつ支払う意思がない場合には強制退去が可能になります。
こちらはアパートの状態を問わずに該当する条件なので、ゴミ屋敷ではなくとも家賃を滞納していれば強制退去させられる可能性があります。
これは「信頼関係破壊の法理」と呼ばれる法律用語で、客観的な判定は難しいのですが、信頼関係喪失によって退去を命じることができます。
近隣への迷惑行為
解釈によってはゴミ屋敷はこちらに該当する可能性があります。
主に騒音が該当しますが、騒音以外でも近隣に対して迷惑をかけている行為がある場合、退去を命令できます。
例えばベランダのゴミが隣家まで進出していたり、異臭を放っている場合は強制退去を命じることができます。
特にゴミ屋敷は異臭や害虫が発生することで近隣に迷惑を与えやすいので、アパートがゴミ屋敷になってしまった場合、こちらに該当する可能性が高まります。
注意喚起してもゴミ屋敷の状況が変わらない場合には、法律や自治体に基いた対策が可能になります。
賃貸アパートがゴミ屋敷になったときの対処法

アパートをゴミ屋敷にしてしまった場合、先に紹介した理由に該当していれば強制退去できる可能性があります。
では具体的に、どのような流れで強制退去できるのかについて解説します。
口頭・文書による注意
アパートのオーナーは口頭・文章にて注意あるいは交渉ができます。
ゴミ屋敷にしている場合は、ゴミ屋敷の改善も提案可能です。
ゴミ屋敷の場合、ゴミ屋敷の状況を改善する意思はあるのかを確認しなければなりません。
もしもですが、注意に従ってアパートのゴミ屋敷を住人が片付ければ、問題は終了となりますので強制退去はできません。
自治体に相談する
多くの自治体では、生活環境や保健衛生を担当する課(環境課・生活衛生課など)が相談窓口となっており、地域住民やオーナーからの通報を受けて現地調査を実施します。
各地で「ゴミ屋敷を改善させるための条例」が制定されており、これに基づいて助言・指導・命令・最終的には行政代執行、つまり強制的なゴミの撤去へと進む場合もあります。
行政代執行は行政代執行法に基づいて行われ、住人が自治体からの命令に従わない場合、自治体が代わりにゴミを撤去し、その費用を住人に請求する仕組みです。
ただし、実施には複数回の指導や審議が必要で、数年単位の時間がかかることもあります。
とはいえ、自治体からゴミ屋敷の住人へ助言・指導をしてくれるため「入居者とトラブルにはなりたくないけど改善はしてほしい」という場合には大いに活用できます。
ゴミ屋敷対策の法律や条例とは?全国・自治体の対策を事例付きで紹介
連帯保証人へ連絡
アパートがゴミ屋敷で、かつ家賃を滞納している場合、オーナーは連帯保証人に連絡します。
家賃を滞納することなくゴミ屋敷にしているだけであれば連帯保証人への連絡はできません。
仮に家賃を支払ったとしてもゴミ屋敷を片付けなければ問題解決ではありませんので、強制退去を命じる可能性は残ります。
内容証明による書面送付
アパートのオーナーは内容証明郵便で賃貸借契約解除の書面を送ります。
内容証明は誰が誰宛に郵便を送付したのかを証明されるもので、「受け取っていない」「届いていない」を防止するためのものです。
内容証明強はあくまでも確認的なもので、後述する裁判で必要な書類となるのでアパートのオーナー側は、裁判を見越して内容証明郵便を送付します。
この段階となると、住人の退去は免れないでしょう。
裏を返せば、住人はアパートから退去したくないのであればこの段階までに何とかしなければなりません。
アパート賃貸契約の解除
賃貸アパートの一室がゴミ屋敷化し、他の入居者や建物全体に悪影響を及ぼしている場合、最終手段として「賃貸契約の解除(契約解除・明渡請求)」を検討することも可能です。
単に「部屋が汚れている」程度では、正当な解除理由として認められにくいものの、「近隣への迷惑行為」や「信頼関係の破壊」に該当するような状態であれば、契約解除が認められるケースもあります。
とはいえ、実際に契約解除を進めるためには、解除の正当性を裏付ける証拠(室内や共用部の写真・動画、注意喚起の文書、他の入居者からの苦情など)を記録しておくことが非常に重要です。
少々複雑でトラブルになりやすい問題でもあるため、早い段階で専門の弁護士に相談し、法的手続きを慎重に進めましょう。
裁判所へ明け渡し請求訴訟
アパート賃貸契約が解除された後も住人がゴミ屋敷に住み続けていると、オーナー・管理人は明け渡し請求訴訟、つまりは裁判を起こすことが可能です。
その後、強制執行の申し立て、裁判所からの立ち退き催告書が住人に届きますが、これらを無視してゴミ屋敷に住み続けていると強制退去を執行されます。
ゴミ屋敷になったアパートの原状回復費用は?

