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ゴミ屋敷片付け

栃木県さくら市のゴミ屋敷に対する条例(さくら市環境美化条例)の内容とは

栃木県さくら市のゴミ屋敷に対する条例(さくら市環境美化条例)の内容とは

さくら市は、2005年に塩谷郡氏家町と喜連川町が合併して誕生した都市で、栃木県の中央からやや北東に位置しています。
市の名前の由来は、各所に桜の木があることです。
鬼怒川河川敷のゆうゆうパークや、早乙女の桜並木、勝山城跡など、氏家町に56ヵ所、喜連川町にも36ヵ所の桜の名所があります。
両町民にとって長年親しまれてきた桜の花から「さくら市」と命名されました。

また、さくら市は栃木県内でも住みやすい街として知られています。
新聞社が前提している「住みよさランキング」では、2016年、県内1位、関東で14位と上位に入っています。
そんなさくら市にも、ゴミ屋敷に対する条例があります。
どんな内容なのでしょうか。

栃木県さくら市のゴミ屋敷に対する条例(さくら市環境美化条例)の内容とは

ゴミ屋敷と条例の関係とは?

ゴミ屋敷と条例の関係とは?

もし近くにあったら迷惑なゴミ屋敷。
しかし、ゴミ屋敷を取り締まる法律は、まだありません。
そのため、ゴミを異常に溜め込んだり、そのゴミが家の外にまで溢れていたりしていても、犯罪として罰せられることはないのです。
しかも、ゴミ屋敷の住人にありがちなのですが、他の人からはゴミにしか見えなくても、ゴミ屋敷の住人が「これはゴミではない。自分の財産だ」と主張すれば、ゴミを強制撤去することはできません。

しかし、ゴミ屋敷は年々増えており、近隣住民の苦情も増えています。
そこで、条例によってこの問題に対応しようとする市区町村も増えているというわけです。
ゴミ屋敷に対応する条例を、通称「ゴミ屋敷条例」といいます。
ほとんどの条例では、以下の点などを規定しています。

  • ゴミ屋敷に関する調査
  • 住民への指導・勧告
  • 指導に従わなかった場合の罰則

現在のところ、ゴミ屋敷を取り締まる法律に関して具体的な案は出ていませんが、その分、ゴミ屋敷に対する条例を設ける自治体は増えていくと考えられます。

栃木県さくら市の環境対策とは?

栃木県さくら市の環境対策とは?

さくら市では、平成21年3月に「さくら市環境美化条例」を制定しました。
この条例は、平成17年に先んじて制定されていた「さくら市環境基本条例」の趣旨を基本理念として制定されました。

さくら市環境基本条例とは?

まず、さくら市の、いわゆるゴミ屋敷条例のもととなる「環境基本条例」について見ていきましょう。
「環境基本条例」は、環境の保全について基本理念を定めるとともに、市や事業者、市民、さくら市への滞在者の責務について明らかにすることを目的に定められました。
「環境基本条例」は、市民が健全で恵み豊かな環境の中で生活し、それが未来の世代へ引き継がれていくことを基本理念としています。
また、人と自然が共生し、環境に負荷を与えない社会が続いていくことを願い、さくら市で生活するすべての人が環境保全に取り組んでいくことを規定しています。

さくら市環境美化条例の目指すところとは?

今回見ていく「環境美化条例」は、「環境基本条例」に定めた基本理念をもとにし、市民が良好な環境の中で快適な生活を営んでいけるよう、市はもちろん、市民や事業者、土地所有者の責務、また、そのほかにも必要な事項を定めました。
これは、土地の所有者の責務を定めたところに、「環境基本条例」を一歩進め、ゴミ屋敷への対策をも考えたものと言えるでしょう。
この条例の制定により、さらに環境美化の促進を図り、清潔で美しいまちづくりを目指すことを目的としています。

さくら市環境美化条例とは?

それでは、栃木県さくら市の環境美化条例の内容について見ていきましょう。

環境美化条例が適用されるのは?

さくら市の環境美化条例を守らなくてはならないのは誰なのでしょうか。
それは、以下の人たちです。

  • 市民
  • 市内に居住・勤務・在学・滞在する人
  • さくら市内を通過する人
  • 事業者

さくら市に住民票を持つ人だけでなく、さくら市内の会社などに勤務する人や学校に通っている人、また、さくら市内を通過する人にも適用されます。
また、さくら市内で事業活動を行っている人や団体、法人なども、この条例を守らなくてはなりません。
さらには、さくら市内に土地や建物を所有・占有したり、管理している人にも適用されます。

市の役割は?

では、この条例を定めたさくら市は何を行うのでしょうか。
市の役割は、市民が良好な環境の中で快適な生活を営んでいけるように、環境美化に関する意識を啓発するなど、環境美化の促進に必要な施策をつくり、これを実施していくことです。

さくら市のゴミ屋敷に対する対策とは?

