コラムblog
「可愛いから」「寂しいから」という理由で、飼い始めたペット。
しかし実際に育てるとなると、トイレやえさやり、ゲージの掃除など、休みなく続く毎日のお世話は大変です。
少し留守にしたり、掃除や糞尿の処理をさぼったりすれば、あっという間に汚部屋化してしまう事も少なくありません。
こういった“放置”の状態が続くと、汚部屋やゴミ屋敷に加えて、ペットの多頭飼育も大きな問題になります。
この記事では、そういった劣悪な環境でペットを多頭飼いするリスクと、ペットのいる汚部屋・ゴミ屋敷の掃除方法について徹底解説します。
目次
汚部屋・ゴミ屋敷とペットの多頭飼育は、まったく別の社会問題です。
しかし実際は、深いつながりがあり、多頭飼育とゴミ屋敷はイコールすることが多いのです。
時々、ニュースで猫や犬の多頭飼い問題が取り上げられるのを見かけます。
これが、いわゆる「多頭飼育崩壊」、別名「アニマルボーダー」とも呼びます。
飼い主が世話をしきれないほどの大量のペットが、ほぼ放し飼いの状態で飼育されている多頭飼育。こういったことがなぜ起こるのでしょうか?
「アニマルホーダー」は、収集癖や強迫的ホーディングを含んだ精神疾患の一種だと考えられております。
例えば生活圏にペットの糞尿や死骸などを放置したり、自分が世話できるキャパを超えて動物を収集したりといった行動を起こすことがあります。
症状としては、ゴミ屋敷の原因となる「ため込み症」に近いものがあります。
そういったアニマルホーダーとしての行動は、糞尿やえさの放置などが発生することが多いです。
しかし、多頭飼育崩壊に陥って、エサやトイレの世話、去勢や避妊などを含めた医療処置ができない状態でも、自分は世話をしているといった意識になってしまうようです。
そのため、問題を抱えているという自覚がないことが多く、第三者の目につかない限り、状況が悪化し続けてしまうことは少なくありません。
それ以外の清掃や整理整頓なども同様に放置されるケースも少なくなく、多頭飼育の発生と同時にゴミ屋敷化問題も発生します。
アニマルホーダーの場合は、ゴミ屋敷に加えてペットの環境も関係してくるため、より切実な問題と言えるでしょう。
家族に先立たれた寂しさを埋めるために、ペットを家族として迎える高齢者もいます。
しかし、飼い主が高齢の場合、ペットを残したまま亡くなってしまうケースが後を絶ちません。
近年問題となっている「孤独死」による、ペットの多頭飼育崩壊も多発しています。
飼い主が亡くなり、ペットの世話をする人がいなくなった後、犬や猫が子を産み増えてしまうケースも少なくないのです。
ペットを迎えた時に、虚勢や避妊がしっかりできていないと、飼い主がいなくなった後に多頭飼育が発生してしまう場合もあります。
ペットが繁殖して数が増えれば、それだけエサ代などの出費がかかります。
犬や猫の虚勢・避妊手術を受けるにも、1匹1~3万円と決して安い金額ではありません。
自治体によっては助成金が出る場合もありますが、まだ全国的ではない上に、頭数や条件など制限があります。
こういった費用面の問題から、経済的に苦しくなり、エサ代どころかペットを清潔に飼育する環境さえ維持できなくなる事例は多くあります。
このようにペットの数が増え、経済的に困窮してしまい、生活状況が悪化し、飼い主はやがてペットの世話を仕切れなくなります。
その結果、家中はペットの糞尿にまみれ、ゴミが溜まり、多頭飼育崩壊とともに汚部屋・ゴミ屋敷化の発生につながってしまうのです。
ゴミ屋敷というだけでも、大きな社会問題です。
そこに、ペットの多頭飼いが加われば、汚部屋やゴミ屋敷以上にリスクがあり、深刻な状況であることは想像に難しくありません。
ペットの多頭飼いとゴミ屋敷を併発すると、具体的にはどんなリスクがあるのか、ひとつずつ見ていきましょう。
ゴミ屋敷の中で多頭飼育をしている場合に、一番大きな問題となるのが糞尿です。
多頭飼育崩壊によって、ペットの糞尿が大量に放棄された部屋は、とにかく悪臭がひどいです。
放置されたゴミと、糞尿のアンモニア臭や雑菌の臭いが混ざり合い、強い刺激臭となって部屋中に染みつきます。
部屋を閉め切っていても外まで臭いが漂うこともあり、近隣住民への悪影響は計り知れません。
臭いの問題もさることながら、湿気による床・壁・その他の集積物の腐敗や環境の悪化から、害虫や感染症の発生も大きな問題となります。
糞尿垂れ流しの劣悪な環境が悪化すると、通常の生活を送っているとあまり見ることのない危険動物や害虫が現れることがあります。
見た目は可愛いらしいハクビシンですが、野生動物は寄生虫や細菌を保有しています。
雑食性のため、生ゴミ等をあさったり、屋根裏や軒下などを住処としたりして、糞尿による悪臭や家屋の破損、汚損などの被害をもたらします。
また野生動物のため、近づくと敵と見なされて襲いかかってくる場合もあります。
サルモネラ菌やレプストスピラ菌など、ネズミは非常に多くの病原菌を保有しています。
レプストスピラ症や腎症候性出血熱は人が死に至る可能性をあるので、ネズミが出た場合は必ず専門家による対処が必要です。
見るだけで不快なハエ・ゴキブリ・ダニは、ゴミ屋敷でとくに発生しやすい害虫です。