ゴミ屋敷となったアパートでは、通常の原状回復では済まないほどの汚損・劣化が進行しているケースが多く、原状回復費用は高額になる傾向があります。
たとえば、部屋中にゴミが堆積していた場合、単なる清掃だけでなく、悪臭除去・害虫駆除・壁や床のリフォーム・配管修理といった対応が必要になることもあります。
かかってくる費用や、今後の請求について詳しく見ていきましょう。
ゴミ屋敷の片付け費用の目安
ゴミ屋敷の片付け費用は、部屋の広さ・ゴミの量・状態(害虫・悪臭など)・清掃の難易度によって大きく変動します。以下は一般的な目安です。
| 間取り | 費用目安 |
| 1LDK | 約30,000円〜150,000円 |
| 2LDK | 約80,000円〜200,000円 |
| 3LDK | 約150,000円〜300,000円 |
| 4LDK以上 | 300,000円〜500,000円以上 |
これに加えてハウスクリーニングや害虫駆除、消臭作業が必要な場合は、さらに数十万円の費用が上乗せされることがあります。
なお、オーナー負担となる場合は「原状回復の範囲外」として火災保険や家賃保証サービスの適用可否を確認することも重要です。
ゴミの量が少ないうちに対処できれば、費用を10万円未満で抑えられる場合もあるため、早期対応が重要です。
入居者に請求できる原状回復・修繕費目安
ゴミ屋敷を住めるような状態にするための原状回復や修繕費はアパートの部屋の広さやゴミ屋敷の状況に左右されるため、明確な費用は一概にいえません。ただし、目安の金額として家賃3カ月分が一般的な相場とされています。例えば1カ月の家賃が6万円だった場合、修繕などにかかる費用はその3カ月分の18万円です。
ただしこの金額はあくまで一般的な相場や目安であり、天井近くまでゴミがたまっているような状態の場合にはさらに高くなる可能性があります。
ゴミ屋敷の住人に請求できる退去費用
ゴミ屋敷の住人に請求できる主な退去費用は以下の通りです。
- ゴミ片付けの費用
- 通常を超える損耗分の原状回復費用
一般的な使い方をしていれば部屋がゴミだらけになることはなく、アパートのオーナーや管理人がゴミの片付けを業者などに依頼する必要はありません。そのため、ゴミ屋敷と化した部屋のゴミ屋敷片付け費用は全額住人負担です。
ただし、原状回復費用については判断が難しい部分があります。床や壁などは経年劣化が否めないからです。しかしゴミ屋敷と化した部屋の場合は床などの腐敗が通常損耗分を超える可能性は充分考えられるため、ゴミ片付けの費用同様に住人に退去費用として請求できるでしょう。
賃貸のゴミ屋敷は原状回復費用はどれくらい?原状回復義務の基礎知識
残置物撤去費用は連帯保証人に請求できる
賃貸物件がゴミ屋敷化し、退去後に大量のゴミや家財などが放置されていた場合、「残置物撤去費用」は原則として借主本人に請求することが可能です。しかし、本人と連絡が取れない、または支払いに応じないといったケースも少なくありません。
こうした場合に備えて、連帯保証人が付いている契約であれば、残置物撤去費用を連帯保証人に請求できます。
連帯保証人は、借主と同等の債務を負う立場であるため、借主が支払不能・失踪・応答なしといった状況に陥っている場合でも、連帯保証人に対して速やかに請求することができます。
ただし、請求するには以下のような証拠の整備が重要です。
- ゴミの写真・動画などの記録
- 専門業者の見積書・請求書
- 契約書に連帯保証人として署名・押印があるかの確認
また、請求にあたっては金額の妥当性も問われるため、適正な範囲に収めるよう注意が必要です。
ゴミ屋敷の残置物を撤去する方法
賃貸物件の入居者が退去後に大量のゴミや家具などを残したまま放置した場合、オーナーとしては残置物の処理が大きな負担になります。特に「ゴミ屋敷化していた部屋」の場合、通常の清掃では手に負えず、法的・実務的な対応が必要です。
ここでは、ゴミ屋敷となった部屋の残置物を適切に処理するための2つの方法を紹介します。
入居者にゴミの撤去や所有権の放棄を要求する
まず第一に取るべき対応は、入居者本人に対して残置物の撤去を求めることです。
入居者が退去の意思を示している場合でも、所有権が明確に放棄されていない限り、ゴミや家具も「借主の財産」として扱われます。勝手に処分すれば、器物損壊や不法投棄と見なされるリスクもあるため注意が必要です。
