コラムblog
近年、人口減少の加速と共に増加の一途を辿る空き家の数。
その中には、ゴミ屋敷と呼ばれる敷地内や家の中がゴミで埋め尽くされた状態の家もあり、地域の治安の悪化や倒壊、放火などの危険性から注意が必要です。
ゴミ屋敷化した空き家の片付け方法は、自治体による強制撤去や、ゴミ屋敷清掃業者の活用など様々です。
自治体によっては専門業者に依頼した際にかかる費用について一部補助金制度が適用される地域もあります。
この記事では、こうしたゴミ屋敷化した空き家の片付け方法について、自治体からの補助金制度を交えて詳しく解説していきます。
目次
なぜ空き家がゴミ屋敷化するのでしょうか。
空き家がゴミ屋敷化する主な原因は以下の2つです。
- 不法投棄によるもの
- 住人の高齢化や病気等によるもの
ここでは、これら2つの主な原因について説明します。
空き家がゴミ屋敷化する理由の一つに、住人ではない第三者による不法投棄があります。
粗大ゴミや不用品などが空き家所有者に許可なくその敷地内に捨てられます。
また、一度ゴミが捨てられると、次から次へと他のゴミが投棄され年月とともに蓄積することで空き家がゴミ屋敷へと変わっていくのです。
近年、高齢化や核家族化が進む影響で一人で暮らす高齢者の方が増えてきました。
こうした高齢者の方の中には体力の低下や認知症などの理由から一人では身の回りを片付けることが困難になるケースがあります。
このような場合、家主が他界した後に家族や親族などが片付けに乗り出さない限り家がゴミ屋敷化した状態となる傾向にあります。
お住まいの近くにこのようなゴミ屋敷化した空き家があるものの、まず何から手をつけたら良いか分からないという場合、お住まいの市区町村にある役場へ相談しましょう。
2014年には各自治体が独自に空き家の調査や所有者への指導、罰金や強制撤去なども行うことができる「空家等対策特別措置法」という法律が制定されたため、国に代わり自治体が権限を持って措置をとることが可能です。
自治体が近隣住民から空き家の連絡を受けた場合、どのような手順で問題解決されていくのでしょうか。
具体的なやり方については各自治体ごとに異なりますが、次の章ではその大まかな流れをご説明します。
各自治体が近隣住民から空き家の相談を受けた場合、まずは空き家の現地調査が行われます。
また、1年を通して人の出入りが全くないかどうかや、電気・ガス・水道などが長期間使用されていないかどうか、固定資産税の納税情報など、あらゆる方向から空き家の実態調査が行われます。
調査を行い空き家であることを確認した上で、以下の4つの条件に当てはまる場合、「特定空き家」として自治体が指定します。
その条件とは1:倒壊の危険性がある、2:衛生上有害である、3:周囲の景観を損なう、4:放置することが不適切である、というものです。
自治体が「特定空き家」として指定すると、自治体の管理下に置かれ指示を受けるようになります。
「特定空き家」と定められた空き家に対しては、空き家の所有者へ自治体から改善の指導が行われます。
所有者は速やかに行政の指導に従い改善する必要があります。
例えば、「捨てられたゴミが敷地内から溢れ道路を塞いでいるため、ゴミの撤去作業をしてください」、「塀の老朽化で今にも崩れ落ちそうなため、速やかに取り壊し作業を行ってください」など、行政から具体的な助言・指導が行われ、早急な対応が促されます。
助言や指導を行ったにも関わらず、所有者が従わなかった場合、所有者に対し勧告が行われます。
勧告を受けた場合は状況が改善されるまでの間、所有者が受けている固定資産税の優遇措置制度が適用されなくなります。
それに伴い、従来支払っていた土地の税金の約6倍の金額を強制的に支払うこととなります。
勧告されても改善が見られない場合、自治体は空き家の所有者に対して改善命令が行われます。
命令は行政処分とも言われ、「空家等対策特別措置法」の下、50万円以下の罰金が科されることになります。
命令を受けてもなお、行政に従わない場合は最終的な措置となる行政代執行が行われます。
行政代執行とは行政が空き家所有者の代わりに空き家の解体や樹木の伐採、ゴミの撤去などの問題解決を行うものです。
その際にかかった費用は空き家所有者が負担する必要があります。
空き家のゴミ屋敷化は社会問題になりつつありますが、特に増えているのが空き家だったはずの実家がゴミ屋敷になっているケースです。
