地球環境保護の観点から、ゴミのリサイクルが推進されるようになって、久しくなりました。
すでに、積極的にリサイクルに協力している人もたくさんいるでしょうが、なかには、最近リサイクルに興味を持ち始めたという方もいるはずです。
今回は、そんな方のために、リサイクルの目的や、リサイクルできるゴミの種類、ゴミの種別ごとのリサイクル方法について説明していきます。
目次
リサイクルして何になる?ゴミをリサイクルするべき2つの理由
リサイクルは、主に以下2つの目的で行われています。
- ゴミの減量
- 資源の有効活用
ゴミが増えると、処理にお金がかかるほか、地球環境に影響が出るのが問題です。
ゴミの処理方法は、「焼却処理」と「埋め立て処理」の2種類があります。
焼却処理する場合、ゴミを燃やす際に二酸化炭素が排出され、温暖化の原因の一つと言われています。
埋め立て処理をする場合も、ゴミが増えれば、それだけ処理場を増やさなければならないこともあります。
新しい処理場を作るため、森林を伐採することになれば、こちらも地球環境には悪影響になりかねません。
また、製品を作るには原材料が必要ですが、この資源は有限です。
使い終わった製品をすべて処分していては、資源がどんどん減ることになってしまいます。
しかし、役目を終えた製品をゴミとして処理せず、リサイクルに回せば、資源を大きく減らさずに、製品の原材料として再利用できます。
こうした理由から、リサイクルが活発に行われているのです。
リサイクルできるゴミの種類
リサイクルできるゴミには、主に以下のものがあります。
一般ゴミ | ガラスびん
缶 ペットボトル プラスチック製容器包装 紙 |
電気製品 | 家電製品
パソコン 携帯電話・スマホ |
リサイクルできるゴミは、「一般ゴミ」と「電気製品」に分けられます。
ここでは、それぞれのゴミについて、説明していきましょう。
リサイクルできる一般ゴミ
リサイクルに利用されている一般ゴミは、以下のとおりです。
- ガラスびん
- 缶
- ペットボトル
- プラスチック製容器包装
- 紙
例えば、捨てられたガラスびんは、きれいに洗われた後、飲み物を入れて、再利用されます。
このほか、びんを砕いた後で、新しいびんやそれ以外の物の原材料としても、利用されています。
缶の場合、押しつぶされた後、スチール缶は鉄の原料に、アルミ缶はアルミの原料になり、鉄製品やアルミ製品に生まれ変わっているのです。
リサイクルできる電気製品
電気製品では、主に以下のものがリサイクルに利用されています。
- 家電製品
- パソコン
- 携帯電話・スマホ
家電製品やパソコンは、鉄やアルミなどの金属、ガラスやプラスチックなど、様々な資源が原料になっています。
処分された家電製品やパソコンは解体され、取り出された資源は、別の製品を生み出す原材料として使われているのです。
携帯電話やスマホには、微量の金や銀などの貴金属が含まれています。
これらはそのまま、金や銀として再利用されます。
意外とリサイクルできないゴミの種類
意外とリサイクルできないゴミの種類には以下のものが該当します。
- 耐熱ガラス
- 色のついたペットボトル
- 化粧品の瓶
- 調味料や食用油が入ったボトル
- 汚れや加工された紙類
- かばんや靴の詰め物
- シールや粘着テープ
ここからは上記のリサイクルできないゴミの種類について紹介していきます。
耐熱ガラス
耐熱ガラスは、一般的なガラスよりも高温に耐える特殊な素材で、主に調理器具や電子レンジ用の容器として使用されます。しかし、この耐熱性が理由で、通常のガラスと異なりリサイクルが難しいのです。
通常のガラスと混ぜるとリサイクル過程で溶ける温度が異なり、製品の品質に影響を与える恐れがあります。そのため、耐熱ガラスは一般的なガラス製品と一緒にリサイクルすることはできず、多くの自治体では不燃ごみとして処理されます。処分時には、各自治体の指示に従って正しく分別することが重要です。
色のついたペットボトル
色のついたペットボトルは、透明や半透明のペットボトルと異なり、リサイクルが難しいゴミの一つです。
リサイクル工程では、色付きのプラスチックは透明なものに比べて再利用範囲が限られています。特に、色がついていると製品を再加工する際に他の素材と混ざり、品質や用途が制限されるため、リサイクル効率が低下します。
多くの自治体では、色のついたペットボトルを他のプラスチック製品や不燃ごみとして処分する指示があるため、分別には注意が必要です。環境保護のためには、可能であれば色付きではなく透明なペットボトルを選ぶことも一つの方法です。
化粧品の瓶
化粧品の瓶は見た目がガラスやプラスチック製でも、リサイクルが難しいゴミの一つです。その理由は、瓶に使われる素材が複数混ざっていることや、残留する化粧品の成分がリサイクル工程に悪影響を与えるためです。例えば、ガラス瓶でも表面にコーティングや装飾が施されていたり、プラスチック製のポンプやキャップが付いていたりすることが多く、これらの異なる素材を分別するのが困難です。
また、瓶の中に残った化粧品がリサイクル設備を汚染する可能性もあるため、正しく洗浄されない限りリサイクルできません。こうした理由から、化粧品の瓶は多くの自治体で不燃ごみとして処理されることが一般的です。
調味料や食用油が入ったボトル
調味料や食用油が入ったボトルも、意外とリサイクルが難しいゴミです。
ガラスやプラスチック製のボトルであっても、内部に残った油や調味料の汚れがリサイクル工程に悪影響を与えるため、十分に洗浄されていないとリサイクルできないことがあります。特に油は落としにくく、リサイクル過程で他の素材に付着し、品質を低下させる原因となります。また、ボトルのキャップやラベルが異なる素材でできている場合、それらを分別する手間もかかります。
