「実家のゴミ屋敷に尿入りペットボトルが大量にあった。どうやって捨てるの!?」
「ションペットを放置すると爆発するって本当……?」
など、ゴミ屋敷に溜まったションペットの扱いに悩んでいませんか?
トイレで用を足す代わりにペットボトルに排尿してしまった、「ションペット」。ションペットを長期間放置すると、内部にガスが溜まったり強烈な悪臭を放ったりする危険があるため注意が必要です。不用意に扱うと、衛生面や近隣とのトラブルの原因にもなりかねません。
そこで今回は、ゴミ屋敷に溜まったションペットの危険性や安全な片付け方などを解説します。回収業者に依頼する際の注意点や費用の目安についてもくわしくお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
<この記事で分かること>
- なぜゴミ屋敷にはションペットが溜まるの?
- ションペットの危険性と再発防止策
- ションペットの安全な捨て方と不法投棄のリスク
目次
【ゴミ屋敷用語】ションペット・尿ペとは?
「ションペット」または「尿ぺ」とは尿の入ったペットボトルのことで、ゴミ屋敷清掃業界でよく使われる単語のひとつです。ペットボトルの中の尿が黄金に見えるため、「黄金のペットボトル」と呼ばれることもあります。一般家庭にションペットが溜まることはまずありませんが、ゴミ屋敷では高確率で発見されます。
ゴミ屋敷ではうず高く積まれたゴミで通路が塞がれ、トイレまでたどり着けないケースが多く見られます。そのため、手近な場所にあった空のペットボトルに排尿してしまうのです。
一度作ったションペットを片付けるには心身ともに苦痛を伴い、放置する人が少なくありません。ションペットにはさまざまなリスクがあるため、慎重な対応が必要です。
ゴミ屋敷にションペットが大量に貯まる理由
ションペットと聞くと、「なぜわざわざペットボトルで排尿するの!?」と理解に苦しむかもしれません。しかし、ゴミ屋敷に住む人は自分なりの事情でションペットを作って放置してしまいます。ここでは、ゴミ屋敷にションペットが増える理由を解説します。
1. セルフネグレクトになっている
ゴミ屋敷にションペットが溜まる背景として、住人がセルフネグレクトに陥っているケースが多いです。セルフネグレクトとは自身の健康や生活環境への関心が薄れて、掃除や食事、排泄などの日常生活まで放棄してしまう状態のことです。
配偶者の死別や認知症、経済的な困窮などがきっかけでセルフネグレクトになることが多く、ひとり暮らしの高齢者はとくにリスクが高いことが知られています。セルフネグレクトになると清潔を保つ意欲が低下し、トイレで用を足すという当たり前の行動さえおろそかになってしまいます。
セルフネグレクトに陥った人が自力で改善するのは困難で、周囲のサポートがなければなかなか現状を変えることができません。放置すればするほど状況が悪化するので、まわりの人が意識的に支える必要があります。
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2. ゴミ屋敷でトイレが使えなくなった
ゴミ屋敷には足の踏み場もないほど大量のゴミが溜まっているので、日常生活を送るのが困難です。トイレももちろん例外ではなく、部屋や廊下を埋め尽くすゴミをかき分けながらトイレを目指すのはとても大変です。
さらに、トイレ自体も物だらけだったり清掃不足で詰まっていたりしていると、トイレの使用をあきらめてペットボトルで用を足そうと考えてしまうのです。また、加齢で頻尿や尿漏れなどのトラブルを抱えている人は、トイレに行く時間すら惜しいと感じがちです。
結果として、手の届く場所にある空のペットボトルを一時的な代用品として使い、その便利さから常態化してしまうのです。
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3. 夜にトイレに行くのが怖い
夜にトイレに行くことへの恐怖心も、ションペットが増える理由のひとつです。とくに、ひとり暮らしの高齢者や精神的に不安を抱える人は、夜に暗い廊下を移動することに強い抵抗を感じることがあります。
