大阪府茨木市では茨木市住居における物品の堆積による不良な状態を解消するための支援連絡会設置要綱が、ゴミ屋敷に関する条例となります。
ゴミ屋敷に関する行政の対応等は、こちらの要綱に記載されています。
目次
大阪府茨木市のゴミ屋敷条例
茨木市住居における物品の堆積による不良な状態を解消するための支援連絡会設置要綱がゴミ屋敷のための条例です。
具体的にゴミ屋敷対策に関して何を定めているのかをご紹介します。
ゴミ屋敷との文言はないもののゴミ屋敷のための条例
茨木市住居における物品の堆積による不良な状態を解消するための支援連絡会設置要綱には、「ゴミ屋敷」の文言がありません。
しかし、ゴミ屋敷を想定した条例であることは明白です。
例えば第2項にて条例の対象が記載されていますが、不良な状態に関して、物品の堆積によって悪臭、さらにはねずみや蠅等の生物が発生しているなど生活環境が著しく損なわれている状態と定義しています。
これらの特徴は、ゴミ屋敷との文言こそ使用されていませんが、ゴミ屋敷を想定していると考えられますので、ゴミ屋敷対策の条例になります。
連絡会設置を明文化した条例
ゴミ屋敷を想定したものであると共に、連絡会設置の根拠となる条例となっています。
連絡会では不良な状態の解消のための情報共有や協議・連携、支援策の検討等を所掌するためのものです。
権限
茨木市住居における物品の堆積による不良な状態を解消するための支援連絡会設置要綱はゴミ屋敷の対策のためのものではあります。
ですが、権限に関してはあくまでも所掌であって、具体的に何ができるのかは、条文だけでは少々不明瞭です。
ゴミ屋敷という文言を使用していない点を含め、さまざ様々な配慮が見られる条例となっていることから、具体的権限に関しても少々曖昧な点があります。
他の地域のゴミ屋敷との比較
ゴミ屋敷に関する条例は茨木市以外にも、全国各地の自治体にて制定されています。
もちろん他の大阪府の自治体も例外ではありません。
条例に関しては自治体によって異なりますが、いわゆるゴミ屋敷に関する直接的な条例を制定している他の自治体と比較したとき、茨木市住居における物品の堆積による不良な状態を解消するための支援連絡会設置要綱にはどのような特徴があるのかを見てみましょう。
具体的施策がない
茨木市住居における物品の堆積による不良な状態を解消するための支援連絡会設置要綱は所掌という文言は見受けられるのですが、具体的な施策に関しては見当たりません。
つまり、何ができるのか、何をするのかは、条例からだけでは不明瞭です。
他の地域のいわゆるゴミ屋敷に関する条例は、勧告等を行い、従わない場合には行政代執行の敢行、さらには費用の請求まで定義されています。
しかし、茨木市の条例に関しては、会の設置や所掌までの記載しかありませんので、実際にゴミ屋敷を前にした際、何をするのかは不明瞭です。
支援策・再発防止策がない
ゴミ屋敷の問題の一つに、再発が挙げられます。
行政代執行にてゴミ屋敷からゴミを撤去し、清潔な状態を作り上げたものの、結局は元のゴミ屋敷に戻ってしまうケースが見受けられます。
つまり、ゴミ屋敷問題解決の本質は、ゴミの撤去ではなく、ゴミ屋敷住居人の支援にあります。
福祉・医療・経済など様々な角度からの支援策を盛り込んでいる自治体もありますが、茨木市の条例では、支援策・再発防止策に関しても具体的な記載がありません。
直接的な条例ではない
他の自治体の、いわゆるゴミ屋敷に関する条例は該当条例のみでのゴミ屋敷の改善を目指したものです。
しかし茨木市住居における物品の堆積による不良な状態を解消するための支援連絡会設置要綱に関しては、この条例単体での解決は、文言から判断するに難しいです。
何をすべきなのかを示したものではなく、あくまでも連絡会の設置に関する条例であって、連絡会ができることはあくまでも所掌です。
つまり、ゴミ屋敷問題に関しての意見をまとめるための条例としては有意義ですが、直接的な対策が講じられた条例だとは言い難い面があります。
責任者が不明瞭
他の自治体のいわゆるゴミ屋敷条例の多くで責任者が記載されています。
基本的には市長で、条例に基づき何かを行うのであれば、基本的に市長が許可を出す、かつ市長が決めたことが適切なのかを判断する場を設けることまで明記している自治体もあります。
しかし茨木市の条例では、誰がどのような権限で何を実行するのか、不明瞭です。
茨木市でとゴミ屋敷の問題
自治体の条例は未然に防ぐためのものよりも、問題が表面化したことで対策として制定するケースが多いです。
つまり、より具体的な条例を定めている自治体は、既に住人がゴミ屋敷問題で悩まされている可能性が高いのです。
そこで茨木市のゴミ屋敷問題をリサーチしてみました。
ゴミ屋敷の存在は行政も把握している
茨木市の平成29年度第2回茨木市個人情報保護運営審議会の議事録にて、ゴミ屋敷が議題に上がっています。
ここで、既に市内にいくつかゴミ屋敷があることが議事録にも残されています。
ですので、決して茨木市がゴミ屋敷と無縁ではないことが分かります。
行政が動いたとの報道はない
条例を下に、行政がゴミ屋敷解決に動いたとの情報はありません。
民間業者がゴミ屋敷のゴミを撤去したとの情報はありますが、あくまでも民間業者であって、行政からの指示等ではありません。
茨木市の条例から見えてくること
茨木市住居における物品の堆積による不良な状態を解消するための支援連絡会設置要綱からは、いわば茨木市ではゴミ屋敷問題がさほど大きな問題になっていないと考えることが分かります。
一方で、他の大阪府、あるいは全国ではゴミ屋敷問題が大きな問題となりつつあります。
また、全く問題がなかった訳ではない点は議事録からも伺えます。
ですので、茨木市が抱えている問題に対応できる条例を策定したと考えられます。
条例は今後変わる可能性があるもの
現状の茨木市住居における物品の堆積による不良な状態を解消するための支援連絡会設置要綱だけでは、仮に茨木市でゴミ屋敷問題が発生した際、条例に基いた有効な施策が討てるとは考えにくいです。
しかし、条例は決して決め打ちされたものではなく、状況に応じて変えることができます。
ですので、今後、茨木市のゴミ屋敷問題がよりクローズアップされることになれば、条例もより実効性の強いものになる可能性があります。
ゴミ屋敷以外にも問題がある
大阪府茨木市は、ゴミ屋敷の問題だけに向き合っている訳ではありません。
他にも市民生活に関する様々な問題と向き合っていますので、ゴミ屋敷問題以外のことも考慮しなければなりません。
この点は他の自治体も同様で、市民の生活に影を落としているものから解決しなければなりません。
その点では、茨木市ではゴミ屋敷問題は地域として優先順位が低いと考えることもできます。
茨木市のゴミ屋敷条例はあくまでも所掌
大阪府茨木市住居における物品の堆積による不良な状態を解消するための支援連絡会設置要綱について紹介しました。
文言だけをみれば、問題解決のための条例ではなく、問題が起きた時にどのように対処すべきかに重きを置いた条例です。
しかし今後、茨木市の中でゴミ屋敷が大きな問題となれば、条例もより具体性のあるものに代わる可能性があります。