孤独死する人の特徴9つを解説！前兆から今すぐできる孤独死対策も   

「自分や身内が孤独死したらどうしよう」

「どういう人が孤独死しやすいの？　防ぐ方法はある？」

という孤独死のお悩みを抱えていませんか。

孤独死予防の第一歩は、孤独死しやすい人の特徴を理解して適切な対策を始めることです。リスクが高い人に見られる共通点や前兆をおさえておけば、悲惨な孤独死を未然に防ぐことも可能となります。

この記事では、孤独死する人の特徴や周囲からでも見て取れる前兆などを解説します。具体的な予防法や、もし孤独死が起こった際に遺族の負担を和らげる方法も紹介するのでお役立てください。

この記事で分かること

• 孤独死する人の特徴と前兆
• 孤独死を防ぐ実践的な対処法
• 孤独死が起こると遺族にどんな負担が生じるか
• 遺族の負担を軽くする生前整理のコツ

社会問題にもなっている孤独死とは？

近年、一人暮らしの高齢者を中心に周囲に気づかれることなく死亡する「孤独死」が増えています。少子高齢化社会の日本において、孤独死は重大な社会問題です。ここでは孤独死の概要や、とくに注意が必要な人について解説します。

孤独死の概要と定義

孤独死とは、誰にも看取られずに何らかの理由で亡くなることです。孤独死と似た言葉に「孤立死」がありますが、この2つを明確に区分する法令などはありません。

一般的には、「孤独死は一人暮らしの人が誰にも気づかれずに死亡すること」「孤立死は同居人の有無を問わず、家族やコミュニティから孤立している人が誰にも気づかれずに死亡すること」を示します。

孤独死の年間死者数は明確にされていませんが、2024年5月14日の朝日新聞の報道によると、65歳以上の孤独死による年間死者数は約6万8千人と推計されています。

高齢化や核家族化で一人暮らしの高齢者が増えていること、地域活動や近所付き合いが減っていることなどが孤独死のおもな要因です。なお、2024年12月の日本少額短期保険協会孤独死対策委員会の「第9回孤独死現状レポート」では、死亡原因の第1位は病死（62.0％）で、第2位は自殺（9.2％）、第3位が事故死（0.9％）だと報じられています。

一人暮らしの男性に多い傾向がある

孤独死の男女比には明確な差があり、一人暮らしの男性はとくに孤独死が多い傾向があります。「第9回孤独死現状レポート」によると、孤独死の割合は男性が83.3％、女性が16.7％でした。賃貸の居住比率は男：女が約6：4ですが、それを考慮しても男性のほうが孤独死の割合が多いです。

また、孤独死は決して高齢者だけの問題ではありません。孤独死全体に占める65歳未満の現役世代の割合は47.5％と高く、働き盛りともいわれる30代～40代の孤独死は全体の約14.2％を占めています。

（参考：第9回孤独死現状レポート｜日本少額短期保険協会孤独死対策委員会）

孤独死する人の特徴9選

孤独死する人には共通点が見られます。次の9つの特徴を満たす人は、孤独死のリスクが比較的高いといえるので注意しましょう。

一人暮らしをしている

孤独死のリスクが高い人の特徴の一つとして、一人暮らしであることが挙げられます。周囲に人がいないため、体調が悪くなったり家の中で事故が起こったりしてもすぐに誰かに気づいてもらえない可能性が高いからです。

また、同居人がいないと生活リズムが乱れて、健康を損ねやすくなります。心の安定も得られにくくなり、心身にも悪影響が及びます。さらに、食事の準備や掃除といった家事をすべて自分でしなければならず、健康状態が悪化すると生活全般が滞って孤独死につながりうるため注意が必要です。

65歳以上の高齢である

一人暮らしの人の中でも、とくに高齢者は孤独死する可能性が高いといわれています。加齢に伴って体力の低下や健康状態の悪化が顕著になり、自立した日常生活が困難になるケースが増えるためです。また、高齢者は長年のパートナーとの死別や子どもの独立などにより、周囲から孤立してしまうことがあります。

さらに、高齢者は病気やケガなどのトラブルが起きた際、自力で助けを求めることが難しい場合があります。認知機能の低下や周りに迷惑をかけたくないという気持ちから助けを呼ぶのをためらったり、スマホや情報端末の使い方が分からず外部に連絡が取れなかったりするため、高齢者は孤独死のリスクが高いです。

真面目でプライドが高い性格である

真面目でプライドが高い性格も、孤独死につながりやすいといわれています。「周りに迷惑をかけるのは嫌だ」「他人に頼るのなんて情けない」 などの気持ちから、困ったときも一人で何とかしようと考えてしまうからです。