また、ゴミ屋敷にはゴキブリやネズミが住み着いており、夜中はゴキブリなどが活発に動き回るため恐怖を感じる人が少なくありません。さらに、ゴミ屋敷では足元が不安定で転倒のリスクが高く、危険を感じて夜間の移動を避ける人もいます。これら複数の要因で恐怖感が強まると、手元のペットボトルを使ってしまいがちになります。
4. トイレに行くのが面倒くさい
単純に「面倒だから」という理由で、ションペットを作ってしまう人も少なくありません。ゴミ屋敷では移動そのものが一苦労ですし、生活習慣も乱れがちです。結果として、わざわざトイレに行くよりもペットボトルに排尿するほうが手軽に思えてしまうのです。
ペットボトルでの排尿を繰り返すうち、「トイレに行くより楽」という感覚が定着して悪習慣になってしまいます。一度身に付いた習慣を正すのは難しく、気付けば部屋に何十本、何百本ものションペットがあったというケースも珍しくありません。
もともと楽をしたくてトイレを避けているため、片付けも当然のように先延ばしになって溜め込む一方になります。
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ゴミ屋敷でションペットを放置するのは危険
「ションペットなんて、見たくも触りたくもない!」と思うのは自然な心理ではありますが、いつまでも放置するのは危険です。爆発や異臭などのリスクがあるため、できるだけ速やかに処分することが欠かせません。ここでは、ションペットの危険性について解説します。
ションペットは放置で爆発する
ションペットを長期間放置すると、内部でガスが発生し容器が膨張して破裂する危険があります。尿中の尿素や有機物が雑菌の作用で分解され、アンモニアやメタン、二酸化炭素などのガスが発生するためです。
ペットボトルはある程度の内部の圧力には耐えられるので、爆弾のように激しく破裂するケースは非常にまれだと考えられます。しかし、蓋のすき間から尿が吹きこぼれたり、処分時に蓋を開けたタイミングで飛び散ったりする可能性は高いです。
とくに夏場は雑菌が活発になるため、ガスの発生が顕著になります。蓋の閉められたペットボトルは密閉性が高く、逃げ場を失ったガスのせいで容器がパンパンに膨むことがあります。パンパンに膨らんだションペットは、内部のガスが大量に溜まって圧力が高まっているサインなので注意しましょう。
汚部屋全体に尿の悪臭が漂う
ションペットを放置すると、強烈な悪臭が部屋全体に広がります。尿は時間の経過とともに細菌分解が進み、アンモニアなどの揮発性の臭気物質を放出します。ペットボトルのふたを閉めていても、長期間保存するうちにわずかな隙間から臭気が漏れ出すので注意が必要です。
そもそも、ペットボトルは気体成分の透過を完全に防ぐのが難しい素材であるため、たとえ未開封でもガスはある程度通り抜けてしまいます。開封済みのペットボトルから臭いの成分が漏れても、何ら不思議はありません。
とくに夏場は雑菌が増殖しやすく、放置後数日から数週間で強い悪臭が発生します。部屋に充満する刺激臭は住人の健康を害するだけでなく、近隣住民への迷惑にもなるため早急な対応が欠かせません。
ションペットの処理方法・捨て方2選
ションペットを放置する危険性が分かったところで、いよいよ安全な片付け方を解説します。不用意に扱うと部屋中に尿が飛び散ったり、排水管を傷めたりするため注意が必要です。
「自分でトイレに捨てる」か「専門業者に依頼する」という2つの方法について、具体的に解説します。
1. 自分でトイレに捨てる
少量のションペットを費用をかけずに処分するなら、中身を自分で少しずつトイレに流しましょう。トイレは人間の排泄物を処理できるように設計されているため、衛生的にも構造的にも適した捨て方と言えます。
ペットボトルの蓋を慎重に開け、中身が飛び散らないように注意しながら少しずつ便器に注ぎ入れましょう。一気に流すと詰まる原因になるため、複数回に分けて流してください。中身を捨てた後はペットボトルをよく水洗いし、自治体の分別ルールに従って適切に処分します。
なお、シンクや洗面台には絶対に流してはいけません。トイレ以外の場所にションペットの中身を流すと、詰まるおそれがあるからです。トイレは汚物や大量の水を流しても流れるように排水管が太く設計されていますが、シンクや洗面台は比較的細めなので詰まるリスクがあります。衛生面から見ても、調理や洗顔に使うべき場所で尿を流すのは不適切です。
