「家族や友人の家が、いつの間にかゴミ屋敷になってしまった。大丈夫だろうか」そのような心配を感じている方は少なくありません。もし、その人が身だしなみや部屋の掃除に無頓着になり、無気力な様子を見せているのなら、それは単なる「だらしなさ」ではなく「ディオゲネス症候群」という病気が関係している可能性があります。
本記事では、ゴミ屋敷化にもつながるディオゲネス症候群について、発症する原因やなりやすい人の特徴、放置するリスク、予防策まで詳しく解説します。似た状態としても知られるセルフネグレクトとの違いにも触れているので、家族や身近な人を適切なサポートにつなげるための参考にしてください。
目次
病気かも?高齢者が発症しやすいディオゲネス症候群とは?

ディオゲネス症候群とは、高齢者が発症しやすい精神的な病気で、別名「ゴミ屋敷症候群」とも呼ばれています。ディオゲネス症候群の主な特徴は以下の通りです。
- 身だしなみに気を使わない
- 掃除や片付けをしない
- 自宅に物をため込んでしまう
「老人精神医学の国際ジャーナル」に掲載されたディオゲネス症候群の調査結果によると、一人暮らしをしている高齢者の場合、ディオゲネス症候群を発症する可能性が高くなると判明しています。加えて、ディオゲネス症候群を発症すると、1年以内の死亡率がディオゲネス症候群を発症していない人に比べて2倍程度増加することが分かりました。
ディオゲネス症候群は、高齢者が発症しやすい「認知症」と似た症状であることから、認知症よりも進行した病気であると位置づけられています。
ディオゲネス症候群の原因|なりやすい人の7つの特徴

前提として、ディオゲネス症候群はまだ十分に解明されておらず、発症する詳しいメカニズムは明らかになっていません。
ただし、これまでの調査から、ディオゲネス症候群を発症しやすい人の特徴は少しずつ明らかになってきました。次項から、実際に発症した人に多く見られる7つの特徴を解説します。
一人暮らしに寂しさを感じる人
ディオゲネス症候群によってゴミをため込む人には、一人暮らしの高齢者が多く見られます。近くに気にかけてくれる人がいないため、気づかないうちにゴミをため込んでしまいやすいのです。
また、その裏には、一人暮らしに対する寂しさを紛らわしたい気持ちが関係しています。今まで住んでいた家から子供たちがいなくなり、一人で生活することを余儀なくされると、広い家で孤独を感じる人もいるでしょう。
その結果、寂しさを埋めるために自宅の生活スペースを狭め、心の隙間を埋めたい気持ちが膨らんでしまうのです。孤独や社会的な孤立は、ディオゲネス症候群と関連する要因のひとつとして考えられています。
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整理整頓が苦手な人
普段から整理整頓が苦手な人も、ディオゲネス症候群につながる可能性があります。例えば、整理整頓に必要な計画性・空間把握能力に乏しいと、整理整頓が難しくなり、物事に無頓着になってしまいます。
また、高齢になると体力の低下も相まって、荷物やゴミを片付けるのが面倒に感じてしまうのです。手に取った物を元あった場所に戻せない人や「後で片付ければいいか」とゴミを放置してしまう人は、こうした習慣が積み重なることでディオゲネス症候群につながることがあります。
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引きこもりがちの人
引きこもりがちな人が高齢になると、体力が衰えて家から出る気力を失ってしまいがちです。家を出ない状態が続くと、ディオゲネス症候群につながる可能性があります。
外出自体にもストレスを感じ、自宅を出なくても生活できるように物を増やしたり、宅配サービスを利用したりして、ますます引きこもってしまうのです。
物に対して深い愛着を持つ人
物を大切にすることは良いことですが、中には深い愛着を持ち、なかなか捨てられなくなる人もいます。
ゴミ屋敷を作り出す人の中には、自宅にある物一つひとつに強い愛着を持っている人もいます。そのため、物がたまっていく一方となり、生活スペースが埋め尽くされるのです。ディオゲネス症候群によって物のため込みが進むと、短期間で家がゴミ屋敷化することもあるため、早い段階での対応が求められます。
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精神疾患を抱える人
精神疾患を患っている方はディオゲネス症候群を発症するリスクが高いとされています。代表的な症例は以下の通りです。
| うつ病 | 意欲低下や判断力の減退により日常的な掃除や整理整頓が困難になる |
| 統合失調症 | 現実認識の障害によりゴミと必要な物の区別がつかなくなる |
| 強迫性障害 | 捨てることへの不安や完璧に分別しなければならない強迫観念から物を手放せなくなる |
これらの精神疾患は適切な治療により改善が期待できるため専門医による診断と治療が重要となります。
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脳の機能障害を持つ人
脳機能に障害がある方はディオゲネス症候群を発症しやすい傾向があります。主な症例は以下の通りです。
| 認知症 | 記憶障害によって同じ物を何度も購入してしまったり、ゴミの収集日を忘れてため込んでしまったりする |
| 前頭葉機能障害 | 計画性や抑制機能が低下する |
| 注意欠陥多動性障害(ADHD) | 発達障害の一種で、注意力が散漫になりやすい、衝動的に行動しやすいといった特性から、整理整頓が苦手 |
過去に強いトラウマがある人
過去の深刻なトラウマ体験はディオゲネス症候群の発症要因となることがあります。
| 幼少期に虐待や育児放棄を受けた人 | 人間関係で深く傷ついた心の隙間を、物への執着によって埋めようとするケースがある |
| 大切な人を失った悲しみから立ち直れない人 | 故人の遺品を手放せずに他の物への執着にも拡大していくケースがある |
| 経済的困窮を経験した人 | 過去の辛い体験により「もったいない」という気持ちが過度に強くなるケースがある |
放置は危険!ディオゲネス症候群が引き起こす4つのリスク

