自力でゴミ出しが難しい高齢者や要介護者、障害のある方を支援するため、政府が支援を進めているのが「高齢者ごみ出し支援制度」という取り組みです。
ゴミ出しを自力で行えない一人暮らしの高齢者が増え、家がゴミ屋敷となるケースがあとを経ちません。
この記事では、ゴミ屋敷化を防ぐ「高齢者ごみ出し支援制度」を紹介します。
また、すでにゴミ屋敷となってしまった場合の対処方法も解説していきます。
目次
なぜ「高齢者ごみ出し支援制度」は必要なの?
高齢化社会が進む中、特に「独居老人」と呼ばれる一人暮らしの高齢者世帯が急増しています。
2040年には、65歳以上の単身者は男性20.8%、 女性24.5%と、男女ともに人口の2割を超えると予想されています。
出典:環境省「高齢者ごみ出し支援制度導入の手引き」
ゴミ出しができなくなると家がゴミ屋敷となる可能性があります。
衛生的に良くない上に、社会的孤立を深める要因となります。
また、無理にゴミ出しを続けると転倒やケガのリスクも高まるため注意が必要です。
ゴミ屋敷化を防ぐ!「高齢者ごみ出し支援制度」とは?
高齢者のゴミ出し問題を解決するために作られたのが「高齢者ごみ出し支援制度」です。
2019年に政府が出した方針の一つで、障害や要介護状態にあるなどの理由から自力でゴミ出しを行うのが困難な人へ向けた国の支援制度です。
実際は各地方の自治体や地方公共団体、地方コミュニティなどによって運営されている取り組みです。
国は対象となる自治体に対し特別交付税という形で予算を交付し、実際にかかった費用の半分を負担します。
これまでも自治体ごとに独自で高齢者へのゴミ出し支援を行っていました。
しかし、財源や人員不足などで2019年3月時点では全自治体の23.5%しか取り組まれていませんでした。
国の方針として各自治体を支援することで、この取り組みが全国へ広まっていくことが期待されています。
「高齢者ごみ出し支援制度」の仕組み①対象者
この支援制度を利用する人の範囲について、国は明確なルールを定めていません。
以下のような状況を鑑みた上で各自治体が判断しています。
- 年齢
- 介護認定
- 世帯構成
- 障がい認定
気になる人はお住まいの役所へまずは相談してみると良いでしょう。
「高齢者ごみ出し支援制度」の仕組み②どんな事をしてもらえるの?
自治体の職員やNPO支援団体、自治会などが自力でのゴミ出し困難な家庭を回り、ゴミを代わりに出してくれます。
基本的には既に分別された玄関先にあるゴミを収集していく形です。
しかし、ゴミの分別が難しい、ゴミを集めることが困難、ということがあります。
その場合、ホームヘルパーや訪問介護員などの協力を得ながらゴミ出しを行う必要があるでしょう。
「高齢者ごみ出し支援制度」を利用するメリットは?
この支援の目的は、自力でゴミ出しが困難な人のための支援です。
しかし、その他にも以下のようなメリットがあります。
- ゴミの回収を通して安否確認を行える
- ご近所さんとの繋がりを持てる
また、確実にゴミを捨てることができるため、ゴミ屋敷の防止につながります。
「高齢者ごみ出し支援制度」デメリットは?
