コラムblog
ゴミ屋敷を生む理由の一つに、他人のゴミを集める点が挙げられます。
生活の中でゴミが溜まっていくのではなく、ゴミ収集所等に捨てられている他人のゴミを自宅に持ってきてしまうのです。
このようにゴミ屋敷化してしまうケースは、実は珍しくありません。
このケースは、特に高齢者に多いです。
事例のほぼ全てが高齢者ですが、高齢者はなぜゴミを集めるのか、その心理や対策について見てみましょう。
目次
なぜゴミを集めてしまうのでしょうか。
一般常識としてはもちろん、衛生観念的にも他人の捨てたゴミを集めようと思う人は珍しいです。
ですが、実際に他人のゴミを集めてゴミ屋敷化させてしまう事例があります。
まずは、なぜゴミを集めるのか、その心理をご紹介します。
高齢者で、配偶者に先立たれてしまうと寂しさや孤独を感じるのは仕方ないことです。
この点は、ゴミ・環境問題ではなく社会問題の領域でもあります。
しかし、話し相手もいなく、家に尋ねてくる人もいなければ、孤独を感じてしまうのは当然のことです。
社会との接点そのものがなくなるかのような孤独感に苛まれている高齢者は決して珍しくありません。
その孤独や寂しさを埋めるために、ゴミを集める高齢者もいます。
ゴミ収集所に行けば誰かいるのではないかと思い収集所に行きます。
しかし誰もおらず、手ぶらで帰るのも……とゴミを持って帰ってしまいます。
また、ゴミを集めることで誰かに注意してもらいたいと考えている高齢者もいます。
寂しさや孤独だけではなく、ゴミに実用性を求めているケースもあります。
ゴミを捨てた人にとっては不要ではあっても、他の人にとって不要だとは限りません。
捨てられているゴミを見て、「まだ使える」「勿体ない」と思う高齢者がいても不思議ではありません。
若い頃であれば、「ゴミを持ち帰る」という行為に対して、羞恥心や周囲の視線等を意識して自制していたかもしれません。
しかし、高齢になり周囲の目をさほど意識することがなくなると、価値があると思ったゴミは持って帰ってきてしまうのです。
先に紹介した2つの心理は、自覚を持ってゴミを集める高齢者です。
しかし、痴呆症の高齢者の場合、自覚がありません。
ゴミに限らず、自分自身で何をしているのか分からなくなってしまうこともあります。
その一環として、ゴミを集めるのです。
自覚がないので、なぜゴミを集めるのか説明はできません。
しかし、本人としては何らかのこだわりがあるのかもしれません。
ゴミを集める高齢者の理由も様々です。
しかし、家の中がゴミで溢れ、ゴミ屋敷になってしまったら本人だけの問題では済まされません。
ゴミを集める高齢者がいた場合の対策についてご紹介します。
寂しさや孤独からゴミを集める高齢者は、原因が分かっているので対策も立てやすいです。
寂しさや孤独を埋めれば、ゴミを集めることも控えるようになります。
ですので、高齢者に寂しさや孤独を感じさせないことが大切です。
では具体的な対策となれば、地域で取り組む必要があります。
地域として定期的に高齢者が参加できるコミュニティやイベントを開催することで、高齢者の社会参加を促します。
それらのコミュニティやイベントを楽しんでもらえるようになれば、寂しさや孤独が解消され、ゴミを集める必要がなくなります。
まだ使えるゴミだと思ってゴミを持って帰ってしまう高齢者がいる場合、地域のゴミ収集環境の改善が求められます。
なぜゴミを持って帰るのかといえば、収集場所に出されたゴミが回収されていないからです。
回収される前に持って帰ってしまうのです。
ゴミを持ち帰る高齢者がいる地域は、ゴミ収集の時間を早める等の対策が必要です。
使えると思ったゴミを持ち帰ってしまう高齢者も、ゴミがなければ持ち帰ることはできません。
痴呆症の高齢者は無自覚にゴミを集める傾向にあります。
注意してもなかなか言い聞かせることはできません。
そこで福祉との連携が求められます。
痴呆症の高齢者の扱いは簡単ではありません。
安易に言葉を投げかければへそを曲げてしまうことになりかねません。
余計に意固地になってゴミを集め始める可能性もあります。
そのため、痴呆症高齢者と接することに慣れている福祉施設と連携が必要です。
ケアを行うことでゴミを集めを防止できます。
いずれの原因も、高齢者への定期的な見回りがゴミ集め防止に役立ちます。
孤独や寂しさを埋めるのはもちろんです。
まずは高齢者がゴミを集めていることを察知する必要があります。
ゴミを集める習性があると周囲が早い段階で把握できれば、ゴミ屋敷化を防ぐこともできます。
これらの問題は、行政が率先して行った方が良いです。
ですが、行政だけに頼るのではなく、地域住民で高齢者の自宅に訪問するチーム・団体を作ることも大切です。
しかし、行政だけではカバーできないことも多々あります。
やがては自治体・地域住民と行政が協力することで、ゴミ問題の抜本的な解決が期待できます。
ゴミを集める高齢者がいると気付ければ対策を打てます。
しかし、集めていることに気付くことができなければ、ゴミ屋敷となってしまいます。
ゴミ屋敷となったことで、ようやく地域が問題を認識するケースもあります。
では実際に、ゴミ屋敷となってしまった場合にはどのように対処すればよいのでしょうか。
多少汚い程度ではなく、ゴミ屋敷となってしまったら行政に相談しましょう。
ゴミ屋敷対策のための条例や、支援策まで制定している自治体もあります。
条例が制定されていれば、条例に基づいたゴミ屋敷対策が行えます。
個人同士ではトラブルになりかねません。
現実的に、ゴミ屋敷の撤去・対応にはお金もかかります。
ですので、行政に任せた方が無難です。
もし、身内がゴミを集めるなどしてゴミ屋敷になってしまった場合、行政はもちろんですが民間業者への依頼も選択肢の一つです。
現実的に、ゴミ屋敷の撤去は以下が求められますので、個人レベルでの撤去は困難です。
- ゴミ運搬の体力
- ゴミを運搬する車両
そのため、不用品回収業者等に依頼するのも手です。
不用品回収業者であれば、不用品回収の実績があります。
撤去したいゴミの運搬能力も備えています。
ゴミを集めることでゴミ屋敷になってしまった場合、住人である高齢者に個別に説得するのは難しいでしょう。
なぜなら、ゴミ屋敷は簡単にできるものではないからです。
時間をかけて出来上がったものです。
ゴミ屋敷に対して執着心を持っている可能性があります。
「ゴミだから片付けろ」といった態度で接すると、態度が硬化するでしょう。
そのため、問題解決が遅れるリスクが高まります。
ゴミを集め、ゴミ屋敷を生む人の心理としては社会的な孤独・寂しさがあります。
あるいは、まだ使えるからという心理、痴ほう症も考えられます。
ゴミで社会的な寂しさを埋めたり、まだ使用できるとゴミを集めてしまいます。
高齢者自身で解決できる問題ではありませんので、周囲のサポートが重要です。
まずは行政に相談する必要があります。
理想を言えば、ゴミ屋敷になる前の段階で、地域住民等で未然に防ぐことです。
この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家
氏名:新家 喜夫
年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。
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