見た目の嫌悪感だけではなく、ハエやゴキブリによるO-157やサルモネラ菌、大腸菌などの細菌の媒介や、ダニによる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、ダニ媒介性脳炎やツツガムシ病、日本紅斑熱など多くの病気の元となります。
アレルギー症状などにより、皮膚の疾患やくしゃみ・咳だけでなく、場合によっては嘔吐や下痢、頭痛や発熱が重症化して、死に至るケースもあります。
こういった不衛生が原因となって発生する害獣・害虫は、見た目が不快なだけでなく、細菌やウイルスなどを媒介し人にも病気をもたらす恐れがあるため非常に危険です。
飼育しているペットだけでなく、人体の健康に被害を及ぼす恐れもあるため、一刻も早く解決する必要があります。
自宅が賃貸だった場合、退去する際は原状復帰が必要です。
しかし、ペットの多頭飼育に加えて、汚部屋・ゴミ屋化した物件をきれいな状態に戻すことは、簡単ではありません。
放置された糞尿の汚れや悪臭は、クリーニングや換気だけで取りきるのは困難です。
壁や柱、フローリングに関しても、すべて交換が必要になるケースが多く、通常のゴミ部屋以上に原状復帰費がかかります。
解体してリフォームを行うとなれば、大規模な修繕費がかかることも覚悟しなければなりません。
アニマルホーダーは、非常に劣悪な場所でペットを飼育している場合が多く、エサには困っていなくとも害虫の発生や不衛生な環境による皮膚病、ウイルスによる猫風邪などにかかっている場合も少なくありません。
病気にかかった際に病院に連れていって治療を行うのであれば、まだ良いです。
しかし現実には、個人の価値観や思い込みによって、病院に連れていかなかったり、自身の判断で勝手に薬を購入して治療ができていると思い込んだりして、実際には健康状態も良くないまま飼育されているケースがほとんどです。
この場合、ペット達はもちろんですが、飼い主や近隣住民にも悪影響を与えます。
健康を及ぼす可能性がある以上、進言ができる状況であれば、現状を打破するための早急な対策が必要です。
多頭飼育崩壊とゴミ屋敷化が併発している状態は、ペット・飼い主・近隣住民のためにも、早急に対処が必要です。
今回は、自力でできる対策、掃除方法を5つの手順で紹介します。
掃除に取り掛かる前に、まずは必要なものを用意しましょう。
最低限必要な道具は以下の通りです。
掃除・片付け作業は、ほこりを吸い込まないよう必ずマスクをつけ、汚れても良い服装で行いましょう。
まずは、ペットの糞尿を徹底的に取り除きましょう。
床にこびりついた糞尿は、洗剤とヘラを使いながらそぎ落とします。
取り除いた後は洗剤と雑巾で汚れを拭き取り、仕上げます。
糞尿がある程度取れたら、ゴミと不用品の片付け作業に移ります。
捨てるもの、残すものをそれぞれビニール袋に入れ、仕分けしていきましょう。
この時、「1年使っていないものは処分する」など、捨てる基準を設けると作業がスムーズです。
残すものが決まったら、棚や収納ケースへ入れていきます。
後の掃除がしやすいように、床に直接ものを置かず、収納に入れることを意識してください。
ゴミや汚れを取り除いたら、後は部屋の消臭・消毒に取り掛かります。
害虫がいる場合はスプレーをまき、虫の駆除から始めましょう。
その後、薬剤を使って部屋の悪臭をやわらげ、最後に消毒薬を使って全体を消毒しましょう。
猫や犬の糞尿が放置された臭いに関しては、ゴミ屋敷の片付けに慣れた専門家であっても苦に感じてしまいます。
特に、尿が放置されている場合は、多くの雑菌やフェロモン臭が含まれており、自力で臭いを除去できないケースがほとんどです。
また、大量のゴミや害虫についても、自力でどうにかするのは現実的ではありません。
このように、自力で解決できない場合には、プロの力を借りることもひとつの方法です。
ゴミ屋敷専門の片付け業者や清掃業者などの、「特殊清掃業者」へ相談しましょう。
ゴミ屋敷などの清掃を行う業者では、不用品やゴミの回収から、汚れ・悪臭の除去などにも対応している業者もあります。
専門家による知識と経験、特別な薬剤を用いて悪臭の除去や害虫駆除まで行います。
費用は業者によって異なりますので、複数社から見積もりをとり、作業内容や料金を比較の上、業者を選びましょう。
飼い主の限界を超えてペットを飼育しようとする方は、ゴミ屋敷となってしまう方と非常に似た思考をもっています。
そのため、ゴミ屋敷化と多頭飼育崩壊を同時に起こしてしまう可能性が非常に高いです。
ひとたび多頭飼育崩壊が起きてしまうと、通常のゴミ屋敷と比べても周囲に及ぼす影響が大きかったり、ペットの命に直接関わったりする問題が発生してきます。
そういった問題をもった方は、自分が多頭飼育による問題を抱えているという自覚がない場合が多く、周囲が無関心な場合は発覚が遅れてしまうケースがほとんどです。
もしご自身や周りの方で、多頭飼育崩壊の可能性がある場合は、なるべく早くに専門家に相談しましょう。
この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家
氏名:新家 喜夫
年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。
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