この支援制度を利用することでの利用者側のデメリットは特にありません。
ただし、入院など長期不在となる場合やゴミ出しが不要な場合に連絡する必要があります。
外部とのコミュニケーションが必要となるため、他人と関わることが苦手という方にとってストレスになるかもしれません。
【地域別】「高齢者ごみ出し支援制度」の実例
地域社会における高齢者の生活支援として注目を集める「高齢者ごみ出し支援制度」。この制度は、地域ごとに異なる取り組みや実施例が存在し、高齢者の生活環境向上に向けた貢献をしています。
ここでは、各地域で展開されている「高齢者ごみ出し支援制度」の具体的な取り組みや効果について探究します。高齢者の生活支援を通じて地域社会の連帯を深め、持続可能な地域づくりに貢献するための取り組みに焦点を当てます。
東京都杉並区
65歳以上の高齢者や障害がある方のみの世帯には、ごみや資源を集積所まで持ち出すことが難しい場合、自治体が戸別に玄関先まで収集に伺っています。この取り組みは、高齢者や障がいを持つ方々が生活環境を清潔に保つために重要です。
日常的な生活動作に支障がある方々にとって、ごみの処分は困難な作業の一つです。そのため、自治体が玄関先まで収集に伺うことで、高齢者や障がいを持つ方々が安心して生活できる環境を提供しています。
この取り組みは、地域社会全体の連帯感や支援体制の充実にもつながっています。高齢者や障がいを持つ方々が自立した生活を送るためには、このような支援が不可欠です。自治体による玄関先までの収集サービスは、社会的弱者の方々の生活を支える重要な役割を果たしています。
神奈川県横浜市
横浜市では、高齢者がごみ出しを円滑に行えるよう、専門の職員が訪問し、適切な分別方法や収集日の確認を行っています。また、地域のボランティアや地域住民との連携も重要な要素となっています。
地域の特性やニーズに合わせた柔軟な制度設計が、高齢者の生活支援に大きく貢献しています。横浜市を含めた各地域での実践事例を通じて、高齢者の暮らしを支える地域社会の連携と支援体制の重要性が浮き彫りになっています。
今後も、地域別の取り組みを通じて、高齢者ごみ出し支援制度の充実と発展が期待されます。
大阪府大阪市
大阪市は、ゴミ屋敷問題を解決するため、「大阪市住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に関する条例」を平成25年12月に制定しました。この条例は、まずは福祉的支援を通じて住人に寄り添う方針を掲げています。ゴミ屋敷解消後も再び同様の状況にならないよう、見守り支援を継続することが明記されています。
この条例の制定は、社会問題となっていたゴミ屋敷の数を減らし、住民の生活環境を改善することを目的としています。ゴミ屋敷は、周囲に悪臭や害虫を発生させ、住民の健康や安全に影響を及ぼす可能性があります。そのため、適正な処理や支援が必要とされています。
この条例のもと、市は市民への啓発活動や相談窓口の整備、専門家による支援の提供など、様々な取り組みを行っています。特に、福祉的支援を通じた住人へのサポートは、ゴミ屋敷問題の根本的解決につながる重要な取り組みとなっています。
兵庫県神戸市
神戸市では、高齢者の方々が安心してごみを出せるよう、様々な支援が行われています。例えば、ごみ出しの時間帯や方法を工夫し、高齢者でも気軽にごみを捨てられるよう配慮されています。
また、ごみ出しの際に困難を抱える高齢者に対しては、近隣の住民や自治体職員が手助けをするなどの支援も行われています。このような取り組みは、地域社会全体が高齢者の生活を支えるために重要な役割を果たしています。
神戸市を含む兵庫県の取り組みは、他の地域にも示唆を与えるべき良い事例と言えるでしょう。高齢者ごみ出し支援制度の実例を通じて、地域の結束や共生社会の実現に向けた取り組みが重要であることを改めて認識させられます。
福岡県福岡市
福岡市内では高齢者の自宅までのごみ回収サービスを提供しており、高齢者が出せるゴミを適切に処理するための支援を行っています。また、福岡市では高齢者のためのごみ出し支援ガイドブックを作成し、高齢者やその家族が制度や手続きを理解しやすくなるように配布しています。
さらに、福岡市では地域のボランティア団体や福祉施設と連携して、高齢者のごみ出し支援を行う取り組みも行われています。これらの取り組みにより、福岡市の高齢者ごみ出し支援制度は地域全体で支え合いながら、高齢者の生活をサポートしています。
埼玉県さいたま市
さいたま市では、高齢者のごみ出し支援を行う取り組みが積極的に推進されています。具体的には、自治体職員やボランティアが高齢者の自宅を訪問し、ごみの分別や出し方の指導を行っています。また、高齢者が出せるごみの種類や出し方についての情報を提供し、適切な処理方法を教えています。