たとえば、体調不良になっても「この程度なら自力で治せる」と考えて病院に行かずに症状が悪化してしまうケースや、経済的な悩みを親族などに相談できずに孤立するケースが考えられます。

また、真面目な性格の人は完璧主義の傾向があり、何でも自分でやらなければというプレッシャーから精神的な負担を抱えがちです。自力で解消できない問題が生じたとき、こだわりやプライドから抜け出して他人に助けを求める意識が欠かせません。

社会から孤立している

社会からの孤立は、孤独死の大きなリスクファクターです。家族や友人、近所の人など、周囲の人とのつながりが希薄だと、病気やケガの際に誰にも頼れず、トラブルに気づいてもらえない可能性が高まるからです。

核家族化や都市部への人口集中などを背景に、近年では親族との交流が減ったり、地域とのつながりが薄れたりしています。町内会などの地域社会のコミュニティも、メンバーの高齢化により維持が難しくなるケースがよく見られます。これらの変化を背景として、社会からの孤立してしまう人が増えています。

趣味や楽しみがない

趣味や楽しみがない人も、孤独死のリスクが高いといえます。趣味は単なる暇つぶしではなく、心の安定を保つためにとても大切だからです。退職後にやりたいことを見つけられず、家にこもって毎日無趣味に過ごす人がいますが、このような状態が続くと孤独感や無力感がつのって心が不安定になってしまいます。

また、趣味は周囲との交流のきっかけとしても重要です。サークル活動やインターネット上での交流を通して新たな人間関係を築くことができ、同じ趣味の仲間と交流すると孤独感が和らぎます。ウォーキングやゴルフなど体を動かす趣味であれば、活動量の向上にも効果的です。心身ともに健康な生活を送る上で、趣味や楽しみは不可欠といえます。

経済的に困窮している

孤独死しやすい人の特徴として、経済的な困窮状態にあることが挙げられます。収入が少なくて生活費が不足すると、食費や医療費を確保できずに健康を損ねるリスクが高いためです。

経済的に困窮状態すると食生活が乱れてしまい、栄養不足や疾病リスクの増加につながります。住居にお金をかける余裕もなくなり、生活環境が悪化して心身の負担が増します。さらに、医療費を節約するために医療機関への受診を減らしてしまうと、病気の悪化も避けられません。

出費を避けるために人付き合いを減らしたり、生活の見通しが立たずに生きる希望を失ったりして、精神状態が悪化することもあるため注意が必要です。

家事が苦手で家が荒れている

家事が苦手で家を散らかしがちな人は、孤独死のリスクがあるため注意しましょう。衛生状態の悪化や食生活の乱れにつながり、体調を損ねる危険があるからです。

たとえば、掃除を怠って部屋がゴミだらけになったり、洗濯せずに不潔な衣類を溜め込んだりすると、アレルギー疾患や感染症にかかるリスクが高まります。また、食事の準備や片付けを避けて食事が不規則になると、栄養不足で不健康になる可能性があります。

本人が自覚していなくても、周囲の人から見ると「家がひどく荒れている」と見える場合があるので注意しましょう。近所の人にゴミ屋敷扱いされると、コミュニティから孤立してしまうおそれもあります。

健康的な生活が送れていない

孤独死する人の特徴として、健康的な生活ができていないケースがあります。不健康な生活は、心疾患や肝疾患などのリスクを高めるため注意しましょう。

食事の偏りや運動不足、睡眠不足など、生活習慣の乱れは健康への悪影響となります。喫煙による肺疾患や、過剰飲酒によるアルコール性肝障害などにも注意が必要です。また、健康診断を受けずにいると病気の早期発見ができず、重症化する危険があります。

孤独死の死因の第一位が病気であることを考慮すると、不健康的な生活は軽視できない問題です。一人暮らしの人はとくに、日頃から健康状態に気を配りましょう。

慢性的な疾患を患っている

慢性的な疾患を持っている人は孤独死にも注意が必要です。高血圧、糖尿病、COPDのような慢性疾患は身体機能や生活の質を低下させて、より重篤な疾患を引き起こす可能性が高いです。

たとえば、高血圧は動脈硬化を進めるため、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症のリスクを高めます。糖尿病による失明や慢性腎不全を発症すると、自立した生活が困難になります。慢性疾患自体が死亡の原因になるほか、自立生活が困難になったり、治療費が増えて経済的な困窮につながったりするため注意しましょう。