ディオゲネス症候群は、一度発症すると生活環境や健康、人間関係などにさまざまな問題を引き起こすおそれがあります。そのまま放置すると状況が悪化する可能性もあるため、早い段階で異変に気づくことが大切です。ここでは、ディオゲネス症候群の発症により起こるリスクを4つ紹介します。
一人暮らし
ディオゲネス症候群を発症すると、いろいろなことに対して無気力となり、誰かと会話したい、運動したいといった気持ちを失ってしまいます。
その結果、人とのつながりを避けて社会から孤立状態になる傾向です。特に一人暮らしの場合、本人の変化に気付く人がいないため、症状が進行しやすくなります。
認知症の進行
ディオゲネス症候群は、認知症と似た症状を生み出すため、発症するとその進行を早めてしまうリスクがあります。症状の進行は、家のゴミ屋敷化を招くほか、免疫力が低下し、病気を悪化させる原因になるので注意してください。
また、認知症が進行すると、自分が誰なのか、なぜこの場所にいるのかが分からなくなります。認知症を発症する前の行動を繰り返したり、大きなトラブルを引き起こしたりする可能性があるので、ゴミ屋敷の解消とあわせて認知症のケアを進めることが大切です。
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身体機能の衰え
ディオゲネス症候群を発症すると、外出や運動、食生活などに対し無頓着となります。その結果、運動不足・栄養不足が進み、身体機能が衰えてしまうので注意が必要です。
また、身体機能が衰えると筋肉量が減り、骨折といったケガのリスクが高まります。これは内臓の機能を低下させてしまうことにつながるので、別の病気を発症する可能性があることも覚えておきましょう。
ディオゲネス症候群を発症している人は、発症していない人に比べて死亡のリスクが高いことも報告されています。
住宅のゴミ屋敷化
ディオゲネス症候群が引き起こす、周囲に影響を与えるリスクの一つが「住宅のゴミ屋敷化」です。病気の発症により、片付けや整理整頓が億劫になり、ゴミをため込んでしまうと、自宅がゴミで埋もれてしまいます。
また、ゴミ屋敷の状態が長期的に続くと、悪臭や害虫、火災などの問題に発展し、住人だけでは済まなくなることもあります。特に火災が発生すれば、周辺住宅への延焼や損害賠償など、さらに大きな問題につながりかねません。本人だけでなく周囲にも被害が及ぶため、ゴミ屋敷化を深刻化させない早めの対応が重要です。
【予防法】ディオゲネス症候群にならないためには

