「身内がまさかの孤独死……。遺品整理は私がやるの!?」
「遺品整理って、いくらかかるの? そもそもどうやってやるの?」
など、孤独死した身内の遺品整理のことで悩んでいませんか。
孤独死の遺品整理は通常の遺品整理よりも、費用や負担が大きくなるのが一般的です。誰に遺品整理の責任があるのか、実際にいくらかかるのかなどを把握しておかないと、「家族で意見がまとまらず遺品整理が進まない……」といったことにもなりかねません。
今回は孤独死の遺品整理にかかる費用や作業の流れなどを、具体的に解説します。この記事を参考にして、お得でスムーズに遺品整理を進めていきましょう。
<この記事で分かること>
- 孤独死の遺品整理は誰の義務?
- 孤独死現場の遺品整理の流れと費用
- 遺品整理をするときの注意点
- 孤独死の遺品整理を業者に頼むメリット
目次
親族が孤独死した場合の遺品整理は誰に片付け義務がある?
孤独死が起こったとき、遺品整理は誰の責任になるのでしょうか? 相続人、近親者、物件の大家の方にとって、非常に気になる問題です。ここでは、遺品整理の義務について解説します。
孤独死の遺品整理は「相続人」に義務がある
法的には、故人の遺品整理は相続人の義務となります。
孤独死が判明すると警察から血縁関係の近い親族へ連絡が入り、連絡を受けた人などが中心となって後始末を進めます。しかし、法的義務があるのは親族ではなく相続人です。
相続人とは故人の配偶者や子どものことで、それらがいない場合には故人の兄弟姉妹が相続人になります。故人の財産を受け継ぐのが相続人であるため、プラスの財産だけでなく借金や遺品整理の責任も相続人が負わなければなりません。
相続人にあたる人が複数いる場合には、各々の相続分に応じて遺品整理の費用を負担するのが妥当です。
「遺言の相続人」と「法定相続人」の違い
相続には、大きく分けて「遺言相続」と「法定相続」の2種類があります。
<相続の種類>
分類 | 概要 | 相続人 |
遺言相続 | 遺言書があった際、その遺言書の内容に従って相続すること | 遺言書で指定された人。 血縁関係のない人も指定可能 |
法定相続 | 民法で定められた順序に従って相続すること | 配偶者、子ども、父母、祖父母、兄弟姉妹 |
遺言の相続人と法定相続人の違いは、遺言書の有無で相続人が変わってくる点にあります。遺言書があればその記載内容が優先され、遺言書がない場合は民法の規定に従って相続人が決まります。
遺言書で故人が相続人を指定されていた場合は、その人も相続人なので遺品整理の責任を負います。
孤独死の遺品整理を大家が負担する義務はある?
遺品整理は相続人の義務ですが、相続人がいなかったり相続放棄されたりすると、連帯保証人の負担となります。そして、連帯保証人と連絡が取れない場合には、大家が遺品整理を行わざるを得ないのが実情です。
また、孤独死の原状回復では、どこまでが大家の責任範囲か見極めることも重要です。借主は賃貸契約によって退去時の原状回復義務を負うため、孤独死による腐敗臭や血液・体液による汚損は借主負担で原状回復しなければなりません。
一方で、畳や壁紙の経年劣化や床についた生活上の傷など、通常の使用による損耗への修繕費用は大家が負担義務を負います。借主と大家の負担分担については、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン (再改訂版)」に詳しく記載されています。
<大家と借主(遺族および連帯保証人)の負担義務の例>
大家の負担義務 | 借主の負担義務 | |
フローリング・畳・壁 | 日焼けによる変色、経年劣化 | 飲みこぼし、食べこぼし、遺体の血液・体液汚れ |
床 | 設置家具の重量によるへこみ | 家具移動時についた傷 |
壁 | ポスターを貼った痕跡 | 下地ボードに及ぶ深いくぎ穴・ネジ穴、落書き |
エアコン設置 | 設置時の穴や痕跡 | 水漏れ放置による壁の腐食 |
孤独死現場の特殊清掃・遺品整理の流れ
孤独死が起こった現場では最初に特殊清掃を行ってから、遺品整理へと進みます。
特殊清掃は現場の死臭や血液汚れなどを取り除くための作業なので、専門業者に頼まなければなりません。一方で、遺品整理は自分で行えることもあります。具体的な流れは次の5ステップです。
- 汚染された家財の撤去
- 消毒・洗浄による本格的な特殊清掃
- 遺品の仕分けや分別