孤独死する人が見せる前兆

孤独死が起こる前には、周囲の人にも前兆を見て取れる場合があります。一人暮らしの人に次の6つの前兆が見られた場合は、これまで以上にしっかりと見守りましょう。

1. 生活習慣に変化が表れた
2. 人との付き合いを避けるようになった
3. 体調不良が続くようになった
4. 家の中が荒れ始めてきた
5. 身だしなみに気を使わなくなった
6. 死別や離別などで一人暮らしになった

具体的なチェックポイントについて解説します。

生活習慣に変化が表れた

孤独死に至る過程では、周囲の人が見ても分かるようなネガティブな変化が生活の中で見られる場合が多いです。本人にとっては小さなことかもしれませんが、周囲の人が見ると「これまでと違う」と異変に気付く場合があります。

たとえば、規則正しい生活を送っていた人が急に夜更かしをするようになったり、食事の回数や量が減ったりする、家にこもりがちになったりしたら要注意です。本人が何かトラブルを抱えている可能性があるので、できるだけコミュニケーションを取るようにしましょう。

人との付き合いを避けるようになった

一人暮らしの人が今までよりも、周囲との関わりを減らした場合には注意が必要です。社会的な孤立状態が続くと、孤独死に至る可能性が高まります。

たとえば、前はすぐに出ていた電話やメールに、不通や返事の遅れが見られたら要注意です。ご近所さんとの雑談や地域活動を避けるようになったり、SNSの投稿が途絶えてオンライン上の交流が減ったりといったケースも挙げられます。

これらの変化が見られた場合、本人が何らかの事情で人との関わりを避けている可能性が高いです。周囲の人が放置しておくと、ますます孤独を深めることにもなりかねません。

体調不良が続くようになった

別居家族や周囲の人の目から見て、本人の体調不良が続いている場合には孤独死のリスクが高まっている場合があります。急に痩せたり太ったり、いつもだるそうにしていたり、足腰の痛みを訴えていたりすると、その不調の裏に病気が隠れている可能性があります。

また、抑うつ症状やイライラ、不安などのメンタル不調を抱えていたり、認知機能が低下したりしている場合にも注意が必要です。うつ病や認知症も、孤独死につながる病気なので見逃さないようにしましょう。表情が暗い、具合が悪そうにしているなどの変化に気づいたら、本人に声をかけてみたり、病院への受診を促したりすることが大切です。

家の中が荒れ始めてきた

以前に比べて家の掃除や管理が行き届かなくなるのも、孤独死の前兆のひとつです。具体的にはゴミが散らかっていたり、使用後の食器を洗わず積み重ねていたりしたら注意しましょう。洗濯が滞って部屋に生乾きの臭いが漂っていたり、郵便受けに手紙が溜まっていたりするケースも挙げられます。

本人が身の回りのことをする意欲を失っていると家が荒れていくため、うつ病や認知症などが隠れている可能性もあります。以前はきれい好きだった人が、急に家の管理を滞らせ始めたときにはとくに注意が必要です。

身だしなみに気を使わなくなった

孤独死の前兆として、身だしなみに無頓着になる場合があります。孤独死する人の中には生活全般への意欲が低下しているケースがあり、意欲の低下が身だしなみのだらしなさとして表れるのです。

具体的には、服装が適当になりパジャマのような服のまま買い物に出かけたり、髪を伸び散らかしたり、歯磨きやお風呂を怠って口臭や体臭を放つようになったりしたら要注意です。

生活を維持する気力を失うと、身だしなみに関心を払うどころではありません。これまできちんとしていた人が、身だしなみにネガティブな変化を見せたら危険のサインといえます。

死別や離別などで一人暮らしになった

長年連れ添っていた配偶者との死別や、離婚などは孤独死の前兆として重要です。とくに配偶者の死は、大きなショックを与えて生活習慣を激変させる場合があります。厚生労働省が心理的負荷を測る指針としても用いている「社会的再適応評定尺度」によると、配偶者の死は生活上のできごとの中で最も大きなストレスとして位置付けられています。

配偶者との死別後、生活に張り合いを失くして家にこもりがちになるケースは少なくありません。地域活動や友人との付き合いなどもすべて億劫になり、人との接触を断ってしまうこともあります。

一人で暮らしていること自体が孤独死のリスクファクターですが、パートナーなどの喪失によって精神的なショックを抱えているとリスクはさらに増大します。本人が孤立感を深めないよう、周囲の働きかけが欠かせません。