複数の問題を生み出すディオゲネス症候群を避けるためには、日頃から予防策を意識しておくことが欠かせません。
ここでは、今のうちから始められる予防策を4つ紹介します。自身が意識することはもちろん、家族や友人にも対策を伝え、身近な人と一緒に取り組んでみてください。
家族との協力
何よりも大切なのは、家族との協力です。高齢者を一人暮らしにさせない体制を整えることはもちろん、一人暮らしを余儀なくされる場合には、見守りの依頼や定期的な訪問を心がけましょう。
高齢者がディオゲネス症候群を発症したり、ゴミ屋敷を作り出したりする背景には、生活の変化に「誰も気づかない」環境も関係します。家族が普段から本人の生活状況を把握しておけば、異変にも早い段階で気づきやすくなります。
周囲や自治体による支援
中には、家族が近くに住んでいないため相談できないまま、ゴミ屋敷化に悩んでいる人もいるでしょう。その場合は、周囲の人や自治体に助けを求めることも、手段の一つです。
例えば、近隣住民とコミュニケーションを取り、良い対策がないか聞いてみるほか、利用できるサービスを教えてもらう方法があります。また、直接自治体に相談して支援を受けてみるのもいいでしょう。
何事も、一人では解決できない場合があります。自分や家族だけで抱え込まず、周囲や自治体の力を借りることもディオゲネス症候群の予防につながります。
若いうちからの習慣付け
ディオゲネス症候群は、高齢者に多く見られるため、若いうちから予防を意識することも大切です。特に若い頃に身につけた生活習慣は高齢になってからも役立つため、次のようなことを意識してみてください。
- 出した物を片付ける
- 不用品をすぐに処分する
- 相談できる友人・知人を見つける
こうした習慣を身につけておけば、高齢になっても健やかな生活を維持しやすくなります。健康的な老後を迎えるためにも、ぜひ意識してみてください。
認知症対策の運動や勉強
ディオゲネス症候群は、認知症と似たような原因で発症するため、日常的にできる運動や勉強を取り入れ、認知症対策を進めることも予防のひとつです。
例えば、毎日ウォーキングをしたり、読書をしたりと、身体や頭を動かす習慣を取り入れてみましょう。運動や知的活動を続けることは、認知機能の低下を防ぐうえでも役立ちます。特に運動は身体だけでなく心の健康にも良い影響を与えるため、無理のない範囲で継続することがポイントです。
一人で抱え込まないで!治療と片付けはプロに任せるのが正解

ディオゲネス症候群は複雑な症状を伴う疾患であり、個人での改善は極めて困難とされています。
そのため家族や周囲の人々が適切な専門機関につなげることが重要です。治療には医学的なアプローチと環境整備の両面が必要になります。
病気の治療は専門医へ
ディオゲネス症候群の根本的治療には精神科や心療内科の専門医による診断が必要不可欠です。この症候群は自覚症状がほとんどなく患者自身が問題を認識していません。専門医へ相談すれば、詳しい問診や検査を通じて、背景に精神疾患や認知症などが隠れていないか確認できます。
治療方法は患者の状態によって異なりますが、薬物療法と心理療法の組み合わせが一般的です。定期的な通院で医師に症状の変化を継続的に観察してもらいましょう。治療効果を適切に評価し必要に応じて治療方針を調整できるためです。
ゴミ屋敷の片付けは専門業者へ
ディオゲネス症候群によるゴミ屋敷状態の改善には専門の片付け業者への依頼が最も効果的です。患者本人は自覚症状がないため自主的な片付けはほぼ不可能な状況といえます。
家族や友人が片付けに介入すると患者との関係が深刻に悪化する危険性があります。大切にしている物を勝手に処分されたと感じて強い怒りや不信感を抱くためです。
ゴミ屋敷の片付けに慣れた専門業者であれば、本人の心情に配慮した適切な対応ができます。無理に物を処分するのではなく患者や家族と相談しながら段階的に環境を整えていきます。
ディオゲネス症候群に関してよくある質問