- 孤独死現場から遺品の運び出し・家財の撤去
- 遺品のリサイクルや廃棄処分
それぞれを詳しく解説します。
汚染された家財の撤去
特殊清掃では、最初に血液や体液などで汚染された家財を運び出して処分します。腐敗した血液や体液は細菌やウイルス、ハエやゴキブリなどの繁殖源となり感染症の原因になってしまうため、汚染された家財を撤去して危険を取り除かなければなりません。
血液・体液だけでなく、死体の腐敗臭も問題となります。ベッドやカーペットなどの布製品や木製家具などの奥まで死臭が染みついていることがあり、その場合は通常の清掃では匂いを取り除くことはできません。匂いのもとである家財を撤去することで、その後の特殊清掃を効果的に進められるようになります。
消毒・洗浄による本格的な特殊清掃
汚染された家財を撤去したあとは、体液や腐敗臭が染み込んだ室内を徹底的に消毒・洗浄しなければなりません。オゾン発生器で1日~数日間オゾン脱臭を行い、必要に応じて脱臭工程を繰り返します。その後、防護服やマスク、長靴で装備を整えたスタッフが、専用の薬剤や技術で入念に現場を消毒・洗浄します。
「そこまでしなくても、遺体周辺の家具を捨てれば十分なのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、現実の孤独死現場は想像を絶する凄まじさです……。
たとえば、故人がベッドで亡くなっていた場合、特殊清掃はベッドの撤去だけでは終わりません。死後、時間が経過した遺体からは腐敗ガスが皮膚を突き破って噴出するため、ベッド周囲にも血液や体液をまき散らします。
さらに、流れ出た血液などが時間をかけてマットレスを貫通して床に大きなシミを作り、床深くまで侵食するケースもあります。部分的な撤去や清掃だけでは済まないのが、孤独死現場の現状です。
遺品の仕分けや分別
特殊清掃が終わったら、遺品整理の段階へと進みます。現場に残された遺品には残すべき物と不要な物が混在しているため、仕分けや分別が必要です。
業者が遺品整理を行う場合、現金、通帳、印鑑、有価証券、貴金属などの貴重品は見つけ次第すみやかに遺族へ提出します。写真や手紙、日記などの思い出の品や、事前のヒアリングで遺族が希望された品々も、きちんと仕分けしてお渡しします。
また、衣類や家具、家電製品、食器などの不要な物品は、リサイクルや廃棄処分を前提に分別していきます。
孤独死現場から遺品の運び出し・家財の撤去
遺品の仕分け・分別が完了したら、次は孤独死現場から運び出して撤去します。
賃貸物件の場合は明け渡す前に家の中を空っぽにしなければならず、持ち家の場合でも売却やリフォームを検討するなら現場に残っている家財は基本的に撤去しなければなりません。そのため、賃貸でも持ち家でも、孤独死現場の遺品整理では大量の物品を運び出す必要があります。
大量の遺品を運び出すには大変な労力と時間がかかるため、孤独死の遺品整理は業者に頼むのが現実的です。大型家具や家電のほか、こまごまとした日用品や衣類なども専門スタッフがスピーディに運び出してくれます。
遺品のリサイクルや廃棄処分
遺品整理の最後には、分別済みの遺品を自治体のルールや法令に従って排出し、リサイクルしたり廃棄処分したりします。自分で捨てる場合には、自治体の可燃ゴミや資源ゴミなどの排出日にゴミ出ししましょう。遺品整理業者に依頼した場合は、スタッフが現場から運び出した後でリサイクルや廃棄処分を代行してくれます。
また、死臭や汚れが染みついていない、リユース可能な物品であればリサイクルショップで売却できる可能性があります。遺品整理業者で買取サービスを実施している場合には遺品整理と同時に買い取ってもらえて、買取金額分を遺品整理費用から差し引いてもらえるのでお得です。
孤独死の遺品整理にかかる費用の目安
孤独死の遺品整理では、次のような費用がかかります。
<孤独死の遺品整理にかかる費用の目安>
間取り別費用目安 | 1R/1K | 30000円~80000円 |
1LDK | 70000円~200000円 | |
2LDK | 120000円~300000円 | |
3LDK | 150000円~500000円 | |
4LDK | 200000円~600000円 | |
オプションサービス | 害虫駆除 | 10000円~ |
ハウスクリーニング | 30000円~ | |
エアコン取り外し | 1台6000円 | |