さらに、さいたま市では高齢者向けのごみ出し支援のために、専用の相談窓口を設けています。この窓口では、高齢者やその家族がごみ処理に関する疑問や困りごとを相談できる体制が整えられており、高齢者が安心してごみ処理を行えます。
さらに、さいたま市では地域のネットワークを活用して、高齢者同士の情報交換や支援の場を提供しています。地域のコミュニティセンターや施設を活用し、高齢者がお互いに助け合いながら、ごみ処理に関する知識や情報を共有しています。
このような取り組みにより、高齢者が孤立せずに支援を受けながら、地域全体でごみ問題に取り組んでいる姿が見られます。
高齢者のゴミ屋敷を放置する危険性
高齢者がゴミ屋敷にしてしまう理由は多々ありますが、高齢者のゴミ屋敷には様々なリスクが隠されています。
これらのリスクを知れば、高齢者のゴミ屋敷の放置が危険であることに気付くことでしょう。
高齢者のゴミ屋敷に潜むリスク①自力での解決が難しい
高齢者がゴミ屋敷を生み出してしまった場合、自力での解決は難しいでしょう。
若い人間であれば、自力でなんとかできるかもしれません。
しかし高齢者の場合、体力的な問題もさることながら、行動意欲等からゴミ屋敷をいつまでも放置してしまう可能性が高いです。
つまり、周囲が動かなければ、ゴミ屋敷は永遠にゴミ屋敷のままです。
高齢者のゴミ屋敷に潜むリスク②亡くなってしまう可能性がある
人間誰しも寿命がありますが、若者と比べると高齢者の方が寿命に近いと考えることができます。
持病等もあるでしょう。
そのため、ゴミ屋敷の状態のまま、亡くなってしまう可能性もあります。
もしもですが、ゴミ屋敷を改善することなく居住者である高齢者が亡くなってしまうと、遺族に責任が発生します。
しかもです。居住者ではありませんので、何を残すのか、何を捨てればよいのかよく分からないことでしょう。
権利・相続等の問題もありますが、いずれも当人が亡くなったあとの手続きは少々面倒です。
そのため、存命中にゴミ屋敷を片付けた方がスムーズです。
高齢者のゴミ屋敷に潜むリスク③更に悪化する恐れがある
高齢者がゴミ屋敷にしてしまったという事実は、さらにゴミ屋敷が悪化する可能性が高いです。
ゴミ屋敷に限界はありません。
家の中が一杯になれば、外にまでゴミが溢れていくだけです。
つまり、どこかで止めなければ、際限なくゴミ屋敷が悪化していくだけです。
高齢者のゴミ屋敷に潜むリスク④リスクを分かっていない
比較的若い人間であれば、ゴミ屋敷が潜むリスクは頭で理解していることでしょう。
リスクだとは分かっていてもなかなか片付けることができない点が問題なのですが、高齢者の場合、ゴミ屋敷に関して「悪いこと」という意識が希薄なケースが多いです。
そのため、リスクも分かっていません。
ゴミ屋敷は自宅だけの問題だと思っている高齢者も多いですが、自然災害が起きればゴミ屋敷に堆積されたゴミが大問題の引き金となることも珍しくありません。
高齢者のゴミ屋敷に潜むリスク⑤安否さえ不明になる
高齢者のゴミ屋敷は、居住高齢者自身が健在なのかさえ分からなくなります。
衰弱したものの、ゴミに囲まれていることで誰にも気付かれない可能性があります。
若ければ、ゴミに囲まれていてもなんとか生きながらえることでしょう。
しかし高齢者の場合、ゴミに囲まれ、どこにも出かけず、何も食べなければ衰弱してしまいます。
そして、衰弱はもちろんですが高齢者自身がどのような生活を送っているのか、外からは分かりません。
それこそ家族が久しぶりに連絡を取って足を運んだら、既に死後数カ月経過していた。
このような話も、決して有り得ない話ではありません。
高齢者のゴミ屋敷に潜むリスク⑥健康被害
ゴミ屋敷にはゴミだけではなく、ゴミに誘われた害虫が大量に巣食っている可能性もあります。
家屋に何らかの不都合をもたらす害虫もいれば、健康被害を招くリスクもあります。
例えば害虫が高齢者を刺したり、糞尿がより凶悪な害虫を招き、噛まれるなどの被害を受ける可能性もあります。
すでにゴミ屋敷と化した家を片付ける方法
一度ゴミ屋敷となってしまうと一人の力で状況を改善していくことは難しいでしょう。その場合、福祉サービスや片付け専門業者などの力を借りるのが良いでしょう。
特に高齢者の場合、加齢による体力の低下や判断力の低下などの影響から、ゴミを集める、分別するといった作業に時間がかかります。
せっかく片付けようと思っても途中で挫折してしまう可能性もあります。
ここからは、以下にゴミ屋敷となるリスクとゴミ屋敷となってしまった場合の対処手段についてまとめました。
ゴミ屋敷となった場合のリスク
ゴミ屋敷となった場合、以下のような健康被害の可能性が考えられます。
- ゴミにつまずいて転倒する
- チリ・埃によるアレルギーの発症
- 害虫などによる虫刺され
また、ゴミが家の外にまで出ている場合、放火のリスクが高まります。
住んでいる本人だけではなく、近隣住民への安全のリスクも考慮する必要があります。