そのため、こうしたボトルは洗浄が不十分なままリサイクルされると不適切な処理を招く可能性があるため、各自治体の指示に従い、しっかりと洗ってからリサイクルに出すか、場合によっては不燃ごみとして処分することが求められます。
汚れや加工された紙類
汚れや加工された紙類は、リサイクルが難しいゴミの一つです。
通常、新聞紙やコピー用紙のようなクリーンな紙はリサイクル可能ですが、食べ物の油汚れがついたピザの箱や、お菓子の包み紙のようにプラスチックやアルミでコーティングされた紙は、リサイクル過程で分離が難しいため再利用が困難です。油や食品の残留物は、リサイクル時に他の紙製品に悪影響を与え、品質を低下させる原因となります。また、ラミネート加工された紙や感熱紙(レシートなど)も、通常の紙と異なるためリサイクルが難しいです。
このような紙類は、多くの自治体で燃えるゴミとして処分されることが一般的です。リサイクルに出す前に、汚れがないか確認し、加工の有無にも注意を払いましょう。
かばんや靴の詰め物
かばんや靴の詰め物は、意外とリサイクルが難しいゴミです。多くの場合、これらの詰め物には紙、プラスチック、発泡スチロールなど、さまざまな素材が使われており、異なる素材が混ざっているためリサイクル工程で分別が困難です。特に、プラスチック製のクッション材や発泡スチロールは、細かく分解されるとリサイクル処理が難しく、再利用可能な資源として活用するのが難しい素材です。さらに、かばんや靴の内部に詰められたままの状態では、他の素材と混ざり合うため、分別が必要になりますが、手間がかかるためリサイクルの対象外とされることが多いです。
これらの詰め物は多くの自治体で燃えるゴミや不燃ゴミとして処理されるため、廃棄時には各自治体のルールに従って適切に処分しましょう。
シールや粘着テープ
シールや粘着テープも、意外とリサイクルが難しいゴミの一つです。
これらは紙やプラスチックのように見えることが多いですが、裏面に粘着剤がついているため、リサイクル工程において他の素材と混ざり合い、機械の故障や製品の品質低下を引き起こすことがあります。
特に粘着テープは、リサイクル処理時に粘着部分が剥がれず、機械に貼りついてトラブルを引き起こすことが少なくありません。さらに、シールやテープが付いた紙やプラスチックも、そのままではリサイクルが難しいため、事前に剥がしてからリサイクルに出す必要があります。
ゴミをリサイクルする方法
リサイクルできるゴミの種類が分かったところで、具体的に、ゴミをリサイクルする方法について説明していきましょう。
リサイクルの方法は、以下のゴミの種類によって、それぞれ異なります。
- 一般ゴミ
- 大型家電製品
- 小型家電製品
- パソコン
ここでは、それぞれのリサイクル方法について、紹介していきます。
一般ゴミのリサイクル方法
ガラスびんや缶、ペットボトルといった一般ゴミは、リサイクルをするために、何か特別なことをする必要はありません。
「資源ゴミ」としてゴミ収集所に出せば、各自治体がリサイクルに回してくれます。
そのため、一般ゴミは、自治体のルールに則って、ふつうにゴミに出すだけでOKです。
大型家電製品のリサイクル方法
以下の大型家電4品目は、「家電リサイクル法」によって、リサイクルに回すことが義務付けられています。
- エアコン
- テレビ
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・乾燥機
これらの家電製品は、粗大ゴミには出せません。
製品を購入した店や、新しい製品を買い換える店で回収してもらう形になります。
小型家電製品のリサイクル方法
以下のような小型の家電製品は、「小型家電回収ボックス」に投入することで、リサイクルに回せます。
- 携帯電話・スマホ
- 携帯ゲーム機
- 音楽プレイヤー
- デジタルカメラ
回収ボックスは、自治体の役所に設置されています。
自治体によっては、回収ボックスの設置場所一覧のページを用意しているところもあるので、「自治体名 小型家電 回収場所」で検索してみましょう。
携帯電話やスマホについては、「ドコモ」「au」「ソフトバンク」の各キャリアショップでも回収・リサイクルしてもらえます。
パソコンのリサイクル方法
パソコンは、Webサイトからメーカーに回収の申し込みをして、郵送することで回収・リサイクルしてもらえます。
「PCリサイクルマーク」がついたパソコンは、回収料金がかかりません。
「メーカー名 パソコン リサイクル」などのキーワードで検索すれば、各メーカーのパソコン回収の申し込みページが見つかります。
処分したいパソコンがある場合は、各ページから申し込みをしましょう。
団体が取り組んでいるリサイクル活動例
現在、様々な自治体や団体が、積極的にリサイクル活動に取り組んでいます。
その一例として、岐阜県のある団体の取り組みをご紹介しましょう。
岐阜県のNPO法人「Waコミュニティ」では、保育園や一般家庭から排出された生ゴミを月4~5回にわたって回収し、農園に埋めて肥料として活用しています。
この取り組みは、生ゴミもこうした方法でリサイクルできるというモデルケースだと言えるでしょう。
まとめ
リサイクルは、たくさんの人が協力することで、地球環境の保全に役立ちます。
そのため、せっかく興味を持ったのなら、ぜひ積極的にリサイクルに協力していきましょう。
とはいえ、多くの場合、リサイクルをするのに、特別なことをする必要はありません。
一般ゴミは自治体のルールに則って捨てるだけですし、家電4品目やパソコンは、リサイクルできる方法でしか処分できないことになっています。
小型家電については、一般ゴミに混ぜて捨ててしまう人もいるかもしれませんが、小型家電回収ボックスに投入して、リサイクルに回すようにしましょう。