供養 | 無料~20000円 | |
リフォーム | 要相談 |
なお、間取りによらず部屋の中に遺品の量が多かったり、ゴミ屋敷状態だったりすると作業量が増えるため費用は相場より高くなります。上記に加えて、特殊清掃費用として脱臭・消毒処理などで8万円~数十万円の金額が必要になる点にも注意しましょう。
孤独死現場に残された遺品の8割は処分品になる
一般的な遺品整理と比べて、孤独死の遺品整理は処分品が多く発生する傾向が見られます。孤独死された現場には死臭が充満しているため、家じゅうの物に匂いが染み付いていてしまい再利用できないことが多いのです。現場で回収する遺品のうち、8割程度は廃処分になってしまいます。
匂いの問題だけでなく、衛生上の問題から再利用不可となるケースも多いです。体液や血液などで汚染された物品には、感染症のリスクがあるためです。特殊清掃のときに消毒は済ませているものの、リユース品としての活用は難しいのが現状と言えます。
特殊清掃と遺品整理はセットで頼む方が安い
孤独死現場の後片付けは特殊清掃と遺品整理の2段階に分かれますが、それぞれを別業者に頼むよりもセットで依頼するほうが費用を安くできます。なぜなら、同一業者に頼むと移動コストや人件費などが削減できるからです。見積もりや契約書の作成といった事務手続きも一本化でき、コスト削減につながります。
また、別々の業者を選んで別個に契約するよりも、一度の依頼ですべて任せられるのでお客様の手間があまりかかりません。同一業者にセットで頼むと、特殊清掃後にスムーズに遺品整理作業へと移行できるためトータルの作業時間も短くなります。
費用を安く抑えたい人や、賃貸物件の引き渡しなどで急いでいる人は、セットで頼める業者を選ぶのがおすすめです。
孤独死があった部屋での遺品整理の注意点
孤独死後の遺品整理に取りかかるとき、絶対に守っていただきたいポイントをお伝えします。これらを守らないと感染症の危険が生じたり、相続トラブルに発展したりするおそれがあるので注意しましょう。
特殊清掃前に部屋に入らない
特殊清掃が完了するまでは、遺族が孤独死の家に立ち入らないでください。血液・ウイルスなどによる感染症の危険や、死者の痕跡が刻まれた現場を目にすることによる精神なショックがあるためです。
遺体はすでに警察に運び出されていますが、部屋にはおびただしい血液や体液が残ってドロドロになっていることがあります。遺族がそれを目撃すると、深い心の傷を負うことにもなりかねません。
また、特殊清掃前の部屋には激烈な死臭が立ち込めています。死臭の凄まじさは筆舌に尽くしがたく、おびただしい量のクサヤやチーズが腐ったようなツンと鼻を突く刺激的な匂いが特徴です。
賃貸の孤独死現場だと、悪臭が漏れ出るのを防ぐために物件オーナーが玄関を目張りしているケースさえ見られます。オゾン脱臭などをしなければ強烈な死臭は除去できないので、業者の作業が終わるまで立ち入らないでください。
勝手に窓を開けたり、お風呂を流したりしない
特殊清掃が済むまでは勝手に窓を開けたり、お風呂を流したりしてはいけません。近隣トラブルや排水口詰まりなどのトラブルにつながるため、絶対にやめましょう。
窓を開けると強烈な死臭が外に漏れ出し、近隣住民に迷惑がかかります。不快な匂いによる精神的な苦痛や洗濯物への匂いの染みつきなどでクレームを受けたり、損害賠償を請求されたりするおそれがあります。
また、お風呂で亡くなっていたケースでは、お風呂の水を流してはいけません。浴槽やお風呂の床には体液や血液、溶けてどろどろになった皮膚や毛髪などが残っている可能性が高く、洗い流すと排水溝が詰まってしまうのです。
血液には凝固する性質があるので、水で流すと排水管が詰まってしまいます。そうなると専門業者でなければ取り除くことができず、数万円の費用が追加でかかることになります。孤独死現場の換気や水洗は自分では行わず、特殊清掃業者に依頼しましょう。
遺品だけの「相続放棄」はできない
たとえ遺品整理をやりたくなくても、遺品だけを相続放棄することはできません。相続放棄は、故人の全財産を放棄する手続きです。部分的に相続放棄することはできず、遺品に限った相続放棄は認められません。