孤独死への対策6選

孤独死を回避するには、次の6つの対策が有効です。本人の性格や経済状況などにより、適した方法を選びましょう。

1. 連絡する頻度を増やす
2. 地域とのつながりを持つ
3. 健康管理と定期的な医療チェック
4. 訪問サービス、老人ホームの利用を検討する
5. テクノロジーを活用した見守りシステムを取り入れる
6. 行政サービスを活用する

連絡する頻度を増やす

孤独死を予防で非常に効果的なのが、連絡の頻度を増やすことです。孤立状態だと孤独死に至る危険があるため、精神的なケアと安否確認を兼ねて定期的に連絡を取りましょう。

とくにおすすめなのが、毎日、毎週など決まったタイミングで電話をかけることです。短時間のちょっとした会話でもかまいません。誰かとつながっていることが、本人の安心感に直結します。また、LINEは相手からの返事がなくても閲覧すると「既読」が付くので、安否確認に便利です。

相手と連絡を取る際に大切なのは、一方的な安否確認だけでなく相手のペースに合わせることです。他愛ない日常的な話題を重ねると心の距離を縮めることができ、ちょっとした違和感にも気付けるようになります。

地域とのつながりを持つ

孤独死を防ぐために、地域とのつながりを積極的に持つようにしましょう。地域の人々との交流はさびしさを紛らわせるだけでなく、緊急事態の助け合いにもつながります。とくに近くに親族がいない高齢者は、いざというとき異変に気付いてくれる親しいご近所さんがいてくれるのが理想的です。

地域のつながりを作るには、町内会や自治会のイベントやボランティア活動などに参加するのがおすすめです。そこまで積極的に活動するのは難しい人でも、ご近所さんとゴミ出しなどのときに挨拶をするだけでも人間関係作りになります。無理なくできる範囲で、周囲とのつながりを保つ意識が大切です。

健康管理と定期的な医療チェック

持病の有無にかかわらず、健康意識を高めて定期的な健康診断を行うことが孤独死予防につながります。病気の早期発見・早期治療のためにも、年に一度は健康診断を受けるように習慣付けましょう。かかりつけ医がいると、ちょっとした不調の際にも相談しやすくなります。

バランスの良い食事や質の良い睡眠、適度な運動などで生活習慣を整えることも、心身の衰えを防ぐ上で重要です。日頃から健康の維持に努め、健康寿命を延ばして孤独死防止に努めましょう。

訪問サービス、老人ホームの利用を検討する

一人暮らしの高齢者で自立した日常生活が困難な人は、訪問介護サービスやグループホーム、特別養護老人ホームなどの利用を検討する必要があります。

訪問介護サービスは、要介護認定を受けた人の自宅にホームヘルパーが訪問して食事の介助や掃除などを行うサービスです。グループホームは認知症などの人が共同生活を送る施設で、スタッフにサポートしてもらいながら自立した生活を送ることができます。特別養護老人ホームは、要介護度3以上で常時介護が必要な方のための施設です。

毎月数万円～数十万円などのお金がかかりますが、スタッフの目が届くため孤独死の危険がなくなります。社会とのつながりを維持し、生活の質を高める意味でも役立ちます。

テクノロジーを活用した見守りシステムを取り入れる

IT技術の進歩により、近年では一人暮らしの人を見守る様々なシステムが登場しています。GPS端末やセンサー、見守りカメラなどによるサービスを、様々な企業が提供しています。

遠隔地からでも安否確認ができたり、緊急時に迅速な対応が可能になったりと、孤独死予防に有効です。テクノロジーを利用した見守りサービスの例を次の表にまとめました。

一人暮らしの人を、家族が24時間見守ろうと思っても実際にはかなり大変です。テクノロジーを活用した見守りシステムを上手に活用して、本人にも家族にも無理のない見守り体制を作りましょう。

行政サービスを活用する

行政サービスを活用すると、費用の負担をおさえて孤独死対策をすることができます。市区町村が設置している地域包括支援センターでは、介護や医療の相談サービスを行っています。

また、自治体が民間業者などと連携して、孤独死を防ぐために様々なサービスを提供している場合があるので確認してみましょう。配食サービスや緊急通報システムの資金補助などが利用できる自治体もあります。本人が住んでいる自治体の役所で質問すると、最新情報を教えてもらえます。

孤独死が遺族に与える影響は大きい

万が一孤独死が起こると、遺族は非常に大きな負担を強いられることとなります。ここでは、経済面と心理面の2つの側面から、孤独死による遺族の負担を解説します。                                                    

遺品整理や特殊清掃による経済的負担

孤独死が起こると、遺族は様々な費用負担を求められます。とくに相続人は、相続放棄しない限り費用の負担を拒むことができません。

孤独死が起こると警察から連絡が入り、検死関連で数万円～十万円程度の費用を支払うこととなります。その後は孤独死現場の特殊清掃が必要ですが、遺体の発見状況によって十万円台～数十万円という高額な特殊清掃費が不可欠です。