一体なぜ、空き家だったとはいえ実家がゴミ屋敷になってしまうのか、その理由をご紹介しましょう。
先にもお伝えしましたが空き家ということで不法投棄する人もいます。
人が住んでいる家にゴミを捨てることはできなくとも、空き家だと分かればゴミを捨てる人はいます。
さらに、ゴミが捨てられるといわゆる「割れ窓理論」と呼ばれている理屈が働きます。
綺麗なところにゴミは捨てませんが、汚いところにはゴミを捨てる気持ちにブレーキがかからなくなる人が多いので、空き家だからと誰かがゴミを捨てると、「ゴミが捨てられている家」だと認識した人がさらにゴミを捨てます。
そしてゴミが増えてくると、もはやゴミを捨てることへの躊躇もなくなり、やがては空き家だったはずの実家がゴミ屋敷になってしまうのです。
野良犬や野良猫、害虫など、人以外の影響で空き家がゴミ屋敷になってしまうこともあります。
例えば生前、ご家族が実家でペットを飼っていた場合、餌が残っている可能性が高いです。
その餌につられて動物が寄ってくると、野良たちがより住みやすい場所にしようと近くからゴミを持ってくるなどして、次第にゴミ屋敷化してしまうのです。
空き家ではあるものの、それなりに生活感があることから一時的に不法侵入者が住み着き、生活を送ることでゴミが増えてしまい、次第にゴミが増えてゴミ屋敷化してしまうケースも見受けられます。
不法侵入者にとっては、空き家ではあってもそれなりに生活感があることで生活が送れると考えます。周囲から見つからなければ長く居着いてしまうこともあります。
しかし決して自分の家ではありませんので掃除などしません。結果、ゴミだけが増えてゴミ屋敷化を招いてしまうのです。
もし、あなたの実家や身内の自宅がゴミ屋敷化した空き地となっている場合、時間が経てば経つほど建物の倒壊や放火のリスクは高まるため、近隣住人への被害を及ぼす前に早めの対処が必要です。
しかし、何年にも渡って築き上げられたゴミ屋敷を一人で一つ一つゴミを分別しながら片付けようと思うと、いくら時間があっても足りません。
また、遠方にお住まいの方の場合には通う交通費や移動時間も負担になってしまいます。
このような場合には、ゴミ屋敷清掃業者を頼り早期解決に当たることをおすすめします。
自治体によっては空き家の片付けにかかった費用に対し、補助金が出ることがあります。
以下の章で、補助金を使った空き家片付けの条件や補助額、申請方法などを説明していきます。
空き家片付けに対し補助金制度を受けるには、大きく分けて以下の3つの条件をクリアする必要があります。
尚、自治体によって細かな部分は異なるため、詳細についてはお住まいの市区町村のホームページをご確認ください。
まず必要となるのが、空き家バンクへの登録です。
空き家バンクとは、自治体が主体で行なっている空き家所有者と空き家入居希望者を結ぶサービスで、移住者の受け入れ強化や空き家活用の促進を目的に行われています。
各自治体が運営する空き家バンクホームページ上に情報を登録すると、売り買いや貸し借りを行うことができるようになります。
空き家バンクに登録するには、その空き家に現在住居者がおらず、一戸建てである必要があります。(不動産貸付の用途で建築されたものは対象とはなりません。)
空き家は片付け未着手であり、交付決定日の属する年度中に片付けを完了する必要があります。
ゴミ屋敷化した空き家を片付ける際、補助金はどれくらいもらえるのでしょうか。
自治体によって補助金額は異なりますが、大まかな補助金の目安として、上限の費用は10万円の自治体が多く、それ以下の場合、かかった費用の半額、もしくは満額が補助金として支払われるケースが多いと言われています。
ゴミ屋敷化した空き家片付けのゴミの処理費用やハウスクリーニング、排水管などの清掃、樹木の伐採や除草にかかる費用が補助金を利用できる対象となります。
これらの条件に当てはまる場合、補助金を積極的に活用しながら片付けを行なっていきましょう。
空き家だったものの、ゴミ屋敷となってしまった実家を売却したいと考えている人も多いのではないでしょうか。
ここでは実際に、空き家となっていたもののゴミ屋敷になってしまった実家を売却する方法をご紹介しましょう。
空き家でゴミ屋敷となってしまった実家でも勝手に売却することはできません。