このため、退去前・退去直後のタイミングで「残置物の所有権を放棄する」旨の書面を取り交わすことが理想です。入居者と連絡が取れる場合は、書面(残置物放棄承諾書)にサインをもらい、撤去に同意した証拠を残しておきましょう。
もし入居者が音信不通・失踪している場合には、内容証明などで一定期間内に対応がなければ放棄と見なすと通知したうえで、法的手続き(明渡訴訟や強制執行)へと進む必要があります。
夜逃げの荷物を勝手に処分するのはNG!残置物の処分手続きと費用
ゴミ屋敷片付け専門業者に依頼する
元入居者が残置物の所有権を正式に放棄した場合、オーナー側がゴミの撤去や原状回復に向けて動くことになります。
このとき「自分で片付ける」「不用品回収業者に依頼する」といった選択肢もありますが、ゴミ屋敷状態の部屋には、ゴミ屋敷片付けの専門業者を利用することを強くおすすめします。
その理由の一つが、衛生面や安全面でのリスクです。長期間放置されたゴミには、悪臭・カビ・害虫・ネズミなどが発生していることも珍しくありません。個人が防護服なしで作業するのは非常に危険で、健康被害につながるおそれもあります。
ゴミ屋敷片付け専門業者は、こうした作業を一括で行える体制が整っており、短時間で安全・確実に処理を進められます。
アパートのゴミ屋敷片付けもゴミ屋敷バスター七福神にお任せ
ゴミ屋敷になったアパートの部屋は、ゴミの量や腐敗状況などによって自分で片付けることが難しい場合もあります。無理に自分で片付けようとすると時間と労力を大幅に消耗してしまい、片付ける気力がなくなってしまうなどの状態になることも否定できません。
手が付けられないような状態のアパートのゴミ屋敷の片付けは、ゴミ屋敷バスター七福神にお任せください。不用品の運び出しや処分はもちろん、オプションサービスとしてハウスクリーニングなども行っています。
ご相談やお見積もりは無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。
アパートにゴミ屋敷になっても、大家さんがしてはいけないこと

アパートの部屋がゴミ屋敷になってしまった場合、大家さんがしてはいけないことがあります。
- すぐに退去させる行為
- ドアへの張り紙
- 許可を得ないゴミの処分
- 退去を促す行為
上記の禁止行為を詳しくみていきましょう。
ドアに張り紙を貼って注意する
ゴミ屋敷化した部屋のドアに張り紙を張って注意する行為もおすすめしません。その理由はゴミ屋敷であることが他の住人に知られてしまい、反対に名誉棄損で訴えられる可能性があるからです。
例えばゴミ屋敷と化した部屋の隣から悪臭や害虫などの苦情が出ていたとしても、苦情を申し立てた部屋の住人は隣人が部屋をゴミ屋敷化していることはわかりません。
また張り紙をすることで悪臭や害虫といった被害がなかった住人にも、ゴミ屋敷と化しているという事実が知られてしまいます。
第三者に周知してしまう行為はその部屋に住む人が反対に大家さんを訴える機会を与えてしまうことになるので、やめたほうが良いでしょう。
勝手にゴミを捨てる
勝手にゴミを捨てる行為も控えてください。大家さんを含む他の人たちがゴミだと思っていても、所有者にとってはゴミではない可能性があるからです。
たとえ近隣住民全員がゴミだと判断しても、持ち主が「ゴミではなく所有物である」と主張すると私有財産扱いとなります。どれだけ不衛生なものであっても持ち主が所有権を主張すればそれはゴミとは判断されず、私有財産を勝手に捨てると窃盗罪になる可能性があるので危険です。
これは部屋の中にあるものに限らず、ゴミ屋敷と化した部屋の前の廊下に放置されているものも同様なので勝手に捨てる行為は控えましょう。
自力で退去を促す行為
以下のような自力で退去を促す行為もしてはいけません。
- ガス・水道などのライフラインを止める
- 玄関ドアの鍵を勝手に変える
民事法では「自力救済の禁止」という考え方があり、住人の許可なくライフラインを止める行為はこれに反する行為です。
また玄関ドアを勝手に変えてしまうことは、プライバシーの侵害や住居侵入とみなされて刑事事件に発展するかもしれません。
これらの行為の背景にゴミ屋敷のようなやむを得ない事情があったとしても、反対に罪に問われる危険性があるのでやめてください。