一方で、相続放棄をする予定の人は、安易に遺品整理を行わないようにしましょう。もし資産価値のある遺品を処分したり自分が引き継いだりすると、相続したとみなされて相続放棄できなくなるからです。写真や手紙など、資産価値のない物品を形見分けで受け取るだけなら相続扱いにはなりませんが、貴金属や価値のある物品の取り扱いには注意が必要です。
きれいな状態で遺品を残す
遺品を処分せずに保管する場合は、衛生面に注意しましょう。孤独死現場の遺品には、雑菌が付いている可能性があるからです。
遺族の健康を守るため、除菌用アルコールで丁寧に拭き取って遺品をきれいな状態にすることが大切です。とくに、匂いの染みつきやすい衣類やバッグなどの布製品は、クリーニングに出すことをおすすめします。
なお、遺品を整理するときは手袋とマスクを着用してください。特殊清掃が済んでいても、室内のカビや雑菌が完全に除去されているとは限らないからです。衛生管理を徹底して、残すべき遺品だけを厳選して保管しましょう。
孤独死の場合の遺品整理は業者に依頼しましょう
孤独死後の遺品整理を、遺族が行うことは可能です。しかし実際には、特殊清掃と遺品整理を一括して業者に依頼するお客様が多いのが現状と言えます。私たち業者サイドから見ても、孤独死の遺品整理はプロに任せるのが妥当と言えます。
孤独死後の遺品整理を業者に任せるメリットについて解説します。
体液や死臭は素人では取り切れない
死後2日以内など非常に早期に発見された場合は例外ですが、孤独死現場は遺体から漏れ出した体液や死臭に汚染されています。一般の人がどれほど丁寧に拭き取っても、これらを除去するのはほぼ不可能です。
一方で、専門業者に任せれば、部屋に残った体液や死臭をきれいに取り去ることが可能です。業者はオゾン発生器や市販されていない消毒剤・消臭剤を駆使して汚れや匂いを消し去ります。
一般の人が専門機材や薬品を手に入れることは難しく、仮に入手できたとしても使いこなすための専門技術がありません。体液や死臭を取り切れないまま遺品整理を進めてしまうと、感染症や悪臭トラブルなどの原因になります。結局は業者に作業をやり直してもらうことにもなりかねないため、最初から業者に任せたほうが効率的です。
圧倒的に短時間で遺品整理が完結する
遺品整理業者に頼めば、自分でやるより圧倒的にすばやく遺品整理を終わらせることができます。業者スタッフは遺品の仕分けや分別、大型家具の搬出テクニックなどを身につけているため、作業に無駄がないのです。
また、遺族が自分でゴミ出しをしようとすると、自治体のゴミ収集日に合わせて何回かに分けて出さなければなりません。一方、遺品整理業者は遺品を一度に運び出し、トラックで回収してくれるので一度きりの作業で済みます。回収後に廃棄処分やリサイクルを代行してくれるので、遺族には手間がかからないのがメリットです。
遺族が遺品整理をすると数週間~数か月かかるのが一般的ですが、業者なら1日~数日内に完了します。限られた時間の中でスムーズに遺品整理を終わらせたい場合は、遺品整理業者に依頼するのがおすすめです。
遺品整理士によるアドバイスが受けられる
遺品整理業者の中には遺品整理士の資格を持つスタッフが在籍しているところも多く、依頼すると遺品整理士のアドバイスを受けることが可能です。遺品整理士は遺品整理に関する専門知識や法令などを学んだスペシャリストであり、遺族の心情に配慮した遺品整理を得意としています。
遺品整理士に相談したい場合には、業者のホームページや電話問い合わせで遺品整理士の有無を確認して、事前ヒアリングなどの際に相談希望の旨を伝えましょう。
まとめ
孤独死が起こった際の遺品整理の義務は、法的には相続人が負います。故人の配偶者や子ども、兄弟姉妹のほか、遺言書で指定された相続人がいる場合にはその人物にも遺品整理の責任が生じます。
孤独死現場では最初に特殊清掃を実施し、その後で遺品整理を行います。費用は家が広くて物が多いほど高額になり、特殊清掃で8万円~数十万円、遺品整理は2LDKで12万円~30万円程度が目安です。別々に頼むよりも同じ業者にセットで頼むほうが割安になります。
孤独死現場は遺体の体液で汚染され、死臭が充満しているため特殊清掃前に立ち入るのはやめましょう。自己判断で換気したり、水で血液汚れを流そうとしたりするのも厳禁です。業者に頼んですばやく確実に遺品整理を完了させ、後始末の負担を軽減しましょう。
孤独死の遺品整理は七福神にご相談ください
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