もしもですが、他の場所で住んでいる両親が健在の場合、空き家ではあっても家の権利は両親が持っていますので、売却するのであれば両親を説得するか、あるいは両親から委任してもらい、売却を進めることになります。
空き家を既に相続している場合、権利を持っていますのでゴミ屋敷を売却できます。
不動産業者に売却できないかを相談してみましょう。
但し、不動産の売却の可否・価格は不動産価値によって決まります。
ゴミ屋敷となってしまった場合、不動産価値は低いです。
駅や商業施設から近いなど、建物以外の付加価値があれば高値での売却も期待できるのですが、建物以外に付加価値が見られない空き家は、不動産価値は低いです。
空き家だったはずの実家がゴミ屋敷になってしまったので売却をと考えても、先にお伝えしたように建物以外の部分に価値がなければ相場よりも低額での売却になるでしょう。
なぜ売却価格が低くなるのか、その理由としては下記が挙げられます。
一言で言えばゴミ屋敷に需要がないからです。
不動産価格も、基本的には需要と供給のバランスで決まります。
欲しいと思う人がいれば高額での売却となりますし、欲しい人が少なければ低額となってしまいます。
残念ながら、ゴミ屋敷だった家を欲しいと思う人はそうそういないでしょう。
ただし駅や商業施設から近い、あるいは近年再開発が見込まれることによる投機目的など、「家以外」の部分に価値が見られる場合には高値で売却できる可能性があります。
ゴミ屋敷のままでは生活はできません。
そのため、不動産業者としてもゴミ屋敷を購入したらゴミ屋敷を片付けなければなりません。
片付けた際、腐食が激しければリフォーム、あるいは取り壊しが必要になることもあります。
いずれにせよ、ゴミ屋敷を買取った不動産業者側も、何らかの手を加えなければならないので、売却価格が低くなってしまいます。
ゴミ屋敷となってしまった空き家の需要は低いです。
しかし、高く売る方法もありますのでいくつか方法をご紹介しましょう。
ゴミ屋敷のまま売却するのではなく、専門業者に依頼してゴミ屋敷を片付けてから売却した方が高値で売れます。
綺麗な状態であれば住居需要が高まるからです。
専門業者に依頼することで費用はかかりますが、家の状況によっては専門業者に依頼した費用を回収できるほど、高値が付くケースもありますし、もしもですが、自力でゴミ屋敷を片付けることができれば、費用をかけずに資産価値を高めることができます。
ゴミ屋敷をリフォームしてから売却することで、先の話同様、不動産価値が高まる可能性があります。
ただし、リフォーム前には片付けが必要になります。
リフォーム業者に依頼するか、あるいは専門業者に片付けだけを依頼するかになりますが、いずれにせよ通常のリフォームより費用がかかります。
ゴミ屋敷となってしまった空き家ではあっても、日常生活に支障がなければすぐに対策を講じる必要はないと、悠長に構えてしまいがちです。
しかし、ゴミ屋敷となってしまった空き家をそのまま放置していると、様々なリスク・デメリットが待ち構えています。
ゴミ屋敷ではあっても相続していた場合、固定資産税を支払う必要があります。
「大した額じゃないから」と思っているかもしれませんが、特定空き家に指定されてしまうと、住宅用地の軽減措置を受けることができなくなります。
住宅用地に関しては、固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1の軽減措置が適用されているのですが、特定空き家となると軽減措置がなくなります。
つまり、固定資産税は6倍、都市計画税は3倍となります。
特定空き家とは行政による空き家の調査を受けて空き家に指定されます。
特定空き家の指定を受けると、行政の指導や勧告を受けることになります。
助言・指導→勧告→命令→行政代執行
上記流れとなっており、勧告を受けることで住宅用地特例の対象から外れ、固定資産税が6倍に、都市計画税が3倍になります。
空き家で住んでいないからと固定資産税の支払いを拒否した場合、延滞金が発生します。
1ヶ月目までは年7.3%、2ヶ月目以降は年14.6%、と延滞金が膨らみます。
但し、期間、あるいは延滞税特例基準割合によって異なりますので、詳しくは下記の国税庁ホームページでご確認ください。
参照:国税庁延滞税について(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/osirase/9205.htm)