さくら市のゴミ屋敷に対する対策とは?

では、さくら市がゴミ屋敷に対してどのような対策を行っているのか見ていきましょう。

土地の所有者

実は、この条例の中で「ゴミ屋敷」というワードは使われていません。
しかし、明らかにゴミ屋敷への対策と考えられる条文が制定されています。

まず最初に、第16条から見てみましょう。
ここでは、さくら市内に土地を持っている人について規定が定められています。
まず第1項では「土地所有者は、所有地に繁茂する雑草、密集する枯れ草(以下「繁茂する雑草」という。)を、適正に処理しなければならない。」
とあります。
さくら市内に土地を持っている人は、その土地に雑草や枯れ草などが増えるのをきちんと処理しなくてはなりません。

さらに第2項では「土地所有者は、ごみ等の投棄等を防止し、所有地へ投棄等が行われたごみ等を、自己の責任において適正に処理しなければならない」としています。
土地を持っている人は、もしその土地が空き地や空き家だったとしても、ごみなどが捨てられないような対策を講じなくてはなりません。
また、もし持っている土地にゴミが捨てられてしまったら、所有者が片付け、処分しなくてはなりません。

そして、第3項では「土地所有者は、所有地のごみ等及び繁茂する雑草を処理せず放置することによる悪臭及び衛生動物の発生、火災の発生又は他人の敷地へのはみ出し等により他に迷惑をかけないよう、生活環境の保全に努めなければならない」としています。
ゴミやゴミのはみ出し、雑草の繁茂、悪臭、衛生動物の発生といえば、ゴミ屋敷の被害の代名詞とも言えるものです。
そのため、条文の中には「ゴミ屋敷」というワードが出てきませんが、この条例はゴミ屋敷への対策を考えていることがわかるのです。

市民

ゴミ屋敷に対する対策を行うのは、土地の所有者だけなのでしょうか。
そうではありません。
第4条において「市民は、ごみ等の減量化に努めるとともに、自ら生じさせたごみ等を、他に迷惑をかけないよう、その責任において適正に処理しなければならない」と規定されています。
つまり、市民は、ゴミを減らし、自分できちんと処分しなくてはなりません。
そのため、空き地や空き家があっても、そこにゴミを捨てたりしてはならないわけです。
また、第2項では「積極的に環境美化に努めなくてはならない」とも定められています。

条例違反をした場合の罰則は?

条例違反をした場合の罰則は?

栃木県さくら市では、「さくら市環境美化条例」に違反する行為があった場合、どのような罰則が規定されているのでしょうか。
第3章を見てみましょう。

立ち入り調査

まず、条例に違反していると思われる場所があった場合、「市長は、この条例の施行について必要があると認めるときは、市長の指定する職員を必要とする場所に立ち入らせ、調査をさせることができる」と定められています。
これはゴミ屋敷に限りませんが、条例違反が疑われる場合、市長が指定した職員によって立ち入り調査が行われます。

指導

調査の結果、条例に違反していると認められた場合、市長は、違反者に対して原状回復をしたり、違反を是正したり、そのほか必要な措置を講じるよう指導することができます。

勧告および命令

もし、市からの指導に正当な理由なく従わなかった場合、指導に従うよう勧告することができます。
この勧告を受けても、正当な理由なくして従わない場合、市長は期限を定めて、勧告に従うよう命じることができます。

公表

もし、勧告を受けても正当な理由なく従わなかった場合は、市長はその氏名などを公表することができます。

代執行

それでも片付けやゴミの処分などを行なわずにいると、どうなるのでしょうか。
その場所の片付けが行えず、放置しておくと近隣に著しい悪影響を及ぼすと認められる場合、市または第三者によって片付けを行います。
この片付けにかかった費用は、片付けを行わなかった土地・建物の所有者から徴収することになります。

過料

このほか、第16条(土地所有者の適正な管理)や、第19条第2項(勧告に従うよう命じる)に従わない場合は、5万円以下の罰金を科されることがあります。
また、第18条に規定する指導を受けた者で、正当な理由なくその指導に従わないと、2万円以下の過料に処すると定められています。

まとめ

栃木県さくら市では、美しく生活しやすい環境を作り守るため「さくら市環境美化条例」を定めています。
この中にゴミ屋敷というワードは出てきませんが、ゴミ屋敷を作らない、またなくしていこうという趣旨がうかがえる条文が規定されています。
条例に違反していると思われる事案に対し、市は立ち入り調査を始め、段階を踏んで改善させることができます。

もし近隣のゴミ屋敷で困っていたら、市に相談しましょう。
ゴミ屋敷の影響で、どのような問題が起き、どのような迷惑をこうむっているかを市区町村にしっかり伝えましょう。

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この記事の監修者

ゴミ屋敷片付けの専門業者「ゴミ屋敷バスター七福神」代表

監修者 新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。

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