2. 専門の処理業者に依頼する
大量のションペットを一度に処理する場合や、臭いや汚れで手が付けられない場合などには片付け専門の業者に依頼しましょう。業者は防護服やマスクを着用し、ガスが溜まっているションペットでも安全に回収・処分してくれます。
スタッフがションペットを持ち帰ってから自社施設で廃棄してくれるので、お客様が作業に立ち会う必要はありません。金額は本数や部屋の状況によって異なりますが、1本あたり1000円~2000円程度が相場です。
大量のションペットが溜まったゴミ屋敷を自力で片付けるのは心身ともに苦痛が伴いますが、専門業者なら家全体の清掃や消臭を一括で任せられます。
ションペットをそのまま捨てるのは不法投棄
ションペットの中身をトイレに流さずにゴミとして出したり、山や川に捨てたりするのは絶対にやめましょう。このような捨て方は廃棄物処理法の定める「不法投棄」にあたり、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられる可能性があります。
実際に、尿入りペットボトルを不法投棄して逮捕・書類送検された事例が近年でも複数報告されています。
<尿入りペットボトルの廃棄に関する事例>
時期 | 場所 | 概要 |
2022年5月 | 新潟県 | 38歳男性が尿入りペットボトルを含む70㎏の不法投棄により逮捕 |
2023年2月 | 愛知県 | 50歳男性が会社敷地内に尿入りペットボトルを含む23kgの不法投棄により書類送検 |
2025年4月 | 神奈川県 | 58歳男性が自転車かごに尿入りペットボトルを捨てて逮捕 |
尿を入れたままペットボトルを廃棄すれば、衛生上の問題や近隣住民とのトラブルは避けられません。法的なリスクだけでなく社会的な信頼も失うことになるため、必ず適切な方法で処分してください。
ペットボトルに尿をするのをやめる方法
「ペットボトルの排尿をやめなければ……」と頭では分かっていても、ペットボトルに尿をするのをやめられないと悩む人は少なくありません。
中にはペットボトルへの排尿が生活の一部になっていたり、快感を伴っていたりするケースも見られます。こうなると本人の意思だけではやめるのは困難で、根本的な環境改善や専門家によるサポートが必要です。ここからは、具体的な改善方法を紹介します。
トイレとトイレへの導線を片付ける
ションペットをやめるためには、まずは「トイレに行きやすい環境づくり」が重要です。通路やトイレの間がゴミだらけだと移動自体が負担になってしまうため、トイレにつながる廊下やトイレ周辺のゴミを失くしましょう。
トイレを使いやすく整えるだけでも心理的・身体的なハードルが下がり、ペットボトルで排尿したいという誘惑を減らせます。ゴミ屋敷全体を片付けるのは困難でも、トイレにつながる最低限の導線だけなら比較的簡単に整備できるのでやってみましょう。
リビングにペットボトルを置かない
ペットボトルがすぐ手に届く場所にあると、つい「ここで用を足せばいいか」と安易に考えてしまいます。とくに、リビングや寝室に空のペットボトルが置きっぱなしになっていると、手軽さから習慣化が進みやすくなるものです。逆に言えば、長く過ごすリビングなどから徹底的にペットボトルを失くせば、ションペットを作りにくくなります。
リビングにはペットボトルを持ち込まない、飲んだペットボトルはすぐにゴミ袋にまとめるという2つの習慣を徹底しましょう。意志の力に頼らずに、環境を整えて誘惑を排除するほうが無理なくションペットから卒業することができます。
心療内科に通ってみる
もし「環境を整えたのにションペットをやめられない」「ペットボトルへの排尿が快感になっている」という場合には、心療内科や精神科を受診することをおすすめします。このような心理の背景には、セルフネグレクトや依存状態が隠れている可能性があるためです。
ただ「楽だから」という理由でションペットをしている人は、本人の意思や環境整備による改善が可能です。しかし、深刻な精神状態が関わっている場合には自力での解決は難しいため、心療内科や精神科での相談が根本的な解決法となります。専門医は行動の背景にあるストレスや心理的要因を分析し、適切な治療やアドバイスを行ってくれます。
専門業者によるションペットがあるゴミ屋敷の片付け
