家族が亡くなったら、気持ちの整理をする暇もなく「遺品整理」をしなければなりません。
遺品整理で処分が大変なものとして、家具家電や写真などが代表的ですが、このほか、“衣類”の整理・処分も苦労する人が多いです。
衣類は、故人が生前身に付けていたものなので、それだけ思い出深く愛着がある場合が多く、処分も慎重になりがちです。
また、衣類は他の遺品と比べて、圧倒的に量が多いことも大きな特徴です。
とくに高齢者は、すぐにものを捨てず、大切にとっておく人が多いため、お気に入りのものだけでなく着なくなった服まで保管しているケースも少なくありません。
なかには、何十年も前に袖を通して以来、一度も着用していない服が出てくることもあるのです。
そこで今回は、遺品整理で大量の服が出たときの整理の仕方や、いらない服の処分方法についてご紹介いたします。
目次
まずは「遺言書」や「エンディングノート」を確認してみる
服だけにかかわらず、遺品整理を行う際は、故人が生前に遺言書やエンディングノートを書き残していないかどうか確認することから始めましょう。
遺言書やエンディングノートには、遺産相続のほか、残した服をどうしたいか、故人の遺言が残されている可能性があります。
とくに思い入れの強い服や高価な服については、誰に渡してほしい、売却してほしいなどの意見が書かれていることもあります。
処分をしてしまってからでは遅いので、遺品整理の作業にとりかかる前に、まずは遺言書とエンディングノートがないかチェックすることが大切です。
遺品整理で出た服は、3つに仕分ける
遺品整理で大量の服が出た場合、1枚1枚確認していたらかなり時間がかかります。
作業効率を良くするためにも、まずは「残しておくもの」「処分するもの」「保留にするもの」の3つに、ざっくりと仕分けしましょう。
項目 | 状態 | 該当する服の例 |
処分せずに残しておくもの | 状態が良い
思い入れがある 故人のお気に入り | 新品未使用の服
ブランドの服 質の良い服 プレミア価値のある服 着物や浴衣、ドレスなど |
処分するもの | シミなどの汚れが目立つ
傷んでいる 長年袖を通していない | 下着、肌着類
パジャマなど |
いったん保留にするもの | シミなどはないけれど、処分に悩む服
思い入れがあって捨てられないけれど、汚れが目立つ服 | 愛着のあったシャツなど |
上記3つに分類し、それぞれの服に合った整理・処分を行うことで、遺品整理がスムーズに進めることができます。
処分するかどうか迷ったときは、じっくり考えずに、まず「いったん保留」へ振り分けておくのが無難です。
【仕分け別】遺品整理で出た服を整理&処分する方法
遺品整理で出た服の仕分けが終わったら、分類したものに合わせた整理・処分を行っていきます。
「処分せずに残しておくもの」「処分するもの」「いったん保留するもの」それぞれの処分方法をまとめました。
<処分せずに残しておくもの>
まだまだ着られる状態の良いものや、一度も袖を通していない新品同様の服は、処分せずに残しておいた方が無難です。
ブランドなどの高価な服やプレミア価値のある服も、遺族のなかに着る人がいなくても、まずは残しておきましょう。
残しておくものとして分類した服は、形見分けや寄付、売却をするといった方法で処分を行います。
形見分けをする
故人が生前愛用していた服や思い入れのある服を、記念として遺族が保管したり、故人の友人などに贈ったりすることを「形見分け」と言います。
生前、大切にしていた服を遺族や友人が形見として持ち帰ることで、故人のことを思い出すことができます。
フリマアプリやリサイクルショップに買い取ってもらう
形見分けをしても残った服は、すぐに処分を考えるのではなく、売却することも検討しましょう。
汚れなどがなく、まだまだ着られる状態の良いものは買い取ってもらえる可能性が高いです。
ブランド物の服や新品の服は、とくに買取額が上がる場合もあります。
一度にまとめて処分したい場合は、リサイクルショップが便利です。
もし時間に余裕があるのであれば、フリマアプリやオークションで出品した方が、高値で売れる可能性があります。
寄付をする
形見分けや売却をしても残ってしまった服は、寄付をするという方法もあります。
ゴミとして処分するよりも、服を必要としている海外の途上国などに寄付した方が、きっと故人も喜ぶはずです。
<処分するもの>
シミなどの汚れが目立つ、首元がヨレている服は、形見分けや寄付として出すことも難しいです。
いくら思い入れがあるといっても、すべての服を残しておくことはできません。
再利用できないほど状態が悪い場合は、処分するものとして分類しましょう。
自治体が回収する家庭ゴミとして処分する
遺品整理で出た服を処分する場合は、自治体が回収を行っている家庭ゴミとして捨てることができます。
ただし、自治体によって処分ルールが異なりますので、注意が必要です。
大量の服が出る場合は粗大ゴミ扱いとなる自治体もあれば、金具や部品は取り外しが必要な場合もあります。
基本的に、服は“資源ゴミ”として分類されている地域が多いですが、あまりにも汚れが目立つ服は“燃えるゴミ”に分類されているケースもあります。
家庭ゴミとして処分する際は、必ずゴミ出しルールについて確認してから行うことが重要です。
また、下着など一目が気になる服は、紙などに包んでからゴミ袋に入れるようにしましょう。
<いったん保留にするもの>
捨てようか残そうか迷っていったん保留にした服は、どう処分すべきか迷ってしまうもの。
処分してしまっては二度と手元に戻ってくることはないため、遺品の処分は慎重に行うべきです。
しかし、保留したものをすべて残しておくのは、場所も取ってしまいます。
処分も避けたいけれど、保管するのも難しい場合は、以下のような方法も検討してみましょう。
写真に残し、服そのものは処分する
物として残すことが難しい場合は、写真に撮り、思い出として残すのも1つの手です。
服そのものは手放すことになりますが、写真に残しておけばいつでも故人のことを思い出せます。
写真であれば場所もとりませんし、遺族や友人にも配ることが可能というメリットもあります。
故人に着せてあげる
葬儀を執り行う前であれば、故人に着せるという方法もあります。
故人が生前気に入っていた服であれば、なおさら故人に着せてあげるのが一番良いです。
ただし、火葬場や葬儀場によっては、故人に服を着せられる条件が異なるため、事前に確認しておきましょう。
服を加工し、別の形で保存する
服として残すのも難しいけれど、置いておくこともできない場合は、故人が残した服をリメイクする方法もあります。
服の素材を少し使って巾着やバッグを作ったり、ハンカチにしたりと形を変えれば、服をそのまま残すよりもコンパクトに残しておくことが可能です。
まとめ
遺品整理で出た服の整理・処分方法についてご紹介いたしました。
まずは、処分するもの、残すもの、そして保留するものの3つの分類することが大切です。
しかし、遺品整理で大量の服が出た場合、遺族だけで整理・処分するのが困難な場合もあります。
そのような場合は、遺品整理を行う専門業者の手を借りることも検討しましょう。