アパートをゴミ屋敷にしないための対策

アパート経営において「ゴミ屋敷化」は入居者満足度の低下や近隣トラブル、資産価値の下落にも直結する大きなリスクです。
一室がゴミ屋敷になれば、建物全体の印象まで悪化し、空室リスクにもつながります。
そうした事態を未然に防ぐためにも、オーナーとして日頃からできる「予防的対策」を講じておくことが重要です。
アパートと地域のゴミ出しルールの周知
多くのゴミトラブルの原因は、入居者が地域ごとのゴミ出しルールを把握していないことにあります。
特に外国人入居者や引っ越してきたばかりの若年層は、分別方法や回収日、出す時間帯などのローカルルールを知らないケースが多いです。
そのためオーナーとして、入居時にわかりやすいごみ出しルール表(自治体発行のパンフなど)を設置するほか、共用部に注意喚起の掲示をするなどの工夫が必要です。
すぐにゴミを捨てられる環境を作る
アパート内のゴミ捨て環境が悪いと「出しづらいから部屋にため込む」という負のスパイラルに入る可能性があります。
そのため、オーナーとしては24時間ゴミ出し可能な設備を導入するといった対応は非常に有効です。
これによって、部屋にゴミを貯めずに、すぐに捨てる習慣を入居者に持ってもらいやすくなります。
柔軟なゴミ出し環境を整備することで、入居者のストレスを減らせれば、ゴミ屋敷化の予防につながるでしょう。
すぐにゴミを捨てられる環境を作る
ゴミはまとめて捨てるという人も多いのではないでしょうか。
しかし、ゴミ屋敷を懸念するのであれば、まとめて捨てるよりもこまめに捨てるよう心掛けましょう。
なぜまら、まとめて捨てる場合、まとめて捨てようと思ったその日にゴミを捨てられなかった場合、次のゴミ出しまで自宅で保管しておかなければなりません。
結果、ゴミがより増えてしまい、ゴミ出しが億劫になってしまうこともあります。
これらを踏まえると、「まとめて出す」ではなく、ゴミ出しの日には少量でも良いので必ずその時点で溜まっているゴミを捨てましょう。
ゴミ屋敷片付け業者の存在を把握しておく
万が一、ゴミ屋敷化の兆候が見られた場合に備えて、信頼できるゴミ屋敷片付け業者を事前に把握しておくことも大切です。
いざという時に慌てず、すぐに対応できる体制を整えておくことで、他の入居者への被害や建物への悪影響を最小限に抑えることができます。
また、ゴミ屋敷の片付けについて、ご自身で分からないことがあっても、信頼できるゴミ屋敷片付け業者と相談することで解決できることもあります。
行政指導が入る前に民間業者で対処できれば、退去手続きや原状回復もスムーズに進められるでしょう。
オーナーから定期的に注意喚起を促す
アパートのオーナーとして、定期的に見回りし、掲示板へのお知らせやポスト投函による周知などで、住民への注意喚起を行うことは重要です。
ただし、ゴミ屋敷となっている部屋の玄関ドアに直接張り紙をしたり、掲示板で部屋番号や住人名を明記して注意・警告を行うことは、プライバシーの侵害や名誉毀損にあたる可能性があります。
また、文言が威圧的だと、脅迫と受け取られたり、他の入居者に不安を与えてしまうおそれもあるため注意が必要です。
そのため、注意喚起を行う際は、全体向けかつ配慮のある表現を心がけましょう。
注意喚起してもゴミ屋敷の状況が変わらない場合には、法律や自治体に基いた対策が可能になります。
アパートがゴミ屋敷になってしまった時についてのまとめ

アパートの一室がゴミ屋敷化すると、建物全体の環境悪化、他の入居者からのクレーム、家賃収入の減少、火災リスクの増加など、オーナーにとって大きな損失につながります。
実際にゴミ屋敷となった場合は、自治体への相談や賃貸契約の解除、残置物の撤去、原状回復の対応まで、多くの手間と費用を伴います。
ときには裁判所の力を借りる必要もあり、長期化するケースも少なくありません。
そのため、日頃からの予防と早期対応が重要です。ゴミ出しルールの周知や、捨てやすい環境づくり、ゴミ屋敷専門業者との連携体制を整えておくことで、深刻化を未然に防げます。
特に元入居者の残置物をオーナー側で処分することになった場合は、ゴミ屋敷専門の業者が頼りになります。少しでも早くゴミの片づけをして、ほかの入居者へ影響が出ないようにしましょう。