ここでは、ディオゲネス症候群に関してよくある質問をご紹介します。
ディオゲネス症候群の原因は何ですか?
ディオゲネス症候群は、脳機能の障害や認知症、うつ病などの精神疾患、独居による孤立、過去のトラウマなど、複数の要因が関係して発症すると考えられています。詳しい発症メカニズムについては、現在も十分に解明されていません。
ディオゲネス症候群の治療方法は?
ディオゲネス症候群は本人に病識がないケースも多いため、まずは精神科や心療内科などの専門医へ相談することが必要です。背景にある精神疾患や認知症などに応じて、薬物療法や心理療法などを組み合わせながら治療を進めます。
ディオゲネス症候群とためこみ症(ホーディング障害)との違いは?
ためこみ症は、物を捨てられず生活空間に物をためてしまいます。一方、ディオゲネス症候群は物のため込みだけでなく、身だしなみへの無頓着や不衛生な生活、社会的孤立なども含む、より広い状態を指します。
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ゴミ屋敷化した家は自力で掃除できますか?
ゴミ屋敷化した家は自力で掃除できる場合もありますが、本人の同意なく片付けると強い不信感を招くおそれがあります。片付けや治療への協力を得にくくなる可能性もあるため、専門業者へ依頼するのが安心です。
ゴミ屋敷は自力で片付けられる?判断基準から手順や必要な物まで解説
ディオゲネス症候群とセルフネグレクトは何が違いますか?
セルフネグレクトとは、健康や安全を守るために必要な行動を自ら行わなくなる状態で、病名ではなく生活全般の自己放任を表す広い概念です。ディオゲネス症候群とは、住環境の著しい悪化や物のため込みなどが見られる状態を指します。
どちらも高齢の一人暮らしに多く、本人が病気に対して意識が乏しいことや、認知症・うつ病などが背景にあること、社会的に孤立しやすい点は共通しています。一方、セルフネグレクトが生活全般の自己放任を指すのに対し、ディオゲネス症候群は住環境の悪化やゴミ屋敷化、物への執着に焦点を当てた、より限定的な概念です。
セルフネグレクトでごみ屋敷に?片づけのプロが教える原因と対処法5選
ディオゲネス症候群によるゴミ屋敷の片付けは七福神へご相談ください

ディオゲネス症候群によってゴミ屋敷化してしまったお部屋は、ご本人やご家族だけで片付けるのは、心身ともに想像以上の負担がかかります。お悩みの方は、一人で抱え込まず七福神へご相談ください。
七福神では、物に対する執着や不安な気持ちにも寄り添い、事情を丁寧にヒアリングしながら、必要な物と不要な物を慎重に確認して作業を進めます。ご近所に知られないようプライバシーにも配慮し、不用品の回収から長年蓄積した汚れを落とすハウスクリーニング、消臭作業まで一括してお任せいただけます。
七福神は創業15年以上、年間30,000件以上の実績を積み重ねてきた片付けの専門業者です。ご相談・お見積もりは無料なので、ゴミ屋敷の片付けにお困りの際はお気軽にお問い合わせください。
まとめ

ディオゲネス症候群は、単なる「片付けられない性格」ではなく、認知症や精神疾患、孤立などさまざまな要因が関係して起こると考えられています。放置するとゴミ屋敷化が進むだけでなく、健康状態や人間関係にまで影響が及ぶため、できるだけ早い段階で対応することが重要です。
症状については専門医へ相談し、生活環境については片付けの専門業者を頼ることも一つの方法です。すでに自宅がゴミ屋敷化している場合は、本人や家族だけで無理に片付けようとせず、ゴミの撤去から掃除まで対応できる七福神へご相談ください。