もしもですが、災害時にゴミ屋敷のゴミによる損失を与えた場合、その責任は法的権利を持つ人間の責任となります。
例えばですが、台風の際にゴミ屋敷のゴミが突風によって他の家にぶつかって損失を出してしまったり、地震が起きた際、揺れによってゴミが隣家の出入り口を塞いで出れなくなってしまったりといった問題が発生した場合、住居の有無に関わらず、権利者の責任となります。
空き家がゴミ屋敷になってしまう理由の一つが不法投棄ですが、放置すればするほど、さらに不法投棄が増えるリスクがあります。
不法投棄をしても誰にも何も言われないと分かれば、ゴミを持て余している人にとっては貴重な場所となってしまいます。
さらには不法投棄のゴミがさらなるゴミを生むなど、ゴミ屋敷がさらに悪化するリスクがあります。
ゴミ屋敷のゴミが増えれば増えるほど、片付けの手間が増えます。
業者に依頼する場合、ゴミ屋敷の片付け費用はゴミの量と比例しますので、ゴミの量が増えれば、依頼費用も増えます。
空き家のゴミ屋敷を放置するということは、誰が捨てたのか分からないゴミによって生まれたゴミ屋敷の片付け費用を自ら負担しなければならないことになります。
空き家だと思われると、人が入り込む可能性があります。
窃盗犯、ホームレスなどが入り込み、家を荒らすだけではなく、住み着いてゴミを残し、ゴミ屋敷化のきっかけをもたらすリスクがあります。
とある芸能人が、実家の空き家の遺品整理を依頼したら200万円かかったとテレビで発言して話題を集めました。
このことからも、ゴミが増えてからの整理は何かと大変で、かつ空き家をゴミ屋敷にしないことが大切だと分かります。
そこで空き家をゴミ屋敷にしないための対策をご紹介しましょう。
空き家にする前の段階から気に掛けるのがベストです。
生前から実家を訪れ、両親とコミュニケーションを取っておくことで、もしもの時でも「どうすればよいのか分からない」を防ぎます。
また、足を運ぶことで両親も家を綺麗にしておく理由ができます。
ゴミ屋敷化してしまう理由の一つに、誰も家にこないので掃除をしなくなる点が挙げられますが、適度に足を運ぶことで掃除意欲を高める効果もあります。
相続したらすぐに処分するとよいでしょう。
実家であれば、空き家ではあっても思い出があることでしょう。
しかし、いつまでも残しておくとゴミ屋敷リスクが高まってしまいます。
頻繁に足を運び、空き家ではあっても生活感をもたらすことができるのであれば良いでしょう。
しかし、足が遠のくと次第に生活感が損なわれ、周囲からゴミを捨てられるなどしてゴミ屋敷化が進んでしまいます。
そのため、相続したら、ゴミ屋敷化する隙を与えずに処分することが大切です。
空き家を処分したくないのであれば、手間はかかりますがこまめに足を運び、生活感を出すことが大切です。
空き家だと知られると不法投棄リスクが高まります。
しかし頻繁に人が出入りし、「誰かいる」と思わせれば、不法投棄リスクは大幅に軽減します。
手間がかかるかもしれませんが、空き家を残しておきたいのであれば、こまめに足を運んで手入れをしましょう。
空き家そのものに住むのも手です。
もちろん引越しをして、住居としてです。
空き家にしておくのは勿体ないものの、足を運んで手入れをするのは面倒だと感じており、かつ現在の住まいが賃貸であれば空き家をリフォームするなどして住むのも良いでしょう。
人が住んでいれば、少なくとも知らない間にゴミ屋敷になることはないはずです。
思い出の家とも一緒に住めますので、一石二鳥です。
空き家がゴミ屋敷になってしまう理由は不法投棄や住人の高齢化・病気が多いです。
また、野良動物や害虫、さらには不法侵入者の影響で実家の空き家がゴミ屋敷になってしまうリスクもあります。
ゴミ屋敷になってしまった空き家は固定資産税や災害時の責任問題、侵入者リスクがありますので、できればすぐにでも処分したいところです。
ゴミ屋敷の不動産価値は高くはありませんが、片付けやリフォーム後であれば資産価値が高まる可能性もありますので、上手く活用して売却処分するか、自ら住むという選択肢もありますが、放置は様々なリスクがあるので気を付けましょう。
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