ションペットを自力で処理するのが困難な場合は、迷わず専門業者に相談しましょう。ただし、ションペットがあると通常のゴミ屋敷清掃よりもリスクや手間が大きくなるため、料金は割高になります。
また、すべての片付け業者がションペットを引き取れるわけではない点にも注意が必要です。ここでは、料金相場と業者選びのポイントを解説します。
ションペットがあるゴミ屋敷は割増料金対象になりやすい
尿入りペットボトルは悪臭や衛生上のリスクなどのために通常のゴミよりも処理が難しく、割増料金の対象とする業者が多いです。ションペットの本数や状態にもよりますが、通常のゴミ屋敷清掃の2割~5割増しの料金になるケースも見られます。
目安として、ションペットを持ち帰って業者施設内で処分する手数料は、1本1000円~2000円程度です。ゴミ屋敷からは数十~数百本ものションペットが見つかることが多いため、単純計算で数万円~数十万円の廃棄手数料が上乗せされます。
なお、一般的なゴミ屋敷清掃の費用目安は次の通りです。
<専門業者が一般的なゴミ屋敷をまるごと片付けたときの費用目安>
間取り | 費用相場 | 作業時間 |
1K、1R | 3~8万円 | 1~3時間 |
1DK~1LDK | 5~20万円 | 2~6時間 |
2DK~2LDK | 9~30万円 | 3~8時間 |
3DK~3LDK | 15~50万円 | 4~12時間 |
4DK~ | 22~65万円超 | 6~15時間 |
ゴミ屋敷の清掃費用は、間取りやゴミの量と種類、駐車場の有無などによって大きく変動します。上記の清掃費用に加えてションペットの回収処分費用が加わるため、3LDKなどの広い家では100万円を超える可能性も高くなります。
ションペットを処理できるゴミ屋敷片付け業者は少ない
全てのゴミ屋敷清掃業者がションペットを回収しているわけではなく、ションペットの処理設備や技術がないことを理由に引き取りを断る業者もあります。ションペットを回収できない業者に依頼してしまうと、ゴミ屋敷清掃後にションペットだけ置いて行かれる可能性があるため注意しましょう。
ションペットを確実に回収してもらうには、事前の問い合わせや見積もりの段階で引き取り可否を確認することが欠かせません。回収可能な場合には、費用や作業方法についてもくわしく質問しましょう。自社に持ち帰らずに現場のトイレを使うことで処分費用を安くできる業者もあるので、「安くなるなら悪臭が出ても大丈夫」という場合には相談するのもひとつの方法です。
トラブルを未然に防ぐポイントは、ションペットの処理に馴れている業者かどうかを見極めることです。
ゴミ屋敷片付けはゴミ屋敷バスター七福神へご相談ください
ゴミ屋敷のお片付けなら、ゴミ屋敷バスター七福神にお任せください! ションペットの引き取り処分にも対応しています。年中無休の最短即日対応でお客様の家に駆けつけ、どんな状態の家でもきれいに片付けます。
天井まで届くような足の踏み場のないゴミ屋敷でも心配いりません。お客様に分別いただく必要はなく、回収後にスタッフが法令に従った分別・処分を行います。
また、費用を抑えたいお客様にはご予算に応じた最適なプランをご提案可能です。明朗会計も弊社の強みで、事前に見積もりをした分に対して追加請求することは一切ありません。ご相談・お見積もりは無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
ゴミ屋敷に放置された尿入りのペットボトルは、ガスの発生による破裂や悪臭の拡散などの危険があるためすぐに処分する必要があります。中身を開けてトイレに流すか、引き取り可能な業者に処分を依頼するかの2通りの方法で処分しましょう。自分で捨てる場合には悪臭や飛び跳ねに注意することと、トイレ以外の場所に流さないことが重要です。
ションペットをまるごと捨てると不法投棄とみなされ、実際に逮捕された事例もあるため絶対にやめましょう。本数が多いときや処分に不安がある場合には、専門業者に依頼するのが確実です。
ションペットが溜まる背景としてセルフネグレクトや生活環境の乱れが挙げられ、再発防止には環境改善や心のケアが不可欠です。精神疾患が疑われる場合には、心療内科を受診することをおすすめします。現状を放置せず、適切な処理と再発防止に努めましょう。