地域コミュニティや福祉サービスを活用しながら自力で片付ける
家族への協力依頼が難しい場合には、以下に片付けを手伝ってもらえないか相談してみるのがおすすめです。
- 自治体
- 地域の福祉コミュニティ
- NPO団体
- 介護ヘルパーさん
一度ゴミ屋敷となってしまった場合、一人で状況を改善するのは難しいです。
地域やコミュニティの力を借りて、確実に片付けていきましょう。
片付け業者へ依頼する
ゴミ屋敷を片付ける場合には、片付け専門業者に依頼すると最も早く確実に作業を終わらせることができます。
ゴミが多い場合には複数の作業員がチームとなり片付けを行うため、圧倒的に早く終わらすことができます。
また、片付け以外にも清掃や除菌まで依頼できるため衛生面においての改善も期待できます。
業者によっては買取サービスも行っており、状態の良い家電や家具、ブランド品などは高価買取してもらえるチャンスもあるため作業費用を安く抑えられる可能性もあります。
高齢者のゴミ屋敷は業者に頼るべき
高齢者がゴミ屋敷にしてしまった場合の片付け方法を二つ紹介させていただきましたが、おすすめは業者への依頼です。
なぜ自力で片付けるより業者に依頼した方が良いのか、その理由をいくつかご紹介しましょう。
家族の言葉を聞かない
高齢者は周囲からの声に頑固になってしまうケースがあります。
特に家族が懸命に「ゴミ屋敷を片付けよう」と説得しても、余計意固地になってしまう懸念もあります。
しかし業者に依頼すれば、そのような問題は起こりません。
業者であれば、依頼を受けてゴミ屋敷を片付けるだけです。
業者に対して反発するかもしれません。
しかし、業者とすれば家族のように人間関係を考慮する必要はありませんので、「依頼を受けているから」を理由に作業を行うだけです。
自力でのハードルが高すぎる
ゴミ屋敷の片付けを自分自身で行うことも悪くはありません。
しかし、現実的に自力でゴミ屋敷を片付けようと思ったら、決して簡単ではありません。
例え家族が手伝ったとしても、1日で全てを片付けるのは難しいでしょう。
堆積された大量のゴミを、自治体のゴミ分別ルールに則って分類し、指定期日が来たら捨てる。
この繰り返しですが、ゴミの分別だけでも時間がかかりますし、ゴミ収取場所まで持っていくだけでも一苦労でしょう。
一方、業者であれば1日で片付けます。
どれだけのゴミがあっても、全て業者が引き取ります。
決して「今日終わらなかったのでまた明日」にはなりません。
その後の人間関係
もしもですが、高齢者が意固地になっているものの、強引にゴミ屋敷を片付けようものなら、その後の人間関係に支障をきたすことになりかねません。
人間は年齢と共に頑固になってしまうものです。
不本意な形で家族に片付けられようものなら、その後一切口を利かなくなってしまう可能性もあります。
しかし業者に任せれば、そのような人間関係を懸念することもありません。
臨機応変に対応できる
ゴミ屋敷の片付けは、何が起きるかわかりません。
というのも、埋まっている物が多ければ多いほど、中が確認できません。
そのため、予期せぬ出来事が起きるリスクがあります。
例えば虫が大量発生していたり、床が抜けていたり。
このように、ゴミを片付ける以外の作業が発生する可能性もありますが、専門業者であればどのような状況にも対応できます。
ノウハウ・知識がある
ゴミ屋敷にはどんなゴミがあるのか、高齢者自身も分かっていないことでしょう。
近年はゴミの分別が細分化されていますので、ゴミの捨て方も様々です。
もしもですが、自力でゴミ屋敷を片付ける場合、すべてのゴミの捨て方を把握しなければなりません。
しかし業者であれば、当然その点も把握していますので、処分方法の分からないゴミに遭遇することはありません。
つまり、ゴミ屋敷の片付けもスムーズに行われます。
ゴミ屋敷の高齢者支援はゴミ屋敷バスター七福神にお任せ
高齢者宅のゴミ屋敷を掃除したいのであれば、ゴミ屋敷バスター七福神をご検討ください。七福神は、関東8県、関西6県、東海4県、東北1県をカバーするゴミ屋敷清掃業者です。
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ゴミ屋敷を防ぐための高齢者支援についてのまとめ
この支援制度を活用することで、ゴミ出しを自力ですることが難しい高齢者や要介護者、障がいのある方の家がゴミ屋敷となるリスクを減らすことができます。
さらに、地域との繋がりを持てたり、孤立化を防ぐ効果もあります。
ゴミ屋敷となってしまった場合には、地域の力を頼る、専門業者に依頼するなど、他者に協力を求め片付けを進めていくと良いでしょう。
また、ゴミ屋敷の掃除など、幅広くサポートしているのが「ゴミ屋敷バスター七福神」です。ゴミをそのままにしておくと部屋が汚くなる可能性があるため、1度業者に相談することをおすすめします。