遺品整理を自分たちで行わずに業者に頼む場合には、その費用も必要です。孤独死現場は一般的な遺品整理よりも料金が高くなる傾向があります。さらに、家がゴミ屋敷化している場合には、ゴミ屋敷清掃も含めて合計で100万円を越えるケースも見られます。これらの経済的な負担を減らすためにも、孤独死を避ける工夫が欠かせません。

突然の孤独死による精神的負担

突然の不幸は、遺族を激しく動揺させて精神的なショックを与えます。「一人ぼっちの最期は、どれだけ苦しかっただろう」と考えると罪悪感が込み上げてきて、日常生活を送るのがつらくなってしまう人もいます。

また、孤独死が起きた現場の凄惨さを目にして、心に深い傷を負う人も少なくありません。死後時間が経った遺体は腐敗が進み、体内からガスが噴出して血液や体液を部屋にまき散らしてしまいます。遺体の倒れていた現場にその痕跡が残っていれば、冷静でいることは困難です。

特殊清掃が完了するまでは死臭も部屋に充満しており、強烈な死臭を思い出して苦しくなる人もいます。孤独死による精神的な負担は、遺族のその後の人生に大きな影響を与える可能性があります。

遺族への負担を減らす生前整理

孤独死対策を万全に行いたいと思っていても、本人や周囲の協力が得られなかったり、資金的な事情で困難だったりする場合があります。そのような場合には、孤独死が起きた際の負担を和らげるために生前整理が不可欠です。

不幸にも孤独死が起きてしまった場合に備えて、家族が今からできることを解説します。

遺言書・エンディングノートの作成

遺言書やエンディングノートを作っておくと、遺族の混乱を避けることができます。遺言書は死後の財産をどのように分配するか事前に定める法的文書で、遺言書があれば遺族の相続トラブルを未然に防ぐことが可能です。

エンディングノートには法的効力はありませんが、葬儀の形式やお墓の希望、緊急連絡先など様々な記録を残せます。エンディングノートがあると故人の希望が明確になるため、遺族も意思決定をしやすくなります。

また、本人が遺言書やエンディングノートを作成する中で自分自身の命や健康への意識も高まるため、間接的な孤独死対策としても有効です。

生前整理や形見分けを進める

孤独死後の遺族は、膨大な量の遺品整理に追われることになります。遺品整理の負担を軽減するためにも、生前からの整理が大切です。本人が意思決定できるうちに、不要な物を処分して身辺を整理していきましょう。

長年使っていない衣類や書籍などは捨て、形見にしたいものはきちんと保管したうえで誰に渡したいのかエンディングノートに記しておきます。パソコンやスマートフォン内のデータも整理し、不用なSNSのアカウントなども削除しておきましょう。不要な物を処分する住環境がすっきりするので、衛生的で快適な生活を送ることにもつながります。

「死後事務委任契約」で孤独死後への対策

死後の手続きをスムーズにできるよう、生前に「死後事務委任契約」を結んでおくのも遺族の負担軽減に有効です。

死後事務委任契約とは弁護士や行政書士、家族などに依頼して死後の事務手続きを行ってもらうための契約です。信頼できる家族や知人と契約を結ぶこともできますが、身寄りのない人や遺族に負担をかけたくない人が、弁護士などに依頼するケースが多く見られます。

死後事務委任契約では、死亡届の提出や葬儀の手続き、死後の家賃の支払いやクレジットカードの解約などの手続きを任せることが可能です。本人が死後の心配をしなくて済むだけでなく遺族の負担軽減にもなるため、後事務委任契約に関心がある人は相続に強い弁護士事務所などに問い合わせてみましょう。

まとめ

孤独死する人には共通の特徴が見られ、一人暮らしの男性や高齢者、経済的な困窮や持病などがある人は孤独死リスクが高いといえます。また、孤独死には前兆があり、急に生活習慣や身だしなみが乱れたり、配偶者などの死別で一人暮らしになったりした人はとくに注意が必要です。

孤独死を防ぐためには、家族や地域の人が定期的に連絡を取って社会的に孤立しないよう働きかけることが大切です。そのほかにも、IT技術による見守りシステムや行政のサービスを利用するなど、本人や家族の状況に応じて孤独死対策を行いましょう。

万一の場合に備えて生前整理を進めたり、死後事務委任契約を検討したりするのもおすすめです。

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